2010年12月24日金曜日

楽天市場でアンファーの洗髪剤「スカルプD」が年間1、2位独占 小さな会社、大きなネット力


産経ニュース(2010.12.24)

 ネット通販最大手の楽天(東京都品川区)がまとめたショッピングサイト「楽天市場」の年間総合ランキングで、今年は、1、2位を化粧品製造・販売のアンファー(東京都中央区)の洗髪剤「スカルプD」が独占した。昨年同様、コメや水など生活必需品が上位を占める一方で、美容・健康関連製品も上位に新登場した。
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 ◆実店舗も伸びる
 アンファーの製品は、育毛剤の「薬用スカルプジェット」も7位に入った。アンファーは、「楽天市場」に平成15年9月に初出店。「頭皮環境を整えて育毛する」という新コンセプトで医療機関の協力を得て開発した洗髪剤「ヘアメディカル薬用スカルプD」シリーズを販売している。
 昨年初めて年間総合順位で、シャンプーが2位、コンディショナーが5位にランクイン。今年は、それぞれ順位を上げて1、2位。アンファーの星山剛志常務は、「小さい会社でもネットを活用すれば全国に商品を供給できることを実感している。ネットでの認知度向上とともに実店舗での販売も伸びてきた」と話す。

 楽天で「楽天市場」を担当する小林正忠常務執行役員は、創業の理念を「地方の商店街や中小企業の事業主をネットを活用して元気にしたいという思いから楽天市場を開設した」と振り返る。化粧品・日用品で大手ではないアンファーが躍進した背景には、医療機関との連携で人気商品を開発した企業努力に加えて「ネットの力」もある。
 実際、アンファーの製品は、自社のホームページや「楽天市場」をはじめとするショッピングサイトなどネット経由の購入率が7割を超えている。購入者が感想をネット上に書き込むレビュー件数が多いことも販売を後押しした。

 ◆美容・健康品も上位
 「楽天市場」のランキングは、販売数量、売上高に加えてユーザー評価も点数化する。店舗ごとにランキングを作成するため異なる店舗の同一商品がランキングに登場することもある。
 今年も「福島県産こしひかり」とミネラルウオーター「コントレックス」が異なる店舗でトップ10入りを果たした。「10キログラムのコメやコントレックス1ダースなど重量のある日常使用する商品はネット購入が定着した」(楽天)とみている。
 運動器具「レッグマジックX」や骨盤矯正用「骨盤ガードル」など美容・健康商品も上位にきた。「不況で出費を抑えても美しさや健康への女性の探求心は根強い」(楽天)ためだ。
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 ■ヤフーでも首位
 ヤフーがまとめた「Yahoo!ショッピング(モバイル版)」の年間ランキング(平成21年9月~22年10月)でもアンファーの洗髪剤「ヘアメディカル薬用スカルプDスカルプシャンプー(オイリー)」が首位となった。
 楽天市場と同様に重量のあるミネラルウオーターの「コントレックス」が2位に。モバイルとしての特色は、パソコン利用者に比べて利用者の年齢が若いため、低価格ファッションが売れ筋。一着999円のレギンス類が4位など6位、9位、10位と低価格ファッションが占めた。
 アンファー製品は、「ヘアメディカル薬用スカルプジェット」も3位。ヤフーの吉田裕明ECオペレーション本部部長は、「テレビで宣伝し、ネット中心に販売するという新しい流通を確立させた」と分析する。
 アンファー製品は、若い男性の悩みである薄毛に関連するので店舗よりもネットが購入しやすいという側面もある。トップ10にはランクインしていないが、男性用の美容液、化粧水なども伸び率が高いという。

2010年12月15日水曜日

生産能力10倍 「石油」つくる藻類、日本で有望株発見

asahi.com(2010.12.15)

 藻類に「石油」を作らせる研究で、筑波大のチームが従来より10倍以上も油の生産能力が高いタイプを沖縄の海で発見した。チームは工業利用に向けて特許を申請している。将来は燃料油としての利用が期待され、資源小国の日本にとって朗報となりそうだ。茨城県で開かれた国際会議で14日に発表した。

 筑波大の渡邉信教授、彼谷邦光特任教授らの研究チーム。海水や泥の中などにすむ「オーランチオキトリウム」という単細胞の藻類に注目し、東京湾やベトナムの海などで計150株を採った。これらの性質を調べたところ、沖縄の海で採れた株が極めて高い油の生産能力を持つことが分かった。

 球形で直径は5~15マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。水中の有機物をもとに、化石燃料の重油に相当する炭化水素を作り、細胞内にため込む性質がある。同じ温度条件で培養すると、これまで有望だとされていた藻類のボトリオコッカスに比べて、10~12倍の量の炭化水素を作ることが分かった。

 研究チームの試算では、深さ1メートルのプールで培養すれば面積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せる。「国内の耕作放棄地などを利用して生産施設を約2万ヘクタールにすれば、日本の石油輸入量に匹敵する生産量になる」としている。

 炭化水素をつくる藻類は複数の種類が知られているが生産効率の低さが課題だった。

 渡邉教授は「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう」と話している。

 また、この藻類は水中の有機物を吸収して増殖するため、生活排水などを浄化しながら油を生産するプラントをつくる一石二鳥の構想もある。

2010年12月8日水曜日

ストレスをコントロールする脳内物質の作用メカニズムを解明

放射線医学総合研究所(2010.10.19)

 独立行行政法人放射線医学総合研究所(理事長:米倉義晴、以下、放医研)分子イメージング※2研究センター分子神経イメージング研究グループ(須原哲也グループリーダー)の辛龍文(しんりょんむん)主任研究員らは、ストレスを感じた時に脳内で起こる神経活動について研究を行い、ストレスに対処するメカニズムの一端を明らかにしました。
 今回の研究では、ラット脳の神経活動を記録し、これまで報告されてきた神経活動とは異なる別の神経活動がストレスに関わっていることを見出しました。さらに、ストレスを感じた時に脳内に放出されるカンナビノイドという物質がストレスを抑制することを明らかにしました。今後、PET※3を用いて脳内カンナビノイドのイメージングを行うことによりストレスの定量化が可能となり、ストレスの客観的な診断につながる可能性があります。
 本研究は、放医研と米国ハーヴァード大学との共同研究による成果で、2010年10月19日午前4時(日本時間)、米国科学アカデミー紀要※4のオンライン版に掲載されます。

宝くじに当たる「ワクワク感」に伝達物質ドーパミン関与 PETで脳内の受容体研究

産経ニュース(2010.12.8)

 宝くじに当せんするような低い確率を主観的に高く見積もってしまう「ワクワク感」や、逆に高い確率を低く見積もる「ハラハラ感」の強さに脳内の神経伝達物質ドーパミンが関与していることが、放射線医学総合研究所(千葉市)などのチームの研究で分かった。8日付の米科学誌に掲載された。
 チームは20~30代の男性を対象に宝くじの当せん確率をどのように見積もるか検証。多くの人は経済理論などで提唱されている通り、低い当せん確率は高く、高い確率は低く見積もる傾向にあった。
 この際、陽電子放射断層撮影装置(PET)を使って、脳内のドーパミン受容体を調べたところ、大脳の線条体という部位にある特定の受容体の密度が低い人ほど、低い確率を高く見積もったり、高い確率を低く見積もったりする傾向の強さが見られた。

2010年11月16日火曜日

お金目当てでは楽しめない=脳科学実験で初確認―教育上の参考に・玉川大など

時事通信(2010.11.16)

面白いことでもお金稼ぎが目的になると楽しめなくなり、自発的なやる気が低下することが、脳活動の変化として裏付けられた。玉川大の松元健二准教授やドイツ・ミュンヘン大の村山航研究員らが15日までに行った実験の成果で、米科学アカデミー紀要電子版に発表される。これまで心理学の行動実験では知られていたが、脳科学実験で確認されたのは初めて。教育上の参考になりそうだ。

松元准教授によると、勉強やボランティア活動をしている子供に、思い掛けない褒美をあげるのは励ましになる。しかし、最初から成績に応じた小遣いを約束すると、「やらされている」感覚が生じ、小遣いをもらえなくなったときに意欲が低下する恐れがあるという。 

2010年10月18日月曜日

「はてなランド」オープンから2週間で終了


ITmedia(2010.10.15)

はてなは10月15日、1日にオープンした小中学生向けSNS「はてなランド」を終了した。8日から「リニューアルのため」サービスを停止、19日に再開予定だったが、再開を待たずに終了となった。終了の理由は明らかにしていない。

はてなランドは、自身のアバター「ハッピィ」を作成し、SNS内の「ともだち」とおしゃべりして楽しむ招待制のサービス。PCのWebブラウザや、ニンテンドーDSiブラウザからアクセスできる。

「安心、安全性を高める」(同社広報担当者)ため8日にサービスを停止してリニューアル作業に入っており、19日に再開予定としていたが、再開を待たずに終了した。

終了の理由は明らかにしていないが、ネット上では、小中学生以外の利用が多く報告されているほか、小中学生が出会いを求める書き込みをしていたり、コミュニティーが荒れていたり、不具合が多かった――という報告もある。

同社は「ユーザーが安心して楽しめ、保護者も安心して子供に勧められるサービスとして運営するため、内容を一から見直し、新たに別のサービスとして検討をしていく」としている。

小中学生向けSNS「はてなランド」 PCやDSiに対応


ITmedia(2010.10.5)

はてなは10月5日、小中学生向けSNS「はてなランド」を公開した。PCのWebブラウザや、ニンテンドーDSiブラウザからアクセスできるSNSで、当初は招待制。

自身のアバター「ハッピィ」を作成し、SNS内の「ともだち」とおしゃべりして楽しむサービス。「ひろば」に移動して興味のあるテーマ毎におしゃべりしたり、ハッピィ用のアイテムを手に入れてコーディネートできる。

「これまでのコミュニティー運営の経験をいかし、誰でも安心して楽しめるコミュニティーサービスを実現する」としている。


「はてなランド」オープンから2週間で終了

2010年10月10日日曜日

「わかる」と「分かる」

教えて! Watch

――言葉を覚えたての子どもは、何かにつけてモノの名前を知りたがるのは何故かというと、子どもたちは、モノやコトの名前を知ることによって、 それを他のモノやコトから、区別することができるようになる。
つまり「分ける」ことがで きるために、それが「分かる」ようになるのである。「わかる」とは「 わける」(分ける)の意味である――

2010年9月21日火曜日

ネットは人間を追い詰める

産経ニュース(2010.9.21)

情報環境が急激に変化している今、ネットの普及とさまざまな新しいデジタルテクノロジーの進化によって、ツイッターのような新しいツールや、スマートフォン、iPad(アイパッド)といったデバイスも次々に登場してきました。それによってわれわれのライフスタイルは大きく影響を受けています。
 デジタルテクノロジーの進化はあなたの生活を豊かにしてくれるものであり、社会の発展には必要不可欠だと思いますか? こんな質問をすればおそらくほとんどの人は“YES”と答えるでしょう。
 これらの新しい技術が、アナログの時代には考えられなかったさまざまなことを可能にしてくれました。もし、今ネットが急になくなったら、われわれの生活は大きな制約を受けることになるでしょう。
 でも最近ふと、ネットや携帯の存在が本当に私を豊かに幸せにしてくれているのだろうか? と考えてしまうことがよくあります。
 
「ツイート」でバレた
 先日こんなことがありました。とある金曜日の午後8時、会社のサマーパーティーにタクシーで向かう途中の私の携帯に、進行中のプロジェクトのパートナーである広告会社の担当部長から連絡が入り、どうしても翌日の午前中までにある提案資料を作って送ってほしいというのです。

 彼が要望してきた提案書は、彼自身も同意した上で、翌週の水曜日にクライントに提出する予定になっていて、月曜日にメンバー全員でブレストをして火曜日に書面に落とすスケジュールを組んでいました。しかし、広告会社側の都合でどうしても土曜日の午前中にアウトラインだけでも欲しいというのです。金曜日の夜に、全社員が参加するパーティーを中止してまで、彼の理不尽なリクエストに応える必要があるとも思えず、かといって社内行事という本当の理由で納得してもらうのも難しそうだったので、クライアントとの会食と説明して断りました。
 彼は非常に不満そうでしたが何とか翌日の提出をあきらめてもらうことができました。
 しかし、翌日の土曜日の午後、私のPCに彼から怒りのメールが届いたのです。
 “社内パーティーを優先して、自分のリクエストを断るとは何事だ。至急メンバーを招集して、絶対に今日中に書類を送れ”という内容でした。
 なぜ、彼に昨夜が社内パーティーだったとわかったのだろう?
 するととっさにある一つの可能性が脳裏に浮かび、愛読している友人のネットマーケッターのツイッターにアクセスしてみました。やはり思った通りそこには“偶然インテグレートのサマーパーティーで藤田氏と遭遇、合流なう”というツイート(書き込み)がしっかり残っていました。
 実はその友人のネットマーケッターとパーティーのお店で偶然一緒になり、彼も急遽(きゅうきょ)ジョインして大いに盛り上がったのです。

 でも、彼のツイッターがマーケティング関係者のフォロワーが多いことをすっかり忘れていたのです。というよりツイッターの本当の怖さに何一つ気づいていなかったのかもしれません。彼は何の悪気もなく、全くの事実通り、一つのトピックスとしてつぶやいたに過ぎません。広告会社の部長本人がそのフォロワーだったのか、あるいは彼の部下が読んだのかは分かりませんが、間違いなくそのツイートから、うそがバレてしまったのです。
 
自由な時間は消えた
 このケースにはネットの登場以前には起こりえなかった幾つかの事象が、象徴的に含まれています。
 携帯とネットがない時代は、金曜日の夕方会社を出てから、月曜日の朝出社するまでは、誰からも邪魔されない完全に自由な時間を皆が持つことができました。
 しかし、携帯が登場して金曜日の夜にも、理不尽な要求をすることも受けることも可能になってしまいました。きっと携帯の登場以前なら広告会社の部長も金曜日の夜に私を捕まえようなどと考えつくこともなく、お互いゆっくりとした週末をおくっていたに違いありません。
 デジタルテクノロジーは時間と空間を越えて人と人をつなぐことができるという素晴らしい力がある半面、常時追跡して拘束するという、人間にとって恐怖以外の何物でもない、監視行動も可能にしてしまいました。

 そして、友人のツイッターに情報が漏洩(ろうえい)してしまったということで言えば、個人のプライバシーと自由が、ネットの登場で、ナチスの秘密警察や旧ソ連のKGBなどとは比べ物にならないレベルで、管理され、のぞき見されているかもしれない恐怖にさらされているといえるでしょう。
 以前グーグルのストリートビューが論議を巻き起こしたように、ネットの存在により、常に誰かの目を気にして生きていかなければならないという、重くるしい空気が社会全体に蔓延(まんえん)してしまっているのも事実です。
 いつも誰かに追いかけられて、誰かに監視されているという感覚は、われわれに極度のストレスを長期的に与え続けて、精神的にも肉体的にも大きなダメージを受けてしまいます。
 本当はネットは社会を豊かにするものではなく、人間を追い詰め、いつか社会を破滅させてしまうのではないだろうか? 最近真剣にそんなことを考えてしまうことが少なくありません。
 そんなネットの登場により起こっている、マーケティングのさまざまな変化をこれからお伝えしていこうと思っています。

インテグレート代表取締役CEO 藤田康人

2010年9月20日月曜日

Amazonのユーザーレビューがスゴイ内容になっている件


Rocket News 24(2010.9.19)

インターネットショッピングサイト『Amazon.co.jp』のユーザーレビューが、すごい内容になっていると話題になっている。その内容が、どう考えてもおかしいというのだ。おかしい内容にもかかわらず、530人中492人の人が「このレビューが参考になった」と投票している。

話題になっているのは、ディスプレイやキーボードなどのホコリを除去して掃除することができる『ELECOM KBR-001BU ホコリキャッチャー』のユーザーレビュー。

この商品はホコリを除去するためのクリーニング用品のはずなのだが、どうやらペットとして購入した人がいるようで、「うちのマンションはペット禁止なのでペットの代わりにと購入しました」とレビューに書いているのである。えっ!? いったいどういう事?

・ユーザーレビュー内容
「うちのマンションはペット禁止なのでペットの代わりにと購入しました。欲しかったトイプードルに比べて値段も手頃で、形、触り心地、ツヤも申し分なく、思わず帰宅時に ただいま と話しかけてしまうほどです。ただ物凄くホコリが吸い付いてしまうので毎日のケアが欠かせないのが欠点です」(引用)

クリーニング用品をトイプードルのかわりに購入したようである。これに対してインターネットユーザーたちは「こいつはすげえ 俺には理解しかねる」や「amazonのレビューがおかしい」、「ペットの代わりってそんな…」、「たまにこーゆーのあるよねww」とコメントを寄せている。

ロボット犬のアイボやヌイグルミの犬を購入したのなら理解できるが、クリーニング用品をペット代わりに購入するとはスゴイ発想力だ。ペットとして購入したからには、最後まで責任を持って飼ってほしいものである。

2010年9月19日日曜日

こわぁ〜!ミツバチの必殺「サウナ攻撃」

読売新聞(2010.9.19)

 ニホンミツバチは、天敵のスズメバチから攻撃されると、数百匹で取り囲み「蜂球」を作って高熱で殺すが、呼気中の水分などを活用し、高湿度のサウナ風呂状態にして効果的に撃退していることが、京都学園大の坂本文夫教授と菅原道夫客員研究員らの研究で明らかになった。

 25日に東京都で開かれる日本動物学会で発表する。

 スズメバチは幼虫を狙ってミツバチの巣を襲う。ミツバチは個別では太刀打ちできないので、群がってテニスボールほどの大きさの蜂球を作って対抗。羽を動かす筋肉を発熱させ、蜂球内部の温度を上げてスズメバチを殺す。坂本教授らが調べたところ、ミツバチの天敵であるスズメバチ4種の致死温度は47・5〜49・8度だが、蜂球内では約46度で10分後にほとんどのスズメバチが死んでいた。

 ミツバチが発熱する際、エネルギー燃焼の副産物として腹部の気門から水分と二酸化炭素(CO2)を放出。蜂球内では湿度が約100%、CO2濃度も約100倍になり、この条件ではスズメバチの致死温度は2〜6度下がり、46度でも殺せることが分かった。ミツバチの致死温度(約50度)は下がらない。

 乾式サウナは80度以上でも問題ないが、湿度が高いスチームサウナでは温度を抑えないと耐えられないように、ミツバチは呼気の水分を利用して撃退しているらしい。

2010年9月17日金曜日

iPhoneアプリ版「食べログ」、突然の課金サービスにユーザーから非難の声



cnet Japan(2010.9.17)

 カカクコムが運営するグルメ情報の口コミサイト「食べログ」。AlexaやGoogle トレンドのデータでは古参のグルメ情報サイト「ぐるなび」をアクセス数で抜いたと話題の同サイトだが、課金サービスの是非をめぐってユーザーから厳しい声が上がっている。

 事の発端となったのは9月10日に発表したiPhoneアプリ版食べログのアップデートだ。このアップデートでは、これまで提供してきた機能に加えて、PCやモバイルとのブックマーク同期やクーポン情報の閲覧、店舗情報のTwitter投稿など、数多くの機能を追加した。

 そして、積極的に口コミを投稿する一部のユーザーに付与してきた「プレミアム会員」を課金サービスとして正式に導入。月額315円を支払う(カカクコムが会員資格を付与したユーザーは除く)ユーザーに対して、PC同様の絞り込み検索機能やさまざまな条件での検索結果ソート機能などを提供した。しかしその一方でこれまで無料で提供してきた検索結果の「点数順(口コミでの評価点順)」でのソートをプレミアム会員限定の機能に変更。無料ユーザーは検索結果を「最近の注目順(直近のアクセス数順)」でしかソートできなくなった。

 あわせて、無料で点数順のソートが可能だった旧バージョンのアプリについて9月30日でサービスを終了すると発表。iPhoneのウェブブラウザ「Safari」でPC版サイトを閲覧した場合は、各店舗ページを表示する度にアプリでの閲覧を促すポップアップを表示するように仕様を変更した。

 iPhoneアプリは、一般的なネットサービスと比較してユーザーに課金サービスの開始などのアナウンスをできる場所が少ない。たとえばApp Store上であれば、アプリ紹介画面やアップデート内容の紹介画面などでしかアップデート内容を表示できない。カカクコムではコーポレートサイト上に課金サービスを含めたプレスリリースを掲載しているが、当初App Store上で課金のアナウンスをしていなかった(現在は表示されている)。この結果、多くのユーザーにとっては“突発的な仕様変更”となった。

