2010年3月13日土曜日

メーカーの「信者」は本当にいるのか?成長著しい「価格.com」を運営するカカクコム社でいろいろ聞いてきた

 2007年4月に価格比較サイト「価格.com」を運営するカカクコム社を取材しましたが、今月に同社が新しいオフィスに移転したという案内が届いたので、これを機に改めて取材をしてきました。

キャッチコピーを賢者の買い物から「買ってよかった」をすべてのひとに。へと変えた理由や1日あたり5000件を超えるクチコミ掲示板の運営について、法人向け新サービス「価格.com Trend Search Enterprise版」のねらい、告知していた通りに新年早々「不況箱」で圧倒的な不幸を届けたにもかかわらず、ユーザーからショップ評価を急落させられたクレバリーに対するスタンス、今後の方針についてなど、さまざまなお話を聞かせてもらいました。

はたして日本最大級の価格比較サイトはいったいどれだけパワーアップしたのでしょうか。


◆装いも新たになったカカクコム
これが移転したカカクコムが入っているビル。水道橋から代官山に移転しました。

インタビューしてみた内容は以下から。今回お話をうかがったのは株式会社カカクコム 上席執行役員 価格.com本部 ショッピングメディア部長 結城晋吾氏と広報室の甲斐かおりさんです。

◆2007年4月から3年弱、「価格.com」はどう進化したのか

GIGAZINE(以下、Gと省略):
2007年4月の時点で、社員数はカカクコム単体で130人となっていましたが、今の時点で社員はどれくらいいますか?グループ全体の社員数についてもお願いします。

甲斐:
2010年1月末の時点ですが、カカクコム単体で約250名(社員数)で、グループ全体では301名です。派遣や契約、アルバイトの方などを入れると380名くらいになりますね。

G:
飲食店のクチコミ情報サイト「食べログ」などをはじめとした「価格.com」以外のサービスも手がけていますが、具体的なサービスをピックアップしてください。

甲斐:
歴史が長いところからいきますと、ホテルや旅館の格安予約サイト「yoyaQ.com」や賃貸情報サイトの「スマイティ」、新築マンションの検索サイト「マンションDB」があります。

少しマニアックなところになりますと、エンジニアの方々がQ&Aを掲載したり、技術的なノウハウを共有したりするようなコミュニティサイト「okyuu.com」がありますし、価格.comのユーザー層と親和性が高いサービスとして、デジタルカメラで撮影した写真を共有する「photohito」を運営しています。

あとはグループ会社が運営するサービスとなりますが、旅行のクチコミを共有するフォートラベルや総合映画情報サイト「eiga.com」もあります。

G:
価格.com内の「パソコン」や「家電」「カメラ」といったカテゴリの掲載順はアクセス順なのでしょうか。

甲斐:
カテゴリの並びはアクセス順であるとは限りませんね。パソコン、家電、カメラの順番で並んでいますが、今はパソコンよりも家電のアクセスの方が多くなっています。

2009年1月の時点ではパソコンへのアクセスが1ヶ月あたり600万人強で家電は570万人と、「パソコンが家電より少し多い」状況が比較的続いていましたが、ユーザー数の増加にも伴い、一般の消費者層も随分取り込めたことで、2009年11月の年末商戦あたりから逆転していますね。2010年1月時点ですと、パソコンが697万人だったのに対して、家電は750万人という実績です。エコポイントの影響や液晶テレビ人気も影響していると思いますが、家電の伸びが特に著しいと思います。

結城:
今のところパソコンと家電の2強ですが、次はカメラや車が強いです。カメラはこだわりの強いユーザーが多いのと、車はクチコミを中心に盛り上がっていますね。ちなみにカメラのアクセスの伸び自体は今年に入ってから鈍化傾向にありますが、これは新製品が昨年秋に発売された製品が多く、その時期にアクセス数のピークを迎えたためです。パソコン、家電のカテゴリと比べて1製品あたりのアクセス数ではダントツの1位です。

