日経Web(2011.11.12)
インターネット上の仮想空間サービス「アメーバピグ」を巡り、小学生を含む未成年者による違法行為などが相次ぎ、警察や教育関係者らが警戒を強めている。運営するサイバーエージェント(東京)も対策強化を進めているが、不正行為のすべてをチェックすることは難しいという。
2~9月、愛知県警が同県など6県の小学5年~中学2年の男女8人を不正アクセス禁止法違反容疑で摘発した。8人はメールを通じて他者のIDやパスワードを不正に取得し、アメーバピグにアクセス。被害者のアバター(自分の分身)や利用者が現金で購入したアバターの衣服・家具など、仮想空間内の持ち物を乗っ取っていた。被害者側も小学生を含む未成年者がほとんど。
2月には福井県警が、福井市の女子中学生のIDなどを聞き出してアメーバピグに不正侵入したとして奈良県の当時小学4年の少女を補導した。
愛知県警生活経済課の担当者はアメーバピグについて「芸能人が参加したり、テレビCMを流したりして子供の人気が高い。気軽に参加でき、のめり込みやすい」とみる。
全国webカウンセリング協議会(東京)の安川雅史理事長は「かわいらしいキャラクターを使った仮想空間で現実世界さながらにやり取りできるのが特徴」と言う。相談も増加傾向にあり、アメーバピグ上の人間関係で悩む子供や、「学校に友達はいないがピグの中にはたくさんいる」と話す子供もいるという。
愛知県警は10月、サイバーエージェントに、アメーバピグ上の監視強化などを促す異例の要請をした。同社はIDやパスワードが盗まれにくくなるよう対策を強化。会員同士のやり取りでIDを聞く行為に対しても、警告を出すようにする予定だ。同社の担当者は「すべてをチェックできるわけではないが、少しずつでも未成年者の不正アクセスを防ぐ対策を強化したい」(広報担当者)と話している。
2011年11月19日土曜日
2011年10月20日木曜日
アメーバピグ、小中生の不正アクセス相次ぐ 8人摘発
asahi.com(2011.10.20)
インターネット上で人気の会員制交流サイト「アメーバピグ」で、未成年による不正アクセスが相次いでいる。愛知県警は今年、不正アクセス禁止法違反の疑いで小中学生8人を摘発。放置すればネット犯罪の低年齢化を招くとして、県警は19日、サイトを運営する「サイバーエージェント」(東京都)に、未成年向けの対策を講じるよう要請したと発表した。
発表によると、8人はサイバーエージェントのサーバーに、アメーバピグの他の会員のパスワードを使って不正にアクセスした疑いがあり、今年2月から9月にかけ書類送検されたり、児童相談所に通告されたりした。アメーバピグ内で、他人のキャラクターを勝手に操るなどしていた。
県警によると、8人はサイト内で会話ができる機能で「通貨を増やしてあげる」と別の会員に持ちかけるなどして、パスワードを聞き出していたという。
キャラクターを操れるようになると、もとの会員が操作できないようにパスワードを変えていたという。書類送検された中学2年生の少女は、「服や部屋が豪華な他人のキャラクターになりすましたら、サイト内でほめられてうれしかった」と県警に話したという。被害にあった利用者も、6人中5人が18歳未満だった。
同サイトをめぐっては、福井県警も2月、小学4年生(当時)の少女を同法違反容疑で補導した。愛知県警の捜査幹部は「摘発されるまで、犯罪という認識を持っていない子供が多い。放置すれば、将来のネット利用者のモラルに大きな悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。
県警は、未成年者がサイトを利用する場合の保護者の同意を厳しく確認することや、パスワード管理の重要性を未成年の利用者に知らせることを、文書で同社に求めた。さらに、愛知県と名古屋市の教育委員会には、ネット上のモラルに関する指導に力を入れるよう呼びかけた。
同社は「会話内容の監視を強化するなどの対策を検討する」としている。
仕事ができるかどうか、ナニで決まる?
Business Media 誠 (2011.10.13)
強い動機が、あなたを、脳を動かすできる人の脳が冴える30の習慣:
仕事が早くできる人は、能力が違うからだと思うかもしれません。あるいは、ものすごい努力をしているので、とても自分はそんなふうになれないと思うかもしれません。
【できる人の脳が冴える30の習慣:仕事ができるかどうか、ナニで決まる?】
マイクロソフトを作ったビル・ゲイツ、アップル社の故スティーブ・ジョブス、Facebookを作ったマーク・ザッカーバーグなどは、自分とはまったく違う能力を持つ人だと思うかもしれません。
しかし、そうではないのです。脳科学の視点からすれば、いわゆる頭がいいとか、天才的ということとは関係がないのです。
もっとも重要なことは「動機」です。
人はなぜ働くのか、その理由が大切なのです。これは精神的な意味で言っているのではありません。
水が飲みたいというとき、一生懸命に考えてから水を飲むということはないでしょう。喉が渇いたから無意識のうちにお茶を飲んだり、ミネラルウオーターのペットボトルを自動販売機で購入したりしています。
これは、よくよく考えてみれば、おかしなことです。
一方、勉強をしないといけないと分かっていても、なかなか勉強できなかったり、仕事をやらないといけないなあと思っても、なかなか進まないことがあります。
この違いは、やはり動機なのです。
水を飲むというのは、本能的な問題であって、考え悩むということはありません。生きるために水を飲むということは、脳の中に組み込まれたもっとも強い動機なのです。その動機があるからこそ、歩いて自動販売機のところへ行くことをほとんど無意識のうちにできてしまうのです。
一方、仕事や勉強には普通、そこまで強い動機が持てません。
どうして勉強しなければいけないのだろうと思っている限り、なかなか行動は起こせないのです。
前述したマーク・ザッカーバーグがFacebookを作ったのは、女の子にもてたいという動機がきっかけだったといいます。
ビル・ゲイツはPCが好きでたまらず、それを自分の仕事にするにはどうすればいいか考えたことが、大きな動機になっています。
故スティーブ・ジョブスは、個人が使うコンピューターは必ず売れるようになると信じて、友人とアップルというPCを作り出しました。
ここでも動機が大きな原動力となっているのです。
●行動に移せないときは、動機を再確認してみる
動機が人の行動を変え、それによって成功にたどり着けるのです。
旅行へ行きたいと思うことは多いでしょう。しかし、予算はどうしようか、日程はどうしようかなどの、さまざまな制約を考え出すと、行動に移さなくなります。
多くの人が制約を越える強い動機を持てないのです。だから行動が変化しないともいえます。
仕事を早くできる人は強い動機があるのでしょう。今この仕事を終えてしまえば、遊びに行けると思うからこそ、全力で仕事ができるわけです。
脳というのは、「なぜそうするか」がはっきりしていないと、その方向へ働かないのです。「なぜ仕事をするのか」がはっきりしていると、脳の中で意欲が湧いてきます。
その理由は人によって違っていいのです。金、出世、名誉、なんでもいいのです。
その動機付けができれば、脳はそれを達成するために、神経回路を変化させますから、効率よく仕事ができるようになるのです。「冴える脳」ができてくるのです。
さらに、仕事をやり遂げることが快感になってくると、早く仕事を終わらせることに意味が出てきます。
大きな仕事ができる人、早く仕事が終わる人は、自分がもっとも面白いと思える動機を探せた人、ともいえます。
もう一度、自分が何をやりたいのか、なぜやりたいのかを確認してみましょう。
強い動機が、あなたを、脳を動かすできる人の脳が冴える30の習慣:
仕事が早くできる人は、能力が違うからだと思うかもしれません。あるいは、ものすごい努力をしているので、とても自分はそんなふうになれないと思うかもしれません。
【できる人の脳が冴える30の習慣:仕事ができるかどうか、ナニで決まる?】
マイクロソフトを作ったビル・ゲイツ、アップル社の故スティーブ・ジョブス、Facebookを作ったマーク・ザッカーバーグなどは、自分とはまったく違う能力を持つ人だと思うかもしれません。
しかし、そうではないのです。脳科学の視点からすれば、いわゆる頭がいいとか、天才的ということとは関係がないのです。
もっとも重要なことは「動機」です。
人はなぜ働くのか、その理由が大切なのです。これは精神的な意味で言っているのではありません。
水が飲みたいというとき、一生懸命に考えてから水を飲むということはないでしょう。喉が渇いたから無意識のうちにお茶を飲んだり、ミネラルウオーターのペットボトルを自動販売機で購入したりしています。
これは、よくよく考えてみれば、おかしなことです。
一方、勉強をしないといけないと分かっていても、なかなか勉強できなかったり、仕事をやらないといけないなあと思っても、なかなか進まないことがあります。
この違いは、やはり動機なのです。
水を飲むというのは、本能的な問題であって、考え悩むということはありません。生きるために水を飲むということは、脳の中に組み込まれたもっとも強い動機なのです。その動機があるからこそ、歩いて自動販売機のところへ行くことをほとんど無意識のうちにできてしまうのです。
一方、仕事や勉強には普通、そこまで強い動機が持てません。
どうして勉強しなければいけないのだろうと思っている限り、なかなか行動は起こせないのです。
前述したマーク・ザッカーバーグがFacebookを作ったのは、女の子にもてたいという動機がきっかけだったといいます。
ビル・ゲイツはPCが好きでたまらず、それを自分の仕事にするにはどうすればいいか考えたことが、大きな動機になっています。
故スティーブ・ジョブスは、個人が使うコンピューターは必ず売れるようになると信じて、友人とアップルというPCを作り出しました。
ここでも動機が大きな原動力となっているのです。
●行動に移せないときは、動機を再確認してみる
動機が人の行動を変え、それによって成功にたどり着けるのです。
旅行へ行きたいと思うことは多いでしょう。しかし、予算はどうしようか、日程はどうしようかなどの、さまざまな制約を考え出すと、行動に移さなくなります。
多くの人が制約を越える強い動機を持てないのです。だから行動が変化しないともいえます。
仕事を早くできる人は強い動機があるのでしょう。今この仕事を終えてしまえば、遊びに行けると思うからこそ、全力で仕事ができるわけです。
脳というのは、「なぜそうするか」がはっきりしていないと、その方向へ働かないのです。「なぜ仕事をするのか」がはっきりしていると、脳の中で意欲が湧いてきます。
その理由は人によって違っていいのです。金、出世、名誉、なんでもいいのです。
その動機付けができれば、脳はそれを達成するために、神経回路を変化させますから、効率よく仕事ができるようになるのです。「冴える脳」ができてくるのです。
さらに、仕事をやり遂げることが快感になってくると、早く仕事を終わらせることに意味が出てきます。
大きな仕事ができる人、早く仕事が終わる人は、自分がもっとも面白いと思える動機を探せた人、ともいえます。
もう一度、自分が何をやりたいのか、なぜやりたいのかを確認してみましょう。
2011年9月21日水曜日
2011年8月25日木曜日
ピントは後から合わせればいい──米企業、画期的なカメラを製品化へ
ITmedia(2011.6.23)
ピントは写真を撮った後で合わせればいい──米Lytroは6月22日(現地時間)、画期的なデジタルカメラを開発しており、年内に発売する予定だと発表した。画角内の全ての光線を記録し、後からピントを修正したり、写真内の好みの被写体にピントを合わせるといったことが可能になるという。同社サイトでデモ画像を公開している。
同社はこのカメラを「light field camera」と呼んでいる。通常のカメラのレンズでは、ピントが合う位置は常に1点だ。広角レンズで絞り込むと全体的にピントが合ったように見える(被写界深度が深くなる)が、この場合もピントが合っているのは1点であり、あくまで“全体にピントが合っているように見える”に過ぎない。
light field cameraは、メインレンズで光をとらえた、センサーの前の配置した無数のマイクロレンズアレイを通過した光の方向をマイクロレンズごとに記録する。このデータをソフトウェアによって処理を行うことで、撮影した範囲の任意の点のピントを撮影後に再現できるという。
創業者のレン・ン(Ren Ng)CEOはスタンド-フォード大学在学中からこの研究に取り組んでおり、同カメラの原理「Fourier Slice Photography」についての論文もある(論文の内容を紹介したスライド)。
このカメラが実現すれば、ピンぼけからは永久におさらばできることになる上、オートフォーカスの合焦時間の遅れにイライラすることもなくなる。同社には「Netscape」で知られるマーク・アンドリーセン氏のファンドが投資しており、アンドリーセン氏は「Lytroの革新的な技術により、従来のデジタルカメラは時代遅れのものになるだろう」とコメントしている。
ピントは写真を撮った後で合わせればいい──米Lytroは6月22日(現地時間)、画期的なデジタルカメラを開発しており、年内に発売する予定だと発表した。画角内の全ての光線を記録し、後からピントを修正したり、写真内の好みの被写体にピントを合わせるといったことが可能になるという。同社サイトでデモ画像を公開している。