 さらに前述の点数順ソートの有料化がユーザーに衝撃を与えた。数多くのユーザーが口コミを投稿することで決まる食べログの点数は、いわばサービスのキモ。このキモとなる数字を信頼して店舗を検索してきたユーザーの中には、「最も重要な機能がある日突然有料になってしまった」と感じた者も少なくないようだ。

 こうした結果、同アプリのApp Store上での評価は5段階で最低の「星1つ」のレビューが911件(9月16日17時時点。最新バージョンのアプリへのレビュー合計は942件)集まっているという状況だ。レビューの中には感情的な中傷も多いが、「有料化の説明がなかった」「無料だった点数順でのソートができない」といった声も多々あった。

 またカカクコムではモバイル版の食べログについても今秋をめどに課金サービスを開始する予定だが、これより先にiPhoneアプリでの課金を開始したこともあだとなった。

 カカクコムでは、iPhoneアプリ、モバイル版のいずれかで食べログのプレミアム会員になれば、PC、モバイル、iPhoneアプリのすべてでプレミアム機能を利用できるサービスを展開する予定だという。だがiPhoneアプリは電子書籍やゲームなどの一部を除き、基本的に売り切りモデルが定着している。iPhoneアプリで先行して課金サービスを開始したことで、「iPhoneアプリで月額課金はあり得ない」というレビューを集める結果となった。

 企業が提供するサービスである以上、広告や店舗向けサービスに次ぐ収益の柱を模索するのは正しい戦略だ。事実、市場はこの動きを評価しており、三菱UFJモルガン・スタンレー証券はユーザー課金の発表を契機に目標株価を45万6000円から53万円に変更している。また株価は9月10日以降上昇し、9月15日の終値では年初来最高値となる46万5500円を記録した。

 だがサービスの核心である“口コミの評価”にかかわる内容を月額課金にしたことで多くのユーザーの反発を招いたように見える。

 たとえばレシピ共有サービス運営のクックパッドなども月額課金サービスを展開している。同社では基本機能については無料で提供する一方、ブックマーク機能(PC版では無料会員も利用可能)やレシピ検索時の人気順ソートといったプレミアム機能のみを課金で提供している。PC版もしくはモバイル版で有料会員になっていれば、PC、モバイル、iPhoneのいずれでもプレミアム機能を利用できる。

 既存機能ではなく、追加機能だけを有料化したクックパッド。それでも課金ユーザー数は順調に増加しており、2011年4月期第1四半期における会員事業の売上高は前年同期比177%増の3億5800万円を達成している。

 「これまでもユーザー第一でサービスを作ってきた」と語るカカクコム。iPhoneアプリの運用については「課金を開始して間もないため、まずは様子を見る」としている。今後の展開については明らかにしていないが、サービス提供の方法を見直す可能性も示唆した。

 基本的なサービスを無料で提供し、高度な機能や特別な追加機能などに課金するビジネスモデル「フリーミアム」。今回のケースは機能強化でユーザーの利便性を高めたものの、このとらえ方を見誤った例にも見える。いかにユーザーに支持される形で新たな収益手段を見つけるかが、食べログのモバイル、スマートフォンでの展開を左右することになるのではないだろうか。

2010年9月13日月曜日

「mixiを焼き畑にはしたくない」 アプリは「ブーム一巡」、ボイスは月間1億投稿

ITmedia(2010.8.4)

 「mixiアプリのブームは一巡したが、mixiボイスやmixiフォトなどが伸びている。アクティブユーザーも増えている」――ミクシィの笠原健治社長は8月4日の決算会見で、コミュニケーションプラットフォームとしてのmixiの好調ぶりをアピールした。

 同日発表した2010年4~6月期の決算は前年同期比で増収増益。だが、課金型ソーシャルゲームで破格の急成長をとげたグリーやディー・エヌ・エー(DeNA)と比較すると見劣りする。笠原社長は「他社と同じようなこともやろうと思えばできるが、mixiを焼き畑にはしたくない」と話す。

■ボイスは月間1億投稿 mixiアプリは「ブーム一巡」

 7月31日現在のmixiの登録ユーザー数は2102万人。月に1回以上ログインしたユーザーは1430万人(7月時点)と、登録ユーザーの7割に上る。

 ユーザーのアクティブ率は、テレビCMを始めた今年3月以降、急上昇。ひとことサービス「mixiボイス」や、スケジュールを共有できる「mixiカレンダー」、写真で交流できる「mixiフォト」など、4月以降に投入/リニューアルしたサービスも好調で、mixiボイスの1カ月の投稿数は1億件を超えたという。

 だがページビュー(PV)は下降傾向。mixiの月間PVは、3月(PC:53億3000万、モバイル:266億6000万)を頂点に減退している。mixiアプリのブームが一巡したことがその原因という。ソーシャルゲームの成長でPVを急拡大させているDeNAと対照的だが、「ソーシャル性の強いmixiアプリは、今もユーザー数やPVを着実に伸ばしている」と笠原社長は話す。

■「mixiを焼き畑にしたくない」

笠原社長
 同日発表した2010年4~6月期の決算は、売上高が前年同期比31.2%増の40億1300万円、営業利益が23.8%増の10億7400万円、経常利益が17.8%増の10億2900万円、純利益が3.1%増の4億7500万円。4~9月期の営業利益予想は、当初より31.7%増の13億7000万円に上方修正した。

 業績は堅調だが、4~9月期の売上高予想を500億円としたディー・エヌ・エー(DeNA)や、急成長を続けているグリーといった同業他社と比べると、成長率では見劣りする。

 収益力の差は、ソーシャルゲームのARPU(加入者1人当たりの売上高)の違いが要因だ。DeNAが運営する「モバゲータウン」やグリーの「GREE」はARPUの高いゲームが収益拡大に貢献しているが、mixiアプリは、現実の友人・知人同士で無料や少額課金で遊べるよう、ARPUは低めになっている。

 4~6月期のmixiアプリの課金売り上げは3億3000万円にとどまっており、DeNAの159億2800万円(課金、広告などを含むソーシャルゲームからの売り上げ)との差は大きい。

 mixiアプリは、ARPUの拡大は目指さないという。「ARPUの拡大は、やろうと思えばできる。ゲーム性の高いゲームを投入していけば、焼き畑的に収穫できると思う。だが売上高や利益は一番最後の指標。まずはサービスの質を高めることに力を注いでいる」

 DeNAとヤフーが共同で作る「Yahoo!モバゲー」や、NHN Japanの「ハンゲーム」のオープン化など、ソーシャルゲームプラットフォームがさらに増えつつあるが、他社プラットフォームは現実の人間関係よりゲーム中心で、「mixiとは完全に一線を画している」。

 同社はオープンプラットフォームの先駆けとして、各社のプラットフォームの仕様ができるだけ共通になるよう技術サポートなどを行い、「アプリ事業者がビジネスをしやすいようにしていきたい」という。

 mixiの機能を外部のWebサービスや端末などで使えるようにする新プラットフォームの詳細は、9月10日に発表する予定。年内をめどにサービスインする計画だ。

mixi meetup 2010:「ソーシャル性低いゲームにも誘導」 mixiアプリが軌道修正

ITmedia(2010.9.13)

 「時間があるユーザー向けに、ゲーム性の高いゲームにも誘導していく」――ミクシィの笠原健治社長は9月10日、パートナー企業やWeb開発者向けイベント「mixi meetup 2010」でこう話した。

 mixiアプリはこれまで、友人(マイミクシィ)との交流を強化するソーシャル性の高いアプリを推奨。GREEやモバゲータウンなど、ゲーム性の高いアプリプラットフォームと差別化を図ってきた。

 10月から新たに、ソーシャル性が低く、ゲーム性の高いアプリへの誘導枠を、mixiアプリトップページに設置。「引き続きソーシャル性の高いゲームを推奨する」としながらも、ゲーム性の高いアプリへの誘導も強めていく。

●「全国大会」アプリにも誘導 マネタイズ支援も強化

 mixiアプリはスタートから1年経ち、総数は2000を突破。当初からソーシャル性の高い「マイミク大会」(友人同士で競うアプリ)を推奨しており、ゲーム性の高い「全国大会」(ユーザー全員で競うアプリ)は「mixiならではのアプリにはならない」と説明してきた。

 利用動向を見ても、ソーシャル性の高いアプリは月間アクティブ率が55%、低いアプリは24%。アプリの寿命もソーシャル性が高い方が長くなる傾向にあるという。ただソーシャル性の高いアプリは、アイテムを購入せずゆるく楽しむライトユーザーが多く、GREEやモバゲーで人気のゲーム性が高いアプリと比べると、課金率や課金額が低いという課題も指摘されている。

 「社内でも議論があった」が踏み切ったというゲーム性の高いアプリへの誘導の強化は、課金率・課金額を伸ばし、アプリプロバイダーのビジネスを支援するという狙いがありそうだ。アプリ内課金の仕組みも新たに、プロバイダーがマネタイズしやすいよう改善。従来、アプリ公開から課金まで約4週間必要だったが、公開からすぐに課金できるようにする。

 アプリのページビューに応じてプロバイダーに一定額を支払っていた「マネタイズ支援プログラム」は、「ソーシャル性の重要な指標となる」ユニークユーザーごとに支払う形に変更。支払いはアプリ公開当月にスタートする。アプリの売り上げの10%と引き替えにインフラを提供する仕組みや、アプリ運営ノウハウの提供なども進め、アプリプロバイダーを支援していく。

 mixiアプリは新たにスマートフォンに対応したほか、中国・韓国最大のSNSを運営する企業とプラットフォームを共通化していく計画。アプリプロバイダーが、端末や国境を越えてアプリを提供できる仕組みの整備を進めていく。

mixi meetup 2010:モバゲーも家電もmixiにつながる 「Webをソーシャライズ」宣言

ITmedia(2010.9.13)
mixiがオープン化に大きくかじを切った。9月10日に開いた業界関係者向けイベント「mixi meetup 2010」で、大胆なAPI公開や、他社サービスとの連携を発表。モバゲータウンやYahoo!JAPANなど競合とみられてきた大手サービスとも連携するほか、スマートフォンなど情報家電とも連携していく。

 「ネットが登場して20年。これまではサーバとサーバがつながっていた。今後は人と人がつながり、感情を流通させるソーシャルネットワークが拡大していく」――ミクシィの笠原健治社長は、mixiがソーシャルネットワークサービス(SNS)から「ソーシャルグラフプロバイダー」(SGP)に変わると話した。

●「mixi Plugin」と「mixi Graph API」提供

 外部サイトにHTMLコードを貼り付けるだけで、mixiと手軽に連携させられる「mixi Plugin」と、外部サイトや情報家電に組み込めるAPI「mixi Graph API」を提供。パートナー企業だけでなく、一般個人にも開放していく。

 mixi Plugin第1弾として、外部サイトに「mixiチェック」や日記、ボイス、カレンダーの投稿ボタンを置けるタグ(mixiチェックボタン/SimplePost)の提供をスタート。HTMLコードを埋め込むだけで、Webサイトに投稿ボタンを設置できる。今後、「イイネ!」ボタン用タグなどほかの機能も提供していく。

 mixi Graph APIは、mixi Pluginより複雑な機能を組み込めるAPIセット。ECサイトで購買と同時にmixiに投稿したり、外部のブログサービスにmixiのプロフィールを置いたり、スマートフォンの電話帳にmixiの友人関係を反映させたりなど、mixi Pluginより深く連携させられる。

●モバゲーもYahoo!も楽天もmixiにつながる

 楽天やヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)、はてななど、大手を含む30社50サイトが、同日までに「mixi Plugin」や「mixi Graph API」を導入。すでに「楽天市場」の商品画面や、「Yahoo!オークション」「モバオク」「はてなココ」などからmixiに投稿できるようになっている。

 DeNAはSNS「モバゲータウン」もmixiと連携させる予定。モバゲーの小説やゲームへのリンク、占いの診断結果などをmixiに投稿できるようにする。ミクシィとDeNAは今後さらに深く協業していく方針。「新たなソーシャル事業の共同展開も検討している」と、DeNAの守安功COOは話す。

 mixiとモバゲーは競合と見られがちだが、「mixiはリアルのソーシャルグラフを広げており、モバゲーはソーシャルゲームプラットフォームに注力しており、ユーザーの利用意向や特性、目指している方向がまったく違う」と守安COOは説明。「リアルのソーシャルグラフは、日本国内ではすべてmixiさんにお任せすればいい」と割り切った表情で、「モバゲーを使っている人は全員mixiを使ってもらい、ユーザーを積極的に重複させていきながら、3000万、4000万、5000万ユーザーを目指す」と話した。

 mixiとハードウェアの連携も進めていく。mixiに投稿できるデジカメなどはすでに発売されているが、今後は、HDDレコーダーやスマートフォンなど情報家電との連携を検討。パナソニックは、「DIGA」向け録画サービスで、友人が録画予約している番組が分かる仕組みの導入などを検討しているという。

●「Webをソーシャライズする」

 「Webをソーシャライズする」――mixiのオープン化やTwitterの普及などで、Webでトラフィックを集める手段が、検索エンジン最適化から「いかにバイラルを回すか」に移っていくと、ミクシィの原田明典副社長は指摘。「mixiのソーシャルグラフの特徴を研究してもらい、どういうツールをどうチューニングすればバイラルしやすいか研究してもらえれば」と話す。

 mixiのAPIを使ったサービスを提供するスタートアップ企業を支援するプログラムも準備しているほか、「次のプラットフォーム」も準備中。具体的には明かさなかったが、「mixiのソーシャルグラフを使って新しい事業をインキュベーションする場所」(原田副社長)を提供していくという。

 笠原社長は「ソーシャルグラフプロバイダーとして、人と人とのつながりをいかに豊かにし、いかに居心地良く維持するかに特化していきたい。つながった先で何ができるかは、みなさま方と一緒にやっていきたい」と、会場に集まった2000人近いネット企業関係者と、Ustreamのライブ配信視聴者に呼びかけた。

2010年8月30日月曜日

アメリカ人男性、ゲーム中毒になったとして韓国のゲーム会社を訴える

らばQ(2010.8.29)

何かにつけアメリカは訴訟を起こすことが多い国ではありますが、ハワイの男性が韓国の有名ゲーム会社を訴えたことで成り行きが注目されています。

ゲームをやりすぎて中毒となり、お風呂も入れない、着替えも出来ない、日中に起きることも出来ないというのが訴訟の理由です。

ゲームは2003年にリリースされたオンラインRPGのリネージュ2で、開発は韓国のNCSoft Corp社。

訴えたのは障害を持つ退役軍人のクレイグ・スモールウッドさん(51歳)。このゲームによって精神的な苦痛を受けたと言うもので、朝起きる、着替える、洗う、家族や友人とコミュニケーションをはかるといった通常の生活を送れなくなり、その責任はゲーム会社にあると訴えたのです。

申し立てによると、スモールウッドさんは2004年から2009年の間に2万時間以上をゲームに費やし、3週間の入院を要し、現在では週に3度のカウンセリング治療などが必要になったとしています。

現在でもゲームをしなければいけないという強迫観念に陥ると言い、そういったことに対しての明確な警告がゲーム側にはなく、あらかじめ中毒に陥る危険性を知らされていればゲームを買うことはなかったと主張しています。

以前からMMORPGを初めとするオンラインゲームの中毒性に対して問題視されていましたが、この訴訟の結果次第では同様の訴訟が相次ぐ可能性もあり、裁判の行方が注目されているようです。

Video game firm sued over addiction

2010年8月19日木曜日

犬、猫、ウサギ……SNSに動物会員が増加 問題も

CNN.co.jp(2010.8.6)


 米大手ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のフェースブックに、ペットの名前で参加する人が増えている。

猫の「シーバ」の飼い主で、英バーミンガムに住むカースティ・ワーロールさんもその1人。9月にシーバのアカウントを開設し、日記をつけたり写真を公開したりしている。「シーバ・リンガムは、パパとママがベジタリアンの食事しかしないので憤慨しています。肉はどこよ!」といった具合だ。

ワーロールさんは自分のアカウントを開設していない。自分のような猫を大好きな友達とやり取りするには、シーバのアカウントを使える方が楽しいという。

正確な数字は不明だが、SNSでペットの名をかたる飼い主は増えており、フェースブックだけで、犬や猫、鳥、ハムスター、フェレット、亀、魚、ウサギといったペットのプロフィールが少なくとも数千はある。

もっとも、フェースブックによるとこれは利用規約に違反した使い方だ。「フェースブックのユーザーは、実在する友達や実世界の知人と交流したいと思っている。他人またはほかのものになりすましたアカウントはこの環境を乱しかねないため、フェースブックではペットのプロフィールをでっち上げることは認めていない」(同社広報)

フェースブックを使わなくても、犬や猫、ウサギ専用などのSNSは存在する。しかしウサギの「ネスレ」の名でフェースブックを利用しているジェシカ・フレイさんは、ペットを中心に1000人(匹)以上の友達がいるフェースブックは離れがたいと話す。

中にはアカウントを閉鎖されたウサギ友達もいるといい、「実際にやっているのがペットでないことはみんな分かっている。何の害もないのに(アカウント閉鎖は)馬鹿げている」とフレイさんは憤慨する。また、珍しい動物と暮らす人にとっては、病気などの情報を交換する貴重な手段にもなるという。

ペットのプロフィールを削除しているかどうかを照会したが、フェースブックから回答は得られなかった。

保守派グループが「Digg」を操作--米ニュースサイト報道

cnet Japan(2010.8.9)

 進歩的なオンラインニュースマガジン「AlterNet」は、米国時間8月5日に掲載した記事で、ソーシャルニュースサイト「Digg」を利用している保守的なスーパーユーザーのグループ「Digg Patriots」に潜入した1年にわたる「覆面調査」の詳細を伝えている。Digg Patriotsは、結束して投票することにより、Diggのトップページを飾る記事を操作しているという。

 AlterNetの記事は、Digg Patriotsの100人あまりのメンバーが用いている戦術について詳しく述べている。記事によると、Digg Patriotsは「Yahoo! Groups」のサイトを通じて連絡を取り合っており、こうしたやり方は2009年初頭から続いているという。

 Digg Patriotsのメンバーは、Diggのトップページと「Upcoming(新着記事)」セクションからリベラルまたは反保守的と思われる記事を選び出す。AlterNetによると、それからメンバーにグループメッセージが送られ、Diggの「bury(埋める)」オプションを利用して、そういった記事がトップページに掲載されないようにしたり、すでにトップページに掲載されている場合はトップページから消えるようにしたりするという。調査中に取られたburyを指示するメールのスクリーンショットからは、グループの作戦が大いに功を奏したことがうかがえる。

 Diggのトップページには、大量のトラフィックをサイトに誘導する力がある。こうした操作の標的になりやすいのもそのためだ。Diggは長年にわたってアルゴリズムを調整してきた。Diggのアルゴリズムは厳重に守られた企業秘密であり、ユーザーが投稿した最新記事が表示されるUpcomingセクションからトップページに記事を昇格させるかどうかを決定する。決定の際には、投票のペース、投票者およびその位置情報、投稿したユーザーの友人数など、多くの要素が考慮されている。

 AlterNetの記事は、Digg Patriotsの作戦が至難の業であったことを大きく取り上げている。グループのメンバーの多くは、新しいIPアドレスを取得するためにモデムをリセットしたり、Diggの行動フィルタに引っ掛からないように複数のアクティブアカウントを登録および維持したりするなど、アカウントの削除や無効化を避けるためにあらゆる手を尽くさなければならなかった。

 AlterNetが指摘しているように、Diggの次期版(米CNETでは7月に目にすることができた)にはbury機能が一切なく、こうした行為に歯止めをかけることができそうだ。Diggは、未登録ユーザーが投票できるようにする計画も立てており、さらに、メインとなるトップページではなく、パーソナライズ化されたニュースページに力を入れようとしている。AlterNetの記事によると、Digg Patriotsはこれまで、Diggのトップページを主要なターゲットにしてきたという。

 太平洋夏時間午後2時38分更新:Diggの創設者で最高経営責任者(CEO)を務めるKevin Rose氏は、AlterNetの記事が詳述している方法について(「Twitter」で)次のように述べている。「防ぐのは困難だ。われわれは常にアルゴリズムを微調整している。2週間後には『new.digg.com』で新しいアルゴリズムを導入する」