G:
「価格.com」の利用者についてですが、2007年時点での月間利用者数は800万人で、男性と女性の比率は7:3、実際に購買力のある30~40代のユーザーが中心となっていましたが、今はどうなっているのでしょうか。

甲斐:
月間利用者数は約2400万人(2010年1月実績)で、男女比は6:4くらいになりました。年齢層に関してはいまだに30~40代がメインで、30代以上が全体の8割を占めています。

ただ、あれから3年が経過してもメインの世代層が同じなので、当時20代だった若い層のユーザーにも浸透しているのではないかと考えています。クチコミ掲示板でネットデビューされるなど、50~60代のユーザーも伸びてきておりまして、今のところ20代とだいたい同じ割合になっています。

また、先日すべての世代のネットユーザーを対象に同数ずつパネリングする形で認知度調査を行いましたところ、価格.comの認知度が9割を超えていましたので、ほぼネットユーザーには認知されていると考えています。これからはもっとリアルの人々に知ってもらいたいですね。

◆リアルの人々への訴求が課題

G:
リアルの人々に対する認知度を高めるための策はありますか?

甲斐:
最近はいろいろなところで取り上げられる機会が増えてきておりまして、2月7日にTBSさんの情報番組「がっちりマンデー!!」に取り上げていただいたところ、結構な反響がありました。全国ネットだったので都市圏の方だけでなく、日本全国津々浦々の方々に見ていただけて、うれしく思っています。今のところ具体的な予定はありませんが、いつかウェブだけでなく、リアルでイベントをやってみたいと思っています。

G:
賢者の買い物から「買ってよかった」をすべてのひとに。へとキャッチコピーが変わりましたが、どのような背景があるのでしょうか。

結城:
2006年後半から2007年前半にかけて、価格.comのブランディングを見直そうという「ブランドプロジェクト」というものがありまして、半年くらいをかけてサイトコンセプトを整理しようという話があったのですが、その中でいろいろと検討していった結果、コンセプトを明確化してブランドビジョンを決め、サイト上にも表示しました。

これがコンセプトページ。「買って良かった」をすべてのひとに。をビジョンに、「最適なものがみつかる」「一番お得な方法で手に入る」「誰かに伝えたくなる」を軸として、実現のためのミッションがまとめられています。


ちょうど社員が一気に増えてきてサイトコンセプトの共有がブレやすくなった時期でもありましたので、ブランドビジョンを一度ちゃんと整理しようとする中で、今まで使ってきたキャッチコピーの「賢者の買い物」をどうするのかという議論が始まりました。

ただ、今後もっと幅広いユーザーに使っていただくためにも、「賢者の買い物」が示すような「知っている人だけが賢い買い物をできる」サイトではなくて、パソコンに詳しくない人でも良いパソコンが買えるようになるような、分かりやすいサイトにしないといけないということで、キャッチコピーを「買って良かった」をすべてのひとに。に変えました。あまり表には出していませんが、大きな方向転換ですね。

もともとパソコン大好きな人が数多く入ってきている会社で、昔は入社すると10万円を渡されて、「秋葉原でパーツを買い集めて自分の社用パソコンを組み立てろ。まず仕事はそこからだ」というような会社だったので、価格.com自体も「知っている人向けのサイト」だったのですが、新たなユーザーを取り込むためにも、初心者でも欲しい商品を気軽に選べるようなサービスを提供していきましょうというのが、この3年間に取り組んだことですね。

甲斐:
より、親しみやすいものにするために、サイトデザインについても工夫しました。直感的で使いやすいインターフェースや、目に優しい淡い色使いなどもそうです。ただ、ロゴについてもいろいろな案が出ましたが、激しく変えることには社員も抵抗がありまして、マイナーチェンジっぽいものに落ち着きました。また、ユーザーさんが、より便利なサービスを使うのは当然だと思いますので、サイトデザインや導線には気を付けています。もし使いづらくなったと感じたら、いつでもご連絡下さい(笑)

G:
2007年時点での月間ページビューは4億となっていましたが、現在はどうなっていますか?