同社はこのカメラを「light field camera」と呼んでいる。通常のカメラのレンズでは、ピントが合う位置は常に1点だ。広角レンズで絞り込むと全体的にピントが合ったように見える(被写界深度が深くなる)が、この場合もピントが合っているのは1点であり、あくまで“全体にピントが合っているように見える”に過ぎない。
light field cameraは、メインレンズで光をとらえた、センサーの前の配置した無数のマイクロレンズアレイを通過した光の方向をマイクロレンズごとに記録する。このデータをソフトウェアによって処理を行うことで、撮影した範囲の任意の点のピントを撮影後に再現できるという。
創業者のレン・ン(Ren Ng)CEOはスタンド-フォード大学在学中からこの研究に取り組んでおり、同カメラの原理「Fourier Slice Photography」についての論文もある(論文の内容を紹介したスライド)。
このカメラが実現すれば、ピンぼけからは永久におさらばできることになる上、オートフォーカスの合焦時間の遅れにイライラすることもなくなる。同社には「Netscape」で知られるマーク・アンドリーセン氏のファンドが投資しており、アンドリーセン氏は「Lytroの革新的な技術により、従来のデジタルカメラは時代遅れのものになるだろう」とコメントしている。
リアルタイムに回帰するwebメディア
CNET Japan(2011.6.26)
既存メディアの未来は暗い
更新頻度という面から既存メディアとwebメディアを比較してみれば、既存メディアがいかに不利か明確になる。たとえば、月刊誌はマンスリー、週刊誌ならウィークリー。ブログであれば、ほとんどがウィークリーと言っていい。mixiになればデイリーだろう。
しかし、twitterはさらに早く、数秒、数十秒ごとに更新され、情報が飛び交う。朝のニュースは、夕方にはすでに古く感じてしまうほどで、夜のニュース番組を見ても「全部知ってるよ」ということになるわけだ。言い換えれば、テレビというのはすでに知っている情報を映像としてまとめてくれているメディアなのだ。少なくともネットネイティブの人間はそう感じているだろう。
ネットに親しんでいない人にとっては、テレビはもっともよく接するメディアであり、それを見て育ったわけだから、テレビと一緒に老いていくのだろう。同じように、PCで育った人は最後までPCとつき合おうと思うだろうが、携帯やスマートフォンなどのモバイルで育った若い層は、PCでさえオヤジ臭いと思っている。
それは世代の話であるから、何がいいとか悪いとは言えないが、今後新聞、テレビは確実に衰退していくのは間違いない。
一方、1時間当たりのメディア接触数で見れば、やはりマスメディアのほうが優位である。地上波のNHKが1時間当たり数千万人、BS、CSは1時間数百万人~数十万人ほどになる。
数十万人という単位まで下がれば、USTREAMやニコ生などのソーシャルメディアもアプローチできる規模と言える。たとえば宇多田ヒカルの2時間のライブを視聴したのは累計30万人。1時間当たり数十万人というのは射程範囲に入っている。十分なポテンシャルを秘めているのである。
また、テレビとの大きな違いは、前のめり感にある。テレビは、寂しいから何となくつけているということが多いが、webメディアの場合は端末に向かってキーボードを操作するという、能動的な姿勢が特徴である。 しかし、そんなwebメディアでも、必ずしもモニターの最前面で見ているわけではない。とりあえずおもしろそうなサイトにアクセスして、バックグラウンドに送ってほかの作業をしていることもある。その意味では、ラジオの使い方に似ていると言える。
だから、ライブメディアも新鮮さは薄れ、我々を驚かせる時期は終わっていると言っていい。
次の段階としては、普段からtwitterやmixiを見ていない人たちにどうアプローチするかが課題だろう。物理的には全世界に到達できるメディアであるが、それを見るスキルが複雑であることが障害ではある。たとえば、QRコードのようなものに携帯をかざせばすぐに見られるようになればいいだろう。
さらに、画質の向上や3D対応、映像の中に埋め込むリンク、何万人が同時視聴しても落ちないなど、技術的なイノベーションも必要だ。
テレビの情報は一方的に押しつけられるが、若い層は情報をwebで収集している。自分が興味のある情報だけにアクセスするため、情報に偏りが生ずる。その意味では、世界が狭まっているとも言える。
たとえば、アマゾンで本を買うと「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と、興味の対象が1点に集中してしまうが、実際の書店へ行けばあらゆるジャンルの本が並んでいる。
嗜好性を結集する機能、サービスは多数あるが、これから必要なのはその逆なのかもしれない。「これが好き」という入力に対してまったく逆のリストを提示する、なんてこともあっていいのではないか。
情報の民主化で見えてくるもの
既存のマスメディアだけに解放されている記者クラブに対抗して、フリーのジャーナリストらが中心となって自由報道協会が設立された。それが力を持ってくれば、また新たな派閥が形成されてしまうが、我々は両方の意見を知りたい。たとえて言うなら『アエラ』を読みながら、こっちで『サピオ』も読む、みたいな。
本来、メディアというのは権力を見張るためのものであるが、メディア自体が権威になってくると意図的な編集や印象操作が目につくようになる。しかし、ネットの普及で豊富な情報ツールにアクセスすることができるようになり、マスメディアの偏向ぶりに気づくようになった。USTREAMは映像メディアによるブログのようなものであり、編集されていない今の状況が中継される。視聴者がそこから何を読み取るかは自由。それは見る側のメディアリテラシーを向上させる効果もあるだろう。
また、話題になっていたり、議論になっているテーマをまとめるサイトも注目されているが、編集している人間の志向でどのようにも文脈を変えることができる。そこに偏向が生じてしまうから、それを防ぐための新しい技術も必要だろう。
ネットの利点として、これまではいつでもどこでも必要な情報にアクセスできるという面がクローズアップされてきたが、リアルタイムの映像メディアに注目が集まっていることも興味深い。なぜ、わざわざ今という時間を割いて中継を見たり、イベントに集まるのか?
「そらのちゃん」の功績により、その場をそのままネット生中継することを「ダダ漏れ」と言うようになった。要は、中継用に作り込んだものではなく、本来はクローズしていたものをネット生中継することを「ダダ漏れ」と言うが、「今」という編集できない時間をそのまま伝えることと言っていい。
視聴者はそういったナマっぽいものを求めているのだ。そういった時代の空気がある。
そう考えると「ダダ漏れ」の特徴は、ジュースの成分表示でいう「無添加・無農薬」ならぬ「無添加・無編集」と言える。この「ダダ漏れ」現象をメディア論的な観点で再定義し、「オーガニックメディア」と呼んでいるが、直訳すると「有機媒体」ということになる。
「オーガニックメディア」には編集の必要がない。編集という概念はもっと根本的なところに戻っていくと考えてもいい。何を中継することがおもしろいのか? どういうリアリティーを伝えるのか? といった素材の選択が編集である。
twitterを見ればわかりやすい。タイムラインは人によって違う。誰をフォローしているかで内容や流れはまったく変わってくる。twitterでは「誰をフォローするか?」は「どんな雑誌を購読するか?」と同義なのである。 USTREAMでもそれはまったく同じ。「あの人が中継するものはおもしろい!」「あの人が中継する対象に興味がある!」と、番組ではなく中継者にファンがつくのである。
顔を知ってもらいたい職業や場所を認知してもらいたいビジネスにとって、ライブメディアを活用することこそが決め手になるだろう。人間は頻繁に見ているものにシンパシーを抱く。中継者が動いてしゃべっている息づかいを視覚的に見ているから、視聴者はシンパシーを感じやすいのだ。
ライブメディアのために何か新しく作らなくても、たとえばレストランでいつも作っている料理の調理過程を中継してもいい。すでにやっていることを見せることでシンパシーを抱いてくれるものだ。
既存メディアの未来は暗い
更新頻度という面から既存メディアとwebメディアを比較してみれば、既存メディアがいかに不利か明確になる。たとえば、月刊誌はマンスリー、週刊誌ならウィークリー。ブログであれば、ほとんどがウィークリーと言っていい。mixiになればデイリーだろう。
しかし、twitterはさらに早く、数秒、数十秒ごとに更新され、情報が飛び交う。朝のニュースは、夕方にはすでに古く感じてしまうほどで、夜のニュース番組を見ても「全部知ってるよ」ということになるわけだ。言い換えれば、テレビというのはすでに知っている情報を映像としてまとめてくれているメディアなのだ。少なくともネットネイティブの人間はそう感じているだろう。
ネットに親しんでいない人にとっては、テレビはもっともよく接するメディアであり、それを見て育ったわけだから、テレビと一緒に老いていくのだろう。同じように、PCで育った人は最後までPCとつき合おうと思うだろうが、携帯やスマートフォンなどのモバイルで育った若い層は、PCでさえオヤジ臭いと思っている。
それは世代の話であるから、何がいいとか悪いとは言えないが、今後新聞、テレビは確実に衰退していくのは間違いない。
一方、1時間当たりのメディア接触数で見れば、やはりマスメディアのほうが優位である。地上波のNHKが1時間当たり数千万人、BS、CSは1時間数百万人~数十万人ほどになる。
数十万人という単位まで下がれば、USTREAMやニコ生などのソーシャルメディアもアプローチできる規模と言える。たとえば宇多田ヒカルの2時間のライブを視聴したのは累計30万人。1時間当たり数十万人というのは射程範囲に入っている。十分なポテンシャルを秘めているのである。
また、テレビとの大きな違いは、前のめり感にある。テレビは、寂しいから何となくつけているということが多いが、webメディアの場合は端末に向かってキーボードを操作するという、能動的な姿勢が特徴である。 しかし、そんなwebメディアでも、必ずしもモニターの最前面で見ているわけではない。とりあえずおもしろそうなサイトにアクセスして、バックグラウンドに送ってほかの作業をしていることもある。その意味では、ラジオの使い方に似ていると言える。
だから、ライブメディアも新鮮さは薄れ、我々を驚かせる時期は終わっていると言っていい。
次の段階としては、普段からtwitterやmixiを見ていない人たちにどうアプローチするかが課題だろう。物理的には全世界に到達できるメディアであるが、それを見るスキルが複雑であることが障害ではある。たとえば、QRコードのようなものに携帯をかざせばすぐに見られるようになればいいだろう。
さらに、画質の向上や3D対応、映像の中に埋め込むリンク、何万人が同時視聴しても落ちないなど、技術的なイノベーションも必要だ。
テレビの情報は一方的に押しつけられるが、若い層は情報をwebで収集している。自分が興味のある情報だけにアクセスするため、情報に偏りが生ずる。その意味では、世界が狭まっているとも言える。
たとえば、アマゾンで本を買うと「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と、興味の対象が1点に集中してしまうが、実際の書店へ行けばあらゆるジャンルの本が並んでいる。
嗜好性を結集する機能、サービスは多数あるが、これから必要なのはその逆なのかもしれない。「これが好き」という入力に対してまったく逆のリストを提示する、なんてこともあっていいのではないか。
情報の民主化で見えてくるもの
既存のマスメディアだけに解放されている記者クラブに対抗して、フリーのジャーナリストらが中心となって自由報道協会が設立された。それが力を持ってくれば、また新たな派閥が形成されてしまうが、我々は両方の意見を知りたい。たとえて言うなら『アエラ』を読みながら、こっちで『サピオ』も読む、みたいな。
本来、メディアというのは権力を見張るためのものであるが、メディア自体が権威になってくると意図的な編集や印象操作が目につくようになる。しかし、ネットの普及で豊富な情報ツールにアクセスすることができるようになり、マスメディアの偏向ぶりに気づくようになった。USTREAMは映像メディアによるブログのようなものであり、編集されていない今の状況が中継される。視聴者がそこから何を読み取るかは自由。それは見る側のメディアリテラシーを向上させる効果もあるだろう。
また、話題になっていたり、議論になっているテーマをまとめるサイトも注目されているが、編集している人間の志向でどのようにも文脈を変えることができる。そこに偏向が生じてしまうから、それを防ぐための新しい技術も必要だろう。
ネットの利点として、これまではいつでもどこでも必要な情報にアクセスできるという面がクローズアップされてきたが、リアルタイムの映像メディアに注目が集まっていることも興味深い。なぜ、わざわざ今という時間を割いて中継を見たり、イベントに集まるのか?