入札権利を買う!新しいオークションサービス「ペニーオークション」の仕組みを全解剖


MarkeZine(2010.8.10)

シャア専用ラーメン


COOKPAD

Amazonと楽天ならなぜamazonを使うのか

ニュース速報BIP(2010.8.17)

■ 商品・品揃え
アマゾンでしか売っていないから
本とかゲームはアマゾン,食い物は楽天
でも楽天でしかうっていないものがある
自転車部品の取り扱い増えてきたのもありがたい
漫画とゲームとPC機器と日用雑貨を同時にしかも安く買える店なんて楽天にないから

■ 価格・ポイントサービス
安い方を使う
アマゾンにあるものは大体楽天より安い
ポイントのたまり方 楽天>>>>>>>>>>Amazon
ポイントキャンペーンのときは楽天の方が結構安いこともあるから時々楽天を使う
最近のアマゾンはポイント付かないからポイント付く日は楽天の法が安い場合もある

■ インターフェース
見やすい
楽天はごちゃごちゃして見づらい
楽天はごちゃごちゃしているイメージ
amazonの落ち着いた配色を楽天も見習って欲しい
楽天はいろんなものに手を出しすぎてごちゃごちゃし過ぎだと思う
アマゾン以外の通販サイトってサイトの作りがショボイところが多過ぎだろう

■ 検索サービス
検索精度
検索がダメだし,店選ぶの面倒すぎ,比べられるものじゃない

■ 配送サービス
早い
送料無料
コンビニ配達
徒歩2分でローソン
シンプルさ,安さ,速さ

■ 梱包サービス
段ボールの大きさ
アマゾンは機械類も丁寧に梱包してくれる
CD1枚で段ボール使うんじゃねーよってのはある
ひとつだけ文句を言うなら小さな商品一つでも段ボールでおくってくることか

■ メールサービス
楽天はスパムを送ってくる
アマゾンはスパムを送ってこない
楽天ってなんで配信停止?みたいなのしてもメールくるの?
楽天は重要なメールとスパムメールを同じアドレスから送ってくるからブロックできん

■ イメージ
空気感
信頼・安心
amazonの信頼度
一番は信用だろう
楽天はなんかイメージ的に嫌
しかしamazon見てるときって幸せだよな
何を買おうか考えているときが至高だな ポトったら後悔するんだが
なんか楽天は抵抗あるんだよな Amazonも昔抵抗あったはずだけどもう平気になった

■ その他
両方使う
価格.comとamazonと楽天はこれで1セットでしょ

「mixi」アクセス障害 「インフラ寸断」2102万人 代替手段持たず…難民

SankeiBiz(8月19日)

 10日夕から12日未明にかけ、国内最大級のSNS「mixi」がアクセス障害に陥り、登録者2102万人(7月末現在)が「インフラ寸断」に見舞われた。イベントの開催やグッズの譲渡など多目的に使用していながら、代替通信手段を持たないユーザーもいたためだ。

 「このまま障害が続いてイベント当日になったら、と考えるとゾッとした」。mixiを通じて音楽愛好家による演奏会を主催する埼玉県の自営業の男性(29)はこう振り返る。男性のコミュニティーでは14、15日に演奏会を控えていた。約2600人が所属する大所帯で、mixi以外の連絡先を確保していなかったのだ。

 SNSは、メールアドレスや電話番号を知らなくても、互いにページにアクセスし合うなどして気軽に連絡できるため、連絡先を交換しないケースが少なくない。「参加者に安心感を持ってもらうために、障害時に復旧の見通しを伝えるツールが欲しい」と訴える男性は今後、外部サイトでの対応も考えているという。

 今回のアクセス障害について、mixiを運営するミクシィ(東京都渋谷区)は「複数のデータキャッシュシステムが、同時に異常終了し、本体への負荷が急増したため」と説明。同システムは、ユーザーがページなどを閲覧する前にデータを先取りして保存し、サーバー本体の負荷を軽減しているが、これがダウンしたため、本体にアクセスが集中してしまった。

 mixiは、アプリの導入など多機能化が進み、利用方法は多岐にわたる。今年に入り、月間PV(ページビュー)は300億を超えることも。

 面識のない別のユーザーとコンサートチケットを購入する約束をしていた神奈川県の会社員の男性(31)は「復旧しなかったら、チケットが入手できなかったかも」と語る。

 また、ゲームの進捗(しんちょく)や友人の日記を頻繁にチェックする「mixi依存」のユーザーもおり、多くが「孤立感は半端なかった」「mixiがなければ、(mixiの友人に)もう会えないかもしれないと思った」などと振り返っている。

 メディアジャーナリストの津田大介さん(36)は「信頼できる相手なら早めに連絡先を確保しておくのがいい。ひとつのSNSのIDだけでなく、複数を持っておくといざという事態への備えになる」とアドバイスしている。(織田淳嗣)

2010年8月18日水曜日

検索の先にある未来=グーグルCEO

ウォール・ストリート・ジャーナル(2010.8.17)

 一部の目には、米グーグルは最近やや精彩を欠いているように見える。株価は下がり、かつてはグーグルの牙城であった検索事業も、米アップルのスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の登場と共に、ブラウザー(ウェブ閲覧ソフト)やグーグルの検索ボックスをほとんど必要としない新たなウェブ利用法が興隆しつつある。

 この「アプリ」革命の到来によって、オンライン広告市場におけるグーグルの支配は終わりを告げるかに見えていた。

 だが、それもすべて半年前までのことだ。13日に本紙のインタビューに応じたエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)の話しぶりからは、凋落(ちょうらく)を示す予兆はもちろんのこと、同社が過渡期にあたって危機を迎えている様子さえみじんも感じられなかった。

 その理由の1つは、数日前に同社が、携帯電話事業者がアクティベーション(利用開始手続き)した、グーグルの携帯電話向け基本ソフト(OS)「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォンの数が推計20万台に達したと公表したことだ。その数は、わずか3カ月前と比較して倍増している。

 今年に入ってから、アンドロイド携帯の販売台数はアイフォーンを上回る勢いで伸びており、世界的な市場シェアでアップルを上回る日も近いとみられている。

 それもそのはずだ。アップルは大幅な利益を上乗せして携帯電話を販売しているのに対して、グーグルはアンドロイドを端末メーカーに無償で提供している。

 だが心配には及ばない、とシュミットCEOは言う。「数十億人の人がアンドロイド携帯を使用するようになれば、そこから利益を得る方法はいくらでもある。とにかく、わたしを信じてほしい。われわれは、いずれアンドロイドで大きな利益を上げることになるだろう」

 「一般に技術の世界では、有用な基盤を手に入れた者が、利益を得ると言われている」とシュミットCEOは言う。例えば、アイフォーン場合、グーグルは検索収益の一部をアップルに支払わなければならないが、アンドロイドの場合、自分たちが収益の100%を手に入れることができる。シュミットCEOは、その違い1つだけでも、アンドロイドの継続的な開発費用を賄うには十分だと述べる。

 そして2つ目の理由が、近いうちに発表予定の「Chrome(クローム) OS」だ。グーグルは、アンドロイドを用いてスマートフォン市場で成し遂げていることを、クロームOSを用いて多機能端末のタブレットや小型・低価格が売りのネットブックの市場で実現したいと考えている。すなわち、将来的な市場シェアの確保とライバル(OS市場の場合は、マイクロソフト)の打倒だ。

 だが、これらは、さほど簡単に達成できるものなのだろうか。グーグルの株価は今年初めから250ドル(約2万1500円)近くも下がっている。財務の専門家は、なぜグーグルが、株の買い戻しや配当の増額などによって、その潤沢なキャッシュをもっと株主に還元しようとしないのかと、いぶかり始めている。

 たとえ多くのキャッシュがあっても、グーグルの経営を支えるシュミットCEO、創業者のサーゲイ・ブリン氏とラリー・ペイジ氏の3人は、決して採算の取れない奇抜なアイデアに散財しようとするだけではないのかと疑う向きもある。

 米フォーチュン誌は先日、グーグルを「ドル箱企業」と称し、次なるヒット商品を求めて横道にそれることなく、本業で利益を上げることにもっと専念すべきだと述べた。

 だが、シュミットCEOの話しを聞く限り、グーグルにとっての最大の難題には、投資家もまだ気付いていないようだ。つまり、「検索」が時代遅れになりつつある今、グーグルにとって主要な収益源であるオンライン広告市場におけるグーグルの特権を、今後いかに維持していくのか。

 グーグルの検索ボックスと俗に「ググる」と言われる検索行為が、もはやわれわれのオンライン生活の中心ではなくなる日が近づきつつある。そうなったとき、グーグルはどうするのか。

 シュミットCEOもこの点について次のように認める。「検索の未来がどのようなものになるかを現在模索中だ。だが、それは前向きな意味での模索だ。われわれは、まだまだ検索事業にかかわっていきたいと考えている。本当だ。だが、検索処理は、入力作業なしで、ますます自動で行われるようになるとも考えている」

 さらにシュミットCEOは補足して、「利用者がグーグルに望んでいるのは、単に自分たちの質問の答えを出してもらうことではなく、次に何をすべきかまで提案することだ」と述べる。

 例えば、あなたが通りを歩いているとする。グーグルは、あなたに関して収集した情報から「あなたが誰で、誰を大切にしていて、どのような友人を持っているか」について大体知っている。さらに、30センチほどの誤差で、あなたが現在、どのあたりにいるかも分かっている。この先の可能性については、シュミットCEOはユーザー次第だと述べる。

 例えば、あなたが牛乳を必要としていて、近くに牛乳を販売している店があった場合、グーグルのシステムがそれを通知してくれる。あるいは、貴重な競馬のポスターをコレクションしている場合、それを販売している店の近くを通りかかったら、それを教えてくれたり、19世紀に実際に起こった殺人事件に関する記事を読んでいた場合、その殺人現場の付近を通りかかったら、それを教えてくれるといった具合だ。

 シュミットCEOは、自分が必要だと意識していなかった情報をパワフルな携帯端末が教えてくれる時代は、もうすぐそこまで来ていると述べる。

 「新聞の魅力は、おもしろい情報を思いがけず得られるところにあるが、今やそうした情報を計画的に提供することが可能だ。実際、電子的にそれを実現可能だ」

 シュミットCEOのこの発言は、この時代においても新聞事業に変わらぬ忠誠を誓うわれわれ編集者を明らかに意識したものだ。シュミットCEOは、悲嘆に満ちた口調で「米新聞業界を襲う経済的大惨事」について語った。

 同CEOはわれわれに対して、来るべき新聞業界受難の時代においては、信頼ある「ブランド力」がこれまで以上に重要になるだろうと述べたものの、即座に、新旧いずれのブランドが勝つかは分からないと付け加えた。

 「(ニュース収集事業の不採算性という)問題を解決する唯一の方法は課金性を高めることであり、わたしが知る限り課金性を高める唯一の方法はターゲティング広告の活用だ。つまり、われわれの得意分野だ」

 シュミットCEOは、消費者の趣味や嗜好(しこう)に沿って情報や広告を表示させるターゲティング広告の信奉者だ。なぜなら、すべてにおいてターゲティングの重要性を信じているからだ。

 「個人にターゲットを絞る技術は今後も発展を続け、やがて観るもの、消費するものすべてが、何らかの形で各個人にカスタマイズされたものになるだろう」

 そのような世界を想像すると、ちょっとぞっとする。だが、投資家や企業経営者にとって最大の疑問は、当然ながら、そうしたビジネスチャンスを支配するのはどの企業かということだ。グーグルは、自らをメディア業界の味方であり、支援者とみなしているが、情報ターゲティングを支配する側であるともみている。

 この点について、シュミットCEOは次のように述べる。「検索ボックスから(次の段階へ)の移行は、統語論から意味論への移行だ。すなわち、入力内容そのものだけでなく、それが持つ意味が重要になってくる。その意味を判断する役目を担うのが『人工知能』だ。われわれは、その分野で長年世界をリードしていくだろう」

 だが、グーグルは今、至る所で、法的・政治的・規制的な障害に直面している。グーグルが率先してきたネットの中立性をめぐる議論はここにきて、にわかに急転回している。かつての「公益」セクターの仲間の多くが、グーグルを「裏切り者」と非難し始めている。

 グーグルは先週、かつての敵、米通信大手ベライゾンと共に、ネットの中立性に関する一連の「原則」について提言を行ったが、特筆すべきは、中立性の原則は無線ネットワーク市場には適用されないとしている点だ。「無線VS有線の問題は泥沼化している。それはグーグルの問題ではなく、米連邦通信委員会(FCC)の問題だ」と、シュミットCEOは述べる。

 だが、ちょっと待ってほしい。最近ではインターネットの未来といえば、無線ネットワークのことを指すのではないか。また、アンドロイドOSの推進に向けたグーグルとベライゾン間の新たなパートナーシップの根本的な基盤は無線ネットワークにあるのではないか。

 だがグーグルは今、一人仲間の隊列から離れ、近い将来需要が容量を上回る可能性の高い携帯ネットワークに関して、中立性にかかわるまったく非現実的な議論を投げかけている。

 この問題はグーグルを政治的に厄介な立場に追いやるものではないとしても、米オラクルと同社のラリー・エリソンCEOをはじめ、政治的に同社を追い詰めようとするライバル企業の動きにあおられて、独占禁止法やプライバシー、特許といった規制当局のグーグルに対する監視の目はますます厳しくなっている。

 シュミットCEOも、あきらめ口調で次のように認める。「グーグルのやることすべてが、とにかく気に入らない人たちがいる。その筆頭がマイクロソフトだろう」

 この点についてはシュミットCEO自身、身に覚えがある。サン・マイクロシステムズの最高技術責任者(CTO)を務めていた1990年代、シュミットCEOは、独占禁止法違反をめぐるマイクロソフトへの攻撃で急先鋒に立ってきた。

 逆の立場となった今、シュミットCEOは、グーグルはマイクロソフトがし損なったことをやり遂げることで、この難関を乗り切り、勝利を収めていくと述べる。すなわち、何ごとにおいても「顧客志向」を忘れず、「公正な」競争を心がけることだという。

 グーグルは、プライバシーという政治的難題に対する自らの動機についても、同様の寛容な見方をしているようだ。シュミットCEOは、グーグルにはユーザーを適切に扱わなければならないと考える強い動機があるため、規制は不要だと述べる。なぜなら、グーグルの個人情報の活用方法に「気味の悪さ」を感じれば、ユーザーは即座にグーグルから離れていくと分かっているからだという。

 本当にそうだろうか。例えば、グーグルの写真管理ソフト「Picasa(ピカサ)」を使用して数千もの写真を管理している人にとって、すぐにその利用をやめることは、それほど簡単だろうか。

 あるいは、グーグルの電子メールソフト「Gmail(ジーメール)」を10年以上も使用している人や、マイクロソフトの文書管理ソフト「Office(オフィス)」の代わりにグーグルの「Google Docs(グーグル・ドックス)」を使用している中小企業の経営者はどうだろうか。

 そもそも、これらグーグル・サービスは、ユーザーが継続的に使用する、あるいは継続的に使用せざるを得ないよう意図して開発されているものではないのか。

 シュミットCEOは、プライバシーの問題は単にグーグルだけの問題にとどまらないと述べるが、確かにそのとおりだ。「常に誰もが、あらゆる情報を手に入れたり、知ることがきたり、記録できる社会をみなが望んでいるとは思わない」と、シュミットCEOは述べる。

 さらに、いずれ誰もが、友人のソーシャル・メディア・サイト(SNS)に記録された若かりし日の自らの愚行の記録を抹消するため、成人すると同時に改名できるようになる日が来るかもしれないと、シュミットCEOは大まじめに予測する。

 「これは、社会全体で考えなければならない問題だ。このほかテロや悪事への利用といったもっと恐ろしい事態についても考慮が必要だ」と述べる。

 だからといってグーグルは、SNSの価値を疑っているわけではない。シュミットCEOはフェースブックを「重要な企業」と呼び、非常に高く評価している。シュミットCEOは、SNS業界には現在「多くのもうけ話があり、多くのベンチャー投資が行われている」が、将来「重要な企業」になる可能性があるのは、現在新たに台頭しつつある多数の新興企業の中でも1社か2社だけだと予想する。

 グーグル自体、現在は確かに成功を収めているものの、いずれすぐに消えてなくなる可能性もあると疑う向きもある。だが、同社は、技術力に絶大な自信を持っている。シュミットCEOは、同社の動画配信サイト「YouTube(ユーチューブ)」を例に挙げる。

 当初、世界中のユーザーからサーバーにアップロードされる動画の量が膨大になり、同社にとってほぼ対処しきれない状態にまでなった。だが、最も人気の高い動画のデータを世界各地のローカルサーバーに持たせる「プロキシキャッシュ」という技術によって状況を打開することができたという。

 「グーグルが発明したこの技術によって、データをユーザーに近い場所に置くことができるようになった。これは極めて大きな技術的成果だ」

 だが、他の多くのグーグルのプロジェクトと同じく、ユーチューブにも、そこからどのように利益を得るのかという問題が依然残っている。

 グーグルは、検索ビジネスで成功を収め、携帯市場でも成功の兆しを見せ始めている。だが、その後については、シュミットCEOにもまだ予測不能のようだ。

2010年8月15日日曜日

「オレのつぶやきに誰も反応してくれない」 「ツイッター疲れ」でやめたい人々

J-CASTニュース(2010/8/15 09:30)


この1年で日本でも急速に普及した「ツイッター」。日本の利用者はおよそ1000万人に達し、1年前と比べてその数は19倍にも膨れ上がっている。

 個人で楽しむだけでなく、ツイッターをビジネスに利用する会社も出てくるほどの一大ブーム。その一方で、ツイッターをやめたいという声も聞こえてきた。「やってみたけど、何だか疲れた」というのだ。原因は何なのか。

■キツい書き込みで相手からアクセス禁止

 「ビジネスが変わる」「夢をかなえる」「自分らしく儲かる」。書店に並ぶツイッター関連の本のタイトルを見ると、なにやら理想的なツールを思わせる「枕詞」が掲げられている。ネットレイティングスが2010年6月30日に発表したソーシャルメディアに関する調査結果によると、日本のツイッターユーザー数は前年比の19倍と急増、アクティブユーザー数では米国を抜いた。

 一方で、ツイッターを始めてみたがどうすればいいか分からない、果てには「疲れた」とやめてしまう人もいるようだ。「2ちゃんねる」には、

  「もう半年くらいやってるけどtwitterでも頻繁に会話する相手が特に居ない」
  「何人かやりとりする奴はいるけど、こっちから食いつかなきゃ会話にならねーし」
  「知り合いをフォローしたら毎日楽しそうな書き込みをしてて見てるのがつらい」

と、もてあまし気味のユーザーの嘆きが並ぶ。

 原因のひとつは「フォロワー」にあるようだ。知り合いだけでなく、趣味や仕事、考え方が近い人、また有名人などは、知らない間柄でも「フォロー」することで相手の投稿内容が読めるのがツイッターの特徴の一つ。だが、自分をフォローしてくれる「フォロワー」が増えなかったり、自分の投稿内容に誰も反応してくれなかったりすることが続くと、「独り言」を続けていることにむなしさを感じてしまう人もいる。また、ツイッター上で仲良くなったと思った相手に、少しきつい書き込みをしたら、相手からアクセス禁止をされてしまい「結局その程度かとか思った」と落胆したユーザーもいた。

■中川翔子さんも「撤退宣言」

 ツイッターから退散する有名人もいる。タレントの中川翔子さんは、ブログを頻繁に更新する一方で10年2月にツイッターも始めた。ところが、開始当初から、ブログと比べて投稿は圧倒的に少なく、早々に「ブログとついったの使い分けがわかんない」と悩む様子を見せる。4月19日には「両立はむりだお ブログでやるお」と事実上の撤退を宣言してしまった。

 米人気女性歌手マイリー・サイラスの場合、多くのフォロワーを集めていたが、09年10月に「彼氏がやめろって言うの」と書いて突然ページを閉鎖してしまった。後にインタビューで「ツイッターなんてこの世から消え失せればいいわ」と言い放ち、やめた理由を「ずっとパソコンに向かって(ツイッターをやって)いるより、外に出てやるべきことをやらなきゃダメだって思ったの」と語っている。中毒気味に1日に何度も投稿を重ねる自分に、侘しさを感じたようだ。

