2010年4月7日水曜日

詐欺とヤフーオークションの評価システム

all aboutより

約300万人が利用しているというヤフーオークション。かくいう筆者も1999年の開始当時から利用してきたユーザーの一人でもあります。今まで、数々の商品を出品・落札してきましたが、ついに詐欺に遭ってしまいました! 今回は、詐欺に遭う課程と、遭ってみて初めて気づいたオークションシステムの理不尽さについてご紹介したいと思います。

■ 正規製品を落札
マイクロソフト社のソフトウェアをヤフーオークションで探していた時でした。

一覧表示では、数々の違法製品らしきものが格安で並ぶ中、正規製品は値が張り一目瞭然という状態でした(現在でもそうですね)。俗に「海賊版」と呼ばれる違法コピー製品は、販売すると「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」に問われる可能性のある『著作権法』に違反してしまいます。「インターネットならば匿名だから捕まらない」と思っているのか、ヤフーオークションでは海賊版の出品が後を絶ちません。ですが、インターネットはそこまで無法地帯ではありません。よほどの強者ハッカーでも無い限り、確実に摘発されてしまいます。実際、過去にもたくさん逮捕者が出ています。購入すること自体に罰則はありませんが、証拠品押収のための家宅捜索を受ける可能性もあります。

売るのはもちろん、買うことにも相当のリスクがありますから、手を出すべきではありません。

筆者はもちろん正規品を買うべく探していたのですが、「非海賊版!認証必要!」というタイトルのオークションを発見しました。内容を見ると「海賊版や違法ではない」「マイクロソフト社より正式にライセンスを受けている」とのこと。ちょっと値段が安すぎましたが、掘り出し物があるのもオークションの常。タイトルから内容まで合法であると謳っていたので落札しました。すぐに振込先を知らせるメールが来ましたので、代金を指定口座へ振り込み、製品の到着を待っていました。

 詐欺に遭う
数日後、普通郵便で到着した製品を見て愕然。茶封筒の中に、コピー用紙に包まれたCDが1枚入っていただけでした。CDは表面が真っ白なCD-Rで、ケースにも入っておらず、梱包も粗悪でした。シリアルナンバーはメールで届きました。

どうみてもライセンスを受けた正規製品には見えません。確認のためインストールしてみると、あるはずのアクティべーション認証がありません。ソフトウェアは正常に動作しますが、業務で違法コピー品を使うわけにもいきません。

おかしいと思いマイクロソフト社に問い合わせをすると、この製品は違法製品との回答が!……そう、海賊版を正規品と偽った詐欺だったのです!

教えてもらった電話番号はケータイの番号で、何度電話をしても留守電になり連絡がとれません。メールでも何度か連絡するも返事はありません。

他の人が入札しないように「評価」(ヤフーオークションでは取引相手に対して5段階の評価とコメントを付けることができる)で、当然ながら『非常に悪い』をつけ、コメントに違法製品であること、そして返金希望の旨を書き込みました。連絡も全く取れませんので当然の措置です。ところが事態はとんでもない方向へ……。

 なぜか自分も悪者に!
「評価」をしてからまもなく、相手からも私に対する「評価」が来ました。そう、相手は私のメールを読んでおきながら無視していたのです! そして、自分が騙しておきながら、筆者に対する評価として『非常に悪い』をつけたのです!


逆ギレで悪い評価を入れられ、積み重ねてきた信用に傷を付けられ…
そこで再度返答を書こうとすると……できません!なんと相手の評価が「利用制限中」となり、全く見られなくなっているではありませんか!

 評価システムの理不尽
これは詐欺を指摘した筆者への逆ギレ行為に他なりません。報復攻撃をすべく、筆者に悪い評価を残した後に、自らのヤフージャパンIDを削除したため、筆者の評価に「悪い」だけが残る結果になってしまったのです。

ヤフーオークションでは、ヤフーの全サービスが利用できるヤフージャパンIDを利用しているのですが、ヤフージャパンIDを削除するとそのIDに対する評価や取引履歴が一切見られなくなってしまいます。

しかしながら、筆者の「評価」には『非常に悪い』という評価がしっかり残っており、しかもそのコメントが一切消えてしまっているのです! 

ヤフーオークションでは、入札する前に「評価」でその人の取引履歴をみて、信頼できるかどうかを判断する人がほとんどだと思いますが、筆者のケースの場合、どのような経緯で『非常に悪い』が付けられたのかが全くわからなくなってしまったのです。

詐欺の被害者であるはずが、悪意のある出品者に『非常に悪い』という全く根拠のない評価を付けられ、それを見る第三者にはそのことをしるすべがないのです! これは理不尽としか言いようがありません!

