2012年1月5日木曜日

日産自動車が開発した「ペダル踏み間違い事故防止技術」


DIME(2012.1.5)

ブレーキとアクセルの踏み間違いが原因で発生する事故は年間約7000件にも上る。中でも、クルマを停止させるための低速時に、踏み間違いが起こるケースが最も多く、全体の約60%を占めている。事故に伴う死傷者数も年間1万人を超えるという。

 今回、日産自動車が公開した技術は、この「ペダル踏み間違い事故」を軽減するのに大いに役立つものだ。

 新技術のベースとなったのは、同社がすでに一部のクルマに実用化している「アラウンドビューモニター」と呼ばれる技術。

 これは、クルマの前後左右に搭載された4台のカメラを駆使するもので、画像処理によってクルマを真俯瞰から見たような映像に加工。それを車内のカーナビのモニターに表示するというものだった。

 狭いエリアに車庫入れする際、ドライバーはクルマの周囲の様子を真俯瞰で確認しながら駐車することができるため、確認ミスによる接触事故を防ぐのに効果的だった。

 同社はこの技術にアクセルの制御システムを追加し、さらに車体の前後に「超音波ソナー」を組み込むことで、より一層、事故抑制機能を高めた。「新システムは、例えば、クルマを駐車スペースに近づけていくと、カメラが捉えた画像を自動分析し、まずドライバーがクルマを駐停車させようとしていることを認識します。

 このため、誤ってアクセルを急に床まで踏み込んだとしても、ブレーキペダルとの踏み間違いによる"誤操作"と判断し、自動的にクルマの加速を制御するシステムを発動するのです」(日産自動車ゼネラルマネージャー・山ノ井利美氏)

 加えて、前後のバンパー部に内蔵された超音波ソナーは、クルマ側から発信した超音波が、物体に当たり反射してくるまでの時間を計測し、周囲の壁やほかのクルマ、人などの存在と距離を検知。クルマがさらに障害物に近づこうとする場合には、音とランプなどで車内のドライバーに警告すると同時に、ブレーキを自動的に作動させ、接触事故を未然に防止する。「弊社では、ドライバーから非常に見えにくい、2台前を走るクルマとの車間をセンサーで検知し、減速が必要と判断した場合には、音などで警告するシステムも研究中です。

 クルマが関与する事故を実質的にゼロにできるよう、このほかにも様々な研究を続けています」(山ノ井氏)

 ちなみに、今回の「ペダル踏み間違い事故」の防止技術について、日産自動車はさらに検証を積み重ね、2013年までの実用化を目指したいという。