 「ツイッター疲れについて考えた」というあるブロガーは、結局マイペースが一番で、過度な期待をせず、誰かのつぶやきが気になれば反応すればよし、と肩の力を抜くことを勧める。常時ツイッターに張り付いて、自分やフォロワーの投稿内容を追い続けるのは無理な話。フォロワーのつぶやきにいちいち反応しなければならないルールもない。

 ネットでは「ツイッターに疲れた」という書き込みに対して、「半年かれこれ続いてるが人との絡みゼロだぞ。それでも楽しいけどな」「俺のTwitterは完全に独り言だよ。日記みたいに使ってる」と独自の「楽しみ方」を挙げるユーザーもいる。ありきたりではあるが、いちいち生真面目にとらえず、自分なりに満足できればいいと割り切るしかなさそうだ。

2010年6月17日木曜日

切り出した脳組織が時間を認識

シャーレに入れたラットの脳細胞のネットワークを“訓練”して砂時計のように時間を刻ませることができるという最新の研究が発表された。この発見は、人間の脳が時間を認識する方法を解明する手がかりとなるかもしれない。

 時間を認識する能力は、人が他の人や世界と関わり合うための基本的な能力であり、話し方や歌のリズムを認識するために欠かせない能力でもある。

「時間の認識に関して長い間議論となっている問題の1つは、中枢となる時計が脳の中に1つ存在するのか、それとも脳のさまざまな回路が一般的な能力として時間認識能力を備えているのかということだ」と、研究を率いたカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の神経科学者ディーン・ブオノマーノ氏は話す。

 同氏の研究チームは、ラットの脳細胞のネットワークを生きたままシャーレに入れ、2回の電気パルスを50~500ミリ秒間隔で発信して刺激を与えた。この“訓練”を2時間続けた後、この脳細胞のネットワークに電気パルスを1回加えて、脳細胞がどのような反応を示すかを観察した。

 その結果、短い間隔の電気パルスで訓練したネットワークでは、細胞間のコミュニケーションは短時間しか続かなかった。例えば、50ミリ秒間隔で訓練したネットワークでは、細胞間のやりとりはおよそ50~100ミリ秒間だった。ところが、長い間隔の電気パルスで訓練したネットワークでは、活動がはるかに長く続いたという。500ミリ秒間隔で訓練したネットワークを調べた結果、どのネットワーク間のコミュニケーションも500~600ミリ秒続いた。

 単純な時間間隔で行動することを学習する能力が脳細胞にあることが明らかになったのはこれが初めてのことだ。

 今回の研究は、時間を認識するヒトの能力が1つの“時計係”によって制御されているのではなく、少なくとも1秒未満の時間間隔については、すべての脳細胞ネットワークに備わっている能力であることを示唆しているとブオノマーノ氏は説明する。

「時間を認識する能力はほぼすべての人間行動に欠かせないものであり、この能力についての理解を深めれば、脳が空間と時間の複雑なパターンを認識するメカニズムの解明が進むだろう。今は人工のコンピューターシステムでこのような認識能力を獲得しようと模索が続いているところだ」。

 この研究は2010年6月13日に「Nature Neuroscience」誌オンライン版で発表された。

Charles Q. Choi for National Geographic News

脳の巧みな時間順序の推定法の解明

JST(理事長 沖村憲樹)と順天堂大学(理事長 小川秀興)は、左右両方の手に加えた刺激の順序の判断に、これまでの経験を加味した「ベイズ推定」が用いられることを明らかにしました。
 本研究チームは、右手と左手に少し時間をずらして刺激を加える、という作業を何回も繰り返すと、左右の手に同時に与えた刺激が、繰り返した刺激と同じ順序に感じられるようになることを見出しました。この錯覚は皮膚の感覚器からの情報に加えて、事前の経験を総合して判断する「ベイズ推定」と呼ばれる効率の良い推定法で良く説明できました。感覚器からの信号にノイズがある場合には、ある程度経験に頼る「ベイズ推定」を行うことで誤りを最小化できることが数学的に示されています。この錯覚の発見は、脳の中には時間順序を判断する際に巧みな「ベイズ推定」を行うメカニズムが組み込まれていることを示す成果です。
 学習障害の一つである「難読症」の背景には、次々と入力される感覚信号の順序判断をする脳の機能に障害がある可能性があると言われています。脳が感覚信号を順序付けるメカニズムの一端を解明した本研究の成果は、これらの障害の原因を解明する手がかりとなる可能性があります。
 この研究成果はJST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)「脳の機能発達と学習メカニズムの解明」研究領域(研究総括:津本 忠治(独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター ユニットリーダー))の研究テーマ「応用行動分析による発達促進のメカニズムの解明」の研究代表者・北澤 茂(順天堂大学大学院医学研究科 教授)と宮崎 真(早稲田大学人間総合研究センター 助手)、山本慎也(独立行政法人産業技術総合研究所 研究員)らの共同研究によって得られたもので、米科学雑誌「Nature Neuroscience(ネイチャー・ニューロサイエンス)」オンライン版に2006年5月28日(アメリカ東部時間)に公開されます。
【研究の背景】
 学習障害の一種である難読症では書かれた文字を読むことに困難があります。最近の研究では発達性の難読症は視覚、触覚、聴覚といった様々な種類の刺激の時間順序弁別システムの障害の結果として生じている可能性があることが指摘されています。しかし、残念ながら脳が刺激をどのように順序付けているのか、基本的なメカニズムも未だに解明されていません。
 本研究では、左手と右手に加えた刺激の時間順序を判断するという単純な課題を使って、脳が時間順序を判断するメカニズムの基本を確率論の観点から解明することを目指しました。

【研究の内容】
 本研究では、目を閉じた被験者 (12名) の右手と左手に短い間隔で軽い刺激を加えました(図1)。被験者は右手が先か、左手が先か、を判断して足でペダルを押して答えます。右手先行の刺激と左手先行の刺激をバランスよく(半々の試行で)与えると、図2のようなS字型の判断曲線が得られることがわかっています。図2の縦軸は右手が先と答える割合で横軸は刺激の時間差です。正の時間差は右手先行の刺激、負の時間差は左手が先行の刺激であることを示します。図2からわかることは2つあります。一つは0.1秒の差があればだいたい正確に判別できること。二つ目は、右手が先という判断と左手が先という判断が五分五分になる点(y=0.5とs字曲線の交点)はだいたい0 msとなることです。つまり、「左右の手に同時に加えた刺激は、大体同時と感じられる」ということです。
 本実験では右手先行の刺激の割合を増やしたり、左手先行の刺激の割合を増やしたり、刺激時間差の確率分布に偏りを導入しました。右手先行の刺激の割合を増やした右先行バイアス条件では、右刺激が平均80 ミリ秒先行するようなガウス分布 (標準偏差 80 ミリ秒) から刺激時間差をランダムに選びました (図3)。この条件では、84%の確率で右手が左手よりも先に刺激されます。もう一つの条件、左先行バイアス条件では、左手刺激が平均80 ミリ秒先行するようなガウス分布 (標準偏差 80 ミリ秒)を用いました。 各被験者は,右先行バイアス条件と左先行バイアス条件を各1000回試行しました。
 右手を先に触るという刺激の頻度を増やした場合、従来の理論(注1)では「繰り返し経験した刺激はだんだん同時に感じられるようになる」と考えられてきました。つまり、「右手を先に触ったときに、判断が五分五分になる」というのが従来の理論の予測となります。ところが、得られた結果は、「左手を50-60ミリ秒程度先に触ったときに、判断が五分五分になった」のでした。別の言い方をすると「右手と左手を同時に触ると右手が先と感じられる」ようになりました。 (図4)。従来の理論の予測とは異なり、物理的に同時に起こった刺激が、繰り返し起こった刺激の順序に引きずられて解釈されるようになったのです。
 本研究チームが発見したこの新しい錯覚は、「ベイズ推定(注2)」と呼ばれる巧妙な推定法と一致しています。人間は体の多数のセンサーからの信号を元に、外界の様子を判断します。しかし、センサーにはノイズがありますから、センサーの信号を鵜呑みにすると判断を間違えることがあります。できるだけ間違いを少なくするには、それまでの「経験」を加味するのが得策です。最適な加味の割合は「ベイズ推定」と呼ばれる数学理論で表すことができます。今回得られた結果は、時間順序の錯覚の方向だけでなく、その大きさについてもこのベイズ推定の予測値とよく一致しました。
 本結果は、時間順序の推定に脳が「ベイズ推定」を用いて確率論的に最も正解可能性の高い判断を行っていることを示すものでした。
 次にこのベイズ推定から予測される錯覚現象が過去の研究では観測されなかった理由を調べるため、音刺激(1,800Hzの純音、10 ms)と光刺激(60cm前方のLED)の順序判断に対する偏った刺激分布の効果を調べました (被験者6名、図5)。被験者はヘッドフォンからの音と前方のLEDの光の順序を判断してペダルで回答します。この音-光刺激のペアは過去の研究で用いられた刺激ペアです。実験の結果、従来の報告通り「繰り返し経験した音と光の刺激ペアはだんだん同時に感じられるようになる」が再現されました (図6)。この相反する結果が得られた理由は、次のように考えられます。音刺激と光刺激の時間差は、光速と音速が異なるため、その発信源の物理的距離に応じて変動します。「繰り返し経験した刺激はだんだん同時に感じられるようになる」という従来知られていた知覚の変化(ラグアダプテーション)は、音と光の組み合わせには有益です。 しかし、右手と左手の触覚刺激の場合は直接感覚器を刺激するため、伝導時間は変動しないので、ラグアダプテーションが起きては困ります。ベイズ推定によって感覚信号のノイズの影響を小さくするのが得策になるわけです。
 本研究チームは、さらにラグアダプテーションとベイズ推定を両立させる数理モデルを提案して、一見相反する2種類のデータを説明することに成功しました。この説明では、ベイズ推定はどんな組み合わせの信号に対しても働いているのに対し、音と光のように特殊な組み合わせの場合に「ラグアダプテーション」が生じてベイズ推定の効果を打ち消している、と推定しています。

【今後の展開】
 本研究では右手と左手の皮膚に加えた刺激の時間順序をできるだけ正しく判断するために、脳が巧妙な推定法(ベイズ推定)を使っていることが明らかになりました。本研究チームでは、今後、様々な感覚信号の組み合わせについて、時間順序の推定にベイズ推定が使われていることを示す予定です。音と光の組み合わせでも「ラグアダプテーション」のメカニズムの働きを抑えることによってベイズ推定が使われていることを示せるのではないかと考えています。
 さらに、発達性の難読症や自閉性障害が、時間順序判断とベイズ推定のメカニズムに与える影響を調べる予定です。得られたデータはこれらの発達性の障害の原因解明に重要な手がかりを与えてくれると期待されます。
 また、この巧妙な推定法を実現する脳の情報処理機序を解明していくことで、複雑な実環境に柔軟に対応することのできる人工知能やロボットの開発に役立つことも大いに期待されます。
 一方、ベイズ推定は事前の確率分布が変わらないという条件下では優れていますが、状況が変わってしまうと間違いが増えることにも注意が必要です。「新しい状況下では人間は過去の経験に引きずられて誤りを犯しやすい」ことも意味するのです。スポーツのフェイントなどでは、このような人間のベイズ推定の傾向を逆手に取っているかもしれません。この観点から、一流アスリートの能力や技を分析するのも興味深いテーマです。さらに本研究の成果は、事故を未然に防ぐための対人技術の考案にも役立つことが期待されます。

【用語解説】
図1 実験で刺激を与える位置
図2 通常の場合の刺激時間差と判断との関係
図3 右手先行バイアス条件での時間差の分布
図4 右手先行刺激を繰り返した場合の刺激時間差と判断との関係
図5 音先行バイアス条件での時間差の分布
図6 音先行刺激を繰り返した場合の刺激時間差と判断との関係

【論文名】
「Bayesian calibration of simultaneity in tactile temporal order judgment」
(触覚刺激の時間順序判断における同時性のベイズ較正)

【研究領域等】
この研究テーマを実施した研究領域、研究期間は以下の通りである。
 研究領域:脳の機能発達と学習メカニズムの解明(研究総括:津本 忠治)
 研究課題:応用行動分析による発達促進のメカニズムの解明
 研究代表者:北澤 茂(順天堂大学大学院医学研究科 教授)
 研究期間:平成17年度~平成22年度

2010年4月16日金曜日

ツイッター広告参入で開けた巨人への道

NewsWeekより

 ツイッターは3月14日、遂にネット広告事業に参入した。キーワード検索をかけると関連する広告が表示される「プロモーテッド・ツイート(つぶやき広告)」という新サービスだ。

 まだ始まったばかりだが、ユーザーからの反応もひとまず上々。お金を取る広告だから目立たせなければならないが、目障りでは困る。スパムのように大量に送りつけるのもまずい。ツイッターは、うまくそのバランスを取ることに成功した。

 広告主は、スターバックス、家電量販店ベスト・バイ、ソニー・ピクチャーズ、ヴァージンアメリカ航空など大企業ぞろい。だが、ツイッターはすぐに気づくだろう。クライアントとして有望なのは大企業だけではない。膨大な数の個人ユーザーもいる。

 そもそも「つぶやき広告」が始まったのは、以前からツイッターを販促や広報に使ってきた企業が、せっかくつぶやきを投稿してもすぐに押し流されてしまうことを心配したから。何しろツイッターでは1日の投稿件数が5000万件を突破してなお増加中。大洪水のような有り様なのだ。

■個人ユーザーも潜在クライアント

 だが、自分のメッセージを目立たせたいのは個人ユーザーも同じ。たとえばスターバックスは、「コーヒー」というキーワードで検索した人全員に「今日はフラペチーノが無料!」というつぶやきが表示されるサービスに100万ドルの広告料を支払うかもしれない。だが、自分のつぶやきを売り込めるなら1人につき1ドルの広告料を払うという個人ユーザーも100万人はいるかもしれない。

 多くの、いや大半のつぶやきはその場かぎりのものだが、金曜夜のライブ情報を告知するアマチュアバンドやトーク番組への出演予定を宣伝する作家のつぶやきは、決して見逃されたくない性質のもの。ただしお金をかけて大々的に宣伝するほどのことでもない。

 そこでもしツイッターが、特定のつぶやきを少しだけ他より目立つようにするサービスを低料金で提供すれば、会社は大儲けできるだろうし、ユーザーにとっても極めて価値のあるサービスになるはずだ。

 ツイッターのライバル、タンブラーなども考えつきそうだ。自分の投稿をちょっとだけ「くっつきやすく」して、フォロワーのページの上のほうにしばし表示されるようにしてもらうサービスが1ドル、フォロワーのフォロワーまで投稿を届けてもらうサービスなら2ドル......。そうなれば、ほんのおやつ代で自分のメッセージが埋もれるのを避けられる。

■儲かる術がないと笑われてきたが

 ネットユーザーは、オンラインの支払いにも慣れてきている。以前は無料が常識だった音楽のダウンロードも、アップルのiTunesのおかげで1曲1ドル払うのが当たり前になった。「ファームビル」や「マフィア・ウォーズ」のようなゲームでは、コンテンツを追加するための少額の電子決済マイクロペイメントが大人気だ。フェースブックが扱う1つ1ドルのバラや香水、といった仮想ギフトの売り上げは今年10億ドルにも達する勢い。ツイッターもその気になれば、一夜にしてこの数十億ドル市場のプレーヤーになれる。

 それもスターバックスなどの優良企業から転がり込む大口広告の上に、だ。ツイッターは長いこと、利益の上がるビジネスモデルが描けないことで物笑いの種にされてきた(辛口コメディアンのスティーブン・コルベールはこう皮肉った。「ツイッターの創業者ビズ・ストーンのビズには、あいにく『ビジネス』の意味はないようだ」)。

 だが、ネット広告の世界へ慎重に踏み出した第1歩が好評を博した今、ツイッターが業界の巨人に成長する可能性も見えてきた。

2010年4月12日月曜日

「口コミ」ガイドラインという小さな一歩

日本経済新聞より

 口コミ(Word of Mouth:WOM)マーケティング業界の健全な発展を目指すWOM マーケティング協議会(WOMJ)は3月12日、口コミマーケティングの自主ガイドラインを発表した。ブログやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)といったソーシャルメディアは、いまや企業のマーケティングや広報活動にとって無視できない存在になっている。今回のガイドラインは口コミマーケティングにどのような影響を与えるのだろうか。

2つのシンプルな原則

 WOMJは2009年7月に発足した任意団体で、現在は広告会社など法人会員24グループ、筆者を含む個人16人が加盟している。ガイドラインは、WOMJ会員の有志のべ100人が、昨年10月から12月にかけて4回の討議を行い、プロジェクトリーダーとして案をまとめた。以下にあるように、「関係性明示」と「社会啓発」の2つの原則を示したシンプルな内容だ。罰則はなく、WOMJ加入団体・個人の自主的な取り組みを求めている。

<WOMマーケティング活動ガイドライン>
1.関係性明示の原則:WOMマーケティング事業者は、どのような関係性において、WOMマーケティングが成立しているかについて、消費者が理解できるようにしなければならない。関係性とは、原則として金銭、物品、サービスの提供とする。
2.社会啓発の原則:WOMマーケティング事業者は、1が実現するように必要な啓発活動を行うとする。

 「これだけ?」「何の意味があるのだろう」と思う人もいるかもしれないが、重要なことが含まれている。

 1は、口コミに関わるマーケティング活動において、依頼者(企業、マーケティング事業者など)と情報発信者(ブロガーなど)の関係を明らかにすることで、消費者(読者、聞き手など情報の受け手)が情報の位置づけを判断できるようにするよう求めている。また、2では、マーケティング事業者が広告主(クライアント)やユーザーに啓発活動を行わなければいけないとしている。これが実現すれば、ネット上に「良い口コミ」を広げようとして消費者を「だます」手法を使う事業者は、ビジネスを見直す必要が出る。

 具体的には、PPP(ペイ・ パー・ポスト)と呼ばれる金銭を支払ってブログなどに記事を書かせるサービス、消費者に宣伝と気づかれないように行われるステルスマーケティングなどだ。クライアントも無関係ではない。「良い口コミだけを広げてほしい」「ネガティブな口コミを書かせないで」などと依頼して、これらのサービスを利用しているなら、考えを改める必要が生じる。

消費者が情報を読み解く判断材料に

 そもそもWOMJは、口コミについて「自発的なものである。金銭で生み出されない。誰からも強要されず、発信者の自由意思が尊重される」(基本理念)と定めている。口コミはコントロールすることができない。ただ、PPPやステルスマーケティングが行われることで、消費者はそれが自発的な口コミなのか、誰かから依頼され金銭を受け取って行われている情報発信なのかを区別できない状況になっている。ガイドラインはこのグレーな部分をはっきりさせることを目的としている。

 金銭だけでなく、物やサービスの提供も同様だ。ガイドラインと同時に発表した参考事例では、企業が有名人に献本して書評を書いてもらいたいと思った場合は「『献本であると明記して下さい』と依頼すること」、広告代理店などの事業者が口コミの誘発を狙いホテル(広告主)の無料宿泊体験者募集の案内をSNSのコミュニティーに投稿する場合は「『無料であることを記載すること』と明示して行う」などとしている。

 当然、口コミの依頼はすべて任意である必要がある。物品やサービスと引き換えに情報発信を強制したものは口コミではない。さらに、いくら任意性が確保されているとしても過度な物品やサービスの提供が行われた場合は自発性が疑われることもある。書き手側がいくら「筆は曲げない」と主張しても、消費者は「献本や無料招待なら、悪いことは書けないよなあ」と思うかもしれない。情報を割り引いて読み解いていくためにも消費者が判断できる材料を提供することが重要となる。

生活に想像以上に浸透している口コミ

 ガイドラインをシンプルにしたのは、ソーシャルメディアの時代において情報の価値を決めるのはあくまで消費者という思いがある。ではなぜ、このようなガイドラインが必要になるのだろうか。それは、口コミが我々の生活に想像以上に浸透しているからだ。

 例えば、ビジネスパーソンが出張に行く際のことを考えてみたい。「楽天トラベル」や「じゃらんnet」を利用して目的地のホテルを検索して予約する際、料金や立地で決めてしまう人もいれば、ホテルの評判を気にする人もいるはずだ。

