読売新聞(2010.9.19)
ニホンミツバチは、天敵のスズメバチから攻撃されると、数百匹で取り囲み「蜂球」を作って高熱で殺すが、呼気中の水分などを活用し、高湿度のサウナ風呂状態にして効果的に撃退していることが、京都学園大の坂本文夫教授と菅原道夫客員研究員らの研究で明らかになった。
25日に東京都で開かれる日本動物学会で発表する。
スズメバチは幼虫を狙ってミツバチの巣を襲う。ミツバチは個別では太刀打ちできないので、群がってテニスボールほどの大きさの蜂球を作って対抗。羽を動かす筋肉を発熱させ、蜂球内部の温度を上げてスズメバチを殺す。坂本教授らが調べたところ、ミツバチの天敵であるスズメバチ4種の致死温度は47・5〜49・8度だが、蜂球内では約46度で10分後にほとんどのスズメバチが死んでいた。
ミツバチが発熱する際、エネルギー燃焼の副産物として腹部の気門から水分と二酸化炭素(CO2)を放出。蜂球内では湿度が約100%、CO2濃度も約100倍になり、この条件ではスズメバチの致死温度は2〜6度下がり、46度でも殺せることが分かった。ミツバチの致死温度(約50度)は下がらない。
乾式サウナは80度以上でも問題ないが、湿度が高いスチームサウナでは温度を抑えないと耐えられないように、ミツバチは呼気の水分を利用して撃退しているらしい。