2009年8月31日月曜日

任意の確率分布に従う乱数


任意の確率分布に従って乱数を発生させる方法として,一般的に逆関数法と棄却法が用いられる.

以下に,Mathematicaで棄却法により(π/2)×sin(πx)に従う乱数の発生方法を記載する.

Clear[m, data1];
Clear[data1];
m = π/2;
f1[x_] := π/2 Sin[π x];
f2[x_, y_] := If[y < f1[x]/m, x];
data1 = DropNonNumeric[Table[f2[Random[], Random[]], {10000}]];
Histogram[data1]

Mathematicaでヒストグラムを作成する


Histgram

Mathematicaの使い方


■ 参考サイト

山口大学教育学部数理情報コースのページ
グラフの作成方法から簡単なプログラミングまで紹介されている.

2009年8月30日日曜日

Googleはなぜ「全自動化」できないサービスでは負けるのか?~後編~

GIGAZINEより

Googleにも失敗がある……それが「Google Answers」という実に4年間も続けられたサービス。成功よりも失敗の方が多く学べるというのであれば、この失敗には何か学ぶべきことがあるはずです。Googleの成功にばかり目を向けるより、時にはその失敗にも目を向けてみましょう。そこにはきっと何かヒントが隠されているはずです。

というわけで、先の記事「Googleはなぜ「全自動化」できないサービスでは負けるのか?~前編~」のつづきです。Google Answers失敗の理由の核心と、その失敗を分析して誕生したライバルの猛追、そしてGoogleの失敗から学ぶことは何か?を以下、順に見ていきます。


■Google Answers失敗の理由その3「コミュニティ作りが苦手」


意外かもしれませんが、Googleはコミュニティを作るのが苦手です。というか、ユーザーとコミュニケーションを積極的に行っているような印象はありますが、それはユーザーの方から自発的にGoogleと関わっているだけであって、Googleからユーザーに関わって来るというのは極めて珍しいのです。つまり、Googleは利用者から見れば、いじっておもしろい「おもちゃ」でしかない、それが現実です。

例えば、先日の支払い遅延の件に関して、Googleの自前で持っているコミュニティを見ると意外に閑散としています。そして、Googleからの関わりの形跡は皆無。場は提供するし、システムも出すが、そこからあとの肝心の部分、「コミュニティを育てる」という手腕はありません。Googleスタッフによるブログも山ほどありますが、コメントを付けられるようなものはどこにもありません。

また、Googleに質問メールを送信したことがある人はみんな知っていますが、返ってくるメールは基本的に全自動の紋切り型テンプレートによる冷たい回答ばかりで、明らかに人の手を介していると思われるメールを引き出すにはそれなりの手腕が必要です。

このあたり、マイクロソフトは異常なほどコミュニティ構築に熱心です。これはネットサービスをメインとするGoogleと、ソフトウェアをメインとするマイクロソフトの差によるもの。というのも、ソフトウェア開発とはいうまでもなくプログラミングであり、プログラミングには過去の先達たちの残した資料やデータは必須。また、開発中にわからないことがあれば、もう誰かに尋ねるしか方法は残されていないという場合も多々あります。誰にも尋ねることができずに無茶なスケジュールで開発が行き詰まり、デスマーチに突入というのも珍しくないはずです。そして、Linuxというコミュニティに危機感を抱いた本家マイクロソフトは、ウインドウズに関連する様々なデベロッパーに対し、ある時期から非常に密なコミュニケーションを取るようになりました。それが一番端的に表れているのが「Channel 9」というサイトで、マイクロソフトの開発関連の光景を毎回ムービーで見せてくれます。コメントも可能で、コミュニティなども併設されており、海外では超有名。

Channel 9(本家)
http://channel9.msdn.com/

Channel 9(日本語版)
http://channel9.msdn.com/tags/japan

このあたりの意気込みは以下の日本語版の玄関ページで確認できます。とにかく書いてあることがすごい。掲示板の運営方針とかああいうものをさらに突き詰めた感じです。

Channel 9 の基本方針

1. Channel 9 は会話をするための場所です。Channel 9 は、マイクロソフトとユーザーが本音で語れる場を設けることを目的としており、マーケティング ツール、PR ツール、リード ジェネレーション ツールのいずれでもありません。

2. ひとりの人間として。Channel 9 は、Channel 9 のチーム メンバが自分らしくあることができ、チームについて紹介し、チームがマイクロソフト ユーザーについて知るための場所です。

3. 人の意見に耳を傾けてください。他のユーザーの意見から学べることは大いにあります。過剰な自己防衛に走ったり、議論に持ち込むために反論したりするような行為は禁止しています。他のユーザーの意見にも耳を傾け、そこから学べることを吸収してください。

