SankeiBiz(2013.8.23)
便利なコミュニケーションツールとして利用者が増え続けている「LINE」。7月には、サービス開始からわずか2年で世界の利用者が2億人を突破した。無料に加え、大勢の仲間と同時に通話やメッセージのやり取りができることから、大学生には必須アイテムだ。ところが、相手にメッセージを読んだことを伝える「既読」表示機能が、精神的なプレッシャーとなるなど、“LINE疲れ”に悩む学生が少なくないという。関西大学総合情報学部・谷本奈穂ゼミの有志学生記者たちが、キャンパスのLINE事情をリポートする。
LINEは、24時間いつでもどこでも、無料で通話やメッセージのやり取りができるコミュニケーションアプリである。世界231カ国で使われ、登録ユーザー数は現在も破竹の勢いで増え続けている。LINEには、送られてきたメッセージを開くと「既読」というマークが相手に表示される機能がある。東日本大震災などの災害を教訓に、災害時に家族や友人の安否確認をできるようにするために導入されたそうだ。
ところが、この便利な機能が想定外の問題をもたらしている。メッセージを開くと、相手に「既読」が伝わるため、そのまま何も返信しないと相手が気分を害するのではないかと、プレッシャーに感じる学生が少なくないというのだ。実際、それがきっかけで、信頼関係が失われたり、関係が悪くなったりし、いじめにまで発展したというケースもあるという。最近は、「既読」が表示されないようにするアプリまで登場しており、多くの利用者が「既読」機能に苦痛を感じているのである。
頻繁なメッセージ通知や既読への対応…。“LINE疲れ”の実態を調べるため、関西大学のキャンパスで6月に100人の学生を対象としたアンケートを行った。まず、「LINEを使用していますか」との質問に、「使用している」と答えた学生は実に98%を占めた。「使用している」と答えた学生に対して、「LINEの既読が気になりますか」と尋ねたところ、「気になる」と回答した学生が76%に上り、「気にならない」の24%の3倍という結果になった。
「既読機能があるため、相手に返信しなければならないと思いますか」との質問には、「思う」と回答した学生が80%を占めた。「既読が気になる」との回答数を上回っており、気にはならなくても、返信が「ほぼ義務」となっている実態が浮かび上がってきた。アンケートを通じて、“LINE疲れ”を感じているという学生数人にインタビューをすることができた。
LINE疲れの原因として、ある学生は、「LINEを使ってグループで何かを決める際に、全員の既読がつかない時や、既読をつけているにもかかわらず返信をしてくれない時に、非常にストレスや疲れを感じてしまいます」と答えてくれた。「通知を押してトーク画面を開くと、既読がついてしまい、その時は忙しくて返信できない状況でも、すぐに返信しなければいけないと思ってしまいます」と話す学生もいた。
さらに別の学生は「グループ間で連絡を取り合う際、既読は何人と表示されるだけなので、誰が連絡を見ていて、誰が連絡を見ていないのか、分からない。全員の既読が表示されないと、話が前に進まない時があります」と、具体的な実例を挙げてくれた。