「そらのちゃん」の功績により、その場をそのままネット生中継することを「ダダ漏れ」と言うようになった。要は、中継用に作り込んだものではなく、本来はクローズしていたものをネット生中継することを「ダダ漏れ」と言うが、「今」という編集できない時間をそのまま伝えることと言っていい。
視聴者はそういったナマっぽいものを求めているのだ。そういった時代の空気がある。
そう考えると「ダダ漏れ」の特徴は、ジュースの成分表示でいう「無添加・無農薬」ならぬ「無添加・無編集」と言える。この「ダダ漏れ」現象をメディア論的な観点で再定義し、「オーガニックメディア」と呼んでいるが、直訳すると「有機媒体」ということになる。
「オーガニックメディア」には編集の必要がない。編集という概念はもっと根本的なところに戻っていくと考えてもいい。何を中継することがおもしろいのか? どういうリアリティーを伝えるのか? といった素材の選択が編集である。
twitterを見ればわかりやすい。タイムラインは人によって違う。誰をフォローしているかで内容や流れはまったく変わってくる。twitterでは「誰をフォローするか?」は「どんな雑誌を購読するか?」と同義なのである。 USTREAMでもそれはまったく同じ。「あの人が中継するものはおもしろい!」「あの人が中継する対象に興味がある!」と、番組ではなく中継者にファンがつくのである。
顔を知ってもらいたい職業や場所を認知してもらいたいビジネスにとって、ライブメディアを活用することこそが決め手になるだろう。人間は頻繁に見ているものにシンパシーを抱く。中継者が動いてしゃべっている息づかいを視覚的に見ているから、視聴者はシンパシーを感じやすいのだ。
ライブメディアのために何か新しく作らなくても、たとえばレストランでいつも作っている料理の調理過程を中継してもいい。すでにやっていることを見せることでシンパシーを抱いてくれるものだ。
利他行動の進化的起源 - チンパンジーは要求に応じて相手を助ける -
京都大学(2009.10.14)
霊長類研究所と野生動物研究センターの共同チームの研究によって、自分への直接の利益や見返りがなくても、同種他個体からの要求に応えてチンパンジーが他者を手助けすることが明らかとなりました。本研究は、チンパンジー同士の手助け行動を実験を通して実証的に検証した先駆的な研究です。
なお、この研究成果は、米国科学誌「PLoS ONE(プロスワン)」のオンライン版で公開されました。
研究成果の概要
霊長類研究所と野生動物研究センターの共同チームの研究によって、自分への直接の利益や見返りがなくても、同種他個体からの要求に応えてチンパンジーが他者を手助けすることが明らかとなった。利他行動の進化については、ダーウィンの時代より多くの研究者が取り組んできたが、まだまだ未解明な点が多い。本研究は、ヒトに最も近縁なチンパンジーで利他行動の生起メカニズムを実証的に調べた点で先駆的である。ヒトがどのように協力的な社会を築き上げてきたかについて新たな可能性を提示した。
霊長類研究所でおこなった実験では、隣接する2つのブースに、2つの異なる道具使用場面を設定した(図1)。ストローを使ってジュースを飲むストロー場面と、ステッキを使ってジュース容器を引き寄せるステッキ場面である。ストロー場面のチンパンジーにはステッキを、ステッキ場面のチンパンジーにはストローを渡し、ブース間のパネルに開いた穴を通して2個体間で道具が受け渡されるかどうかを調べた。その結果、全試行の59.0%において個体間で道具の受け渡しがみられ、そのうちの74.7%が相手の要求に応じて渡す行動であった(図2)。相手からの見返りがなくても要求されれば道具を渡す行動は継続した。
図1: 実験場面。壁に取り付けられた容器からジュースを飲むにはストローが必要で、床に置かれたジュース容器を手に入れるにはステッキが必要。それぞれ必要な道具は隣のチンパンジーに渡された。
図2: 要求に応じた道具の受渡し。ペンデーサ(奥)が穴から手を伸ばして要求し、それに応じてマリ(手前)がステッキを拾って手渡そうとしている。
チンパンジーの利他行動の生起には、相手からの要求が重要なようである。ヒトは他人が困っているのを見ると頼まれなくても自ら進んで助けることがあるが、チンパンジーは相手の要求があってはじめて助けることが多かった。自発的な手助けはチンパンジーでは稀だと言える。実際、手の届かない場所に置かれたジュース容器に向かって隣のブースのチンパンジーが必死に手を伸ばしている様子を見ても、持っていたステッキを自発的に相手に差し出すことは稀であった。
利他行動の進化を考えたとき、この「要求に応じた手助け」は効率的な戦略と言える。相手の手助けをしても、それが「おせっかい」になってしまっては意味がない。その点、「要求に応じた手助け」は必ず相手の役に立つので無駄になることがない。ヒトでみられる助け合い社会も、このような利他行動を出発点として発展してきたのではないだろうか。本研究は、利他行動の進化について新たな道筋を提示している。
霊長類研究所と野生動物研究センターの共同チームの研究によって、自分への直接の利益や見返りがなくても、同種他個体からの要求に応えてチンパンジーが他者を手助けすることが明らかとなりました。本研究は、チンパンジー同士の手助け行動を実験を通して実証的に検証した先駆的な研究です。
なお、この研究成果は、米国科学誌「PLoS ONE(プロスワン)」のオンライン版で公開されました。
研究成果の概要
霊長類研究所と野生動物研究センターの共同チームの研究によって、自分への直接の利益や見返りがなくても、同種他個体からの要求に応えてチンパンジーが他者を手助けすることが明らかとなった。利他行動の進化については、ダーウィンの時代より多くの研究者が取り組んできたが、まだまだ未解明な点が多い。本研究は、ヒトに最も近縁なチンパンジーで利他行動の生起メカニズムを実証的に調べた点で先駆的である。ヒトがどのように協力的な社会を築き上げてきたかについて新たな可能性を提示した。
霊長類研究所でおこなった実験では、隣接する2つのブースに、2つの異なる道具使用場面を設定した(図1)。ストローを使ってジュースを飲むストロー場面と、ステッキを使ってジュース容器を引き寄せるステッキ場面である。ストロー場面のチンパンジーにはステッキを、ステッキ場面のチンパンジーにはストローを渡し、ブース間のパネルに開いた穴を通して2個体間で道具が受け渡されるかどうかを調べた。その結果、全試行の59.0%において個体間で道具の受け渡しがみられ、そのうちの74.7%が相手の要求に応じて渡す行動であった(図2)。相手からの見返りがなくても要求されれば道具を渡す行動は継続した。
図1: 実験場面。壁に取り付けられた容器からジュースを飲むにはストローが必要で、床に置かれたジュース容器を手に入れるにはステッキが必要。それぞれ必要な道具は隣のチンパンジーに渡された。
図2: 要求に応じた道具の受渡し。ペンデーサ(奥)が穴から手を伸ばして要求し、それに応じてマリ(手前)がステッキを拾って手渡そうとしている。
チンパンジーの利他行動の生起には、相手からの要求が重要なようである。ヒトは他人が困っているのを見ると頼まれなくても自ら進んで助けることがあるが、チンパンジーは相手の要求があってはじめて助けることが多かった。自発的な手助けはチンパンジーでは稀だと言える。実際、手の届かない場所に置かれたジュース容器に向かって隣のブースのチンパンジーが必死に手を伸ばしている様子を見ても、持っていたステッキを自発的に相手に差し出すことは稀であった。
利他行動の進化を考えたとき、この「要求に応じた手助け」は効率的な戦略と言える。相手の手助けをしても、それが「おせっかい」になってしまっては意味がない。その点、「要求に応じた手助け」は必ず相手の役に立つので無駄になることがない。ヒトでみられる助け合い社会も、このような利他行動を出発点として発展してきたのではないだろうか。本研究は、利他行動の進化について新たな道筋を提示している。
星吸い込むブラックホールとらえた! 実験棟「きぼう」
asahi.com(2011.8.26)
39億光年のかなたにある巨大ブラックホールが星を吸い込む瞬間を、国際宇宙ステーション(ISS)にある日本の実験棟「きぼう」と米国の衛星が世界で初めてとらえた。25日の英科学誌ネイチャーに論文が発表される。
宇宙航空研究開発機構によると、観測したのは3月28日。きぼうの観測装置「MAXI」と、米国の衛星スウィフトが、それまで暗かった場所から強いX線が突然出始めたのを、ほぼ同時に見つけた。
ブラックホールに星が吸い込まれると、風呂の栓を抜いたときのように渦ができ、渦と垂直方向には強いビームが出ると考えられている。X線の発生源が、ブラックホールがあるとされる銀河の中心だったことから、星が吸い込まれる瞬間をとらえたと判断した。ビームがたまたま地球のほうを向いていたため、うまく観測できたらしい。
2011年8月23日火曜日
「道具を使う魚」の撮影に成功
SIENCE(2011.7.12)
オーストラリアのグレート・バリア・リーフで、「魚が道具を使う」場面が初めて撮影された。
プロのダイバーであるスコット・ガードナーが、「道具を使う野生の魚」についての初めてと思われる写真を撮影した。オーストラリアのグレート・バリア・リーフで撮影された上の写真は、30cmほどのシロクラベラが、二枚貝の中身を食べるために、貝が砕けて開くまで岩に打ち付けている様子を示している。
シドニーにあるマッコーリー大学のクルム・ブラウンはプレスリリースで、「この岩の周囲に割れた貝殻が散乱していることから、この魚はこのような行為を日常的に行っていると見られる」と述べている。
道具使用が人間に限られないことは、近年たくさん報告されている。例えばチンパンジーは、先端をとがらせた棒を槍として使ったり、石を使って木の実を割ったり、棒を使ってアリの巣をつついたりする。ゾウは、鼻で小枝をつまみ上げてハエを叩いたり、体をかいたりする。カラスでは、針金を使って先がかぎ状になった道具を作り、昆虫を引っ張り出したりする例が観察されている。
ただし、「道具の使用」という概念が具体的に何を意味するかは意見の分かれる問題だ。カモメが貝などを岩の上に落としたとき、道具を使っているといえるのだろうか? テッポウウオが「水鉄砲」を発射して獲物を枝から打ち落とすのはどうなのだろうか?