4. 適切な判断を。意見を述べる前に少し考えてみてください。固定概念を押し付けたり、負の状況を引き起こすだけの何のメリットもない発言が見られます。

5. Channel 9 ではマーケティング活動は行いません。Channel 9 への投資は、驚きと喜びを得るために行っていることで、宣伝活動のためではありません。

6. 公序良俗に反する発言は禁止しています。恒常的な変化の定着には時間がかかります。

7. 引き際を見極めてください。議論しても解決せず、問題を引き起こすだけの話題もあります。これは検閲制度とは無関係ですが、現代社会の公序良俗を保つために必要です。法律や財産に関する問題を持ち出しても、事態は何も変わりません。公序良俗に反し、サイトにアクセスしたユーザーを動揺させ、負の状況を引き起こすだけですので、そのような行為は慎んでください。

8. ばかなことはしないでください。意地悪な人を好む人はいません。

9. 会話に参加してください。忙しいという理由だけで他のユーザーの意見に耳を傾けるのをやめたり、他のユーザーの意見に賛同できないからといって、会話への参加をやめたりしないでください。人間関係を構築するには忍耐が必要です。長い時間をかけて人間関係を構築することで、業界全体がその恩恵を受けることができます。

なお、Channel 9日本版サポートブログ: 試験放送終了に向けてのお知らせによると、日本語版はまもなく終了してしまうようです。このあたり、あまりコミュニケーションを日本人が重視しない傾向が如実に出てきた形でしょうか。そういう意味では、あくまでも待ちに徹して黙々と提供のみを続けるGoogleのおもちゃ的スタンスは日本人好みである、と言えるかもしれません。

一方、海外の本家マイクロソフトは、マイクロソフトの中の人たちと直接チャットできるチャットルームも開設しています。

MSDN Online Chats

日本からでも一応、担当者に聞く方法が確保されています。

Ask The Experts! ~ その疑問、マイクロソフトの担当者にきいてみませんか ?

ブログも山ほどあり、どれもこれもコメントも可能。これは日本語によるマイクロソフトのブログでも基本は同じ。

MSDN Blogs - Blogs
http://blogs.msdn.com/

Googleもブログを持っていますが、コメントできません。これは日本語版でも本家版でも同じです。

Google Japan Blog
http://googlejapan.blogspot.com/

Official Google Blog
http://googleblog.blogspot.com/

そういう視点で見ると、本家マイクロソフトは自発的なコミュニティの形成にも寛容で、質問されたらヒントを与えるとか、ときには新製品の情報をリークすることもためらいません。求められれば可能な範囲でそれに応じるのがスタンスらしい。

これは最初からそうだったわけではなく、先ほどもちらっとふれたように、Linuxの脅威を自覚してから「あのような強力なコミュニティ形成が我々にも必要だ」ということで方向転換したわけです。それまでは、今のGoogleのようなスタンスでした。これは予想というか予感ですが、どこかの時点で、これまで無敵を誇ってきたGoogleに危機的状況が訪れたとき、その危機をGoogleが肌で自覚したとき、マイクロソフトと同じような方向転換を図るのではないかと思われます。

つまり、「Google Answers」のような人力を介するサービスでは、コミュニティをいかに育成していくかというのは至上命題なのですが、Googleにはまだそのノウハウがなく、そしてあまり積極的ではなかったため、せっかく優秀なリサーチャーを多く抱えながらも失敗という憂き目に遭遇した、というわけです。このあたり、日本では「価格.com」などがコミュニティの維持に心血を注いでいます。当たり前のことですが、コミュニティは全自動ではできあがらないのです。

■Google Answers失敗の理由その4「強力なライバルの出現、質より量」


最終的に「Google Answers」へ引導を渡したのは「Yahoo! Answers」の登場です。登場したのは2005年12月9日。これはGoogle Answersの抱えていた各種の問題をすべて分析して解決することで出現した驚愕のサービスです。既存の検索というジャンルでGoogleによってシェアを奪われたYahoo!が、Googleとの激しい戦いにおいて正面から戦いを仕掛けて勝利したという、いろいろな意味で考察に値する事例です。Googleマジックが衰え始めたといわれたのもちょうどこの時期。

まずYahoo! Answersは「無料」でした。また、キャンペーンも大々的に行い、「Ask the Planet」というイベントでは、世界で最も高いIQの持ち主からの質問とか、質問の商品がガソリン1年分とか、前副大統領ゴア氏の質問に回答すれば自動車がもらえる、などなどの有名人や豪華景品の提供などを行いました。例えば、以下の質問は実際にこのキャンペーンで行われたもので、インドのカラム大統領が「今後地球人口は80億になっていくわけだが、テロをなくし、自由な地球を実現するために、どのようなアイデアがありますか?」と質問しています。

Yahoo! Answers - What should we do to free our planet from terrorism?