甲斐:
2010年1月の時点で、約7億7000万程度ですね。

G:
約3年前と比較してほぼ2倍となっていますが、右肩上がりですね。

甲斐:
本当にユーザーの皆様のおかげです。ありがとうございます。

G:
システムについてはどのようにされていますでしょうか(サーバーの台数など)

結城:
2007年4月当時のサーバーの台数はグループ全体で200台くらいでしたが、今は355台になりました。アクセス数や他のドメインでのサービスが増えるに従って増えています。355台のうち価格.comが170台で、食べログが50台となっていますね。

また、サーバーのスペックが上がっていますので、新しいサーバーにリプレースすると台数を減らせることもありますね。台数ベースではなくトータルのスペックで考えると、かなり投資はしています。

G:
かつては「メーカーから試供品が送られてくることはちっともない」ということをおっしゃっていましたが、より知名度が向上した今でも状況は同じなのでしょうか。例えば「新製品ニュースで取り上げて欲しい!」などとして、メーカー側から売り込んでくるようなことはありますか?

甲斐:
試供品が送られてくることは今でもありませんが、新商品をメーカーさんが売り込んでくることはありますね。プレスリリースがすごく来るようになりました。ちなみに「送り先が分からない」ということで、メーカーの広報担当者の方がプレスリリースを新製品ニュースの担当者ではなく、直接弊社の広報部に送ってくることがありますが、もしこの記事を見ているメーカーの方がいらっしゃいましたら、news@●●●●(●●●●には、kakaku.comが入ります)にお送りいただくようお願いします。そうすると新製品ニュースの担当者に届きますので(笑)

あと秋葉原の情報を中心に提供するアキバ総研は完全に独立したメディアとして活動しているので、秋葉原で行われるアイドルイベントなどの案内が数多く届いています。

G:
2005年5月に不正アクセスを受けてサイトを一時閉鎖したことが「伝説的エピソード」となっていましたが、あれから新たな伝説は生まれましたか?

甲斐:
正直なところ、2007年10月の価格.comの大幅リニューアルが一番大きいイベントでしたね。今までのキャッチコピー「賢者の買い物」や今までのロゴを捨てて新しく生まれ変わりました。あと、昨年には会社のロゴも新たに作りました。あとは住み慣れた総武線沿線からの引越しですね。

そしてもう1つ。アクセスが非常に好調で、かなり早い段階でアクセス目標を達成できたことですね。また、「食べログ」は昨年、初の書籍化にこぎつけましたが、これもリアルへのアプローチの1つです。すでに関西版が発売されていますが、3月には関東版も出ますので、是非ご覧下さい!

G:
新しく会社の自慢になるようなことができたなら、お教え願います。

甲斐:
ちょっとオフィスがキレイになりましたね(笑)新しく「リフレッシュルーム」なるものができました。テレビとテーブル、イスが揃えられてここで休憩ができます。総務の人が、社内の家電に詳しい人に聞いてテレビを調達したそうなのですが、東芝のレグザになりました。

◆「価格.com」の実態にさらに迫る

G:
以前GIGAZINEで価格.comが儲けるカラクリとして「集客サポート」「販売サポート」「情報提供」「広告」の4つから成り立っているのではないかという記事を掲載しましたが、実際はどうなのでしょうか?

結城:
まるっきりその通りです。決算資料から収益構造を読み解いていただいていますが、弊社の社員からも「あの記事を見てよく分かった」という声が非常にありました(笑)社内の人間は事業部ごとに分かれてしまっていて全てを把握しにくくなっているため、ほかの事業部との売り上げのバランスといったことを把握するのに役に立ちました。

G:
価格.comの新しい商材として、「製品詳細ページを活用した製品ダイジェスト」というのができましたが、実際の反応はどうですか?