ブラウン氏は、シロクラベラが道具を使っていると考えているようだ。「海に住む魚において、道具の使用がどれくらい一般的なのかを撮影していく必要がある」と同氏はプレスリリースで述べている。
[タコに関しては、「道具の使用」がすでに観察されている
麻薬探知ガできるかも ガ、雌追う触角においセンサーに
東京新聞(2011.7.26)
警察犬がほえる代わりに、ガが麻薬の入ったかばんに群がって密輸を防ぐ日が来るかもしれない。東京大の桜井健志特任助教と神崎亮平教授らは、性フェロモンを鋭敏に感じ取るカイコガの遺伝子を一カ所組み換えるだけで、簡単に別のにおいを追うようになることを発見した。うまく利用すれば、においの高感度センサーになるかもしれない。成果は米データベースで必読論文に指定されるなど話題を呼んでいる。
カイコガの雄は、微量の性フェロモンを頼りに雌にたどり着く。触角にある受容体とよばれる組織が、性フェロモンだけを確実に捉えて脳に信号を送り、雌を追う性行動を引き起こすからだ。
桜井特任助教らは、カイコガの受容体と性行動が、たった一つの遺伝子から決まることを発見。別種のコナガの受容体の遺伝子をカイコガに組み入れてみると、コナガの雌を追うようになった。
昆虫は八十万種以上おり、多くの独自の受容体を持つ。もしこの中から麻薬や爆薬、病気などのにおいに反応する受容体が見つかれば、その遺伝子をカイコガに組み入れて防犯や医療に役立てられる可能性もあるという。
「カイコガがフェロモンをかぎ分ける能力は警察犬の嗅覚並み。しかも訓練不要で育成コストは一匹当たり五十円以下」と桜井特任助教はガの“捜査官”の優秀さを強調する。
警察犬がほえる代わりに、ガが麻薬の入ったかばんに群がって密輸を防ぐ日が来るかもしれない。東京大の桜井健志特任助教と神崎亮平教授らは、性フェロモンを鋭敏に感じ取るカイコガの遺伝子を一カ所組み換えるだけで、簡単に別のにおいを追うようになることを発見した。うまく利用すれば、においの高感度センサーになるかもしれない。成果は米データベースで必読論文に指定されるなど話題を呼んでいる。
カイコガの雄は、微量の性フェロモンを頼りに雌にたどり着く。触角にある受容体とよばれる組織が、性フェロモンだけを確実に捉えて脳に信号を送り、雌を追う性行動を引き起こすからだ。
桜井特任助教らは、カイコガの受容体と性行動が、たった一つの遺伝子から決まることを発見。別種のコナガの受容体の遺伝子をカイコガに組み入れてみると、コナガの雌を追うようになった。
昆虫は八十万種以上おり、多くの独自の受容体を持つ。もしこの中から麻薬や爆薬、病気などのにおいに反応する受容体が見つかれば、その遺伝子をカイコガに組み入れて防犯や医療に役立てられる可能性もあるという。
「カイコガがフェロモンをかぎ分ける能力は警察犬の嗅覚並み。しかも訓練不要で育成コストは一匹当たり五十円以下」と桜井特任助教はガの“捜査官”の優秀さを強調する。
pixivが一連の騒動を釈明 「創作活動が快適に行える場でありたいという基本に立ち戻る」
ITmedia(2011.7.27)
イラストSNS「pixiv」を運営するピクシブは7月27日、アート団体をめぐる一連の騒動と同社への批判に対する釈明を公開した。ユーザーに謝罪した上で「創作活動が快適に行える場でありたいという基本に立ち戻り、現状の体制について深く反省する」として運営の改善を進めるという。
●「カオス*ラウンジ」問題のごく簡単な経緯
一連の騒動は、アート団体「カオス*ラウンジ」のメンバーが発表した、多数のイラストを使ったコラージュによる作品が発端。同社の片桐孝憲社長が同団体とともに美術雑誌で紹介されたり、pixivが実施したイラストコンテストへの応募作品がコラージュに利用されたという報告などがあったことから、「pixivが団体に協力し、イラストの無断利用を認めているのではないか」といった批判が相次いだ。
同団体に関連したものを使った二次創作イラストに「現代アート」というタグを付けてpixivに次々と投稿するユーザーも現れた。同団体メンバーによる“アート”の手法を逆手に取った形だが、こうした作品や投稿したユーザーが次々に削除される一方、アート団体のメンバーのアカウントはそのままだったため、削除基準が不明確だとして強い批判を浴びていた。
pixivの運営方針に不信感を抱いた描き手も相次ぎ、老舗イラストサイト「TINAMI」や「PiXA」に活動の場を移す動きもあった。両サイトではトラフィックが急増。会員登録は25日にはTINAMIが普段の50倍に、PiXAは100倍に上ったという。
Twitterや掲示板などでは「芸術」と「創作」とその手法、著作権、キャラクターの改変の是非、コミュニティーサイト運営など多岐にわたる議論が続いている。Twitter上での議論や経緯などはTogetterのまとめなどで参照できる。
●「カオス*ラウンジの制作・展示に協力しているという事実は一切ない」
同社の釈明は、(1)「カオス*ラウンジ」と同社の役員・社員と関係していたり、制作・展示に協力しているという事実は一切ない、(2)同団体メンバーのアカウントへの対応(26日に停止)が遅れたのは、権利者からの明確な連絡がなかったため、(3)コンテストのイラストの使用を同団体に許可した事実は一切ない、(4)特定のタグがついた作品・ユーザーを無作為に削除しているという事実は一切ない──など。
同団体と同社の関係については「イベント・雑誌などで弊社と共に紹介されたことはあったが、活動には一切関わりがない」とした。
著作権侵害については、同社の判断だけでは「その事実を明確にすることはできない」として、権利者と発信者との間で事実関係を確認した上で対応するというスタンス。このため同団体メンバーのアカウントに対する「迅速な処置を行うことが難しい状態」だったという。だが今後は「社外の専門家・ユーザーから意見をいただきながら迅速に対応できるよう改善していきたい」としている。
同社は「ユーザー様に多大なるご心配、ご懸念を抱かせる結果となりましたことを、深く陳謝いたします」と謝罪。その上で、無断使用された作品の作者に対しては「弊社の責任を自覚し、pixiv内での対応にとどまらず、ご相談に応じたいと考えております」という。
イラストSNS「pixiv」を運営するピクシブは7月27日、アート団体をめぐる一連の騒動と同社への批判に対する釈明を公開した。ユーザーに謝罪した上で「創作活動が快適に行える場でありたいという基本に立ち戻り、現状の体制について深く反省する」として運営の改善を進めるという。
●「カオス*ラウンジ」問題のごく簡単な経緯
一連の騒動は、アート団体「カオス*ラウンジ」のメンバーが発表した、多数のイラストを使ったコラージュによる作品が発端。同社の片桐孝憲社長が同団体とともに美術雑誌で紹介されたり、pixivが実施したイラストコンテストへの応募作品がコラージュに利用されたという報告などがあったことから、「pixivが団体に協力し、イラストの無断利用を認めているのではないか」といった批判が相次いだ。
同団体に関連したものを使った二次創作イラストに「現代アート」というタグを付けてpixivに次々と投稿するユーザーも現れた。同団体メンバーによる“アート”の手法を逆手に取った形だが、こうした作品や投稿したユーザーが次々に削除される一方、アート団体のメンバーのアカウントはそのままだったため、削除基準が不明確だとして強い批判を浴びていた。
pixivの運営方針に不信感を抱いた描き手も相次ぎ、老舗イラストサイト「TINAMI」や「PiXA」に活動の場を移す動きもあった。両サイトではトラフィックが急増。会員登録は25日にはTINAMIが普段の50倍に、PiXAは100倍に上ったという。
Twitterや掲示板などでは「芸術」と「創作」とその手法、著作権、キャラクターの改変の是非、コミュニティーサイト運営など多岐にわたる議論が続いている。Twitter上での議論や経緯などはTogetterのまとめなどで参照できる。
●「カオス*ラウンジの制作・展示に協力しているという事実は一切ない」
同社の釈明は、(1)「カオス*ラウンジ」と同社の役員・社員と関係していたり、制作・展示に協力しているという事実は一切ない、(2)同団体メンバーのアカウントへの対応(26日に停止)が遅れたのは、権利者からの明確な連絡がなかったため、(3)コンテストのイラストの使用を同団体に許可した事実は一切ない、(4)特定のタグがついた作品・ユーザーを無作為に削除しているという事実は一切ない──など。
同団体と同社の関係については「イベント・雑誌などで弊社と共に紹介されたことはあったが、活動には一切関わりがない」とした。
著作権侵害については、同社の判断だけでは「その事実を明確にすることはできない」として、権利者と発信者との間で事実関係を確認した上で対応するというスタンス。このため同団体メンバーのアカウントに対する「迅速な処置を行うことが難しい状態」だったという。だが今後は「社外の専門家・ユーザーから意見をいただきながら迅速に対応できるよう改善していきたい」としている。
同社は「ユーザー様に多大なるご心配、ご懸念を抱かせる結果となりましたことを、深く陳謝いたします」と謝罪。その上で、無断使用された作品の作者に対しては「弊社の責任を自覚し、pixiv内での対応にとどまらず、ご相談に応じたいと考えております」という。
「得体の知れないものになった」――「pixiv」急成長、社名も「ピクシブ」に
ITmedia(2008.10.27)
「得体の知れないものになった」――イラストSNS「pixiv」の急成長ぶりを見て、運営元クルークの片桐孝憲社長はこんな感慨をもらす。pixivに参加し、自ら楽しみ方を作り上げていくユーザーのパワーに圧倒されているという。「『こうしたい』と運営側が思ってもコントロールできない」
昨年9月のオープンから約1年で、月間ページビュー3億、会員数30万を突破した。今年3月に10万ユーザーを突破した時は「ネットの世界にこんなにイラストがあるのか」と驚いていたが、半年でさらに3倍に増えた。
pixiv開発者の上谷隆宏さんは「ユーザーが多すぎて実感がわかない」と、ピンとこない様子。サーバ担当のエンジニア・店本哲也さんも「3億PVをさばいている実感はない」というのが素直な感想で、「サイトの雰囲気や楽しさは開設当初と変わらない」と話す。
3人とも、1年間ほとんど休みなく働き続け、サイトの運営やインフラ増強に追われてきた。アクセスが増える土日は特に忙しい。追加したい機能もあるが、忙しすぎて開発が後回しになっている。
「どこに行っても“ピクシブさん”と呼ばれ、訂正するのが面倒」(片桐社長)だから、社名を11月1日付けで「ピクシブ株式会社」に変更する。同社の主な事業はpixivとシステムの受託開発。社員は10人で、年内にあと4人増やす予定だ。
pixivなぜ人気
pixivは、自分で描いたイラストを投稿したり、投稿されたイラストに評価・コメントを付けられるサービス。イラストは1日に8000~1万枚投稿され、累計投稿数は約180万枚に上る。
投稿しているのは会員の約3割で、残りの7割は「イラストに評価やコメントを付けて、お気に入りのユーザーを応援して楽しんだり、ランキング入りするのを喜んでいる」(片桐社長)という“ROMオンリー”のユーザーだ。
トップページに表示されるランキング上位の作品は質が高いため、イラスト初心者は気後れして投稿しにくそうにも見えるが「そんなことはない」(片桐社長)。「企画」を見れば、初心者も数多く参加していることが分かるという。
「企画」とは、特定のテーマのイラストを投稿し合って楽しむというもの。ユーザーが自主的に発案し、頻繁に行っている。例えば、pixivを擬人化したキャラを創作し合う「ピクシブたん」、宇宙人や惑星、ロケットなどSFっぽいイラストを描いて遊ぶ「pixivスペースオペラ」などで、片桐社長も「すべては把握しきれない」(片桐社長)ほどだ。
ユーザーはイラストを使ってコミュニケーションしており、ほかのユーザーのオリジナルキャラと自分のキャラを戦わせたイラストを投稿するユーザーもいる。
「pixivはイラストを展示するだけのツールではなく、コミュニティーになっている。ユーザー同士がイラストをコラボしたものなど、pixiv上で新たな作品が生まれるから面白い」――片桐社長はpixivの人気の秘密をこう分析する。
pixivはユーザーが作り上げていると実感している。「面白いサイトにしようと運営してきたが、実際に作り上げていくのはユーザーのパワー。『こうしたい』と運営側が思ってもコントロールできない。得体の知れないものになった」
「結構、衝撃を与えられたんじゃないかな」
片桐社長と社員犬・チョビ。サーバが落ちたら吠える……なんてことはなく、サーバルームに毛が舞い込むため、店本さんは困っているという
pixivの1カ月の売り上げは300万円ほど。バナー広告や企業の協賛を受けた「公式企画」などが収入源だが、運営費をまかない切れず、赤字が続いているという。「300万円じゃ全然無理。1000万円くらいあるといいんだが……。いいサイトにしていきたいので、開発費くらいは稼ぎたい」(片桐社長)
ビジネスモデルを考えるのは得意ではないという。「ユーザーが考えてくれないかな」と片桐社長は冗談を飛ばしつつ、「いいWebサービスというのは、ビジネスとサービスが両立しているものだと思うから、黒字化したい」と真剣だ。
「日本にとどまるようなサービスにしたくない」――目標は世界で、今もアクセスの約5%は海外からだ。「サイトの規模や影響力が大きい方が面白いでしょ? 日本のイラストや漫画は、映画で言うとハリウッドのようなもので、世界最高峰。日本のカルチャーが世界に広がればいい」(片桐社長)
10万会員を突破した今年3月、開発者の上谷さんは米Appleのスティーブ・ジョブズCEOの言葉を引いて「宇宙に衝撃を与えるサービスにしたい」と話していた。半年たち、「結構、衝撃は与えられたんじゃないかな。pixivによってイラストの流れが変わった」と自信を持っている。
自信の裏付けとなっているのは、あるユーザーからもらったこんな言葉だ。「pixivが流行る前は、イラストが漫画よりもないがしろにされていたが、pixivによって1枚のイラストが持つ魅力が理解されるようになった」
pixivコモンズ、pixivブログ……新機能は?