 楽天トラベルには、7項目(総合評価、サービス、立地、部屋、設備・アメニティ、風呂、食事)の評価があり、5段階でレーティングしている。これによりユーザーは、立地重視、食事重視など目的に合わせて評価を確認して宿を選ぶことができるだけでなく、口コミに厳しい評価があったり、料理の評判が悪かったりすると、別のホテルを選ぶこともできる。

 パソコンやデジタルカメラを購入する際は「カカクコム」を、本やCDを購入する際は「Amazon.co.jp」の星の数やレビューを参考にすることもあるかもしれない。カカクコムでは、ユーザーが性能やデザインはもちろん、実際の購入時の利用シーンから素朴な疑問までを様々に議論し、ユーザー同士の口コミが購買の参考にされている。もし、これらの口コミが誰かによって作られたものだったらどうだろう。評判の高い書き込みが「やらせ」であったらどうだろう。

使い方を心得れば心強いツールに

 まだ大きな問題になっていないかもしれないが、ソーシャルメディアはあらゆる人々による情報発信と参加によって作られていくメディアだ。だから自主的に取り組む意味がある。ガイドラインの波紋は意外に静かで、批判はあまり聞こえてこない。逆に何でもありの「無法地帯」に小さなルールを設けたことを歓迎する声も聞く。企業内でソーシャルメディアを活用したかったが「これまでは、どうしたらいいかわからなかった」という話だ。

 もし、ガイドラインを見て、「関係性を明示したらマズい」「事業者から聞いているのと話が違う」と思ったなら、ソーシャルメディアに対する誤解があるかもしれない。ソーシャルメディアを使うと、口コミを必ず爆発的に広げられるわけでもないし、製品やサービスを大きく見せられるわけでもない。マスメディアと違った特徴を持ち、使い方を心得れば心強いツールとなる、ということだ。

 「使ってみたいけれど怖い」「よくわからない」――。そんな声もあるソーシャルメディアの歩き方を考えてみる。歩き進むにつれて、このシンプルだけれど奥深いガイドラインの意味も明確になってくると思う。

ソーシャルゲーム、ブームの次に起きること

日本経済新聞より

 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)や携帯サイトで手軽に遊べるソーシャルゲームが世界的に急成長している。ソーシャルゲームをいち早く展開して成功した企業や開発者は、ソーシャルゲームが成功した理由やブームの今後をどのようにみているのだろうか。

 今年3月に米サンフランシスコで開催された世界最大のゲーム開発者向けカンファレンス「ゲーム開発者会議(GDC)2010」。米大手ゲーム会社エレクトロニックアーツ(EA)のゼネラルマネジャーであるベン・コーシンズ氏は、歴史的なイノベーション(革新)のパターンから、ソーシャルゲームがなぜ市場に受け入れられたかを分析した。

的中したゲーム産業についての予測

 コーシンズ氏は、07年にゲーム産業の未来について、いくつかの予測を公表している。そのうち、「任天堂のWiiが大失敗する」との予測はまったくはずれたが、それ以外はすべて現実になっているという。主な予測とは、次のようなものである。

・「ユーザー生成コンテンツ」が一般化する。
・ユーザーのローカルな機器ではなく、インターネット上のクラウド・コンピューティング環境にユーザーのデータを置くことが普通になる。
・シンプルなインターフェースが求められるようになる。
・これまでのゲーマー以外の大衆市場に広がりが生まれる。
・SNSが重要になる。
・ハイパーリンクの手法が多様化する(つまり、ブラウザーゲームが重要になる)。
・低スペックのパソコンで動くことが前提になる。

 これらの要素をすべて満たす代表例が、6000万人以上のユーザーを集める米ソーシャルゲーム大手Zyngaの農場系ゲーム「FarmVille」だという。コーシンズ氏の予測は、いまやソーシャルゲームの定義そのものといっていいほどだ。一方、家庭用ゲーム機向けゲームでは、これらの条件は一部しか実現されていない。


ウォルマートの歴史とゲームの関係

 では、なぜソーシャルゲームがこれほどユーザーの支持を集めているのか。コーシンズ氏は、米小売り最大手ウォルマート・ストアーズの成長を例に、今のソーシャルゲームブームを歴史的な必然だと説明した。

 自動車が普及する前の20世紀初頭の米国では、移動は徒歩や馬車であり、小麦や砂糖などを扱う商店では、店員と顧客が話しながら一品一品、量り売りで販売するのが一般的だった。それが1930年代になって大きく変わり始める。自動車の登場とともに1920年代には平らな道路が整備され、1940年代になると舗装が一般化する。1916年に今の「スーパーマーケット」に続く業態がテネシー州メンフィスに出現し、より多くの品揃えと巨大な駐車場を持つウォルマートや現代のショッピングモール方式へと発展していく。

 一方、街の小さな小売店は対面サービスの質は高いが、価格競争についていけず年々減少していった。この歴史のパターンは、「既存の家庭用ゲームと台頭するソーシャルゲームにそのまま当てはめることができる」とコーシンズ氏は指摘する。ゲーム業界にとっての自動車は安価なコンピューター環境であり、道路はブロードバンド回線というわけだ。

 既存の家庭用ゲームは質が高いが、ゲーム機を店舗で購入したり新作ゲームの情報を集めたりといった手間がかかる。一方、ソーシャルゲームという新しいジャンルは質では劣るが、価格が安いため気軽に始められる。「質が高いが不便」から「安くて便利」へ。ソーシャルゲームは誕生からまだ3年程度だが、すでに家庭用ゲームを上回る膨大な品揃えを整えつつある。

iPhone用ゲームの顔ぶれに変化

 昨年11月にEAに買収された「Facebook」向けソーシャルゲーム大手の英Playfish。共同設立者のクリスチャン・セーゲルストローレ氏は、別の観点からソーシャルゲームの将来を予測する。

 セーゲルストローレ氏は、ソーシャルゲームが誕生から約2年間で2億人のユーザーを集めるようになった現象を、動画サイト「YouTube」がオンライン動画の市場を創出した例になぞらえ、「YouTube効果」と呼んだ。そのうえで、これによって何が起きたかに着目する。

 YouTubeが出現しても「ヤフーのようなポータルサイトはなくなっていない」、家庭用ゲームも「モダン・ウォーフェア2」のような「高額な予算を投じた大ヒットタイトルは死んでいない」、無料ゲームが中心となったからといって「(ゲーム産業全体の)利益が消し飛んだわけでもない」――。つまり、新興ベンチャーと既存のゲーム企業との共存・競争がソーシャルゲームにも起きると、セーゲルストローレ氏は指摘する。

 実際、先行するアップル「iPhone」向けゲーム市場では、その現象が起こり始めている。08年にアップルのアプリケーション販売サービス「App Store」がスタートした直後は、ビールを飲む「iBeer」のようなアイデア一発のアプリが大ヒットした。

 ところが現在、ランキング上位にいるのは「ロックバンド」「グランドセプトオート」「シムズ3」「Madden NFL 10」「アサシンクリード2」などで、上位10位のうち8タイトルは家庭用ゲーム機向けなどでブランドが確立されたタイトルだ。

 この傾向は、「ソーシャルゲームにも広がるだろう」とセーゲルストローレ氏は予測する。今後、多くの企業が既存タイトルをベースとしたソーシャルゲームを強化していくだろう。ソーシャルゲーム市場は一見多様な選択肢があるようだが、すでに最初の混沌期を終え、次の競争段階に入ろうとしている。

「熱」を「音」に エネルギー機器の概念変える「熱音響」



 工場の廃熱や太陽熱を音に変え、さらにその音で熱を奪ってクーラーや冷凍庫を動かす――。熱と音との間でエネルギーがやり取りされる「熱音響現象」の利用を目指す研究開発が着々と進んでいる。実用化への展望を開いたのは日本の研究者のアイデア。様々な省エネシステムを実現する可能性を秘める。

 何の変哲もない長さ数十センチのパイプ。中に小さい穴が開いた仕切り膜がある。パイプの一方にガスバーナーを近づけて熱する。やがてホラガイを鳴らすような「ボー」という音が響いてくる。熱が空気の振動エネルギーに転換されている様子だ。

 「エンジンなど熱機関は、固体のピストンを往復運動させる。熱音響現象の場合は、熱が空気という流体そのものを振動させている」。こう説明するのは琵琶哲志・東北大学准教授。機械駆動する部分がないため「原理的に高効率でエネルギー転換が可能」(琵琶准教授)だという。

 熱音響の現象は古くから知られていた。エネルギー装置としての利用が注目されるようになった大きな契機は日本人研究者のアイデアだ。愛知教育大学の矢崎太一教授らは、熱音響を起こすパイプをループ状にする構造を考案。内部には、音が細い穴を通過するフィルター部(スタック)を2カ所設け、連続的に熱を起こす仕組みを実現した。

 一方のスタックを加熱すると、管の中に進行音波が発生する。これがパイプの中を回り続ける。もう一方のスタックでは音が吸熱反応を起こして、周囲から熱を奪う。

 この仕組みを使い、同志社大学の渡辺好章教授らのグループは、工場排熱で空気を冷却する仕組みの実用化に挑んでいる。熱源としては様々なものが利用可能だ。例えば太陽熱を活用すれば、自然エネルギーを使った冷却システムができあがる。

 琵琶准教授らのグループは、加熱部を複数個設けることによって、音を発生させるシステムを研究している。低温の熱源からも高い効率でエネルギーを取り出すことができるようになる。現在までに60度を切る小さな温度差で、システムを動かすことに成功している。

 海外では、天然ガスの一部を燃やした熱を使って、熱音響システムで冷却し天然ガスを液化する試みなど、大規模なシステムへの応用を目指す動きもある。環境・エネルギー分野で、大化けする可能性を秘めた技術の1つだ。

2010年4月7日水曜日

集団的知性(Collective Intelligence)と、群衆の知恵(Wisdom of Crowds)の違い

http://www.it-platform.co.jp/blog/archives/97

第1回ウェブ学会シンポジウムの動画が公開されています。「集合知」の話題が、技術を超えてビジネス、政治まで幅広く議論されていています。長時間にもかかわらず、とても面白く視聴できました。 (主催者および関係者に感謝。)

視聴後、講演者の方々にも興味を持ち、twitter上で、その後の議論も追っていたのですが、どうやら単に「集合知」といってもさまざまな考え方があり、代表的なものには「集団的知性(Collective Intelligence)」と「群衆の知恵(Wisdom of Crowds)」の二つのモデルがあるようです。

ということで、私もさっそく上記ページを読んでみたところ、とても明快に「集団的知性」と「群衆の知恵」の違いが説明されていました。

Surowiecki and Levy start from very different premises which would lead to very different choices in the game design process. Surowiecki’s model seeks to aggregate anonymously produced data, seeing the wisdom emerging when a large number of people each enter their own calculations without influencing each other’s findings. Levy’s model focuses on the kinds of deliberative process that occurs in online communities as participants share information, correct and evaluate each other’s findings, and arrive at a consensus understanding.
Confessions of an Aca/Fan: Archives: Collective Intelligence vs. The Wisdom of Crowds

要約: 「群衆の知恵」と「集団的知性」は、まったく違った前提からスタートしている。「群衆の知恵」モデルでは、多くの人々がお互いの知識に影響されることなく、個別に自らのデータを生み出す。そして、その個別データを匿名で集計することで、知恵が得られると考える。対して、「集団的知性」モデルは、コミュニティの中で、参加者が情報を共有しお互いの知識を評価・修正しあいながら一定のコンセンサスに至るような、討議的なプロセスにフォーカスしている。

「群衆の知恵」モデルは、多様性をもった参加者が、個々に自律していて、まわりの人々の考えに影響を受けないことが前提となっている。参加者がお互いに影響を与え、同質なグループができあがってしまうと、結果がゆがめられてしまうからだ。しかし、現実には、参加者はお互いに影響を与えあうため、「群集の知恵」モデルは問題をかかえている。

加えて、「群集の知恵」モデルは、技術的に、個別のアウトプットを数値として平均化できる質量推測/市場予測/オッズのような、客観データにしか適用できない。政治的オピニオンのような主観的なものに「群集の知恵」モデルを使うのは間違いだし、Wikipediaをこれで説明しようとするのも適切ではない。

Wikipediaを説明するのに適しているのは(「群集の知恵」モデルよりも古典的な)「集団的知性」のモデルである。これは、すべての知識を持っているメンバーはおらず、個々人が断片的な知識しか持ち合わせていない状態で、メンバーによってもたらされた知識に、他のメンバーが自由にアクセスしながら、多様なメンバーが協力して世界の理解を洗練させてゆくモデルだ。

The Wisdom of Crowds model focuses on isolated inputs: the Collective Intelligence model focuses on the process of knowledge production. The gradual refinement of the Wikipedia would be an example of collective intelligence at work.

「群集の知恵」モデルは独立した入力にフォーカスし、「集団的知性」モデルは知識生成のプロセスにフォーカスしている。「集団的知性」モデルの働きは、Wikipediaの漸進的な進化に見ることができる。(要約終了)

(追記:邦訳「Collective Intelligence vs. The Wisdom of Crowds」で全文の翻訳が公開されています。)

…ということらしい。この議論のあとは、ゲームに「群集の知恵」モデルを適用した場合と、「集団的知性」モデルを適応した場合とで、ゲームデザインがいかに大きく異なるかが述べられています。

「群集の知恵」モデルの適用範囲がとても狭いというのは意外でした。ウェブのみならず、技術、芸術、ビジネス、政治のさまざまな分野で「集合知」が話題になり、ブームになっています。「集合知」の議論はとても魅力的です。でも、具体的モデルが不明確なままだと、そのうち現実とのギャップに遭遇し、失望を生むかもしれない。地に足のついた議論が必要だと、自戒を込めて思いました。

ロボット:実在の女性そっくり 映画「サロゲート」の時代到来も間近?


毎日より

 大阪大基礎工学研究科の石黒浩教授と、ATR知能ロボティクス研究所(京都府精華町)が、実在の人間と同じ外見を持ち遠隔操作ができるロボット「ジェミノイドF」を開発、3日、製造販売を手がける「ココロ」(本社・東京都羽村市)とともに発表した。笑ったり怒ったり複雑な顔の表情も表現でき、分身ロボットをテーマに今年1月公開された近未来映画「サロゲート」さながらのリアルさ。5月にも東大病院で患者とのコミュニケーション手段として試験導入されるという。

 石黒教授とATRによるグローバルCOEプログラム「認知脳理解に基づく未来工学創成」の成果。ロボットは「ジェミノイドF」と名づけられ、女性の形で大きさは座った状態で高さ140センチ、重さ30キロ。歩くことはできないものの、みけんや、目、口、あご、肩など上半身の9カ所を空気圧の力で動かすことができる。表情のほか、首の角度を変えたり、お辞儀もできる。遠隔地にいる操作者が、ロボット自身の表情やロボット正面の状況を画面に写し出すコンピューターに向かって話しかけると、音声と操作者の表情などがインターネット回線経由でロボットに伝わり、同時進行で再現される。

 記者会見は大阪市北区のビル会議室で行われ、ロボットのモデルになった実在の女性と「ジェミノイドF」が対談。モデルの女性は自分とそっくりのロボットから「趣味は何ですか」などの質問を受け、「まるで妹ができたみたい」とびっくり。また、モデルの女性は操作用パソコンの席に座って自身の「分身」の操作も体験。ロボットが隣の女性に髪の毛などをなでられると「まるで自分がなでられているような錯覚を感じます」と話した。

 石黒教授は06年にも自分と外見が同じロボットを開発。今回のロボットは、実在する人間の遠隔操作型ロボットとしては2代目となる。初代機がロボットの後方に冷蔵庫くらいの大きさの設備が必要だったのに比べ、今回のロボットではそれらの設備を体内に収めることに成功し、軽量化を実現。価格も初代機の約3000万円から大幅にダウンし、「ACTROID-F」の名で1体約1000万円で、50体を目標に博物館や病院、企業などに販売するという。

パラパラめくって丸ごとスキャン 東大の高速複写機


NIKKEIより

本をパラパラとめくるだけで内容を高速に読み取れる東京大学の研究チームが開発した特殊な複写機が世界中から注目されている。紹介映像が動画共有サイト「ユーチューブ」で大ヒット。アクセス件数は投稿してわずか1週間余りで36万件を超えた。民間企業とも共同開発の話が進んでいる。予想外の反響に研究チームは「ネットの反応は研究開発を続けるべきかどうかの判断に役立つ」と話している。

東京大学の研究チームが開発した高速複写機の映像(提供:東大の石川正俊教授・渡辺義浩特任助教)
 注目されているのは、本の内容を短時間でデジタルデータに変換する装置で、石川正俊教授と渡辺義浩特任助教らの研究チームが開発した。本を持ってページをパラパラめくり、その様子を上から高速カメラで撮影する。1秒間に500枚の画像を撮影しながら、同時に赤外線レーザーを当てて動くページとの距離を測定していく。250ページの本なら1分程度で撮影できる。

 研究チームは動く紙の形状を数式で表した計算モデルを考案。このモデルに、撮影した膨大な画像とレーザーで測定した距離のデータを当てはめて、コンピューターを使って計算し1ページずつ正確に復元する。コンピューター画面にはコピーした立体的な本が出来上がる。

 図書館の貴重な蔵書を電子化する取り組みが進められているほか、電子書籍への関心が高まっているが、現状では原本を複写機などの上に置いて1ページずつ処理しており、手間と時間がかかる。東大の複写機ならば作業が簡単になるので、世界が注目した。


パラパラとめくりながら上から高速カメラで撮影し中身をデジタル化する
 東大の複写機は昨年夏に完成し、新聞報道によって国内外の企業から問い合わせが相次いだ。その後、米国電気電子学会(IEEE)が発行する雑誌の記者が取材し、撮影した動画を3月中旬にユーチューブに投稿。動画が公開されてから1日に数万件のアクセスがあり、1週間程度で36万件を超えた。

 サイト視聴者からは多数のコメントも寄せられている。中には具体的な応用例の提案や、似たような複写システムを考案している米グーグルと比較した意見などもあり、「貴重な意見」(石川教授)という。

 研究者が成果を世に問う方法は論文発表が基本だが、効率的な産学連携の推進が求められる現状では、研究者個人の興味や専門家集団である学会の評価だけで研究の方向性を決めるのは問題もあるという。「世界中が一定の評価をしているサイトでの反応は、科学技術の方向性を決める新しい基準の1つになるのではないか」と石川教授は話している。

http://www.youtube.com/watch?v=tCOXC5PTJj8

オークションの評価をする 評価の見方 評価はここを読みとれ!

all aboutより

評価とは

評価とは、取り引きをしたときのマナーや姿勢などの満足度を、落札者と出品者が相互に採点するシステムです。評価の内容は、取引相手だけでなく、すべての利用者に公開され、ほかの利用者がその人と取引するときの情報となります。

Yahoo! オークションの場合はYahoo! JAPAN IDの右側( )で囲まれた数字が評価ポイントです。

評価ポイントは、落札と出品の両方で受けた評価を足した合計です。そしてよい評価から悪い評価を引いた数字が評価ポイントとなります。ポイントの大きい方がたくさんのよい評価をもらっていることになります。

この評価を見て、「ああ、この人は初心者なんだな」とか、「この人は随分取り引きをしているんだな」とわかることになります。

評価を参考にしよう

入札の際に、出品者の評価を確認するのは、いまや常識。あまりにも評価が低かったり、コメント欄で盛大にトラブル劇を演じている場合などは、よほどのことがない限り、取引をしないほうが安心。また「評価がゼロ、またはゼロに近い」人は、よくわからないので、ちょっと心配。

「評価が多数ついていて、それがみな良い評価の人」と取引をしたいものです。

合計ポイントだけだなく、詳細も見てみましょう。評価の数字の部分をクリックすると悪い評価とよい評価のページでそれぞれの数がわかります。評価のページを表示して、[悪い]マーク下の[詳細]をクリックすると、悪い評価だけを見ることができます。

こんな相手はちょっと心配

●評価0(ゼロ)
●評価が少なく、いいものも悪いものもある
●評価がマイナス(悪い)
●評価は悪くないが、コメント欄の発言が怖い

安全に取引をするならば、上記のような出品者はちょっと心配。

評価がゼロという人は、IDを取り直した場合と、初心者の可能性がありますので、必ずしも悪い人ではありませんが、出品者が評価ゼロの場合は注意しましょう。まったくの初心者が出品している場合もあり、慣れていないことで取引に行き違いが生じる場合があります。

悪い評価は悪い人?

