2010年12月24日金曜日

楽天市場でアンファーの洗髪剤「スカルプD」が年間1、2位独占 小さな会社、大きなネット力


産経ニュース(2010.12.24)

 ネット通販最大手の楽天(東京都品川区)がまとめたショッピングサイト「楽天市場」の年間総合ランキングで、今年は、1、2位を化粧品製造・販売のアンファー(東京都中央区)の洗髪剤「スカルプD」が独占した。昨年同様、コメや水など生活必需品が上位を占める一方で、美容・健康関連製品も上位に新登場した。
                   ◇
 ◆実店舗も伸びる
 アンファーの製品は、育毛剤の「薬用スカルプジェット」も7位に入った。アンファーは、「楽天市場」に平成15年9月に初出店。「頭皮環境を整えて育毛する」という新コンセプトで医療機関の協力を得て開発した洗髪剤「ヘアメディカル薬用スカルプD」シリーズを販売している。
 昨年初めて年間総合順位で、シャンプーが2位、コンディショナーが5位にランクイン。今年は、それぞれ順位を上げて1、2位。アンファーの星山剛志常務は、「小さい会社でもネットを活用すれば全国に商品を供給できることを実感している。ネットでの認知度向上とともに実店舗での販売も伸びてきた」と話す。

 楽天で「楽天市場」を担当する小林正忠常務執行役員は、創業の理念を「地方の商店街や中小企業の事業主をネットを活用して元気にしたいという思いから楽天市場を開設した」と振り返る。化粧品・日用品で大手ではないアンファーが躍進した背景には、医療機関との連携で人気商品を開発した企業努力に加えて「ネットの力」もある。
 実際、アンファーの製品は、自社のホームページや「楽天市場」をはじめとするショッピングサイトなどネット経由の購入率が7割を超えている。購入者が感想をネット上に書き込むレビュー件数が多いことも販売を後押しした。

 ◆美容・健康品も上位
 「楽天市場」のランキングは、販売数量、売上高に加えてユーザー評価も点数化する。店舗ごとにランキングを作成するため異なる店舗の同一商品がランキングに登場することもある。
 今年も「福島県産こしひかり」とミネラルウオーター「コントレックス」が異なる店舗でトップ10入りを果たした。「10キログラムのコメやコントレックス1ダースなど重量のある日常使用する商品はネット購入が定着した」(楽天)とみている。
 運動器具「レッグマジックX」や骨盤矯正用「骨盤ガードル」など美容・健康商品も上位にきた。「不況で出費を抑えても美しさや健康への女性の探求心は根強い」(楽天)ためだ。
                   ◇
 ■ヤフーでも首位
 ヤフーがまとめた「Yahoo!ショッピング(モバイル版)」の年間ランキング(平成21年9月~22年10月)でもアンファーの洗髪剤「ヘアメディカル薬用スカルプDスカルプシャンプー(オイリー)」が首位となった。
 楽天市場と同様に重量のあるミネラルウオーターの「コントレックス」が2位に。モバイルとしての特色は、パソコン利用者に比べて利用者の年齢が若いため、低価格ファッションが売れ筋。一着999円のレギンス類が4位など6位、9位、10位と低価格ファッションが占めた。
 アンファー製品は、「ヘアメディカル薬用スカルプジェット」も3位。ヤフーの吉田裕明ECオペレーション本部部長は、「テレビで宣伝し、ネット中心に販売するという新しい流通を確立させた」と分析する。
 アンファー製品は、若い男性の悩みである薄毛に関連するので店舗よりもネットが購入しやすいという側面もある。トップ10にはランクインしていないが、男性用の美容液、化粧水なども伸び率が高いという。

2010年12月15日水曜日

生産能力10倍 「石油」つくる藻類、日本で有望株発見

asahi.com(2010.12.15)

 藻類に「石油」を作らせる研究で、筑波大のチームが従来より10倍以上も油の生産能力が高いタイプを沖縄の海で発見した。チームは工業利用に向けて特許を申請している。将来は燃料油としての利用が期待され、資源小国の日本にとって朗報となりそうだ。茨城県で開かれた国際会議で14日に発表した。

 筑波大の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チーム。海水や泥の中などにすむ「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻類に注目し、東京湾やベトナムの海などで計150株を採った。これらの性質を調べたところ、沖縄の海で採れた株が極めて高い油の生産能力を持つことが分かった。

 球形で直径は5~15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。水中の有機物をもとに、化石燃料の重油に相当する炭化水素を作り、細胞内にため込む性質がある。同じ温度条件で培養すると、これまで有望だとされていた藻類のボトリオコッカスに比べて、10~12倍の量の炭化水素を作ることが分かった。

 研究チームの試算では、深さ1メートルのプールで培養すれば面積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せる。「国内の耕作放棄地などを利用して生産施設を約2万ヘクタールにすれば、日本の石油輸入量に匹敵する生産量になる」としている。

 炭化水素をつくる藻類は複数の種類が知られているが生産効率の低さが課題だった。

 渡邉教授は「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう」と話している。

 また、この藻類は水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排水などを浄化しながら油を生産するプラントをつくる一石二鳥の構想もある。

2010年12月8日水曜日

ストレスをコントロールする脳内物質の作用メカニズムを解明

放射線医学総合研究所(2010.10.19)

 独立行行政法人放射線医学総合研究所(理事長:米倉義晴、以下、放医研)分子イメージング※2研究センター分子神経イメージング研究グループ(須原哲也グループリーダー)の辛龍文(しんりょんむん)主任研究員らは、ストレスを感じた時に脳内で起こる神経活動について研究を行い、ストレスに対処するメカニズムの一端を明らかにしました。
 今回の研究では、ラット脳の神経活動を記録し、これまで報告されてきた神経活動とは異なる別の神経活動がストレスに関わっていることを見出しました。さらに、ストレスを感じた時に脳内に放出されるカンナビノイドという物質がストレスを抑制することを明らかにしました。今後、PET※3を用いて脳内カンナビノイドのイメージングを行うことによりストレスの定量化が可能となり、ストレスの客観的な診断につながる可能性があります。
 本研究は、放医研と米国ハーヴァード大学との共同研究による成果で、2010年10月19日午前4時(日本時間)、米国科学アカデミー紀要※4のオンライン版に掲載されます。

宝くじに当たる「ワクワク感」に伝達物質ドーパミン関与 PETで脳内の受容体研究

産経ニュース(2010.12.8)

 宝くじに当せんするような低い確率を主観的に高く見積もってしまう「ワクワク感」や、逆に高い確率を低く見積もる「ハラハラ感」の強さに脳内の神経伝達物質ドーパミンが関与していることが、放射線医学総合研究所(千葉市)などのチームの研究で分かった。8日付の米科学誌に掲載された。
 チームは20~30代の男性を対象に宝くじの当せん確率をどのように見積もるか検証。多くの人は経済理論などで提唱されている通り、低い当せん確率は高く、高い確率は低く見積もる傾向にあった。
 この際、陽電子放射断層撮影装置(PET)を使って、脳内のドーパミン受容体を調べたところ、大脳の線条体という部位にある特定の受容体の密度が低い人ほど、低い確率を高く見積もったり、高い確率を低く見積もったりする傾向の強さが見られた。