結城:
まだ2009年11月にサービスを開始したばかりで営業をかけているところですが、今のところ数十社が利用しています。メーカーがユーザーに対して、訴求したいポイントを3つに限定して訴求できるサービスですが、「訴求できる点を特徴だけに絞った非常にマニアックな広告枠」と考えていただければいいかもしれません。

製品ごとのページに掲載されているため、コンテンツの延長的な扱いになるので、参考情報として見てもらいやすいのではないかと思っています。価格.comではスペック情報を掲載していますが、スペック表に出にくい各製品の特徴まではカバーしきれていないので、それをカバーするために導入しました。

メーカーさんが本当に言いたいことを、関心を持って製品情報ページを見に来た、購入確度の高いユーザーに直接訴求できるようにしていますし、いっぱい入れば入るほどコンテンツが充実するので、多くの会社に参加してもらうためにも、価格は1製品あたり6ヶ月で1万円(1ヶ月1667円)からと非常に安く設定しております。

G:
2009年11月より、前日の最安値から5%以上値下がりした製品をリストアップして、現在の最安価格と値下げ率、値下げ額、売れ筋などの各ランキングの順位とともに紹介する「本日の値下がり製品リスト」が提供されていますが、どれくらいの反響があったのでしょうか。

結城:
月間で32万ページビューとなったので、結構見られてはいますね。夜中に情報が一度クリアされるのですが、ゆっくりと情報が追加されていきますので、午前中は見てもあまり面白くないかもしれません。午後になると大分充実しますので、なるべく午後に見てみると面白いのではないでしょうか。

本日の値下がり製品リスト。在庫はリアルタイムに変動するので、見逃さないようにこまめにチェックした方がいいかもしれません。

G:
また、ほぼ同じ時期に法人向けに価格.comに掲載されている莫大な数の製品に対するユーザーの注目度のチェックや、メーカー同士の比較が可能となる「価格.com Trend Search Enterprise版」を開始しましたが、やはり法人ユーザーからの要望を受けてのことですか?

甲斐:
そうですね。以前から弊社が持っているデータを活用したサービスをやりたいというのがありましたし、メーカーさんやシンクタンクさんから、データを買いたいという要望もありました。そして要望があるごとにデータを集計して編集して……という作業をしていると、かなり手間がかかりますし、結果、メーカーさんにとっても弊社にとってもリーズナブルではありませんでした。

「価格.com Trend Search Enterprise版」は、弊社の「手軽にデータを集めて販売できる仕組みを提供したい」という希望と、メーカーさんのデータに対する高いニーズの両方を受けて実現したものです。膨大なデータを瞬間的に集計して出力するので、商用利用に耐え得るパフォーマンスを出すために試行錯誤を重ね、半年ほどかけてチューニングしました。

◆コミュニティの運営について

G:
一日に約5000~6000件ぐらいの書き込み数があるそうですが、どうやってコミュニティの質を維持しているのでしょうか。荒らしや迷惑なコメントをするユーザーへの対処についてお聞かせ下さい。

結城:
1997年に価格.comを立ち上げて、コミュニティは1998年から運営していますので、人にも組織にもノウハウが非常に溜まっているのと、製品にひも付けられた掲示板であるのと、ユーザーが成熟しているので、荒れづらいですね。もし荒れた場合も規約を非常に明確に持っていますので、規約に違反した場合は削除しています。

この間削除率のデータを見ましたが、平均すると全体の書き込みに対して2~3%程度にとどまっています。削除されるものもスレ違いやマルチポストが多くを占めていますね。

また、特にカメラなどのカテゴリだと、クチコミ掲示板で同じカメラを使っているユーザー同士のコミュニティ化してしまっていて、雑談の場となってしまうことがあるのですが、初心者が書き込みやすくするためにも、価格.comユーザー同士が気軽に雑談を楽しめる場として新たに「縁側」というサービスを提供しました。

