2011年5月9日月曜日
自動値付けボットが暴走、ごく普通の本に約19億円の値段がつけられて販売
DNA(2011.4.26)
人間に代わって様々な日常の更新作業を行なう「ボット」と呼ばれるプログラムは、検索エンジンによる情報の収集からオンラインRPGの経験値稼ぎまで様々なレベルで普及してきました。しかし、ネット上で2つのボットが出会ってしまったけっか、なんとも笑えない事件が起こってしまったようです。
カリフォルニア大学バークレー校で生物学を研究しているMichael Eisen氏がある日、生物学の古典「The Making of a Fly: The Genetics of Animal Design」を買い増しておこうとAmazonのページを開くととんでもない光景が目に飛び込んできました。
「新品2点 173万45ドル(約1億4千万円)から」
別にプレミアがつくほどの本ではないため学生のいたずらかと思ったそうですが、出品している2者とも結構な数の取引をこなしておりその可能性は低そう。調べてみたところ興味深い事実が明らかになったそうです。
まず、profnath社はbordeebook社よりも常に安いこと。それからお互いの価格に対する割引率が常に一定になっていることが分かります。
つまり
1. profnathが値段を決める
2. bordeebookがその1.27059倍の値段をつける
3.次の日、profnathはbordeebookの0.99830倍の値段をつける
4. 2に戻る
というプロセスをぐるぐると繰り返した結果、値段がここまでつり上がってしまったと考えられます。2社とも明らかに自動で価格を修正するボットを使っていますね。たまたまボットどうしが価格競争を行なってしまったため、こんな面白いことになってしまいましたが人間の競争相手なら十分有効な仕組みです。
他の業者の値段を見て自社での価格を決定する自動ロボットは、価格比較サイト「価格.com」などで既に広く使われているのを見ることができます。profnathはおそらく、少しでも安い値段をつけて消費者の注目を浴びようとしていると考えられます。
それではbordeebookはなぜ2割近く高い値段をつけるのでしょうか。普通に考えれば一番安い値段をつけたところに勝てるわけがありません。おそらくbordeebookは在庫を持っておらず、もし注文があったら一番安い値段をつけている本を買ってお客に送る「転売」を行なっているのではないかと、Eisen氏は推測しています。
最終的に2369万8655ドル(約19億円)まで上がったところで誰かが気づいて値段を戻したようですが、現在もボットは動作しているようです。