ネットの楽しみの1つは、いろいろな人と知り合いになれることだが、その一方でネット犯罪者に近寄られるリスクもある。あなたが友人になろうとしているそのネットユーザーは、本当に信頼できる人物なのだろうか?(宮島理)
セキュリティ企業のソフォスが、興味深い実験を行っている。12月7日付のリポート
リポートによれば、内容は次の通りだ。
ソフォスは、米SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「Facebook」を舞台に、見知らぬ人からの「友達」リクエストに対して、どれだけの人が応じるかを調べた。まず21歳と56歳の架空のユーザーを作成し、それぞれから同年代の任意のユーザー100人に向けて、「友達」になりたいというリクエストを送る。架空ユーザーの顔写真欄には、かわいらしいアヒルのおもちゃと、絨毯の上に横たわる2匹の猫の写真も添えた。
この写真にユーザーの警戒心を解く効果があったのかもしれない。2週間で95人がリクエストに応じる結果となった。また、リクエストを送っていないのに「友達」にしてくれたユーザーも8人いたという。
一般にSNSでは、「友達」(ミクシィの場合は「マイミク」)に対して、生年月日、学歴、勤務先、住所、電話番号などの個人情報を公開状態にしているユーザーが少なくない。今回の実験でも、リクエストに応じた20代の89%、50代の57%が、生年月日を公開していた。残りのユーザーは生年を公表していなかったが、他の個人情報から年齢を推測することは簡単だという。
もし、ネット犯罪者がこうした無警戒なユーザーの心を利用すれば、まんまと「友達」になって個人情報を盗み取ることが可能ということである。
さらに実験では、20代の半分、50代の3分の1が、友人や家族の個人情報を公表していた。盗み取られるのはそのユーザー自身の個人情報だけでなく、場合によっては友人や家族まで巻き込まれてしまうのである。
このようなリスクを考えれば、「友達」リクエストには慎重に対応し、「友達」に対する個人情報の公開もなるべく制限するべきだろう。ソフォスは「友人は単にクリックされるボタンではない。(たとえば)932人もの真の友人は必要ではないし、それだけの友人がいるというのは現実的でない」と厳しく警告している。
[2009年12月22日]