追加予定の機能やサービスはたくさんある。イラストを使ったユーザー同士のコミュニケーションがより活発になるよう、イラストの利用ルール「pixivコモンズ」を11月にスタート。クリエイティブ・コモンズ(CC)や、ニコニコ動画の「ニコニ・コモンズ」のようなイメージだ。
pixiv上の作品を使ったユーザー同士の2次創作が盛り上がるよう、CCの「改変」に焦点を当てたルールを定める予定。「作者が投稿したキャラをほかのユーザーが描いてもいい」「イラストを使って動画を作ってもいい」「転載してもいい」など、改変の範囲を細かく選べるようにする。
「pixiv IDがあれば、ネット上の絵描き活動がすべてまかなえるよう、サービス群を構築していく」(片桐社長)計画だ。その第1弾が10月に公開したばかりの手書きイラストサイト「drawr」(ドロワー)で、第2弾はブログサービスになる予定だ。
drawrは、pixivにイラストを投稿しないような人にも、「イラストは誰でも描ける」と知ってもらう狙いで開設した。イラストに慣れてもらい、今後pixivにも投稿してもらえれば――と考えている。約2万人が登録している。
pixivのイラストを書籍化したり、DVD化できるようなサービスの提供も検討している。「会社の収入にはつながらなさそうだが、ユーザーの作品を流通に載せたい」(片桐社長)
有料会員制度も今年中に導入したい機能の1つ。月額300~500円ほど払えば、無料会員よりもイラストが閲覧しやすくなる予定だ。
「得体の知れないものになった」――イラストSNS「pixiv」の急成長ぶりを見て、運営元クルークの片桐孝憲社長はこんな感慨をもらす。pixivに参加し、自ら楽しみ方を作り上げていくユーザーのパワーに圧倒されているという。「『こうしたい』と運営側が思ってもコントロールできない」
昨年9月のオープンから約1年で、月間ページビュー3億、会員数30万を突破した。今年3月に10万ユーザーを突破した時は「ネットの世界にこんなにイラストがあるのか」と驚いていたが、半年でさらに3倍に増えた。
pixiv開発者の上谷隆宏さんは「ユーザーが多すぎて実感がわかない」と、ピンとこない様子。サーバ担当のエンジニア・店本哲也さんも「3億PVをさばいている実感はない」というのが素直な感想で、「サイトの雰囲気や楽しさは開設当初と変わらない」と話す。
3人とも、1年間ほとんど休みなく働き続け、サイトの運営やインフラ増強に追われてきた。アクセスが増える土日は特に忙しい。追加したい機能もあるが、忙しすぎて開発が後回しになっている。
「どこに行っても“ピクシブさん”と呼ばれ、訂正するのが面倒」(片桐社長)だから、社名を11月1日付けで「ピクシブ株式会社」に変更する。同社の主な事業はpixivとシステムの受託開発。社員は10人で、年内にあと4人増やす予定だ。
pixivなぜ人気
pixivは、自分で描いたイラストを投稿したり、投稿されたイラストに評価・コメントを付けられるサービス。イラストは1日に8000~1万枚投稿され、累計投稿数は約180万枚に上る。
投稿しているのは会員の約3割で、残りの7割は「イラストに評価やコメントを付けて、お気に入りのユーザーを応援して楽しんだり、ランキング入りするのを喜んでいる」(片桐社長)という“ROMオンリー”のユーザーだ。
トップページに表示されるランキング上位の作品は質が高いため、イラスト初心者は気後れして投稿しにくそうにも見えるが「そんなことはない」(片桐社長)。「企画」を見れば、初心者も数多く参加していることが分かるという。
「企画」とは、特定のテーマのイラストを投稿し合って楽しむというもの。ユーザーが自主的に発案し、頻繁に行っている。例えば、pixivを擬人化したキャラを創作し合う「ピクシブたん」、宇宙人や惑星、ロケットなどSFっぽいイラストを描いて遊ぶ「pixivスペースオペラ」などで、片桐社長も「すべては把握しきれない」(片桐社長)ほどだ。
ユーザーはイラストを使ってコミュニケーションしており、ほかのユーザーのオリジナルキャラと自分のキャラを戦わせたイラストを投稿するユーザーもいる。
「pixivはイラストを展示するだけのツールではなく、コミュニティーになっている。ユーザー同士がイラストをコラボしたものなど、pixiv上で新たな作品が生まれるから面白い」――片桐社長はpixivの人気の秘密をこう分析する。
pixivはユーザーが作り上げていると実感している。「面白いサイトにしようと運営してきたが、実際に作り上げていくのはユーザーのパワー。『こうしたい』と運営側が思ってもコントロールできない。得体の知れないものになった」
「結構、衝撃を与えられたんじゃないかな」
片桐社長と社員犬・チョビ。サーバが落ちたら吠える……なんてことはなく、サーバルームに毛が舞い込むため、店本さんは困っているという
pixivの1カ月の売り上げは300万円ほど。バナー広告や企業の協賛を受けた「公式企画」などが収入源だが、運営費をまかない切れず、赤字が続いているという。「300万円じゃ全然無理。1000万円くらいあるといいんだが……。いいサイトにしていきたいので、開発費くらいは稼ぎたい」(片桐社長)
ビジネスモデルを考えるのは得意ではないという。「ユーザーが考えてくれないかな」と片桐社長は冗談を飛ばしつつ、「いいWebサービスというのは、ビジネスとサービスが両立しているものだと思うから、黒字化したい」と真剣だ。
「日本にとどまるようなサービスにしたくない」――目標は世界で、今もアクセスの約5%は海外からだ。「サイトの規模や影響力が大きい方が面白いでしょ? 日本のイラストや漫画は、映画で言うとハリウッドのようなもので、世界最高峰。日本のカルチャーが世界に広がればいい」(片桐社長)
10万会員を突破した今年3月、開発者の上谷さんは米Appleのスティーブ・ジョブズCEOの言葉を引いて「宇宙に衝撃を与えるサービスにしたい」と話していた。半年たち、「結構、衝撃は与えられたんじゃないかな。pixivによってイラストの流れが変わった」と自信を持っている。
自信の裏付けとなっているのは、あるユーザーからもらったこんな言葉だ。「pixivが流行る前は、イラストが漫画よりもないがしろにされていたが、pixivによって1枚のイラストが持つ魅力が理解されるようになった」
pixivコモンズ、pixivブログ……新機能は?
追加予定の機能やサービスはたくさんある。イラストを使ったユーザー同士のコミュニケーションがより活発になるよう、イラストの利用ルール「pixivコモンズ」を11月にスタート。クリエイティブ・コモンズ(CC)や、ニコニコ動画の「ニコニ・コモンズ」のようなイメージだ。
pixiv上の作品を使ったユーザー同士の2次創作が盛り上がるよう、CCの「改変」に焦点を当てたルールを定める予定。「作者が投稿したキャラをほかのユーザーが描いてもいい」「イラストを使って動画を作ってもいい」「転載してもいい」など、改変の範囲を細かく選べるようにする。
「pixiv IDがあれば、ネット上の絵描き活動がすべてまかなえるよう、サービス群を構築していく」(片桐社長)計画だ。その第1弾が10月に公開したばかりの手書きイラストサイト「drawr」(ドロワー)で、第2弾はブログサービスになる予定だ。
drawrは、pixivにイラストを投稿しないような人にも、「イラストは誰でも描ける」と知ってもらう狙いで開設した。イラストに慣れてもらい、今後pixivにも投稿してもらえれば――と考えている。約2万人が登録している。
pixivのイラストを書籍化したり、DVD化できるようなサービスの提供も検討している。「会社の収入にはつながらなさそうだが、ユーザーの作品を流通に載せたい」(片桐社長)
有料会員制度も今年中に導入したい機能の1つ。月額300~500円ほど払えば、無料会員よりもイラストが閲覧しやすくなる予定だ。
FacebookとGoogle+に見る友達関係150人限界説
アスキー総合研究所(2011.7.16)
気のおけない友人関係は、150人までが限界だという話がある。
『友達の数は何人? ――ダンバー数とつながりの進化心理学』(ロビン・ダンバー著、藤井留美訳、インターシフト刊。原題は『How Many Friends Does One Person Need?』)によると、この数はFacebookやMySpaceが盛んな現在でも変わらないという。それは、脳の「大脳新皮質」の大きさによって決まってくるのだそうだ。
【遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論:FacebookとGoogle+に見る友達関係150人限界説】
FacebookやMySpaceでの友達の数も、だいたいこの平均150人の範囲に収まり、200人以上友達がいるという人はほんの一握りだという。
もちろん、人間にはさまざまな規模の集団があって、たとえば狩猟・採集社会では、30~50人程度の集団が形成される。一方で、部族全体の規模は500~2500人程度にもなるが、その中間に「クラン」(clan=氏族)という集団がある。狩猟場や水源の共有などはクラン単位で行われ、これの統計的な平均は150人になるという。
こうした人のネットワークの規模は、3倍の数で同心円的に大きな集団になるとも論じられている。いちばん内側が3~5人の特に親しい友人で、何かあったらすぐ駆けつけてくれるような関係。それが段階を踏むに従って、5→15→50→150といった人数になる。
●Google+は「うわさ話」、Facebookは「告白」!?
Googleが新しく始めたSNS「Google+」のテスト運用が始まって、あっという間に全世界で2000万人以上が登録、利用している。世界で7億5000万人という会員を擁するFacebookと、このGoogle+との戦いは、いまネットの世界の最大の関心事といっていい。この2つのサービスにはどんな違いがあり、この戦いというのはどんな意味を持つのだろうか?
GoogleもアピールしているFacebookとの違いは、「サークル」という概念があることだ。Facebookには「友達」という1つのつながりの概念しかなく、友達であるか否かは完全にオン/オフで表現される。「友達かもしれない」というあいまいな状態がないため、米国では一時期、「Unfriend」(友達解除)という言葉が話題になった。
それに対して、Google+は、ネット上の友達や知り合いをサークルに振り分けるという発想だ。「Google+ってどう使ったらいいか分からない」という声も聞くが、ただの友達仕分けツールなのだと考えると分かりやすい。ちなみに前回のコラムでは「Google+はクラウド時代のトモダチコレクションなのか?」などと書いた。
友達をそれぞれのサークルに振り分けることで、個々のサークルに向けて発言したり、会話のストリームを眺めたりできるようになる。現実のサークルと混同しそうになるが、まったく異なるのは、他人のGoogle+において、自分がどんな名前のサークルに誰と一緒に扱われているのかは見えないことだ。Google+のサークルは、各人のご都合主義がぶつかり合わない、うまい具合のソーシャルグラフになっている。
一方、Facebookで「~さんからからFacebookの友達リクエストが届いています」とくると、ちょっぴり緊張が走る。「~さんがGoogle+であなたを追加しました」は、そこまでの緊迫感はない。Facebookが改まって「付き合ってください」と告白される感覚であるのに対して、Google+は「うわさ話をされた」というくらいの違いがある。
ところで、Google+には、あらかじめ4つのサークルが用意されている。はじめてアクセスしたときに「おやっ?」と思われた人もいると思う。「友だち」「知人」「フォロー中」「家族・親戚」の文字通り“サークル”が画面に現れる。これは、ちょうど『友達の数は何人?』の著者である進化心理学者のいう、友達、知人、あるいはクランなどの集団があてはまるのだろうか?
