ITmedia(2010.8.4)
「mixiアプリのブームは一巡したが、mixiボイスやmixiフォトなどが伸びている。アクティブユーザーも増えている」――ミクシィの笠原健治社長は8月4日の決算会見で、コミュニケーションプラットフォームとしてのmixiの好調ぶりをアピールした。
同日発表した2010年4~6月期の決算は前年同期比で増収増益。だが、課金型ソーシャルゲームで破格の急成長をとげたグリーやディー・エヌ・エー(DeNA)と比較すると見劣りする。笠原社長は「他社と同じようなこともやろうと思えばできるが、mixiを焼き畑にはしたくない」と話す。
■ボイスは月間1億投稿 mixiアプリは「ブーム一巡」
7月31日現在のmixiの登録ユーザー数は2102万人。月に1回以上ログインしたユーザーは1430万人(7月時点)と、登録ユーザーの7割に上る。
ユーザーのアクティブ率は、テレビCMを始めた今年3月以降、急上昇。ひとことサービス「mixiボイス」や、スケジュールを共有できる「mixiカレンダー」、写真で交流できる「mixiフォト」など、4月以降に投入/リニューアルしたサービスも好調で、mixiボイスの1カ月の投稿数は1億件を超えたという。
だがページビュー(PV)は下降傾向。mixiの月間PVは、3月(PC:53億3000万、モバイル:266億6000万)を頂点に減退している。mixiアプリのブームが一巡したことがその原因という。ソーシャルゲームの成長でPVを急拡大させているDeNAと対照的だが、「ソーシャル性の強いmixiアプリは、今もユーザー数やPVを着実に伸ばしている」と笠原社長は話す。
■「mixiを焼き畑にしたくない」
笠原社長
同日発表した2010年4~6月期の決算は、売上高が前年同期比31.2%増の40億1300万円、営業利益が23.8%増の10億7400万円、経常利益が17.8%増の10億2900万円、純利益が3.1%増の4億7500万円。4~9月期の営業利益予想は、当初より31.7%増の13億7000万円に上方修正した。
業績は堅調だが、4~9月期の売上高予想を500億円としたディー・エヌ・エー(DeNA)や、急成長を続けているグリーといった同業他社と比べると、成長率では見劣りする。
収益力の差は、ソーシャルゲームのARPU(加入者1人当たりの売上高)の違いが要因だ。DeNAが運営する「モバゲータウン」やグリーの「GREE」はARPUの高いゲームが収益拡大に貢献しているが、mixiアプリは、現実の友人・知人同士で無料や少額課金で遊べるよう、ARPUは低めになっている。
4~6月期のmixiアプリの課金売り上げは3億3000万円にとどまっており、DeNAの159億2800万円(課金、広告などを含むソーシャルゲームからの売り上げ)との差は大きい。
mixiアプリは、ARPUの拡大は目指さないという。「ARPUの拡大は、やろうと思えばできる。ゲーム性の高いゲームを投入していけば、焼き畑的に収穫できると思う。だが売上高や利益は一番最後の指標。まずはサービスの質を高めることに力を注いでいる」
DeNAとヤフーが共同で作る「Yahoo!モバゲー」や、NHN Japanの「ハンゲーム」のオープン化など、ソーシャルゲームプラットフォームがさらに増えつつあるが、他社プラットフォームは現実の人間関係よりゲーム中心で、「mixiとは完全に一線を画している」。
同社はオープンプラットフォームの先駆けとして、各社のプラットフォームの仕様ができるだけ共通になるよう技術サポートなどを行い、「アプリ事業者がビジネスをしやすいようにしていきたい」という。
mixiの機能を外部のWebサービスや端末などで使えるようにする新プラットフォームの詳細は、9月10日に発表する予定。年内をめどにサービスインする計画だ。