これには当初、回答が7000件以上も殺到し、海外では圧倒的な注目を集めました。さらに理論物理学者のスティーブン・ホーキング氏が登場、「人類は次の100年を生き延びるにはどうすればいいのか」という質問を掲載。当時の回答は実に1万6000件以上になりました。

Yahoo! Answers - How can the human race survive the next hundred years?

こういう派手なイベントを通じて知名度の向上を図り、利用者を集めていったわけです。

さらに2006年8月15日にはAPIを外部の開発者に向けて開放。そして2006年12月4日、ユーザー数は6000万人に到達、回答数は実に1億6000万件。回答者も質問者も分け隔て無く利用できるという雰囲気作りに突き進んだ結果が如実に明暗を分けたわけです。ちなみにGoogle Answersの最終的なリサーチャー数は800人でした。勝てるわけがない。

この人数の差は非常に重要です。Yahoo! Answersの回答者は厳選された精鋭ではなかったのですが、無料だったために回答者の数が尋常ではないほど多い。そして、数が多いということは、必然的に回答が返ってくるまでの時間も短くなる可能性がある。また、回答の量が多いので必然的にピンからキリまで質はバラバラになるものの、確実にその中にはキラリと光る回答も出てくることになります。この「キラリ」の積み重ねが成功への要因でした。Googleが少数精鋭主義で質を保とうとしたのに対して、Yahoo!はみんなの叡智を結集させる方向(Web2.0的方向)で動き、そのために必要なコミュニティの育成と維持というものに全力を傾けたというわけです。数が多くなれば「悪貨が良貨を駆逐する」現象が起きるわけですが、そうはさせないようにするのがコミュニティの運営手腕なのです。まさにGoogleとは逆です。先ほども書いたように、全自動化できない「コミュニティ」という人間の関わるものについて、それまでYahoo!が培ってきたノウハウの差がモロに出たというわけです。

なお、コミュニケーションに関して、Yahoo!もマイクロソフトと同じようにすでに方向転換済みで、公式ブログではコメントが可能です。

Yahoo! Search blog
http://www.ysearchblog.com/

Yahoo! 360° - Yahoo! Answers Team Blog (answers.yahoo.com)
http://blog.360.yahoo.com/y_answrs_team

日本語版ではコメントはできないものの、トラックバックは可能です。Googleはトラックバックすら受け付けていません。

Yahoo!ブログ - Yahoo!検索 スタッフブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/yjsearchblog/

この方針転換はGoogleに検索シェア1位を奪われてから始まりました。そして現在も続いています。ボコボコにされてもそこからすぐに立ち上がる行動を始めるあたり、見習うべきものは多いはずです。

B3 Annex: Yahoo!内部文書「ピーナッツバター宣言」
「Yahoo!の戦略は、私にしてみれば、オンライン世界に立ち現れ続ける無数のチャンスに対して、広くピーナッツバターを塗ることのように聞こえる。結果、私たちが行うすべての事柄に対して広く薄く投資が行われ、なんら特定のことにフォーカスしていないのが現状だ」


■Googleの失敗から学ぶこと


良くも悪くも、全自動化されたサービスでシェアを奪うことに成功したGoogleですが、全自動化以外のサービスという側面で見ると、成功した事例は皆無です。Googleのビジネス的成功というのは、通常は全自動化できないようなものを全自動化することによって価格を極端に引き下げて広告によって無料化するという手法で成立しており、あまりにもコストがかかるようなもの、あるいは手間暇がかかるもの、要するに自動化できないジャンルにおいては非常に不得意である、ということです。

つまり、Googleと競合するサービスを出す場合、この点が重要なのではないかと考えます。マイクロソフトは打倒Googleのため、新たに「Live Search」というものを開始しました。WindowsVistaもメッセンジャーも何もかも、新しいマイクロソフトの出してくるサービスはすべて、Googleを打破するために作られたと思われる方向性がそこかしこに感じられます。いつも業界の最後尾から先駆者の動きや出方をうかがい、そして分析し、一気に追いついて引き離すというのが常套手段のマイクロソフト。その手法は新しい動きがあってもすぐに追随するわけではないので「時代遅れ」「流行に敏感でない」「新しい動きを取り入れるのが遅い」「そんなもの当たるわけがない」などという批判を最初は受けるものの、最終的には勝利者を目指すためのものでした。

また、Googleはコミュニケーションが苦手らしいと書きましたが、さすがにGoogleもポツポツと活動を始めているようです。例えば、以下がGoogleグループで活動しているGoogleの中の人たちの一部です。こんなところでアナウンスとかしていたのですね、全然知らなかった。このあたりは広報活動においてYahoo!のような体制を整えるのが急務では?