これが2月22日から開始された縁側です。自由なテーマで掲示板を設置して意見交換ができるようになっています。

G:
2010年1月1日にパソコンパーツショップ「クレバリー」が不況箱を発売したところ、内容物のひどさにユーザーからショップ評価を暴落させられるという事態が発生しましたが、もし誰かが特定のショップの評価を下げる目的で複数のアカウントを利用するなどしてショップに低評価を下し続けるなどした場合、価格.comでは何らかの対処を行うのでしょうか。

結城:
書き込みをするためには、そもそもID登録が必要なのと、同じ人が複数のIDで評価を投稿したことがわかるような仕組みを持っているので、基本的にそういったものは排除できますね。最初からそういった対処をできるようにしておかないと、もし誰かのいたずらですべての店舗に「もう二度と利用したくない」という評価が付けられた場合、弊社もお店もビジネスが成り立たないと思っていますので、掲示板よりもかなり気を使っています。

甲斐:
書き込みに対しては気を使っていますね。「店舗に行ったら在庫切れだった」「自分が買った後に値段がさらに下がったのには腹が立つ」といった、購入行為とは直接関係のない書き込みについては削除対象となります。

ここに関してはこれまでの掲示板管理のノウハウの集大成が生きていると思いますね。当然100%公正な管理というのは難しいのですが、できる限り100%に近づける努力は続けています。クレバリーさんの店舗評価の書き込みは一時期すごいことになっていましたが、規約とは言え、その最中に運営側が何か動くのは、逆に火に油を注ぐ可能性も考えられましたし、そっとしておいた方がいいのではないかという考えもありましたので、マニュアル一辺倒ではなく、その都度状況に応じて対応していくのが良いのだろうと思います。

削除に関しては「匙加減」や「タイミング」が大事になってくるのですが、長年の経験がものを言うみたいで、「雲行きが怪しくなってきたから、そろそろ雨が降るのではないか」というような直感が身に付くようになっていますね。

結城:
削除対応などはカスタマーサポートが行っていますが、過去に何度か規約違反の実績があるアカウントなどは要注意対象として、常にチェックできるようになっているので、そのアカウントの人が何かをするとすぐに分かるようにはなっています。

◆さまざまなカテゴリに数多くのショップが登録

G:
たくさんのショップが登録されていますが、全部で何社が登録しているのでしょうか。

甲斐:
価格比較に参加しているのは1300~1400社ですね。カテゴリ別のショップ数ですが、カメラや家電、パソコンなどの複数のカテゴリをまたぐ形で商材を扱っているショップもあるので一概には言えませんが、扱っている商材が多いので、家電が一番多いと思います。

G:
新しいカテゴリを追加するときは、どのような基準で決めているのですか?

結城:
直近で追加される予定のカテゴリは「芝刈り機」と「草刈り機」「電動工具」です。追加基準ですが、まずはユーザーのニーズですね。あと価格比較を行うためには、型番がしっかりしていることと、ネットで通販されていることが前提です。デジタルフォトフレームといった一気にメジャーになったものや家庭用プラネタリウムといったマイナーなものまで、ニーズに合わせて追加しています。

新卒の子に研修で追加するカテゴリ候補を調査してもらったところ、家庭用プラネタリウムが出てきたので、そのまま作ってもらいました(笑)

これが新たに追加された家庭用プラネタリウムのカテゴリ。あまりメジャーな製品でないからこそ、クチコミ掲示板で情報交換が行われることに大きな意味を持ちそうです。

G:
今年1月に携帯カメラに写した色から洋服を手軽に探せるAndroidアプリケーション「ファッションカメラ」を提供開始しましたが、今後はAndroidをはじめとしたスマートフォンで価格.comのサービスを利用しやすくしていく方針なのでしょうか。

結城:
ユーザーからの要望もとても多いので、そろそろやらないといけないと思っています。今後の展開について、現在検討中です。

G:
カテゴリに「LANケーブル」はあるのに「LANハブ」がないのはなぜですか?正直、スイッチングハブとかの評価を知りたいのですが……。

結城:
「その他ネットワーク機器」というカテゴリに入っています。調理器具やカメラ関連製品なども「その他」に入っています。数が集まれば独立したカテゴリになります。製品数がないとランキングが成り立たなかったり、情報が少ないページになるためですね。

◆信者同士の争いは?