[auction_master]から付けられている悪い評価は、取り引きキャンセルの場合に、自動的にオークションシステムからつけられた評価です。確かに取り引きキャンセルをすること自体、あまりよいことではありませんが、例えばこのような例も。

落札後、商品にキズがあることを出品者から知らされた。それならば「購入したくない」と申し出ると、出品者が「キャンセルをしましょう」と言い、キャンセルになった。その時出品者が[落札者都合で]を選択したので、悪い評価が[auction_master]からつけられた

まさに被害者とも言える内容ですね。直接つけられた評価でもこんな例が。

配送前に商品も確認し、梱包もしっかりして、配達時間指定をして配送したのですが、宅配業者が時間指定を無視。時間以外に訪問したために悪い評価をつけられてしまいました。

災難としか言いようがありません。怒りの矛先をどこに持っていったらよいかわからない内容ですね。下記もそのような例です。

色が気にいらなかった(友だちのパソコンで見ても色はかなり忠実)
バッグのサイズが思ったより小さかった(サイズ表示してあるのに・・・)
サイズが小さくて着られなかった(普通の9号サイズなんですが・・・)
自分のパソコンでは使えなかった(OSバージョンなどは確認の上、と書いたのに・・・)
思ったよりも安っぽかった(100円で落札しておいてそれは・・・)
悪い評価は相手の思いこみや、悪意により一方的につけられてしまうことがあります。悪い評価があるからといって、必ずしも悪い取引相手ではありません。コメントと合わせて内容をよく確認しましょう。

逆に評価をするときはくれぐれも慎重に。慌てて評価をしたり、トラブル時に、取引相手と話し合いするまえに評価をするのはやめましょう。

評価は信用できる?

評価の見方は以上ですが、必ずしも評価が信用できるわけではありません。取り引きする際には充分注意しましょう。

詐欺とヤフーオークションの評価システム

all aboutより

約300万人が利用しているというヤフーオークション。かくいう筆者も1999年の開始当時から利用してきたユーザーの一人でもあります。今まで、数々の商品を出品・落札してきましたが、ついに詐欺に遭ってしまいました! 今回は、詐欺に遭う課程と、遭ってみて初めて気づいたオークションシステムの理不尽さについてご紹介したいと思います。

■ 正規製品を落札
マイクロソフト社のソフトウェアをヤフーオークションで探していた時でした。

一覧表示では、数々の違法製品らしきものが格安で並ぶ中、正規製品は値が張り一目瞭然という状態でした(現在でもそうですね)。俗に「海賊版」と呼ばれる違法コピー製品は、販売すると「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」に問われる可能性のある『著作権法』に違反してしまいます。「インターネットならば匿名だから捕まらない」と思っているのか、ヤフーオークションでは海賊版の出品が後を絶ちません。ですが、インターネットはそこまで無法地帯ではありません。よほどの強者ハッカーでも無い限り、確実に摘発されてしまいます。実際、過去にもたくさん逮捕者が出ています。購入すること自体に罰則はありませんが、証拠品押収のための家宅捜索を受ける可能性もあります。

売るのはもちろん、買うことにも相当のリスクがありますから、手を出すべきではありません。

筆者はもちろん正規品を買うべく探していたのですが、「非海賊版!認証必要!」というタイトルのオークションを発見しました。内容を見ると「海賊版や違法ではない」「マイクロソフト社より正式にライセンスを受けている」とのこと。ちょっと値段が安すぎましたが、掘り出し物があるのもオークションの常。タイトルから内容まで合法であると謳っていたので落札しました。すぐに振込先を知らせるメールが来ましたので、代金を指定口座へ振り込み、製品の到着を待っていました。

 詐欺に遭う
数日後、普通郵便で到着した製品を見て愕然。茶封筒の中に、コピー用紙に包まれたCDが1枚入っていただけでした。CDは表面が真っ白なCD-Rで、ケースにも入っておらず、梱包も粗悪でした。シリアルナンバーはメールで届きました。

どうみてもライセンスを受けた正規製品には見えません。確認のためインストールしてみると、あるはずのアクティべーション認証がありません。ソフトウェアは正常に動作しますが、業務で違法コピー品を使うわけにもいきません。

おかしいと思いマイクロソフト社に問い合わせをすると、この製品は違法製品との回答が!……そう、海賊版を正規品と偽った詐欺だったのです!

教えてもらった電話番号はケータイの番号で、何度電話をしても留守電になり連絡がとれません。メールでも何度か連絡するも返事はありません。

他の人が入札しないように「評価」(ヤフーオークションでは取引相手に対して5段階の評価とコメントを付けることができる)で、当然ながら『非常に悪い』をつけ、コメントに違法製品であること、そして返金希望の旨を書き込みました。連絡も全く取れませんので当然の措置です。ところが事態はとんでもない方向へ……。

 なぜか自分も悪者に!
「評価」をしてからまもなく、相手からも私に対する「評価」が来ました。そう、相手は私のメールを読んでおきながら無視していたのです! そして、自分が騙しておきながら、筆者に対する評価として『非常に悪い』をつけたのです!


逆ギレで悪い評価を入れられ、積み重ねてきた信用に傷を付けられ…
そこで再度返答を書こうとすると……できません!なんと相手の評価が「利用制限中」となり、全く見られなくなっているではありませんか!

 評価システムの理不尽
これは詐欺を指摘した筆者への逆ギレ行為に他なりません。報復攻撃をすべく、筆者に悪い評価を残した後に、自らのヤフージャパンIDを削除したため、筆者の評価に「悪い」だけが残る結果になってしまったのです。

ヤフーオークションでは、ヤフーの全サービスが利用できるヤフージャパンIDを利用しているのですが、ヤフージャパンIDを削除するとそのIDに対する評価や取引履歴が一切見られなくなってしまいます。

しかしながら、筆者の「評価」には『非常に悪い』という評価がしっかり残っており、しかもそのコメントが一切消えてしまっているのです! 

ヤフーオークションでは、入札する前に「評価」でその人の取引履歴をみて、信頼できるかどうかを判断する人がほとんどだと思いますが、筆者のケースの場合、どのような経緯で『非常に悪い』が付けられたのかが全くわからなくなってしまったのです。

詐欺の被害者であるはずが、悪意のある出品者に『非常に悪い』という全く根拠のない評価を付けられ、それを見る第三者にはそのことをしるすべがないのです! これは理不尽としか言いようがありません!

 補償を受けるのは超面倒

ここで問題が2つになりました。

【問題1】 詐欺により違法製品をつかまされたこと。
【問題2】「非常に悪い」という評価が自分についてしまったこと。
問題1の詐欺に関してですが、今までもニュース等で報じられてきたように、ネットオークション最大の問題です。。対策として現在、ヤフーオークションでは、詐欺等の被害に遭い金品をだまし取られた場合、最高50万円まで補償してくれる制度があります。

しかし、この補償制度は完全にユーザーの損失を補填してくれるわけではありません。5000円以上の取引しか対象になりませんし、補償金は支払金額の80%です。また、補償を得るためには数々の条件をクリアして、なおかつ煩雑な手続きを経なければならず「超」がつくほど面倒。自動車事故の保険金を請求するよりも何倍も大変な作業だと思います。(→補償制度についての詳細)

いくつか例を挙げると、相手への内容証明郵便の発送、警察への被害届の提出などです。相手の氏名・住所・電話番号を確認せずに取引を行った場合は補償の対象外となってしまいます。

ちなみに、今回の出品者の場合、最初に来たメールには銀行口座情報と○○という名字しか書いてなく、住所や電話番号はありませんでした。筆者はそれらを要求するメールを送り、返信には住所・電話番号がありました。

今回は被害額が少なかったのと、手続きが煩雑であったため、補償の請求や警察への被害届は出しませんでした。

 ヤフーは何もしてくれない
問題2の「評価」に関してですが、この件については、詐欺行為云々ではなく完全にヤフーオークションのシステムの問題ですので、カスタマーサポートに何度かメールを送り問い合わせてみました。しかし、担当者からの返答は、全く的を射ておらず、「完全に当事者同士の責任で行なうことになって」いる、「当事者間でお話し合い」して欲しい、という内容ばかりで、「評価を削除できないのなら、コメントを表示して欲しい」という要望に対しても、「評価を削除することはできません。」という回答が繰り返されるだけでした。前後の文も毎回同じで、ただフォーマットをコピペ(コピー&ペースト)しているような印象を受けました。

いずれのメールにも「評価システムは、Yahoo!オークション・コミュニティーに無責任な人間が参加したり、詐欺まがいの入札が横行するのを防止するために機能しています。」という文章がありましたが、詐欺の被害者が悪い評価を受けるのでは公平な評価システムとは言えないのではないでしょうか?

この点について、ヤフージャパンに取材したところ、「評価システムは、オークションのデータベースとヤフージャパンIDのデータベースの両方を利用しており、ヤフージャパンIDが削除されるとデータベースを参照できなくなるためコメントだけが表示されなくなる」と評価システムの不備は認めたものの「両方のデータベースを参照している都合上、簡単にシステムを修正できない」そうで「評価システムを改善する予定はない(2004年9月13日現在)」とのことでした。

評価を公平なものとするためには、さし当たって以下のいずれかの対策をとる必要があると考えられます。

削除されたIDによってなされた評価は、コメントだけでなく評価も削除する。
IDが削除されても、評価とコメントはすべて表示させる。
いずれにしろ、評価だけを残し、コメントを非表示にするという現行の評価システムはあまりに不公平です。早期の改善を望みます。

 入札者は要注意
ヤフーオークションに補償制度ができ、参加者の本人確認をするようになり、安全な取引に関する情報をヤフーが積極的に開示する(利用者にはメール等で定期的に情報を送っている)ようになり、ヤフー側も詐欺行為撲滅のためにあの手この手を打ってきたのも事実です。

しかし、300万ユーザーという大きなコミュニティーに成長した今、現実の社会同様、悪意のあるユーザーとの「いたちごっこ」になってしまっている事実は否めません。

最終的には、お金を支払う入札者が、被害に遭わないように十二分にチェックをし、少しでも怪しい場合には取引するか否かを慎重に検討するしかないように思います。

ヤフージャパンによると、優良な評価を持つIDのパスワードを不正に入手してIDを乗っ取り、犯罪を行うケースも増えてきているそうです。評価だけで信頼するのではなく、相手の氏名・住所・電話番号をきちんと確認することは不可欠です。

 出品者も要注意
これまで商品を購入する入札者の危険性についてご紹介してきましたが、品物を売りに出す出品者に危険はないのかと言えば、そうとも言えません。

過去の取引で不満を持った人やその関係者、ひいてはライバル業者などによる、「ID潰し」や「評価潰し」なる悪質行為があります。これは、落札する意志がないのに高額で入札・落札し後はなしのつぶてをする、というオークションの妨害行為です。さらには、落札者が出品者の評価ができることから、商品を購入していないにも関わらず不当な評価をつけ、出品者の信頼を失墜される悪質行為に及ぶことも多く、いずれの場合も、出品者は今まで培ってきた評価(信頼)を捨てるしかないのが現状です。

出品者の中には、取引を出品者に有利になるような条件や要求を落札者に課すケースもあります。良識的かつ思いやりのある態度で、双方満足のできる取引を心がける必要があります。

 でもオークションは便利!
ヤフーオークションのシステムの欠点と、危険性について語ってきましたが、それでも筆者はオークションを利用し続けています。無店舗で誰でも商品が販売できる機会が得られ、数多くの出品の中から安く商品が買えるというメリットは、リスクを考慮しても余りあると評価しているからです。

入札者にしても出品者にしても、ポイントをきちんと押さえれば安全かつ満足のいく取引ができることもまた事実です。評価数(取引回数)が6000以上もあるユーザーで、悪い評価が1件もないという人を先日見かけました。

実際の店舗でも偽ブランド品を販売したり、悪質商法を行うところもあるわけで、ネットオークションが危険というわけでは別段ありません。ヤフーオークションのガイドラインや「確認しよう!7つのポイント」などをきちんと実行しておトクにオークションを楽しみましょう!

文字が並んでいるはずなのに線のように見える

文字が並んでいるはずなのに線のように見える——そんな文字列が、2ちゃんねるで話題だ。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1004/06/news072.html

厂下广卞廿士十亠卉半与本二上旦

 こんな文字列が、「文字ではなく線に見える」と、2ちゃんねるなどで話題になっている。

厂下广卞廿士十亠卉半与本二上旦

厂下广卞廿士十亠卉半与本二上旦

厂下广卞廿士十亠卉半与本二上旦

 ——と並べると、斜め線が並んでいるようにも。

厂下广卞廿士十亠卉半与本二上旦上二本与半卉亠十士廿卞广下

 ——と書けば、波を打っているように見えてくる。

 2ちゃんねるではこのほか、

猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー猫マナー

 ——など、繰り返して書くことで文字が傾いたり波打って見えたりする事例が紹介され、「美しい」「すごい」などと話題になっている。

口コミサイト・評判情報


私がアマゾンレビューを読む際に気をつけているいくつかのこと

【はじめに】

◆今日はちょこっと趣向を変えて、私たちがアマゾンで本を購入する時に参考する(しませんか(汗)?)「アマゾンカスタマーレビュー」(以下「レビュー」)について、私が思っている事を書き留めておこうかと。

実はワタクシ、ブログを始めるまでは結構真面目に、書評というかCD評を(笑)アマゾンに書いていた時期がありました。

ただ、自分のスキルが低かったせいか、改行が上手くいかなかったり、今のブログそのままに「文が長すぎて(笑)」弾かれたりということもしょっちゅうあって。

結局はこのライブドアブログに引越し、内容も書評に変わり、現在に至っているワケなんですが。


◆楽天その他のサイト経由で本を紹介されている方もいらっしゃるとはいえ、今現在、ネットでの本の売上高なら、アマゾンがダントツではないかと(参考:「アマゾン、脱・取次の激流——即宅配へ自前で在庫、物流センター巨大化。2005/10/12, 日経流通新聞MJ」)。

それだけにアマゾンの商品ページにはさまざまな思惑がうごめいている、と感じています。

ヘビーユーザーの方なら当たり前のことかも知れませんけど、一応備忘録代わりに・・・。

いつも応援ありがとうございます!


【あまり参考にしない方がいいレビュアーとは?】

◆アマゾンの商品ページのレビューを見る際、以下のようなレビュアーのレビュー内容については、要注意です。

■書いたレビューがそれ1つだけ

◆レビュアーの名前をクリックすると、レビュアーランキングと、レビューの総数が出ます。

ここでレビューが1つしかない場合には、私の場合華麗にスルー(笑)。

例外もあるとは思いますが、それだけしかないレビューを信用するのはあまりに危険です。

どんなに褒めていてもクソミソにけなしていても、私は基本的には判断基準には含めません。

もちろん、すでにその本を自分が読んでいれば、妥当性も見当がつくのでしょうけど、予備知識なしで「単独レビュー」を信用するのはちょっとリスキーかと、

なお、2つ以上レビューがある場合には、次に従います。


■特定の著者に偏ったレビューがほとんど

◆2つ以上のレビューがあることがわかった場合は、全●●件のレビューを見るをクリック!

ここでそのレビュアーの書いたレビューが出てきますが、本の画像とともに、著者名も表示されます。

レビュー数が一桁の場合にたまに見受けられるのが、特定の著者のみ(ばかり)レビューしているケース。

これもやはり、褒めていてもけなしていても要注意!

仕込みか、イヤガラセの可能性が考えられます。

もちろん、熱烈なファンが純粋なキモチで応援しているケースもありますが、そもそも「熱烈なファン」である時点で、バイアスがかかっていそうですし(汗)。


■特定の出版社に偏ったレビューがほとんど

◆上記のケースの「出版社バージョン」です。

こちらはまだけなしまくるケースは見たことが無いのですが、同じ出版社の本「だけ」5つ星をつけているレビューには何度か遭遇した事があります。

・・・これは出版社さんの仕込みですかね(汗)。

いや、特定の出版社の熱烈なファンという可能性もあるんですが(笑)。


【参考にしたいレビュアーとは?】

◆今度は、上とは逆に「参考にしたいレビュアー」です。

■「ベスト●●レビュアー」等に選ばれている

◆これはもう、レビューの多さと「参考になった」票のおかげで、かなりの信頼感が出てしまいますよね。

ちなみに、「ベスト10」でこんな感じです。

ついでに「50位近辺」と「100位近辺」も。

とりあえずこの辺りのクラスのレビュアーなら信じたいところです(笑)。


■そのレビュアーのレビューに「参考になった」票が集まっている

◆過去に「賛否両論の本」のレビューを書いていると、どっちに転んでも半分は「参考にならない」とされてしまっている可能性はあるのですが、それでも、信用に足るレビュアーであれば、全体としてみれば、「参考になった」票が多く集まっているものです。

そういうレビュアーが見つかれば、お目当ての本のレビューも、そのレビュアーのものをファーストチョイスします。


■そのレビュアーの「他の本のレビュー」に同意できる

◆私の場合、ある程度本を読んでいるので、そのレビュアーの過去のレビューに知っている本が含まれている事があります。

そのレビューを読んで同意できるか否か。

それを信じてハズレたとしても、それはもうしょうがないです。


【それでも見抜けないケースなど】

◆これはちょっとレアなケースなので参考程度で。

最近、何人かのお知り合いさんにご報告した例で、「満点評価のレビューが異様に多く、かつそれらに"参考になった"票が多数寄せられている本」というものがありました。

たまたま私はその本を読んでおり、感想としては、「そこまで高評価される本ではない」、と言うのが自分なりの結論(注:当ブログではご紹介しておりません)。

そこで、それらの高評価のレビューをしたレビュアーを、念入りにチェックしてみました。


◆すると、「レビューが一つだけ」というレビュアーを除くと、上記で挙げた「参考にならないレビュアー」のポイントは一応すべてクリア。

「レビューは3つ以上」

「特定の著者や出版社の傾向もない」

これはどう考えても、「普通のレビュアー」ですよ。


◆しかし、さらにそれらのレビュアーを調べていくと、面白いことに気が付きました。

レビュアーがその本をレビューした日付けはまちまちなんですが、「レビュアーごとに、その本のレビューの日付けと、他の本のレビューの日付けがみな同じ」(汗)。

つまり、「Aさんの3つのレビューは皆、6月30日、Bさんの3つのレビューは皆、7月2日」とかそんな感じなんです。


◆おまけに、該当の本の内容と多少なりとも関連性のある本をレビューしているものが多いので、正直、日付けの事に気が付かなかったら、「あぁ、●●に興味のある人がレビューを書いたんだな」程度にしか思いようがありません。

仕込みだとしたら、かなり高度です。

しかも、それらの満点評価に対しても、数多くの「参考になった」票がついているわけですから、そりゃーこのアマゾンのページ見た人は「買おうか」、という気になりますわな。


◆その後さすがに実際に購入した人から反感を買ったようで、その本には、星1つの評価のレビューもポツポツと投稿されるようになりました。

するととある力が働いたらしく、星1つのレビューの中にこんなフレーズが。
ちなみに1つ星をつけたら3時間で17件の「このレビューは参考になりましたか?」「いいえ」の評価をもらいました。ご参考まで。

要は、少なくともそれだけの数のアカウントユーザーが、待機(?)しているという(汗)。

こうなると、アマゾンのレビュー欄を戦場とした、ちょっとした争いですね(汗)。

(注:なお、無名の著者サンの出したこの本が、「アマゾンのランキングで何位になったか」については、真似する人が出ると困るので内緒です)


【感想など】

◆・・・と、ここまで書いといてアレですが、実は、私以外のアマゾンで本を買われる方が、どれくらい細かく商品ページをご覧になっているのか、よくわかっておりません。

ちなみに、こちとらブログで記事を書く関係上、多少ぁゃιぃ本であっても、結構買っちゃってます。

結果、本が届いてパラパラ見て、そのまま積読状態とかになったりすることもあるんですが(汗)。


◆ですから逆に、本を買う機会の少ない学生さんの方が、私なんかより余程じっくりアマゾンをチェックしている可能性もあります。

「レビューも全部読むし、そのレビュアーも全員調べてます!」なんて方にしてみたら、今回のこの記事は、大甘ですね(汗)。

そういう方がいらっしゃったら、コメントおながいします。

色々作戦練りましょう(爆)。


◆なお、私は今回とりあげた「仕込みまがい」のレビューを真っ向から否定しているのではありません。

そもそも、法に違反しているわけではないですし、それ以前に今回書いた内容も、あくまでわたしの「憶測」ですから(笑)。

いつも、レビュー名を変えて(必然的にレビュー数は1になる)、真摯にアマゾンにレビューを投稿されている方もいらっしゃるかもしれませんし、もしそういう方がいらっしゃったら、失礼な記事だったと思います(気を悪くされたらスイマセン)。