Google ガイド

Google デスクトップガイド

Google ツールバーガイド(Firefox)

Google ツールバーガイド(IE)

AdSensePro(ほとんど活動してない)

Gmail ガイド(最近はがんばってる)

まだ手探りといった感じですが、どこかでブレイクスルーするのかも。

あと、実はGoogle Answersとは、Googleが一番最初に取り組んだ既存の検索以外のサービスであり、このアイディアを出したのはほかならぬ創業者のラリー・ページです。この失敗が後のいろいろなサービスに生かされるであろうことは想像に難くありません。

また、当時のリサーチャーたちの一部は今、新しいサービスを開始しています。

Welcome to uclue.com (beta)
http://uclue.com/

質問するのは無料、その際に報奨金を示す。結果的には回答があったら5ドル~250ドルを支払うらしい。リサーチャーが75%を、残りがuclue.comへ。

で、早速「どこがGoogle Answersと違うのか?」という質問が書き込まれています。

Question: How does Uclue compare to Google Answers?

これに対する回答としては、回答までの速度が素早いこと、反応が早いこと、クレジットカードだけでなくPayPalが使えること、前払い式であるということ、違法な質問・学生の論文代筆・試験への回答はしないがそれ以外はなんでも答える、英語以外にドイツ語やスペイン語も利用可能、回答に満足できなかったら返金可能、30日間回答がなかった場合も返金可能、だそうで。失敗から学んだ結果だとは思うのですが、成功するのでしょうかね、これ?

最後に、Google Answers閉鎖が決まってからもっとも注目された質問、「何が原因でGoogle Answersは閉鎖されるのか?」を見てみましょう。

Google Answers: What has happened to Answers?

・クレジットカード詐欺でゲットした番号の正当性を確認するためにGoogle Answersが使われていたため、くだらない質問が多発した

・検索エンジン対策のSEOを行うためだけに質問文にリンクを入れ、スパム的質問を行う業者がめちゃくちゃたくさんいた

・質問に回答するために多くの時間と手間が必要だったのにそれだけの報酬が提示されず、未解決の質問が山ほどたまっていた

・Googleのメインページからのリンクをはずされ、人が急激に減った

・とにかく過去ログ検索をせず、同じ質問が繰り返されつづけた、もう飽き飽きだ

そして、完全にコミュニティとして破綻してしまった、というわけです……。

参考程度に、現時点で「Google Answers」と同じようなことをしている国内のサービスを列挙しておきます。生き残るのは、どこでしょうかね……。

Googleはなぜ「全自動化」できないサービスでは負けるのか?~前編~

GIGAZINEより

Googleは勝ち組の企業です、疑う余地はありません。だがそのサービスの歴史を見ると、実は敗北しているサービスも存在しています。つまり、競合他社に負けたサービス。その名は「Google Answers」……膨大なインデックスを持ち、全自動で検索結果をはじき出すGoogleの既存モデルの穴を埋める形で始まった究極の「人力検索」です。

Google Answersでは、検索してもわからないようなものすごくマニアックな質問が可能で、Googleが認定した調査スペシャリスト「リサーチャー」たちがあらゆる場所から情報を検索、さらに持てる限りの知識で回答してくれるという、はっきりいって個人的には日本語版が一番欲しかったサービスとなっていました。ジャンルも幅広く、「アート・エンターテイメント」「教育・ニュース」「ビジネスとお金」「政治と社会」「コンピュータ」「科学」「生活」「スポーツ・レジャー」「健康」といった感じ。

また、海外では有名でしたが、「人類の叡智の結晶」と絶賛された伝説的回答「1ガロンの石油に恐竜は何匹いるのか」「電子レンジにハエを入れて1分間チンしたが生きていた、なぜだ」「エアコンから排出される水は飲んでも大丈夫か?」「Google本社から煙が見える。火事なのか?助けに行った方がいいか?」などといったものが存在しており、様々なサービスをこれでもかと爆発的に送り出していた時期には「さすがGoogleだ」と言わしめるほどのハイクオリティなレベルのサービスでした。