●日本のSNSなら、いっそ「カワイイ!」ボタンを
Facebookで驚かされるのは、とにかく利用者に対して「友達」を見つけてつなぐことを、あの手この手で執拗に求めてくることだ。Facebookの画面右側は、さまざまな友達の活動や広告が表示される非常に特徴的な部分だが、ここに「~さんが友達検索ツールを使いました」などとこれ見よがしな情報も表示されたりもする。
人間にとって「人と会う」ということは、人生のトピックの1つといってもよい。Facebookは、そうした心理的なエネルギーによって活性化されているサービスなのだ。そして、「友達リクエスト」を「承認」すれば、また別な「友達リクエスト」が届くようになる。
これは何かの感染かチェーンレターのようなものではないかと思えるほどだが、せっせとみんなでFacebookのためのデータ構築を手伝ってあげているという見方もできるだろう。
仮に友達の数の平均が「150人」だとすると、その150人の完璧なネットワークがFacebookの生命線なのだ。一方、Google+は実名性のあたりなどに少し甘いところがあるが、3倍数で増える5人、15人、50人、150人といったサークルを自在に管理できる。
いずれにしろこの2社には、150人のリアルな人のつながりというものが見えていると思う。それに比べて、日本のソーシャルメディアは「友達だから手をつないでおこうね」といった遊びの感覚でできている傾向が強いのではないかと思う。
もちろん、日本と米国では人のつながりも社会のしくみも異っている。Facebookの根底には「父親が息子のガールフレンドの名前を知っている」とか、「ホームパーティなどを頻繁にやるような文化」があると思う。事実、私の知り合いの米国人は、そうしたライフスタイルがいかにFacebookとマッチしているかを説明してくれた。
それならば日本のSNSは、徹底的に日本の文化に根ざした作りにすればよいではないかとも思う。mixiは、「チェック」とか「イイネ!」とかではなく、「カワイイ!」ボタンを作ればいいではないかと思うのだ。
●「超巨大」から150人の積み重なりへ
しかしここで重要なのは、もう「Facebookやmixiが人々の生活にどこまで便利でマッチしたサービスを提供しているか」という次元の話ではなくなっているのではないかということだ。友達が「なんとなくつながっている」という話と、「リアルのつながり150人」が完成しているというのは、まるで話が違うではないか。
FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグは、「100年ごとにメディアは変化する」と発言したことがある。100年前というのは、電話やラジオが発明され、やがてテレビが登場した、マスメディア4媒体の時代である。これまでのネット上のメディアも、基本的にはこれの延長上にあったというわけなのだ。
いまあなたが読んでいるWebページも、いままで紙に印刷していたものを「オン・ザ・ウェブ」化したものといってよい。いままで、新聞や書店などを通して「デリバリー」されてきたものが、電子的なネットワークを通じてPCやスマートフォンの画面で見られるようになったというくらいの違いしかない。
それが、文字通りSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)から「ソーシャルメディア」と言い換えられたように、150人のネットワークの積み重ねが情報インフラになったということなのだ。発信と受信が同列になることもでき、受信側が「+1」や「いいね!」でその情報の伝達性を上げることもできる。こうした時代が訪れていることについて、Googleも同意したというのがGoogle+なのではないだろうか?
7月20日(現地時間)、Googleは、「Google Labs」を終了すると発表した。Google Labsには、同社の社員が勤務時間の20%を使って自分のプロジェクトをやってよいというルールから生まれたサービスが多い。この発表がGoogle+と直接関係するかどうかは不明だが、「より重要なプロダクトへの集中」がその目的だというのだ。
150人のネットワークは、いままでGoogleが扱ってきたような、Google流に言う「超巨大」(very very large)に比べるとえらく小さく見える。しかし、それは150人ごとの小さな世界に対して「正しい答え」をもたらすというメカニズムなのだともいえる。もちろん、これからも検索の価値はあるだろう。しかし、時代が大きくシフトし始めたのだ。Google+対Facebookの戦い、これからどう展開していくのか? 来年春には、Facebookは株式を公開すると言われている。
気のおけない友人関係は、150人までが限界だという話がある。
『友達の数は何人? ――ダンバー数とつながりの進化心理学』(ロビン・ダンバー著、藤井留美訳、インターシフト刊。原題は『How Many Friends Does One Person Need?』)によると、この数はFacebookやMySpaceが盛んな現在でも変わらないという。それは、脳の「大脳新皮質」の大きさによって決まってくるのだそうだ。
【遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論:FacebookとGoogle+に見る友達関係150人限界説】
FacebookやMySpaceでの友達の数も、だいたいこの平均150人の範囲に収まり、200人以上友達がいるという人はほんの一握りだという。
もちろん、人間にはさまざまな規模の集団があって、たとえば狩猟・採集社会では、30~50人程度の集団が形成される。一方で、部族全体の規模は500~2500人程度にもなるが、その中間に「クラン」(clan=氏族)という集団がある。狩猟場や水源の共有などはクラン単位で行われ、これの統計的な平均は150人になるという。
こうした人のネットワークの規模は、3倍の数で同心円的に大きな集団になるとも論じられている。いちばん内側が3~5人の特に親しい友人で、何かあったらすぐ駆けつけてくれるような関係。それが段階を踏むに従って、5→15→50→150といった人数になる。
●Google+は「うわさ話」、Facebookは「告白」!?
Googleが新しく始めたSNS「Google+」のテスト運用が始まって、あっという間に全世界で2000万人以上が登録、利用している。世界で7億5000万人という会員を擁するFacebookと、このGoogle+との戦いは、いまネットの世界の最大の関心事といっていい。この2つのサービスにはどんな違いがあり、この戦いというのはどんな意味を持つのだろうか?
GoogleもアピールしているFacebookとの違いは、「サークル」という概念があることだ。Facebookには「友達」という1つのつながりの概念しかなく、友達であるか否かは完全にオン/オフで表現される。「友達かもしれない」というあいまいな状態がないため、米国では一時期、「Unfriend」(友達解除)という言葉が話題になった。
それに対して、Google+は、ネット上の友達や知り合いをサークルに振り分けるという発想だ。「Google+ってどう使ったらいいか分からない」という声も聞くが、ただの友達仕分けツールなのだと考えると分かりやすい。ちなみに前回のコラムでは「Google+はクラウド時代のトモダチコレクションなのか?」などと書いた。
友達をそれぞれのサークルに振り分けることで、個々のサークルに向けて発言したり、会話のストリームを眺めたりできるようになる。現実のサークルと混同しそうになるが、まったく異なるのは、他人のGoogle+において、自分がどんな名前のサークルに誰と一緒に扱われているのかは見えないことだ。Google+のサークルは、各人のご都合主義がぶつかり合わない、うまい具合のソーシャルグラフになっている。
一方、Facebookで「~さんからからFacebookの友達リクエストが届いています」とくると、ちょっぴり緊張が走る。「~さんがGoogle+であなたを追加しました」は、そこまでの緊迫感はない。Facebookが改まって「付き合ってください」と告白される感覚であるのに対して、Google+は「うわさ話をされた」というくらいの違いがある。
ところで、Google+には、あらかじめ4つのサークルが用意されている。はじめてアクセスしたときに「おやっ?」と思われた人もいると思う。「友だち」「知人」「フォロー中」「家族・親戚」の文字通り“サークル”が画面に現れる。これは、ちょうど『友達の数は何人?』の著者である進化心理学者のいう、友達、知人、あるいはクランなどの集団があてはまるのだろうか?
●日本のSNSなら、いっそ「カワイイ!」ボタンを
Facebookで驚かされるのは、とにかく利用者に対して「友達」を見つけてつなぐことを、あの手この手で執拗に求めてくることだ。Facebookの画面右側は、さまざまな友達の活動や広告が表示される非常に特徴的な部分だが、ここに「~さんが友達検索ツールを使いました」などとこれ見よがしな情報も表示されたりもする。
人間にとって「人と会う」ということは、人生のトピックの1つといってもよい。Facebookは、そうした心理的なエネルギーによって活性化されているサービスなのだ。そして、「友達リクエスト」を「承認」すれば、また別な「友達リクエスト」が届くようになる。
これは何かの感染かチェーンレターのようなものではないかと思えるほどだが、せっせとみんなでFacebookのためのデータ構築を手伝ってあげているという見方もできるだろう。
仮に友達の数の平均が「150人」だとすると、その150人の完璧なネットワークがFacebookの生命線なのだ。一方、Google+は実名性のあたりなどに少し甘いところがあるが、3倍数で増える5人、15人、50人、150人といったサークルを自在に管理できる。
いずれにしろこの2社には、150人のリアルな人のつながりというものが見えていると思う。それに比べて、日本のソーシャルメディアは「友達だから手をつないでおこうね」といった遊びの感覚でできている傾向が強いのではないかと思う。
もちろん、日本と米国では人のつながりも社会のしくみも異っている。Facebookの根底には「父親が息子のガールフレンドの名前を知っている」とか、「ホームパーティなどを頻繁にやるような文化」があると思う。事実、私の知り合いの米国人は、そうしたライフスタイルがいかにFacebookとマッチしているかを説明してくれた。
それならば日本のSNSは、徹底的に日本の文化に根ざした作りにすればよいではないかとも思う。mixiは、「チェック」とか「イイネ!」とかではなく、「カワイイ!」ボタンを作ればいいではないかと思うのだ。
●「超巨大」から150人の積み重なりへ
しかしここで重要なのは、もう「Facebookやmixiが人々の生活にどこまで便利でマッチしたサービスを提供しているか」という次元の話ではなくなっているのではないかということだ。友達が「なんとなくつながっている」という話と、「リアルのつながり150人」が完成しているというのは、まるで話が違うではないか。
FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグは、「100年ごとにメディアは変化する」と発言したことがある。100年前というのは、電話やラジオが発明され、やがてテレビが登場した、マスメディア4媒体の時代である。これまでのネット上のメディアも、基本的にはこれの延長上にあったというわけなのだ。
いまあなたが読んでいるWebページも、いままで紙に印刷していたものを「オン・ザ・ウェブ」化したものといってよい。いままで、新聞や書店などを通して「デリバリー」されてきたものが、電子的なネットワークを通じてPCやスマートフォンの画面で見られるようになったというくらいの違いしかない。
それが、文字通りSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)から「ソーシャルメディア」と言い換えられたように、150人のネットワークの積み重ねが情報インフラになったということなのだ。発信と受信が同列になることもでき、受信側が「+1」や「いいね!」でその情報の伝達性を上げることもできる。こうした時代が訪れていることについて、Googleも同意したというのがGoogle+なのではないだろうか?