◆ただ、個人的には、むしろ、(自分の)商品のセールスページをより良くしようとする企業努力だけ(?)は見習いたいな、と。

小飼 弾さんも書かれているように、「献本しておいてアマゾンにページがない」という方が、書評ブロガーとしてはよほど痛いです(私は献本関係ないですね(笑))。

どんなにブロガーが、アマゾンに読者さんを誘導しても、そこにページがなかったり(それじゃ送り込めないって(笑))、商品ページが貧弱だと、読者さんの購買意欲も下がって当然。

一言いわせて頂くなら、「とりあえず、商品説明ぐらいつけといて〜!」(笑)

というワケで、今後も私は、アマゾンワールドにどっぷり浸かるのでありました・・・。

2010年3月24日水曜日

タカラ創業者、86歳で博士号 ものづくりの極意体系化



 「だっこちゃん」や「リカちゃん」の生みの親で玩具メーカー「タカラ」(現タカラトミー)創業者の佐藤安太(やすた)さん(86)が今春、山形大学大学院の博士課程を修了した。約60年ぶりに再入学した母校に千葉県の自宅から3年間通学。現場経験を生かし、「ものづくり」や「人づくり」の伝承方法をまとめた。学生生活を終えた佐藤さんは、もう次の夢を膨らませている。

 山形県米沢市で21日にあった学位記授与式。スーツ姿の佐藤さんはゆっくり登壇し、工学博士号を受け取った。「お金では買えない宝物。86歳でこんな達成感を味わえるなんて幸せ」。最高齢の工学博士号取得者としてギネスブックに申請したという。

 1945(昭和20)年に米沢工業専門学校(現山形大)を卒業。55年にタカラの前身会社を創業した。00年に経営から退くまで「だっこちゃん」「チョロQ」など数々のヒット商品を世に送り出し、「おもちゃの王様」と呼ばれる。

 しかし、心残りがあった。

 「開発で身につけた創造力を後進に伝えられるよう体系化しようと思ったが、できなかった」

 退任後、自分なりの人材育成法を講演していたが、「ものづくりや人づくりを学術的にまとめたい」との思いが芽生えた。ちょうど母校からの誘いもあり、07年に理工学研究科博士課程のものづくり技術経営学専攻に入った。

 「やるからには名誉博士でなく、きちんとやろうと思った」

 月1回ペースで千葉県から米沢市のキャンパスに通った。都内のサテライト校の授業にも出席した。息子世代の教授に習い、孫世代の学生と学んだ3年間のキャンパスライフ。指導教官の高橋幸司教授(57)からは「私が先生で、あなたは弟子です」と何度も念を押された。「従わないように見えるのかな」と佐藤さん。

 佐藤流の人材育成で大切なことは、人生計画を立てること。「経営計画を作る会社は多いが、人生計画を立てる人は少ない」。(1)倫理(2)家庭(3)知識(4)健康(5)美(6)遊び心(7)経済力——の七つの項目ごとに現状を分析し、目標や行動計画をつくる。「なんとなく生きている人たちに、自分探しをして欲しかった」とも。

 ものづくりにもこれを応用した。項目ごとに社会の問題点などを考え、求められている商品を作り出す方法だ。ベテラン社員が直感で生み出す商品開発は伝承しにくいが、佐藤流なら伝えられると考えた。

 タカラトミーの社員や山形大生らに佐藤流でおもちゃを開発してもらう実験をし、「効果を確かめた」という。

 佐藤さんの原動力になっているのは、多くの仲間を失った戦争体験だという。「生き残った自分は何のために生きているのか」。そう自問自答を繰り返してきた。そして、3年間の学生生活で、次の目標が明確になった。「このやり方を広め、多くの人に能力を発揮してもらいたい」

2010年3月13日土曜日

新素材:98%水…医療などで利用期待 東大チームが開発


 強い力で伸縮しても元に戻り、大半が水でできたゲル状の新素材を、相田卓三東京大教授(超分子化学)らが開発した。硬さはこんにゃくの500倍といい、石油由来のプラスチックに代わる素材として医療や環境分野での利用が期待できる。21日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 新素材は「アクアマテリアル」と命名した。

 研究チームは、水に、化粧品や歯磨き粉の吸着剤に使う市販の粘土鉱物を入れ、紙おむつの吸湿剤「ポリアクリル酸ソーダ」を添加。その上で医療用の高分子有機物を改良した物質「G3バインダー」を加えると、数秒で透明なゲルができた。ポリアクリル酸ソーダとG3バインダーが、ナノメートル(ナノは10億分の1)級の粒子でできた粘土をつなぎ直すことで固まるという。

 成分は98%が水、粘土2%弱、新開発の化合物0.2%以下で、グミキャンディーのような手触りがある。強度は美容整形に使われる既存のシリコンゴム程度で、粘土を増やすと硬くなる。水が蒸発する約100度まで耐熱性があり、切断してもすぐはり合わせれば元通りになる。

 相田教授は「人工関節や臓器の傷をふさぐ充てん剤など、応用範囲は広い」と話す。

http://mainichi.jp/photo/archive/news/2010/01/21/20100121k0000m040150000c.html

見事な“鎮火”はなぜ可能だったのか UCCの事例から考えるTwitterマーケティング

Twitterを企業のマーケティングに利用しようという企業が増えているが、「どう使えばいいか分からない」「炎上が恐い」といった声もある。

 UCC上島珈琲は2月18日、自ら行ったTwitterキャンペーンが批判を浴び、2時間で終了に追い込まれた経緯を題材に、識者を集めてTwitterマーケティングについて考えるセミナーを開いた。

 UCCのキャンペーンでは炎上後の対応の早さに注目が集まったが、背景にはリスク管理体制の整備や、いくつかのラッキーな偶然があったことが浮き彫りに。BOTを使ったキャンペーンのあり方や、人手で更新するアカウントの難しさなどについても議論が行われた。【岡田有花】

●なぜ失敗したのか

 問題になったキャンペーンは5日午前10時にスタート。11のアカウントを使い、ユーザーがつぶやいた「コーヒー」「UCC」などの30のキーワードに反応、宣伝リプライを自動で送信するというものだった。

 フォローしていないアカウントから一方的に宣伝リプライが届いたため「UCCがスパム的なリプライを送っている」と批判の的に。特に広告・ネット業界のTwitterユーザーが素早く反応し、批判が拡大した。Twitterの口コミの広がりを可視化する技術を持つホットリンクの内山幸樹社長によると、キャンペーン開始から1時間で、関連のツイートが1万8000件投稿されたという。

 「Twitterは対話のメディアなのに、今回は完全に一方通行だったことが問題」と、複数のTwitterアカウントを運用しているアルカーナの原田和英社長は話す。

 例えば米航空会社JetBlue Airways は、ユーザーが空港で困っていることをツイートするとサポートするというやり方で、160万ものフォロワーを集めている。「JetBlueはTwitterを『リスニングや会話に適しているメディア』だと言っている」(原田さん)

 「Twitterに対する期待値のズレがあった」——マスマーケティングと同じ考え方で、たくさんのユーザーに情報を届けようとした場合は、UCCのキャンペーンのような手法を採らざるを得なかったのではと、ブログマーケティングなどを手掛けるアジャイルメディア・ネットワークの徳力基彦社長はみる。

 「Twitterは、ユーザーの声のリスニングから入り、その上で自分でもしゃべって活性化するものだが、フォロワーのいないTwitterアカウントを使って何千、何万に情報を届けようとすれば、BOTを使うしかない」

●BOTもやり方次第

 BOTだけが問題だったのではない。「BOTはやり方次第。メールマーケティングと同じで、やり方の問題」(原田さん)だ。「例えば、飲み屋の席にお姉さんがコーヒーを持って来て宣伝する、というのは盛り上がる。UCCのBOTのアイコンがきれいなお姉さんで、誘導の文言が魅力的だったらうまくいったかもしれない」(徳力さん)

 BOTを使ったマーケティングにも成功事例はある。グリコ乳業の「ドロリッチ」を飲んでいることを示す「ドロリッチなう」というツイートに反応するBOT「@dororich」(ユーザー個人が作ったもので、グリコ公式ではない)の例は有名だ。

 TSUTAYAのTwitterアカウントで2月3日から行っている、BOTを使ったクイズキャンペーン「@TSUTAYA・クイズ」もスタートから約2週間で5000人以上のフォロワーを集める人気。フォローしてきたユーザーが、「クイズ」というキーワードをリプライした時のみ、映画に関するクイズを返信するというものだ。

 @TSUTAYA・クイズの企画に関わったゲームクリエイターの飯野賢治さんによると、ユーザーにフォローしてもらった上で、要求があればユーザーごとにクイズを返す——という形で、“タイムラインを汚さない”キャンペーンを目指したことが、成功につながったとみる。「タイムラインは自分の場所、家という感じがあり、汚されるのは嫌なもの」(飯野さん)

 今後BOTが進化し、その人の興味があることを適切なタイミングで話しかけることが可能になれば、新たな活用法もみえてくると内山さんは話す。

●迅速な対応、なぜ可能だったのか

 「UCCのキャンペーンが批判されている」——同社でネット事業を統括するグループEC推進室に報告が入ったのは、開始から1時間半経った11時30分のこと。キャンペーンは12時までに中止し、午後1時に上島豪太社長に報告、3時20分には謝罪文を公開した。

 迅速な対応はなぜ可能だったのか。1つの要因は、グループ会社で喫茶店「珈琲館」などを運営するUCCフードサービスシステムズが、昨年11月から公式アカウント「上島珈琲店なう」を運用していたことにある。

 UCCグループEC推進室の坂本晃一室長は、上島珈琲店なう開始にあわせ、いくつかの準備をしていた。まず、Twitterについて上島社長に説明した上でスタート。リスク管理体制もある程度築いた上で、Twitterユーザーの特性を見ながら丁寧に運用していたという。

 上島珈琲店なうでつぶやきを担当しているのは、UCCフードサービスシステムズの女性だが、(別会社の)UCCが、運用を監視したり、つぶやきに関する相談を受ける体制にした。「Twitterは1人でやっていると心が折れることもある。別部署にオブザーバーがいた方がいいだろう」と考えたためで、坂本さんも普段から相談を受けていたという。

 炎上を把握したのも、つぶやき担当の女性からグループEC推進室に報告が入ったことがきっかけだ。上島珈琲店なう開始以来、Twitter上の「UCC」「上島珈琲」などの書き込みを監視していたことが、事態の把握を早めた。

 「UCCは食品会社なので、(食品の問題などが現場から上にすぐに伝わるよう)緊急連絡体制を作っていた。上島珈琲店なうで、あらかじめリスク対応の大まかなアウトラインを決めていたことも役に立った」と坂本さんは振り返る。

 謝罪文のプレスリリース公開が早かったのは、偶然、当日午後1時にグループの経営会議が開かれたためだ。坂本さんは会議冒頭、経緯と関連ツイートをまとめて報告。上島社長が「すべての情報を正直に出して謝罪する」と即決し、午後3時20分に謝罪文を公開。Twitterですぐに広まったほか、ブログ、ニュースサイトなどに取り上げられて対応の早さに驚く声も挙がり、騒動はいったん収束した。

 坂本さんは一連の流れを振り返り、「当初から、失敗に対して誠実に向き合おうと担当者から役員までが考えていた」と話す。迅速な対応ができたのは偶然が重なったためで、「ソーシャルメディアとの付き合いはこれから」。今後Twitterをマーケティングに使う企業に対しては「偶然に期待をせず、意図的に、リスクに対して最初の設計を決めていただきたい」と期待する。

 NTTでIR担当を務めたこともある徳力さんは、「UCCの対応は、正直、早すぎた」と驚嘆する。「NTTのIR担当時代に、大企業でニュースリリースを出すたいへんさを実感している。普通の企業にはできない早さですごいと思うと同時に、自分が逆の立場だったらできるだろうかと」

●代理店はどこか “類焼”を消火したツイート

 “類焼”もあった。マーケティング炎上の翌6日、「キャンペーンを請け負った代理店はどこか」という話題がネットで盛り上がり、まったく関わりのないサイバーエージェントの名が挙がったのだ。

 「当社の名前がまことしやかな形で出ている」——サイバーエージェント技術部門担当取締役の宇佐見進典さんも気づき、様子を見守っていたという。6日午後7時半ごろ、知人を通じて自社が関わっていないことを確認。「“消火作業”をしないと」と考え、午後10時ごろ「やってないことを証明するのは難しいです」とつぶやいた。

 自社に関連する内容をネットに書き込むには広報を通すのが筋とも考えたが、「手続きが面倒と思った。トラブルがあれば、自分が怒られればいい」と、自分で責任を取るつもりでツイートしたという。

 このツイートは次々にRTされて広がり、サイバーエージェントの濡れ衣を徐々に晴らした。「黙ったままだと仮説が事実化されていくという恐ろしさを目の当たりにし、やってないことは『やっていない』ときちんと言うことが重要と思った」と、宇佐見さんは振り返る。

●「心苦しかった」

 「心苦しかった」——6日午後10時ごろ、ネット上でサイバーエージェントの名が挙がっていることを知り、坂本さんは悩んでいた。「キャンペーンはすべてUCCの責任。サイバーエージェントはまったく関係ない」と、3つの“消火”法を考えた。

 (1)翌7日にもう一度プレスリリースを出して説明する、(2)UCCのTwitterアカウントを取り直して説明する、(3)騒動を受けて一次停止していた「上島珈琲店なう」のアカウントで説明をする——だ。

 だが他社が関わるうわさをプレスリリースで否定するというのも不自然。Twitterで炎上した後に新たにTwitterアカウントを取るのも避けるべきと考え、上島珈琲店なうでつぶやくことを選んだ。「本来なら広報を通さなくてはならず、社内の規定は超えているが、わたしが責任を取るということで“フライング”した」(坂本さん)

 6日深夜に書き込んだ謝罪ツイートは好意的に受け止められ、“犯人探し”も落ち着いた。

 上島珈琲なうのアカウントは、週明け7日午前10時から本格的に再開。「これからも頑張ってつぶやいていきますのでよろしくお願いします」とツイートしたところ、その直後からはげましのリプライが次々に寄せられた。

 「つぶやきを再開すると再び炎上するのではという不安があったが、温かいメッセージをいただいた。つぶやき担当者は目を真っ赤に腫らしはらしながら見ていた。わたしも後ろで見ていてウルっとなった。いまこうして話しながらも胸に来る。温かいファンに助けられた」(坂本さん)

 本来なら広報を通すべき内容を、坂本さんと宇佐見さんがそれぞれ自己責任でツイートしたことが、類焼の迅速な鎮火につながった。

 「Twitterは現場に権限を委譲しないとうまくいかないが、炎上したときに誰が責任を取るというのは難しい問題だ」と内山さんは指摘。ソフトバンクの孫正義社長のように、会社の権限を掌握している代表が個人としてTwitterを始めるのも1つの解決策だと、複数のTwitterアカウントを運用しているアルカーナの原田和英社長は話す。

●“人間らしいTwitterアカウント”の難しさ

 Twitterマーケティングで成功している企業は、担当者が1人張り付き、フォロワーと1日中交流しているケースが多い。上島珈琲なうのほか、「加ト吉」ブランドのテーブルマーク、NHK広報局などのアカウントは、つぶやきの“ユルさ”や誠実な対応で人気だ(参考:元気がいいTwitterの軟式企業アカウント:NAVERまとめ)。

 だが、担当者が張り付いて運用するアカウントは、フォロワーが増えるほど対応が難しくなる。「大企業であればあるほどフォロワーに話しかけられ、Twitter担当1人でサポートセンターをやるような世界になりかねない。大企業の担当者は本来は、自分の権限ではそれほどリアクションできない」と徳力さんは指摘する。

 日経ネットマーケティングの杉本昭彦副編集長も「朝から晩までレスを返すのはなかなかできることではなく、加ト吉さんはすごい」と同意。「Twitterマーケティングの成功事例は、担当者のキャラが面白く、フォロワーとの会話がうまくいっている場合が多い。告知だけのアカウントだと許されない空気感は恐怖だ」(徳力さん)という意見も挙がった。

 企業のTwitter利用の相談に乗っているCGMマーケティングの佐々木智也COOは、「プロフィールに『リプライには回答できない場合があります』などと書き、徐々にやっていくという手段もある」と話す。

●それでもTwitterを使ってほしい

 「これだけの騒動になったが、裏を返すとTwitterにはそれだけのパワーがあるということ」——企業のTwitter活用にはさまざまな可能性があると坂本さんは話し、UCCも「もう一度チャレンジしていきたい」という。

 企業にとってのTwitterの魅力の1つは、「情報をプッシュする力」だと杉本さんは指摘する。「フォローしてもらえればプッシュでき、メールマガジンに近い特徴がある。タイムセールなど時間限定の瞬発力もある。どう生かすかという意識しながら使えば可能性あるのでは」

 最低限、アカウントは持っておくべきと徳力さんは話す。「アカウントを持って自社サイトの更新情報ぐらい流しておけばいいと思う。でないとTwitter上で話題にすらしてもらえない」

 炎上を恐れて及び腰になる企業もあるが、宇佐見さんは「Twitterの炎上は、2ちゃんねるでの炎上に比べると消火しやすく、プチ炎上があっても誠実に対応すれば解消する」と、自らの経験を振り返る。

 「失敗を恐れて事前に準備するよりは、問題が起きても対応すればいいというぐらいの気持ちでやったほうがいいのでは。ユーザーの不満に対してリアルタイムに対応すると、モヤモヤはかなり解消できる部分がある。ネガティブにとらえるよりは、それを使って何ができるかというポジティブさが重要では」(宇佐見さん)

メーカーの「信者」は本当にいるのか?成長著しい「価格.com」を運営するカカクコム社でいろいろ聞いてきた

 2007年4月に価格比較サイト「価格.com」を運営するカカクコム社を取材しましたが、今月に同社が新しいオフィスに移転したという案内が届いたので、これを機に改めて取材をしてきました。

キャッチコピーを賢者の買い物から「買ってよかった」をすべてのひとに。へと変えた理由や1日あたり5000件を超えるクチコミ掲示板の運営について、法人向け新サービス「価格.com Trend Search Enterprise版」のねらい、告知していた通りに新年早々「不況箱」で圧倒的な不幸を届けたにもかかわらず、ユーザーからショップ評価を急落させられたクレバリーに対するスタンス、今後の方針についてなど、さまざまなお話を聞かせてもらいました。

はたして日本最大級の価格比較サイトはいったいどれだけパワーアップしたのでしょうか。


◆装いも新たになったカカクコム
これが移転したカカクコムが入っているビル。水道橋から代官山に移転しました。

インタビューしてみた内容は以下から。今回お話をうかがったのは株式会社カカクコム 上席執行役員 価格.com本部 ショッピングメディア部長 結城晋吾氏と広報室の甲斐かおりさんです。

◆2007年4月から3年弱、「価格.com」はどう進化したのか

GIGAZINE(以下、Gと省略):
2007年4月の時点で、社員数はカカクコム単体で130人となっていましたが、今の時点で社員はどれくらいいますか?グループ全体の社員数についてもお願いします。

甲斐:
2010年1月末の時点ですが、カカクコム単体で約250名(社員数)で、グループ全体では301名です。派遣や契約、アルバイトの方などを入れると380名くらいになりますね。

G:
飲食店のクチコミ情報サイト「食べログ」などをはじめとした「価格.com」以外のサービスも手がけていますが、具体的なサービスをピックアップしてください。

甲斐:
歴史が長いところからいきますと、ホテルや旅館の格安予約サイト「yoyaQ.com」や賃貸情報サイトの「スマイティ」、新築マンションの検索サイト「マンションDB」があります。

少しマニアックなところになりますと、エンジニアの方々がQ&Aを掲載したり、技術的なノウハウを共有したりするようなコミュニティサイト「okyuu.com」がありますし、価格.comのユーザー層と親和性が高いサービスとして、デジタルカメラで撮影した写真を共有する「photohito」を運営しています。

あとはグループ会社が運営するサービスとなりますが、旅行のクチコミを共有するフォートラベルや総合映画情報サイト「eiga.com」もあります。

G:
価格.com内の「パソコン」や「家電」「カメラ」といったカテゴリの掲載順はアクセス順なのでしょうか。

甲斐:
カテゴリの並びはアクセス順であるとは限りませんね。パソコン、家電、カメラの順番で並んでいますが、今はパソコンよりも家電のアクセスの方が多くなっています。

2009年1月の時点ではパソコンへのアクセスが1ヶ月あたり600万人強で家電は570万人と、「パソコンが家電より少し多い」状況が比較的続いていましたが、ユーザー数の増加にも伴い、一般の消費者層も随分取り込めたことで、2009年11月の年末商戦あたりから逆転していますね。2010年1月時点ですと、パソコンが697万人だったのに対して、家電は750万人という実績です。エコポイントの影響や液晶テレビ人気も影響していると思いますが、家電の伸びが特に著しいと思います。

結城:
今のところパソコンと家電の2強ですが、次はカメラや車が強いです。カメラはこだわりの強いユーザーが多いのと、車はクチコミを中心に盛り上がっていますね。ちなみにカメラのアクセスの伸び自体は今年に入ってから鈍化傾向にありますが、これは新製品が昨年秋に発売された製品が多く、その時期にアクセス数のピークを迎えたためです。パソコン、家電のカテゴリと比べて1製品あたりのアクセス数ではダントツの1位です。

G:
「価格.com」の利用者についてですが、2007年時点での月間利用者数は800万人で、男性と女性の比率は7:3、実際に購買力のある30~40代のユーザーが中心となっていましたが、今はどうなっているのでしょうか。

甲斐:
月間利用者数は約2400万人(2010年1月実績)で、男女比は6:4くらいになりました。年齢層に関してはいまだに30~40代がメインで、30代以上が全体の8割を占めています。

ただ、あれから3年が経過してもメインの世代層が同じなので、当時20代だった若い層のユーザーにも浸透しているのではないかと考えています。クチコミ掲示板でネットデビューされるなど、50~60代のユーザーも伸びてきておりまして、今のところ20代とだいたい同じ割合になっています。

また、先日すべての世代のネットユーザーを対象に同数ずつパネリングする形で認知度調査を行いましたところ、価格.comの認知度が9割を超えていましたので、ほぼネットユーザーには認知されていると考えています。これからはもっとリアルの人々に知ってもらいたいですね。

◆リアルの人々への訴求が課題

G:
リアルの人々に対する認知度を高めるための策はありますか?