では、なぜ失敗したのでしょうか?そこを調べると、Googleが勝利するための方程式が「全自動化」にあり、全自動化できないときは失敗することがわかります。

以下、Googleのビジネスモデル「無料」を支える根本原理「全自動化」と、失敗の理由について、各種資料を交えながらひもといていきます。


■Google Answers失敗の理由その1「有料だった」


Googleの提供するサービスは基本的に無料です。それも「有料と同レベルかそれ以上のものを実質無料で提供する」というスタイルです。実はこのスタイルはGoogleが作ったわけではなく、マイクロソフトが最初に実行したスタイルです。マイクロソフトはインターネットのホームページを見る「ブラウザ」において、ライバルのブラウザであり9割のシェアを占めていた「ネットスケープ」をたたきつぶすために、有料だったネットスケープとは逆の戦略、最初から無料で「Internet Explorer」をウインドウズにくっつけて、その牙城を崩したわけです。Googleもやっていることは基本的に同じです。アクセス解析サービスの「Google Analytics」はもともと「企業向けアクセス解析ソフトUrchin(アーチン)」というめちゃくちゃ値段の高いアクセス解析ソフトウェアで、これが今では1ヶ月500万ページビューまでは無料です。

ところが、人力検索サービス「Google Answers」は有料でした。2002年4月18日にベータテストが開始され、当時の報道によると1回あたりの質問料は0.5ドル。回答への報酬は2~200ドル。4分の3はリサーチャーへ、4分の1はGoogleにサポート料として流れるモデルです。質問には回答時間と報酬が設定可能なのですが、これがクセモノ。値段を低く、あるいは回答までの時間を短く設定すると、いい回答が得られる確率が下がってしまうわけです。このあたりは手動であるがゆえの限界でした。当時の標語はこんな感じ。

Ask a question. Set your price. Get your answer.
(尋ねよ。そして値を決めよ。されば良き回答が得られん)


もちろんGoogleもただ手をこまねいて見ているだけではなく、様々な質を向上させる工夫を自分たちの検索エンジンに加えたのと同じようにして実行しました。リサーチャーの質を上げるため、雇う際には「なぜGoogle Answersのリサーチャーになりたいのか」という文章を書かせ、さらに指定時間内に10個の質問を課してそれに的確に回答できた者だけをリサーチャーとして任命。さらに回答の質が低いと依頼者が判断すると、カカクコムやヤフーオークションのような評価システムによって評価が下がります。評価が一定以下になるとクビ。それだけでなく抜き打ち試験も実施してリサーチャーの質の確保を怠りませんでした。

つまり、回答者の質は低くなかったのです。むしろ質は極めて高かった。それが証拠に、Google Answersの閉鎖アナウンスが告知されたとき、Yahoo!が2005年12月9日から提供していた同様のサービス「Yahoo!Answers」はこの解雇されてしまうリサーチャーたちに「我々のところへ来てください!」と歓迎の意向を示しました。

でも、Googleの場合、やはり有料だと採算が合わなかったのです。全自動化することのメリットは人件費の節約だけでなく、コストを可視化できる点にあります。これは予算計上とかの経験がある人には自明の理ですが、人件費はとにかくあらゆるコストの変動源であり、発生源であり、不確定要素です。有料でサービスを提供するためには不確定要素を可能な限り減らす必要があるのに、「Google Answers」はその逆だったというわけです。

この点を反省し、2007年2月22日から始まった有料サービスである「Google Apps Premier Edition」は全自動化されたシステムとなっています。1アカウントあたり年6000円。

Google アプリ 企業向け

サポートが付くそうですが、それも定型メールを送る全自動なのでしょうか?気になるところです。

■Google Answers失敗の理由その2「手動の限界、それは時間と手間」


Google Answersは過去の質問は無料で検索が可能でした。つまり、誰かが過去に同じような質問をしたのであればお金を払う必要はありませんでした。これもまずかった。せっかくの貴重な積み重ねである過去ログデータベースをだだ漏れで利用可能にしていたわけです。このあたりはGoogleの「なんでも無料で提供するよ!」というスタンスと、自前の全自動検索技術による的確な全自動過去ログ検索が皮肉にも足を引っ張る形になりました。なのに、その割には利用されていなかったため、同じ質問が繰り返されるという悪循環に突入していたのです。

また、所詮は人間が代わりに検索するというのが基本的なスタイルなので、時間がかかります。時間がかかるとそれだけ支払うお金も増えます。なので、Googleの誇る全自動検索エンジンに勝てるだけの回答を出すためにはさらなる「時間と手間」が必要だったわけです。