G:
各メーカーや製品ごとに「信者」と呼ぶべき熱心なファンがいて、ともすればファン同士での対立なども起きそうな気がしますが、だいたいどのようなジャンルに「信者」が多いのでしょうか?

結城:
対立が一番スゴいのはゲームのWiiとPS3ですね。あとは、そこまで白熱しないものの、プラズマテレビと液晶テレビの対立です。「信者」という観点で言うなら、Appleユーザーの団結力はすごいと思います。ソニーは「ソニー信者」というほどの人はあまり多くなく、信者というよりはファン止まりです。カメラに関しても各メーカーのファンはいますが、信者というほどのユーザーは多くありません。

G:
製品へのクチコミなどの内容を見ていて、あまりの不具合報告の多さに「この商品はリコール対象じゃないのだろうか…?」と客観的に見て思うことはありますか?

甲斐:
そこまで不具合報告が多い製品に当たったことはありませんが、製品に個体差はありますので、ユーザーがたまたまハズレの個体を引いてしまった場合というのはあると思います。そういう書き込みに対して、ほかのユーザーが「それは初期不良ですよ」というレスを返している例は見かけますね。

昔と違ってお客さんが豊富な情報を持った上で買い物に来る場合が多くなっているので、家電量販店の人が自分の担当する商品に関するクチコミ掲示板の不具合報告を事前にチェックしておくという話を聞いたことがありますね。

◆「消費全体のサービスを手がけている会社」へ

G:
昨年あたりから本格的にニュースリリースや調査レポートなどを配信するようになりましたが、社内体制に何か変化があったのでしょうか。広報担当は増えましたか?

甲斐:
以前は私1人だったのが、現在は2人になりました。ちょうど倍ですね(笑)

新たなスタッフも頑張ってくれていて、出しているリリースやサイトの数は倍以上にはなっていると思います。調査レポートを表に出していくのが価格.comリサーチで、トレンドニュースはトレンドサーチをPRするためのサイトなんですよ。基本的に文章は専属のスタッフが書いてくれているので、そのままリリースとして出しちゃえと。

また、うちの会社は組織を定期的に変えるので、検索サービス部やインターネットマーケティング部といった、ある分野に特化した部門も出来、全社にプラスの効果も出ています。人員も引き続き増えていますし、組織を活性化させるためにも、今年もまた新しい組織ができるかもしれません。

G:
今後の方針をお聞かせ下さい(こんな感じの展開を予定しています、など)

結城:
2007年当時にはなかったのですが、Yahooさんや楽天さんをはじめとしたインターネット上のショッピングサイトを横断して商品を検索できるショッピングサーチを価格.comに導入したことで、ファッションや洋服、お肉やお酒まで買えるようになりまして、フード・ドリンクなどのカテゴリも新設されました。

今後はパソコンや家電、カメラだけでなく、日用品なども価格.comで選んでから買うという流れを作れるようになればいいなと思っています。

試しにショッピングサーチを利用して検索してみたところ。価格.comのほかのカテゴリと同様のインターフェースで、Yahoo!ショッピングや楽天市場の商品も横断して検索できます。

甲斐:
カカクコムグループとしては、価格.comや伸び盛りの食べログが有名ですが、ほかのサービスも「第二、第三の価格.com」として盛り上げていきたいですね。弊社サービスに対する印象も「パソコンや家電の値段が分かるサイト」から「(パソコンや家電だけでなく)商品の値段が分かるサイト」という風にシフトしているようですが、イメージとしては買い物だけでなく映画を見たり旅行のチケット予約をしたり、住居を借りたりといった「消費全体のサポートサービスを手がけている会社」として認知されたいと思っています。

G:
ありがとうございました。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100228_kakaku_com/