 補償を受けるのは超面倒

ここで問題が2つになりました。

【問題1】 詐欺により違法製品をつかまされたこと。
【問題2】「非常に悪い」という評価が自分についてしまったこと。
問題1の詐欺に関してですが、今までもニュース等で報じられてきたように、ネットオークション最大の問題です。。対策として現在、ヤフーオークションでは、詐欺等の被害に遭い金品をだまし取られた場合、最高50万円まで補償してくれる制度があります。

しかし、この補償制度は完全にユーザーの損失を補填してくれるわけではありません。5000円以上の取引しか対象になりませんし、補償金は支払金額の80%です。また、補償を得るためには数々の条件をクリアして、なおかつ煩雑な手続きを経なければならず「超」がつくほど面倒。自動車事故の保険金を請求するよりも何倍も大変な作業だと思います。(→補償制度についての詳細)

いくつか例を挙げると、相手への内容証明郵便の発送、警察への被害届の提出などです。相手の氏名・住所・電話番号を確認せずに取引を行った場合は補償の対象外となってしまいます。

ちなみに、今回の出品者の場合、最初に来たメールには銀行口座情報と○○という名字しか書いてなく、住所や電話番号はありませんでした。筆者はそれらを要求するメールを送り、返信には住所・電話番号がありました。

今回は被害額が少なかったのと、手続きが煩雑であったため、補償の請求や警察への被害届は出しませんでした。

 ヤフーは何もしてくれない
問題2の「評価」に関してですが、この件については、詐欺行為云々ではなく完全にヤフーオークションのシステムの問題ですので、カスタマーサポートに何度かメールを送り問い合わせてみました。しかし、担当者からの返答は、全く的を射ておらず、「完全に当事者同士の責任で行なうことになって」いる、「当事者間でお話し合い」して欲しい、という内容ばかりで、「評価を削除できないのなら、コメントを表示して欲しい」という要望に対しても、「評価を削除することはできません。」という回答が繰り返されるだけでした。前後の文も毎回同じで、ただフォーマットをコピペ(コピー&ペースト)しているような印象を受けました。

いずれのメールにも「評価システムは、Yahoo!オークション・コミュニティーに無責任な人間が参加したり、詐欺まがいの入札が横行するのを防止するために機能しています。」という文章がありましたが、詐欺の被害者が悪い評価を受けるのでは公平な評価システムとは言えないのではないでしょうか?

この点について、ヤフージャパンに取材したところ、「評価システムは、オークションのデータベースとヤフージャパンIDのデータベースの両方を利用しており、ヤフージャパンIDが削除されるとデータベースを参照できなくなるためコメントだけが表示されなくなる」と評価システムの不備は認めたものの「両方のデータベースを参照している都合上、簡単にシステムを修正できない」そうで「評価システムを改善する予定はない(2004年9月13日現在)」とのことでした。

評価を公平なものとするためには、さし当たって以下のいずれかの対策をとる必要があると考えられます。

削除されたIDによってなされた評価は、コメントだけでなく評価も削除する。
IDが削除されても、評価とコメントはすべて表示させる。
いずれにしろ、評価だけを残し、コメントを非表示にするという現行の評価システムはあまりに不公平です。早期の改善を望みます。

 入札者は要注意
ヤフーオークションに補償制度ができ、参加者の本人確認をするようになり、安全な取引に関する情報をヤフーが積極的に開示する(利用者にはメール等で定期的に情報を送っている)ようになり、ヤフー側も詐欺行為撲滅のためにあの手この手を打ってきたのも事実です。

しかし、300万ユーザーという大きなコミュニティーに成長した今、現実の社会同様、悪意のあるユーザーとの「いたちごっこ」になってしまっている事実は否めません。

最終的には、お金を支払う入札者が、被害に遭わないように十二分にチェックをし、少しでも怪しい場合には取引するか否かを慎重に検討するしかないように思います。

ヤフージャパンによると、優良な評価を持つIDのパスワードを不正に入手してIDを乗っ取り、犯罪を行うケースも増えてきているそうです。評価だけで信頼するのではなく、相手の氏名・住所・電話番号をきちんと確認することは不可欠です。

 出品者も要注意
これまで商品を購入する入札者の危険性についてご紹介してきましたが、品物を売りに出す出品者に危険はないのかと言えば、そうとも言えません。

過去の取引で不満を持った人やその関係者、ひいてはライバル業者などによる、「ID潰し」や「評価潰し」なる悪質行為があります。これは、落札する意志がないのに高額で入札・落札し後はなしのつぶてをする、というオークションの妨害行為です。さらには、落札者が出品者の評価ができることから、商品を購入していないにも関わらず不当な評価をつけ、出品者の信頼を失墜される悪質行為に及ぶことも多く、いずれの場合も、出品者は今まで培ってきた評価(信頼)を捨てるしかないのが現状です。

出品者の中には、取引を出品者に有利になるような条件や要求を落札者に課すケースもあります。良識的かつ思いやりのある態度で、双方満足のできる取引を心がける必要があります。

 でもオークションは便利!
ヤフーオークションのシステムの欠点と、危険性について語ってきましたが、それでも筆者はオークションを利用し続けています。無店舗で誰でも商品が販売できる機会が得られ、数多くの出品の中から安く商品が買えるというメリットは、リスクを考慮しても余りあると評価しているからです。

入札者にしても出品者にしても、ポイントをきちんと押さえれば安全かつ満足のいく取引ができることもまた事実です。評価数(取引回数)が6000以上もあるユーザーで、悪い評価が1件もないという人を先日見かけました。

実際の店舗でも偽ブランド品を販売したり、悪質商法を行うところもあるわけで、ネットオークションが危険というわけでは別段ありません。ヤフーオークションのガイドラインや「確認しよう!7つのポイント」などをきちんと実行しておトクにオークションを楽しみましょう!