しかし、そこまでのクオリティを求める人はあまり多くなかった。さらにそうやって得られた貴重な回答が無料で後から来た人には検索可能となっているわけですから、最初に価値ある質問をした人にみんなただ乗りすることになるわけです。これも失速の原因になりました。

こうなると、次に起きるのは「コミュニティの崩壊」です。

Digg、アルゴリズムを変更―グループ投票行動は無効に

TechCrunchより

Kevin Roseは今夜(米国時間1/23)、Diggのアルゴリズムに関する大幅な変更について詳細をブログに掲載した。それによるとグループ投票によって記事のランクを上げようとする行動は無効とされたもようだ。

Roseによると、この変更は単独で行動するユーザーの投票の重要性を高めることによって、トップページに送り込まれる人気の高い記事の多様性を確保しようとしたものという。

Roseは新しいアルゴリズムについて、「100以上の投票があっても『多様性ランク』が不足しているとトップページに載らないことがある」という例を出している。つまり友達同士がいっせいに同じ記事に投票するグループ行動は無効だということだ。Roseはいつからこのアルゴリズムによって「多様性の低い」記事がトップページから追い出されることになるのかはっきり示していないが、この記事を書いている時点ですでに140以上の票を集めている記事が「続き」のページに掲載されており、トップページに載るためのハードルが高くなっているようだ。

Drill Down showは今夜、記事で「この変更によってDigg内に友達がいない新しいユーザーの投票の方が、友達を多数登録した既存のユーザーの投票より記事のランクを上げるのに有効になる。(友達がいるユーザーは友達が掲載した記事に投票しがちだから)。この多様性重視システムの裏をかくために大量に不正な新しいアカウントが取得されるのではないか」と論じている。

「Googleのインデックスやランク付けなどに関する10の誤解」をGoogleが公式ブログにて公開

GIGAZINEより

GoogleやYahoo!の検索結果の上位に来ないページやサイトは存在していても存在していないのと同等の扱いを受けてしまうため、検索エンジン対策最適化、すなわち「SEO(Search Engine Optimization)」を専門に行う業者が無数に存在しており、まことしやかにいろいろな噂や都市伝説めいた誤解が流布されています。

当然ながらこういった誤解によって最大の被害を受けるのは検索エンジンの利用者と検索エンジンを提供する側の双方です。そのため、Googleがついに重い腰を上げ、「Googleのインデックスやランク付けなどに関する10の誤解」について公式ブログで説明をし始めました。

詳細は以下から。


Webmaster Central 日本版 公式ブログ: Google のインデックスやランク付けなどに関する、10 の誤解



誤解 1: サイト内に 重複するコンテンツ があるとペナルティを受ける
真実:Googleは重複するコンテンツを無視することに長けているので過度に気にする必要なし。


誤解 2: HTML と XHTML を混ぜて使用するとウェブマスターツールの認証に失敗する
真実:ウェブマスターツールの確認用のメタタグはウェブページのエンコーディングやドキュメントタイプに関係なく利用可能。


誤解 3: 検索結果におけるサイトの評価を高めるためには、何千もの検索エンジンや登録サイトに登録されることが重要だ
真実:そんなことはない


誤解 4: AdWords や AdSense, Analytics を利用すると、サイトの評価が上がる、もしくは下がる
真実:そんなことはない


誤解 5: 重要なキーワードは、重要なページの重要な場所に出来る限りたくさん詰め込んで、そのページが他のページよりも価値があることに、検索エンジンが気付くようにしたほうがいい
真実:キーワードの乱用はGoogleのウェブマスター向けガイドライン違反になる


誤解 6: XML サイトマップ を使うと、サイトのランク付けが下がる
真実:そんなことはない


誤解 7: PageRank は、もはや意味を持たない / PageRank がすべてだ!
真実:Googleがランク付けにPageRankを用いているのは事実だが、ウェブページのランク付けを行う際に使っている200以上の技術のひとつに過ぎず、PageRankの更新頻度は年に数回程度。


誤解 8: サイトの URL は定期的に Google に登録 しなおす必要がある
真実:そんなことはない


誤解 9: 一度ランク付けがあがったら、もうサイトに手をつけないほうがいい
真実:ランク付けは常に変化している


誤解 10: 正しい (X)HTML の記述は、サイトのランク付けを上げる
真実:正しく記述されたサイトは、より多くのブラウザで適切に表示されるので、できるだけ正しく書くことをおすすめする