甲斐:
最近はいろいろなところで取り上げられる機会が増えてきておりまして、2月7日にTBSさんの情報番組「がっちりマンデー!!」に取り上げていただいたところ、結構な反響がありました。全国ネットだったので都市圏の方だけでなく、日本全国津々浦々の方々に見ていただけて、うれしく思っています。今のところ具体的な予定はありませんが、いつかウェブだけでなく、リアルでイベントをやってみたいと思っています。

G:
賢者の買い物から「買ってよかった」をすべてのひとに。へとキャッチコピーが変わりましたが、どのような背景があるのでしょうか。

結城:
2006年後半から2007年前半にかけて、価格.comのブランディングを見直そうという「ブランドプロジェクト」というものがありまして、半年くらいをかけてサイトコンセプトを整理しようという話があったのですが、その中でいろいろと検討していった結果、コンセプトを明確化してブランドビジョンを決め、サイト上にも表示しました。

これがコンセプトページ。「買って良かった」をすべてのひとに。をビジョンに、「最適なものがみつかる」「一番お得な方法で手に入る」「誰かに伝えたくなる」を軸として、実現のためのミッションがまとめられています。


ちょうど社員が一気に増えてきてサイトコンセプトの共有がブレやすくなった時期でもありましたので、ブランドビジョンを一度ちゃんと整理しようとする中で、今まで使ってきたキャッチコピーの「賢者の買い物」をどうするのかという議論が始まりました。

ただ、今後もっと幅広いユーザーに使っていただくためにも、「賢者の買い物」が示すような「知っている人だけが賢い買い物をできる」サイトではなくて、パソコンに詳しくない人でも良いパソコンが買えるようになるような、分かりやすいサイトにしないといけないということで、キャッチコピーを「買って良かった」をすべてのひとに。に変えました。あまり表には出していませんが、大きな方向転換ですね。

もともとパソコン大好きな人が数多く入ってきている会社で、昔は入社すると10万円を渡されて、「秋葉原でパーツを買い集めて自分の社用パソコンを組み立てろ。まず仕事はそこからだ」というような会社だったので、価格.com自体も「知っている人向けのサイト」だったのですが、新たなユーザーを取り込むためにも、初心者でも欲しい商品を気軽に選べるようなサービスを提供していきましょうというのが、この3年間に取り組んだことですね。

甲斐:
より、親しみやすいものにするために、サイトデザインについても工夫しました。直感的で使いやすいインターフェースや、目に優しい淡い色使いなどもそうです。ただ、ロゴについてもいろいろな案が出ましたが、激しく変えることには社員も抵抗がありまして、マイナーチェンジっぽいものに落ち着きました。また、ユーザーさんが、より便利なサービスを使うのは当然だと思いますので、サイトデザインや導線には気を付けています。もし使いづらくなったと感じたら、いつでもご連絡下さい(笑)

G:
2007年時点での月間ページビューは4億となっていましたが、現在はどうなっていますか?

甲斐:
2010年1月の時点で、約7億7000万程度ですね。

G:
約3年前と比較してほぼ2倍となっていますが、右肩上がりですね。

甲斐:
本当にユーザーの皆様のおかげです。ありがとうございます。

G:
システムについてはどのようにされていますでしょうか(サーバーの台数など)

結城:
2007年4月当時のサーバーの台数はグループ全体で200台くらいでしたが、今は355台になりました。アクセス数や他のドメインでのサービスが増えるに従って増えています。355台のうち価格.comが170台で、食べログが50台となっていますね。

また、サーバーのスペックが上がっていますので、新しいサーバーにリプレースすると台数を減らせることもありますね。台数ベースではなくトータルのスペックで考えると、かなり投資はしています。

G:
かつては「メーカーから試供品が送られてくることはちっともない」ということをおっしゃっていましたが、より知名度が向上した今でも状況は同じなのでしょうか。例えば「新製品ニュースで取り上げて欲しい!」などとして、メーカー側から売り込んでくるようなことはありますか?

甲斐:
試供品が送られてくることは今でもありませんが、新商品をメーカーさんが売り込んでくることはありますね。プレスリリースがすごく来るようになりました。ちなみに「送り先が分からない」ということで、メーカーの広報担当者の方がプレスリリースを新製品ニュースの担当者ではなく、直接弊社の広報部に送ってくることがありますが、もしこの記事を見ているメーカーの方がいらっしゃいましたら、news@●●●●(●●●●には、kakaku.comが入ります)にお送りいただくようお願いします。そうすると新製品ニュースの担当者に届きますので(笑)

あと秋葉原の情報を中心に提供するアキバ総研は完全に独立したメディアとして活動しているので、秋葉原で行われるアイドルイベントなどの案内が数多く届いています。

G:
2005年5月に不正アクセスを受けてサイトを一時閉鎖したことが「伝説的エピソード」となっていましたが、あれから新たな伝説は生まれましたか?

甲斐:
正直なところ、2007年10月の価格.comの大幅リニューアルが一番大きいイベントでしたね。今までのキャッチコピー「賢者の買い物」や今までのロゴを捨てて新しく生まれ変わりました。あと、昨年には会社のロゴも新たに作りました。あとは住み慣れた総武線沿線からの引越しですね。

そしてもう1つ。アクセスが非常に好調で、かなり早い段階でアクセス目標を達成できたことですね。また、「食べログ」は昨年、初の書籍化にこぎつけましたが、これもリアルへのアプローチの1つです。すでに関西版が発売されていますが、3月には関東版も出ますので、是非ご覧下さい!

G:
新しく会社の自慢になるようなことができたなら、お教え願います。

甲斐:
ちょっとオフィスがキレイになりましたね(笑)新しく「リフレッシュルーム」なるものができました。テレビとテーブル、イスが揃えられてここで休憩ができます。総務の人が、社内の家電に詳しい人に聞いてテレビを調達したそうなのですが、東芝のレグザになりました。

◆「価格.com」の実態にさらに迫る

G:
以前GIGAZINEで価格.comが儲けるカラクリとして「集客サポート」「販売サポート」「情報提供」「広告」の4つから成り立っているのではないかという記事を掲載しましたが、実際はどうなのでしょうか?

結城:
まるっきりその通りです。決算資料から収益構造を読み解いていただいていますが、弊社の社員からも「あの記事を見てよく分かった」という声が非常にありました(笑)社内の人間は事業部ごとに分かれてしまっていて全てを把握しにくくなっているため、ほかの事業部との売り上げのバランスといったことを把握するのに役に立ちました。

G:
価格.comの新しい商材として、「製品詳細ページを活用した製品ダイジェスト」というのができましたが、実際の反応はどうですか?

結城:
まだ2009年11月にサービスを開始したばかりで営業をかけているところですが、今のところ数十社が利用しています。メーカーがユーザーに対して、訴求したいポイントを3つに限定して訴求できるサービスですが、「訴求できる点を特徴だけに絞った非常にマニアックな広告枠」と考えていただければいいかもしれません。

製品ごとのページに掲載されているため、コンテンツの延長的な扱いになるので、参考情報として見てもらいやすいのではないかと思っています。価格.comではスペック情報を掲載していますが、スペック表に出にくい各製品の特徴まではカバーしきれていないので、それをカバーするために導入しました。

メーカーさんが本当に言いたいことを、関心を持って製品情報ページを見に来た、購入確度の高いユーザーに直接訴求できるようにしていますし、いっぱい入れば入るほどコンテンツが充実するので、多くの会社に参加してもらうためにも、価格は1製品あたり6ヶ月で1万円(1ヶ月1667円)からと非常に安く設定しております。

G:
2009年11月より、前日の最安値から5%以上値下がりした製品をリストアップして、現在の最安価格と値下げ率、値下げ額、売れ筋などの各ランキングの順位とともに紹介する「本日の値下がり製品リスト」が提供されていますが、どれくらいの反響があったのでしょうか。

結城:
月間で32万ページビューとなったので、結構見られてはいますね。夜中に情報が一度クリアされるのですが、ゆっくりと情報が追加されていきますので、午前中は見てもあまり面白くないかもしれません。午後になると大分充実しますので、なるべく午後に見てみると面白いのではないでしょうか。

本日の値下がり製品リスト。在庫はリアルタイムに変動するので、見逃さないようにこまめにチェックした方がいいかもしれません。

G:
また、ほぼ同じ時期に法人向けに価格.comに掲載されている莫大な数の製品に対するユーザーの注目度のチェックや、メーカー同士の比較が可能となる「価格.com Trend Search Enterprise版」を開始しましたが、やはり法人ユーザーからの要望を受けてのことですか?

甲斐:
そうですね。以前から弊社が持っているデータを活用したサービスをやりたいというのがありましたし、メーカーさんやシンクタンクさんから、データを買いたいという要望もありました。そして要望があるごとにデータを集計して編集して……という作業をしていると、かなり手間がかかりますし、結果、メーカーさんにとっても弊社にとってもリーズナブルではありませんでした。

「価格.com Trend Search Enterprise版」は、弊社の「手軽にデータを集めて販売できる仕組みを提供したい」という希望と、メーカーさんのデータに対する高いニーズの両方を受けて実現したものです。膨大なデータを瞬間的に集計して出力するので、商用利用に耐え得るパフォーマンスを出すために試行錯誤を重ね、半年ほどかけてチューニングしました。

◆コミュニティの運営について

G:
一日に約5000~6000件ぐらいの書き込み数があるそうですが、どうやってコミュニティの質を維持しているのでしょうか。荒らしや迷惑なコメントをするユーザーへの対処についてお聞かせ下さい。

結城:
1997年に価格.comを立ち上げて、コミュニティは1998年から運営していますので、人にも組織にもノウハウが非常に溜まっているのと、製品にひも付けられた掲示板であるのと、ユーザーが成熟しているので、荒れづらいですね。もし荒れた場合も規約を非常に明確に持っていますので、規約に違反した場合は削除しています。

この間削除率のデータを見ましたが、平均すると全体の書き込みに対して2~3%程度にとどまっています。削除されるものもスレ違いやマルチポストが多くを占めていますね。

また、特にカメラなどのカテゴリだと、クチコミ掲示板で同じカメラを使っているユーザー同士のコミュニティ化してしまっていて、雑談の場となってしまうことがあるのですが、初心者が書き込みやすくするためにも、価格.comユーザー同士が気軽に雑談を楽しめる場として新たに「縁側」というサービスを提供しました。

これが2月22日から開始された縁側です。自由なテーマで掲示板を設置して意見交換ができるようになっています。

G:
2010年1月1日にパソコンパーツショップ「クレバリー」が不況箱を発売したところ、内容物のひどさにユーザーからショップ評価を暴落させられるという事態が発生しましたが、もし誰かが特定のショップの評価を下げる目的で複数のアカウントを利用するなどしてショップに低評価を下し続けるなどした場合、価格.comでは何らかの対処を行うのでしょうか。

結城:
書き込みをするためには、そもそもID登録が必要なのと、同じ人が複数のIDで評価を投稿したことがわかるような仕組みを持っているので、基本的にそういったものは排除できますね。最初からそういった対処をできるようにしておかないと、もし誰かのいたずらですべての店舗に「もう二度と利用したくない」という評価が付けられた場合、弊社もお店もビジネスが成り立たないと思っていますので、掲示板よりもかなり気を使っています。

甲斐:
書き込みに対しては気を使っていますね。「店舗に行ったら在庫切れだった」「自分が買った後に値段がさらに下がったのには腹が立つ」といった、購入行為とは直接関係のない書き込みについては削除対象となります。

ここに関してはこれまでの掲示板管理のノウハウの集大成が生きていると思いますね。当然100%公正な管理というのは難しいのですが、できる限り100%に近づける努力は続けています。クレバリーさんの店舗評価の書き込みは一時期すごいことになっていましたが、規約とは言え、その最中に運営側が何か動くのは、逆に火に油を注ぐ可能性も考えられましたし、そっとしておいた方がいいのではないかという考えもありましたので、マニュアル一辺倒ではなく、その都度状況に応じて対応していくのが良いのだろうと思います。

削除に関しては「匙加減」や「タイミング」が大事になってくるのですが、長年の経験がものを言うみたいで、「雲行きが怪しくなってきたから、そろそろ雨が降るのではないか」というような直感が身に付くようになっていますね。

結城:
削除対応などはカスタマーサポートが行っていますが、過去に何度か規約違反の実績があるアカウントなどは要注意対象として、常にチェックできるようになっているので、そのアカウントの人が何かをするとすぐに分かるようにはなっています。

◆さまざまなカテゴリに数多くのショップが登録

G:
たくさんのショップが登録されていますが、全部で何社が登録しているのでしょうか。

甲斐:
価格比較に参加しているのは1300~1400社ですね。カテゴリ別のショップ数ですが、カメラや家電、パソコンなどの複数のカテゴリをまたぐ形で商材を扱っているショップもあるので一概には言えませんが、扱っている商材が多いので、家電が一番多いと思います。

G:
新しいカテゴリを追加するときは、どのような基準で決めているのですか?

結城:
直近で追加される予定のカテゴリは「芝刈り機」と「草刈り機」「電動工具」です。追加基準ですが、まずはユーザーのニーズですね。あと価格比較を行うためには、型番がしっかりしていることと、ネットで通販されていることが前提です。デジタルフォトフレームといった一気にメジャーになったものや家庭用プラネタリウムといったマイナーなものまで、ニーズに合わせて追加しています。

新卒の子に研修で追加するカテゴリ候補を調査してもらったところ、家庭用プラネタリウムが出てきたので、そのまま作ってもらいました(笑)

これが新たに追加された家庭用プラネタリウムのカテゴリ。あまりメジャーな製品でないからこそ、クチコミ掲示板で情報交換が行われることに大きな意味を持ちそうです。

G:
今年1月に携帯カメラに写した色から洋服を手軽に探せるAndroidアプリケーション「ファッションカメラ」を提供開始しましたが、今後はAndroidをはじめとしたスマートフォンで価格.comのサービスを利用しやすくしていく方針なのでしょうか。

結城:
ユーザーからの要望もとても多いので、そろそろやらないといけないと思っています。今後の展開について、現在検討中です。

G:
カテゴリに「LANケーブル」はあるのに「LANハブ」がないのはなぜですか?正直、スイッチングハブとかの評価を知りたいのですが……。

結城:
「その他ネットワーク機器」というカテゴリに入っています。調理器具やカメラ関連製品なども「その他」に入っています。数が集まれば独立したカテゴリになります。製品数がないとランキングが成り立たなかったり、情報が少ないページになるためですね。

◆信者同士の争いは?

G:
各メーカーや製品ごとに「信者」と呼ぶべき熱心なファンがいて、ともすればファン同士での対立なども起きそうな気がしますが、だいたいどのようなジャンルに「信者」が多いのでしょうか?

結城:
対立が一番スゴいのはゲームのWiiとPS3ですね。あとは、そこまで白熱しないものの、プラズマテレビと液晶テレビの対立です。「信者」という観点で言うなら、Appleユーザーの団結力はすごいと思います。ソニーは「ソニー信者」というほどの人はあまり多くなく、信者というよりはファン止まりです。カメラに関しても各メーカーのファンはいますが、信者というほどのユーザーは多くありません。

G:
製品へのクチコミなどの内容を見ていて、あまりの不具合報告の多さに「この商品はリコール対象じゃないのだろうか…?」と客観的に見て思うことはありますか?

甲斐:
そこまで不具合報告が多い製品に当たったことはありませんが、製品に個体差はありますので、ユーザーがたまたまハズレの個体を引いてしまった場合というのはあると思います。そういう書き込みに対して、ほかのユーザーが「それは初期不良ですよ」というレスを返している例は見かけますね。

昔と違ってお客さんが豊富な情報を持った上で買い物に来る場合が多くなっているので、家電量販店の人が自分の担当する商品に関するクチコミ掲示板の不具合報告を事前にチェックしておくという話を聞いたことがありますね。

◆「消費全体のサービスを手がけている会社」へ

G:
昨年あたりから本格的にニュースリリースや調査レポートなどを配信するようになりましたが、社内体制に何か変化があったのでしょうか。広報担当は増えましたか?

甲斐:
以前は私1人だったのが、現在は2人になりました。ちょうど倍ですね(笑)

新たなスタッフも頑張ってくれていて、出しているリリースやサイトの数は倍以上にはなっていると思います。調査レポートを表に出していくのが価格.comリサーチで、トレンドニュースはトレンドサーチをPRするためのサイトなんですよ。基本的に文章は専属のスタッフが書いてくれているので、そのままリリースとして出しちゃえと。

また、うちの会社は組織を定期的に変えるので、検索サービス部やインターネットマーケティング部といった、ある分野に特化した部門も出来、全社にプラスの効果も出ています。人員も引き続き増えていますし、組織を活性化させるためにも、今年もまた新しい組織ができるかもしれません。

G:
今後の方針をお聞かせ下さい(こんな感じの展開を予定しています、など)

結城:
2007年当時にはなかったのですが、Yahooさんや楽天さんをはじめとしたインターネット上のショッピングサイトを横断して商品を検索できるショッピングサーチを価格.comに導入したことで、ファッションや洋服、お肉やお酒まで買えるようになりまして、フード・ドリンクなどのカテゴリも新設されました。

今後はパソコンや家電、カメラだけでなく、日用品なども価格.comで選んでから買うという流れを作れるようになればいいなと思っています。

試しにショッピングサーチを利用して検索してみたところ。価格.comのほかのカテゴリと同様のインターフェースで、Yahoo!ショッピングや楽天市場の商品も横断して検索できます。

甲斐:
カカクコムグループとしては、価格.comや伸び盛りの食べログが有名ですが、ほかのサービスも「第二、第三の価格.com」として盛り上げていきたいですね。弊社サービスに対する印象も「パソコンや家電の値段が分かるサイト」から「(パソコンや家電だけでなく)商品の値段が分かるサイト」という風にシフトしているようですが、イメージとしては買い物だけでなく映画を見たり旅行のチケット予約をしたり、住居を借りたりといった「消費全体のサポートサービスを手がけている会社」として認知されたいと思っています。

G:
ありがとうございました。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100228_kakaku_com/