7月20日(現地時間)、Googleは、「Google Labs」を終了すると発表した。Google Labsには、同社の社員が勤務時間の20%を使って自分のプロジェクトをやってよいというルールから生まれたサービスが多い。この発表がGoogle+と直接関係するかどうかは不明だが、「より重要なプロダクトへの集中」がその目的だというのだ。
150人のネットワークは、いままでGoogleが扱ってきたような、Google流に言う「超巨大」(very very large)に比べるとえらく小さく見える。しかし、それは150人ごとの小さな世界に対して「正しい答え」をもたらすというメカニズムなのだともいえる。もちろん、これからも検索の価値はあるだろう。しかし、時代が大きくシフトし始めたのだ。Google+対Facebookの戦い、これからどう展開していくのか? 来年春には、Facebookは株式を公開すると言われている。
ミクシィ逆襲の夏 「最後に勝つ」副社長 フェイスブックとグーグルの攻勢に「地場SNS」の意地
日本経済新聞(2011.7.31)
世界最大のSNS(交流サイト)「フェイスブック」の利用者が7億5000万に達した。このままのペースだと、ほどなく世界のネット人口(約20億人)の過半に達する。一方、日本のSNS最大手「mixi」の登録会員は約2300万人。月に1回以上ログインする「アクティブ利用者数」となると約1550万人。チカラ勝負ではどうにも分が悪い。
「このままだと日本もフェイスブックに支配されて『ゆでがえる』になるよ」「mixiも実名制にして、ビジネスでも利用できるような方向に早くかじを切ったらどうか」……。ミクシィ代表取締役副社長としてmixi事業を取り仕切る原田明典(36)は最近、方々から“叱咤(しった)激励”を受け、参っている。
ネット人口あたりの普及率が約4%と、日本は世界でもまれに見る「フェイスブック後進国」。それでも、利用者は400万人に達した。今年6月、フェイスブックは位置情報と連動したクーポンサービスを日本で開始。7月末には日本の初心者向けにフェイスブックをやさしく解説するページへの誘導も始めるなど、攻勢を強めている。フェイスブックの風が吹き始めた。
■首都圏など都市部から浸透
リコーに勤める納富活成(49)はフェイスブックで100人ほどの友人とつながっている。今年春頃から懐かしい仲間が増え始め、中高の同窓約250人のうち約50人がつながった。医者、マスコミ関係、経営者となった旧友と当時を思い出し会話に花を咲かせる。「全員、リアルの知り合いなので、健康や家族関連などプライベートな話も気兼ねなくできるのが楽しい。mixiも使っていたが、今はほとんどアクセスしていません」
フェイスブック派は、首都圏や大阪といった都市部が中心。新しいモノ好きの「アーリーアダプター(早期適応者)」と呼ばれる属性とも重なる。彼ら彼女らが実名や会社名など素性を明かし、親しい友人のみならず、長らく会っていなかった同級生や旧友をフェイスブックに呼び込んでいる。プライベートだけでなく、会社の同僚や取引先とも次々とつながり、「実名主義」を掲げるフェイスブックを名刺代わりに使い始めた。
ネットの世界では、あるサービスの利用者がネット人口の16%を超えると爆発的に普及すると言われる。その手前を「キャズム(=普及期への溝)」と呼ぶ。ネット企業のコンサルティングを手がける斉藤徹(49)は「フェイスブック利用者がキャズムを超えている国は、すでに世界120カ国以上。そんなサービスはほかにない。すでに首都圏の利用者ではmixiを逆転していると見られ、日本でもキャズムを超える可能性が高い」と分析する。
和製SNSの星は、このまま世界王者に飲み込まれてしまうのか。2008年1月、NTTドコモからミクシィに移り、以降、mixi事業のトップとして収益化などに尽力する原田は、意外なほどにフェイスブックを恐れていない。それどころか、余裕の表情すらのぞかせる。
「確かにフェイスブックのような名刺代わりに使えるSNSは、日本でも、ある程度は伸びていくでしょうね。それは承知のうえ。だからといって、mixiはフェイスブックと同じ方向にはいかない」
■実名か匿名かの議論は「意味がない」
フェイスブックとmixiは何が違うのか。よく語られるのは「実名か、匿名か」。だがミクシィ社長の笠原健治(35)は「その区分にはあまり意味がない」と言う。原田も「知り合いでもない人とも簡単につながるツイッターとは違い、現実社会の知り合いとつながる『リアルSNS』という意味では、同じ方向を向いている」と話す。ニックネームで利用できるmixiでも、利用者の多くは実際の知り合いとつながっているからだ。
今年4月、ミクシィが東京大学と共同で行った調査では、mixi利用者のうち7割近くが、SNSの友人関係のうち「半分以上か全員が実際の知り合い」と答えた。3月に調査会社のマクロミルが行ったアンケート結果では、10代のmixi利用者の78%、20代前半の70%が「実名か、あるいは友人が見れば分かる名前で登録している」と答えている。うち約半数が実名登録。若年層ほど実名への抵抗感は薄まっている。
では、両者の違いは何か。原田いわく「会社の同僚とか、取引先とか、知り合いではあるが、親密ではない人たちとも全部つながっちゃうのがフェイスブック。mixiが目指すのは、本当の友達とつながる居心地のよい空間。そのために実名制が必須かと言うと、そうではない」
実名登録が約束のフェイスブックでは、検索すれば簡単に知り合いのページを見つけることができる。いわばアドレス帳。友人登録を済ませた相手の友人のリストも実名なので、友人関係が増えるほど知り合いが見つかる確率は高まる。友人登録の申請は拒否することもできるが、現実社会の知り合いを拒否する人は少ない。
だからこそ広くつながることができ、便利だとも言える。だが、それでは「居心地が悪くなってしまう人もいる」とミクシィは考えている。
言い換えれば、建前のフェイスブックに対して、本音のmixi。ミクシィは、建前の世界でフェイスブックと戦おうとは最初から思っていない。「本音で話せる世界だからこそ、活性化するコミュニケーションがある」と原田は言う。「mixiからすると、すでに逃していたユーザーというか、mixiから離れていってしまっていたユーザーが今、フェイスブックにいっている。べつに、mixiのユーザー数が減っているわけではないんですよ」
今年2月、ログインしてmixiを実際に利用した「アクティブ利用者」は1455万人だった。3月は1537万人と大幅増。投稿数も7億6000万件と前月の5億9000万件から急増した。東日本大震災を機に、mixiの利用者が安否を確かめ合い、被災地の情報を共有したからだ。震災直後は1日あたりの利用者数が過去最大を記録し、その後も活気は持続。翌4月は若干落ち込んだものの、5月は利用者数が1547万人、投稿数が8億4000万件と、ともに3月を上回った。
■今夏以降、大幅な機能強化も
しかし、内輪のプライベートな空間ではなく、パブリックなフェイスブックを好む層が少なくとも数百万人いることは事実。そうしたフェイスブック利用者の多くはmixiのアカウントも持っているが、今では離れてしまっている。であれば、利用者自身が選択したうえで、パブリックな使い方もできるようにするという選択肢はないのか。そう問うと原田は一蹴した。
「mixiの利用者はもうある程度、居心地のよい空間を作っているので、今さらフェイスブックの方向と混在させるようなことはできないし、持ってるプロダクトのポテンシャルにも、開発リソースにも限界がある。それに、先行者をマネして後発がうまくいったネットサービスなんてないですよ。mixiはクルマに例えれば(トヨタ自動車の小型車)『ヴィッツ』みたいなもので、手軽に女子でも運転できるオートマ。生活に適したコンパクトなSNSを求めていく。むしろ親密な空間としてのSNSを育ててグローバルへ出て行く方が、よほど成功の可能性があると思っています」
ミクシィ幹部が抱く逆襲の夢。同じリアルSNSでも中身にこだわり、今伸びている市場は捨てる覚悟。それで勝てる自信はあるのか。原田はこう明言する。
「正直、自信はある。最後には勝ってやろうと思っている。世界で最終的に求められるのは、(建前の)名刺ではなく、居心地。人は毎日パーティーにいかない」
そうは言っても、フェイスブックの伝播力は侮れない。
日本でも利用者数でmixiを上回った時、そこに自分の友達がいれば、フェイスブックへの乗り換えが一気に進む可能性も出てくる。フェイスブックが数を制圧した時、mixiが進めてきた方向と同じ戦略を強化することも考えられる。手立てはあるのか。そう突っ込むと原田はお茶を濁した。
「自信があると言うとホワイ、ホワイと攻められるので、あまり言わないようにしてるんです。根拠を全部言いたいのですが、これから出す機能や戦略がばれてしまうのも嫌なので。だから、今は取材もあまり受けるべきではないと思っています。社員も自信を持っている。離職率を調べてもらえば分かりますが、数十人いる主要な技術者のうち、数人くらいしか辞めていません」
周辺取材をすると、ミクシィが8月と9月に大きな機能追加やサービスの改善を予定していることが浮かび上がる。ミクシィの言うコンセプトの違いやメリットがネットに詳しくない人にもはっきりと分かる形にしていくようだ。
「フェイスブックのおかげでやっと『リアルSNS』ってどういうものかが理解されつつある。ここから、ミクシィの言う『カジュアルでイージーなSNS』って何なのか、はっきりと説明がつくよう、プロダクトで見せていきます」。原田はこう語るにとどめた。
■米グーグルの参入で競争激化
企業規模で見れば、フェイスブックとミクシィは巨象と小動物くらいの差がついている。ここに、もう1つの巨象が参戦しただけに、ミクシィの行く末を憂う者が増えるのも無理はない。
フェイスブックは7月6日、ネット電話大手「スカイプ」と提携し、テレビ電話サービスを始めると発表するなど、ネット上のあらゆる機能やサービスを取り込みつつある。その中身は外部から検索することができない。「すべての情報を整理し、検索できるようにする」ことで巨額の広告費を手にしてきた米グーグルは6月、自前のSNS「Google+」を投入し、対抗姿勢を明らかにした。
グーグルが始めたSNSサービスの画面=ロイター
フェイスブックと同じ実名制を敷くが、投稿する対象を簡単に振り分けることができる「ゆるさ」が目玉だ。例えば同僚や上司には見せず、親友と呼べる間柄にだけ公開することができる。フェイスブックでも友人関係のリストを分けて公開の範囲を絞ることは可能だが、「面倒」という声が多い。
Google+では、フェイスブックのように相手の承認を得なくとも友人関係とすることができ、ミニブログのツイッターのように非対称で関係が構築されていく。だが利用者は、公開範囲を簡単に設定することができるため、投稿の内容に応じて都合のよい相手にだけ伝えることが可能というわけだ。つまり、建前と本音を使い分けることができる。
ただ、これも原田は「コンセプトがぶれている」と気にとめない。じつは、公開範囲を簡単に設定できる機能は、SNSとしては初めてmixiが08年に導入している。SNSの機能として先を行っているこの部分を、今夏以降、ミクシィは我流で強化すると見られる。
今年6月、ナイキジャパンとミクシィの子会社が共同で行った新たな「ソーシャル広告」は、大きな成果を出した。色やデザインを自分なりにカスタマイズしたシューズやバッグの画像が、マイミクのページのバナー広告に表示されるというキャンペーン。クリックされる割合がパソコンでは通常のバナー広告の約11倍、モバイル端末では約16倍という結果が出たという。
ナイキは「私たちの想像を上回る素晴らしい結果を生み出すことができました。商品サイトへのアクセス数はほぼ2倍になり、カスタマイズ対象の商品は期間中、日本の売り上げが全世界でトップレベルに躍り出ました」とコメント。原田は「恐らくフェイスブックはこの取り組みにヒントを得て、何かをやってくる」と話す。しかし、それよりさらに先を行くべく、ソーシャル広告に関する新展開の準備も急ぐ。
SNSを使ったモバイル向けゲームでは、国内で大成功したディー・エヌ・エーやグリーも海外進出を試みており、日本のSNSは世界の先端を行くという見方もある。ミクシィは昨年、中国と韓国のSNS大手と提携、開発やSNSの連携などで共同戦線を張った。その具体的な成果も待たれる。和製の意地を見せることができるか。まずは今夏の動きが試金石となりそうだ。
糞便臭を良い香りに変える?! シキボウなどが新繊維を開発 おむつカバー用として売り込む
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110803/rls11080317440000-n1.htm(2011.8.3)