また、原文のサイトのプレゼン資料によると、以下も間違いだそうです。

誤解:robots.txtで「disallow」を使うとサイトやページがインデックスから消える
真実:そんなことはない

誤解:たくさんリンクするとよりよいことが起きる
真実:そんなことはない、関係ない

誤解:ウェブサイト作成の際に最も重要な目的は、ウェブサイトが検索結果の一番最初に来ることだけだ
真実:そんなことはない、中身が重要

誤解:古いURLが404エラーを返す時には放置しておいても自然と新しいページは発見してもらえる
真実:そんなことはない

誤解:メタタグで「Index, Follow」を使うのは重要だ
真実:そんなことはない

誤解:共有IPアドレスでサイトを運営しているとそれが原因でランキングが落ちる
真実:そんなことはない

個人的な経験上、結局のところ、こまめに更新し続けるのが最大のSEOになるようです。

「道に迷うと回る」は本当=森や砂漠、目隠し実験で確認−独研究所

 道に迷うと、同じ所をぐるぐる回ると昔から言い伝えられるが、ドイツのマックスプランク研究所の研究チームがこのことを実験で確認し、29日までに米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表した。目隠しをされた状態でも、最大20メートル程度は真っすぐ歩けるが、距離が長くなるにつれて曲がり、円を描いてしまう可能性が高かった。 これは、左右の脚の長さの微妙な違いが原因ではなく、太陽や月、山などの手掛かりがないと、方向や身体バランスの感覚のずれを修正できず、ずれが次第に大きくなってしまうためと考えられるという。
 実験は、6人にドイツの暗い、平たんな森の中を数時間歩いてもらうほか、3人にサハラ砂漠を歩いてもらい、全地球測位システム(GPS)でコースを記録。さらに、15人に目隠しした状態で平らな場所を50分間歩いてもらった。
 その結果、太陽が見えない曇った日に森を歩いた4人が円を描き、月が見えない夜に砂漠を歩いた1人は途中でUターンして逆戻りした。目隠しをした15人のうち、一定の方向に歩くことができたのは3人だけで、12人が何回もぐるぐると回った。円の直径は最も小さい場合、わずか20メートル程度だった。8月

29日13時59分配信 時事通信 

2009年8月27日木曜日

寝る子は育つ、成績も 睡眠中も脳は学習、米大が実証

成績を上げるためにはよく寝ること——。そんな教訓が得られそうな実験結果を、渡辺武郎・米ボストン大教授らのグループが発表した。学習中に活動する脳の領域が睡眠中にも活動しており、その活動が活発なほど学習効果が高い傾向があることを、機能的磁気共鳴画像(fMRI)で脳の活動の様子を調べて確認した。米専門誌に発表した。

 学習後に寝るほうが学習効果が高まるといわれているが、その仕組みはよくわかっていない。そこで、グループは、7人の被験者に、複雑な画像を素早く識別する訓練をしてもらった。

 訓練中は、脳の視覚情報を処理する特定の場所が活動する。学習した後、fMRIの中で寝てもらったところ、その場所が活発に活動することがわかった。

 寝ないで同じ訓練をすると識別の正答率は上がらなかったが、寝た後は正答率が上がった。睡眠中の活動が活発な人ほど、睡眠後の正答率が上がる傾向があることも明らかになった。睡眠中に学習した脳活動を繰り返して、脳の中に学習内容を「固定」していると推定されるという。

 「睡眠によって疲れがとれるから学習効果が高まるように見えるという考えもあったが、脳が活動して、学習を固定化していることがわかった」と渡辺教授は話している。(瀬川茂子)

■ asahi.com(2009年8月27日7時19分

2009年8月20日木曜日

Javaの参考サイト

慶応義塾大学情報処理教育室の講座のJavaの資料
大変良くできている!
さすがだなぁ.

■ 参考サイト

gnuplot 等高線


■ カラーマップを使った3次元表示 (pm3d)

set xrange [-2:2]
set yrange [-2:2]
set pm3d
splot exp(-x*x)*exp(-y*y)

とすればよい.


■ pm3dのカラーバーの範囲指定

set cbrange[0:6]

を加えればよい.


■ 参考サイト


2009年8月19日水曜日

レシピの権利をどう守る? 投稿サイト「クックパッド」のルール


7月に東証マザーズに上場したクックパッドの最大のコンテンツは、全国から投稿される「料理レシピ」。ネット企業にとって、無断コピーなどの権利侵害をどう防ぐかは重要なテーマだが、レシピの場合はどのような事情があるのだろうか。

■1日約800件の新規投稿

 クックパッドが運営する料理投稿サイト「クックパッド」に掲載されている料理レシピは約60万件。例えば、「肉じゃが」だけでも「関東風」「イタリアン」など2000種類を超えるバリエーションがある。今も1日約800件の投稿があり、それが「登録会員681万人、月間ページビュー2億8000万」(佐野陽光社長)を集める原動力となっている。

クックパッドの成松淳執行役

 投稿する登録会員の97%は女性で、人気のレシピには試してみた人の「おいしかったよ」といったコメントが写真付きで寄せられる。投稿されたレシピをアレンジして新しいメニューを作ることも盛んで、新規のレシピ投稿を促す好循環になっている。

 他人が発表したレシピを無断コピーして投稿するような行為については、多くの投稿サイトと同様、対策をとっている。利用ガイドラインで掲載許可をもらうよう呼びかけているほか、投稿されたレシピはすべて、「いったん担当者が目を通したうえで公開している」(成松淳執行役)という。

■レシピは著作権法の対象外

 ただ、レシピというコンテンツは、動画や音楽、文章などと違って、オリジナルとコピーを判別しにくいという特殊性がある。レシピを構成する要素は「材料」「分量」「調理方法」「時間」などに限られ、定番メニューであればほとんど区別がつかない。

 実は、著作権法上もレシピは保護の対象となる「著作物」ではないという見方が主流だ。著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と規定している。著作権問題に詳しい升本喜郎弁護士は「レシピは料理の作り方の説明で、誰が書いても表現に大きな違いがなく、創作物とはみなされにくい」と説明する。

 料理は、分量や調理時間などで味も出来上がりも変わるが、その組み合わせはあくまでアイデアとみなされる。こうしたアイデアは特許や実用新案により保護されるケースもあるが、「よほど画期的な製法ならともかく、一般家庭の料理はそぐわないだろう」と升本弁護士は指摘する。

 有名な料理研究家やシェフが書いた本であっても、レシピ部分を抜き出して投稿するだけなら法律上の問題は生じない。そこでクックパッドでは、「著作権」という言葉の代わりに「マナー」という表現で自発的なレシピの権利保護を呼びかけている。

■きっかけは「炎上」事件

 成松執行役によると、「この路線をめざす1つのきっかけになったのは、5年ほど前に起きた『炎上』事件だった」という。当時、ある菓子店のレシピがそうと分からない状態でクックパッドに掲載されたことがあった。これに利用者からの批判コメントが殺到し、後から菓子店の許可を得たものの騒ぎはすぐに収まらなかったという。

 クックパッドの投稿者は自分のレシピを広く知ってもらいたいと思う半面、レシピに強い愛着を持っている。そこで、「法律や規約を一方的に押し付けるのではなく、投稿者のオリジナリティーを尊重する」(成松執行役)という運営方針で、試行錯誤しながらサイトの見直しに取り組んだ。

 レシピを考案した背景やきっかけなどを書き込む「このレシピの生い立ち 」欄はその工夫の1つだ。他のレシピを参考にした場合は、「○○という雑誌に載っていた○○のレシピと我が家に伝わるレシピを参考に作りました」といった文面を書き込んでもらう。これにより、出典を明示すると同時に元のレシピの考案者を尊重するという習慣をユーザーに広げようとしている。

 また、レシピの投稿フォーマットには、1つの手順につき60文字までしか入力できない文字数制限を設けている。これは、レシピをみて料理をする人の利便性を追求した体裁だったが、同時に他のサイトから丸写しするような無断コピーを未然に防ぐ効果も上げている。

 クックパッド側も投稿者に配慮する姿勢を積極的に示している。投稿されたレシピについて規約では「日本国内外問わず無償で非独占的に使用する(複製、公開、送信、頒布、譲渡、 貸与、翻訳、翻案を含む)権利(サブライセンス権も含む)を許諾したものとみなします」としている。だが、実際にレシピを2次利用して書籍化する際は、すべての投稿者と直接連絡をとり、掲載の許可ととったうえでさらに覚書を交わすという。

■他に無断転載された場合は・・・

 こうした価値観は今のところ投稿者と共有できているが、最近はクックパッドのレシピが無断でコピーされて外部で使われるケースが散見され、対応に苦慮しているという。

 多くは「自分のレシピがある企業のサイトに写真ごと掲載されている」「クックパッドで見たレシピがミニコミ誌で使われていた」といった利用者からの相談で判明する。無断転載が明らかな場合はサイトの運営者に削除などの対応を要請するが、「法的には強制できず、相手にお願いするしかない」(成松執行役)状況だ。

 今のところサイトの運営に影響はないが、レシピに対する世間一般の認識は一様ではない。ユーザーが満足するかたちでクックパッドのルールをどう浸透させていくかが今後の課題となりそうだ。

[2009年8月19日/IT PLUS]