シキボウは3日、山本香料(大阪市中央区)と共同で、糞(ふん)便臭を良い香りに変える消臭加工繊維「デオマジック」を開発、来年春にも発売すると発表した。悪臭を別の香りで覆う従来手法ではなく、悪臭を香料に混ぜ合わせ、さらに良い香りに変化させる発想から生まれた新繊維で、高齢者のおむつカバー用繊維などとして売り込む。
新繊維は、何十種類の香料をブレンドして作る香水が、あえて糞便臭のような不快に感じられる成分を少量含ませ、それらによって香りをマイルドにさせていることをヒントにした。両社は糞便臭を加えて香料のにおいがさらに良くなる調合の研究を進め、1年間かけて「草原のようなさわやかな香り」(山本香料の山本芳邦社長)を開発。その香料をマイクロカプセルに詰め込んで繊維に付着させた。
新繊維は10回程度洗濯すれば消臭効果が小さくなるため、同じ成分の香料スプレーの商品化も目指す。新製品では「糞便臭がほとんど感じられない程度」(シキボウの辻本裕開発技術部次長)まで消臭でき、シキボウで介護や病院、ペット用の繊維など「糞便臭が気になる用途」への展開を目指す。
価格は一般の繊維より約2割高くなる見通し。初年度1億円、発売3年目に3億円の売り上げを目標にしている。
実店舗で確認して、アマゾンで購入......なライフスタイル
【ネタ倉庫】ライトニング・ストレージ(2011.8.8)
Amazonの安さを知ってしまったので、これからは「ヨドバシカメラやビックカメラで実機を確認してAmazonで購入する」という実店舗を構えている電化店にとっては迷惑極まりない購入習慣がついてしまいそうです。
書店ではすでにそういうことが起こってそう。「書籍を持って帰るのが面倒だから内容の確認を店頭でして、購入を帰ってからAmazonでする」という行動習慣がついている人がいそう。
Amazonの安さを知ってしまったので、これからは「ヨドバシカメラやビックカメラで実機を確認してAmazonで購入する」という実店舗を構えている電化店にとっては迷惑極まりない購入習慣がついてしまいそうです。
書店ではすでにそういうことが起こってそう。「書籍を持って帰るのが面倒だから内容の確認を店頭でして、購入を帰ってからAmazonでする」という行動習慣がついている人がいそう。
世界初の半導体メモリー製造でたんぱく質を立体化 奈良先端科技大
産経ニュース(2011.8.8)
肝臓などに含まれ、鉄を貯蔵するたんぱく質「フェリチン」を使い、半導体メモリーをナノ(10億分の1)メートルサイズまで超薄型化することに成功していた奈良先端科学技術大学院大学の浦岡行治教授(半導体工学)らの研究グループが、さらにフェリチンのナノ粒子を立体化して積み重ねることに世界で初めて成功したと発表した。
立体化することで密度が上がり、半導体メモリーの機能が飛躍的に向上。普及が進むスマートフォンなどへの応用が期待できるという。
研究グループは、フェリチンでサイズの均一なナノ粒子を作製。さらにアミノ酸分子「ペプチド」を使うことで、ナノ粒子を半導体メモリーのシリコン基板上に立体的に積み重ねることに成功した。
通常の半導体メモリーの製造工程では、約1千度の熱処理が必要だが、研究グループの開発したフェリチンを使用したバイオ技術では、室温程度の低温で製造することが可能。
熱に弱いプラスチック基板にも利用できるため、将来的にはスマートフォンなどへの応用が期待されるという。
肝臓などに含まれ、鉄を貯蔵するたんぱく質「フェリチン」を使い、半導体メモリーをナノ(10億分の1)メートルサイズまで超薄型化することに成功していた奈良先端科学技術大学院大学の浦岡行治教授(半導体工学)らの研究グループが、さらにフェリチンのナノ粒子を立体化して積み重ねることに世界で初めて成功したと発表した。
立体化することで密度が上がり、半導体メモリーの機能が飛躍的に向上。普及が進むスマートフォンなどへの応用が期待できるという。
研究グループは、フェリチンでサイズの均一なナノ粒子を作製。さらにアミノ酸分子「ペプチド」を使うことで、ナノ粒子を半導体メモリーのシリコン基板上に立体的に積み重ねることに成功した。
通常の半導体メモリーの製造工程では、約1千度の熱処理が必要だが、研究グループの開発したフェリチンを使用したバイオ技術では、室温程度の低温で製造することが可能。
熱に弱いプラスチック基板にも利用できるため、将来的にはスマートフォンなどへの応用が期待されるという。
フェイスブックは反面教師!?「グーグル・プラス」の後発メリット
ダイヤモンド・オンライン(2011.8.12)
グーグルが新しく発表したソーシャルネットワーク・サービス(SNS)、Google+(グーグル・プラス)が破竹の勢いでユーザーを増やしている。
公開された6月末からおよそ1ヵ月経った8月初めの時点で、登録ユーザー数は2500万人。フェイスブックの7億5000万人にはもちろんかなわないが、こちらのほうは7年かかっての数字だ。
しかも、グーグル・プラスは、まだ招待制の試行運転期間中にすぎない。それでも話題性も好感度もかなり高く、このぶんでは年末までにツイッターを超えて、フェイスブックに迫る第2のSNSに躍進する可能性もある。
迎え撃つフェイスブックは、初めて現れた強敵を前にして、明らかに焦燥感を募らせているようだ。グーグル・プラスがスタートして以降、スカイプと提携してビデオチャットを取り込んだり、中小企業向けのサービスを発表したりと大忙しである。グーグル・プラスが短期間でこれほどの人気を集めるとは、予想していなかったのだろう。
グーグル・プラスの機能はすでにあちこちで報じられているので、ここでは詳述しないが、約めて言えば、以下の三点が大きな特徴だ。
ひとつは、交友関係やネットでフォローしたい人々を自分なりの名前をつけて分類できる「サークル」という仕組みがあることだ。フェイスブックならば、友達かそうでないかという区分が重要だったが、グーグル・プラスではあらゆる人々を取り込み、「友達」「同僚」「得意先」「ゴルフ仲間」といったサークルに分類できる。
第二の特徴は、その自分のサークルに取り込む際に相手の承認が必要ではないことだ。相手には、サークルに入ったことだけが伝えられるが、どんな分類になっているのかまでは知らされない。また相手がその人物をフォロー仕返すかどうかも自由だ。
第三の特徴は、コミュニケーションのためのツールが充実していることである。書き込み以外にも、多方向のビデオチャットやテキストメッセージングができるが、それをサークル内だけ、あるいは複数のサークル、特定のユーザーだけといった具合に、公開する範囲をフレキシブルに設定できる。
これら3つの点は、ある意味、当たり前のことに聞こえるだろうが、こんなSNSがいままでなかったのだ。
しかし、グーグル・プラス躍進の理由を、機能面だけで語るのは間違いだ。競争環境がグーグルに味方している点にも着目すべきである。
SNSの世界には現在、3つの強者がいる。友達関係のフェイスブック、仕事やキャリアのネットワークを広げるリンクトイン、そしてあらゆる人々を相手にするツイッターだ。
インターネットサービスの世界ではこれまで、最初にサービスを始めたものが市場を制するという経験則があった。新しいサービスでユーザーを一定数まで増やし、ユーザーを自分たちのサービスにすっかり慣れ親しませることで参入障壁を築く。先行するサービスは、新しい要素をどんどん加えながら、ユーザーを堅く囲い込んでいく。
さて、この論理だと、SNSの競争環境はグーグルに不利ではないかと思われるかもしれないが、こうも言える。SNSの世界はまだ三国志の時代であり、天下統一はなされてない。しかも、グーグルにとって、ラッキーなことに、最大の強国であるフェイスブックに、民の不満が募っている。
周知のとおり、フェイスブックの設定は「オプトアウト型」が中心、つまりユーザーが注意して外さないと、プライバシー情報が公開されたり共有されたりしてしまうことが多い。しかもその設定をころころ変えるので、ユーザーに極めて評判が悪い。
フェイスブックからすれば、ユーザーデータの価値を高めて、高い値段で売るためにそうしているのであり、ビジネスのために必要なことだというだろう。ユーザーがプライバシー情報を公開すればするほど、そしてフェイスブックの中で「あれを買った」「ここへ行った」といった情報を友達と共有すればするほど、そのユーザーの行動データは増えていき、それがデータブローカーや広告業界に高く売れるのだ。むろん、グーグル・プラスもユーザー情報を集めるだろう。ただ、今のところ、グーグル・プラスのプライバシー設定については、フェアとの評価が多い。
また、グーグルは、“3強”の特長のすべてを網羅できる点も有利だ。先ほど述べたとおり、グーグルのサークル機能は友達や仕事関係にそれぞれ対応できる上に、オープンにフォローしたりされたりすることも可能だ。また、リンクトインが企業に提供しているような人材探しのようなサービスも近く加える計画だと報じられている。
もちろん、インターネット検索の雄グーグルも、これまで開発した新しいサービスのすべてを成功させてきたわけではない。鳴り物入りで発表したものの、ひっそりと消えていったサービスは多く、その中には「バズ」という別のSNSもあった。しかし、人々のインターネットへの入り口が検索からSNSへ移り変わる中、グーグルは今回、後発としての謙虚さを持って、再参入してきた。これは、大きく化けるかもしれない。
グーグルが新しく発表したソーシャルネットワーク・サービス(SNS)、Google+(グーグル・プラス)が破竹の勢いでユーザーを増やしている。
公開された6月末からおよそ1ヵ月経った8月初めの時点で、登録ユーザー数は2500万人。フェイスブックの7億5000万人にはもちろんかなわないが、こちらのほうは7年かかっての数字だ。
しかも、グーグル・プラスは、まだ招待制の試行運転期間中にすぎない。それでも話題性も好感度もかなり高く、このぶんでは年末までにツイッターを超えて、フェイスブックに迫る第2のSNSに躍進する可能性もある。
迎え撃つフェイスブックは、初めて現れた強敵を前にして、明らかに焦燥感を募らせているようだ。グーグル・プラスがスタートして以降、スカイプと提携してビデオチャットを取り込んだり、中小企業向けのサービスを発表したりと大忙しである。グーグル・プラスが短期間でこれほどの人気を集めるとは、予想していなかったのだろう。
グーグル・プラスの機能はすでにあちこちで報じられているので、ここでは詳述しないが、約めて言えば、以下の三点が大きな特徴だ。
ひとつは、交友関係やネットでフォローしたい人々を自分なりの名前をつけて分類できる「サークル」という仕組みがあることだ。フェイスブックならば、友達かそうでないかという区分が重要だったが、グーグル・プラスではあらゆる人々を取り込み、「友達」「同僚」「得意先」「ゴルフ仲間」といったサークルに分類できる。
第二の特徴は、その自分のサークルに取り込む際に相手の承認が必要ではないことだ。相手には、サークルに入ったことだけが伝えられるが、どんな分類になっているのかまでは知らされない。また相手がその人物をフォロー仕返すかどうかも自由だ。
第三の特徴は、コミュニケーションのためのツールが充実していることである。書き込み以外にも、多方向のビデオチャットやテキストメッセージングができるが、それをサークル内だけ、あるいは複数のサークル、特定のユーザーだけといった具合に、公開する範囲をフレキシブルに設定できる。
これら3つの点は、ある意味、当たり前のことに聞こえるだろうが、こんなSNSがいままでなかったのだ。
しかし、グーグル・プラス躍進の理由を、機能面だけで語るのは間違いだ。競争環境がグーグルに味方している点にも着目すべきである。
SNSの世界には現在、3つの強者がいる。友達関係のフェイスブック、仕事やキャリアのネットワークを広げるリンクトイン、そしてあらゆる人々を相手にするツイッターだ。
インターネットサービスの世界ではこれまで、最初にサービスを始めたものが市場を制するという経験則があった。新しいサービスでユーザーを一定数まで増やし、ユーザーを自分たちのサービスにすっかり慣れ親しませることで参入障壁を築く。先行するサービスは、新しい要素をどんどん加えながら、ユーザーを堅く囲い込んでいく。
さて、この論理だと、SNSの競争環境はグーグルに不利ではないかと思われるかもしれないが、こうも言える。SNSの世界はまだ三国志の時代であり、天下統一はなされてない。しかも、グーグルにとって、ラッキーなことに、最大の強国であるフェイスブックに、民の不満が募っている。
周知のとおり、フェイスブックの設定は「オプトアウト型」が中心、つまりユーザーが注意して外さないと、プライバシー情報が公開されたり共有されたりしてしまうことが多い。しかもその設定をころころ変えるので、ユーザーに極めて評判が悪い。
フェイスブックからすれば、ユーザーデータの価値を高めて、高い値段で売るためにそうしているのであり、ビジネスのために必要なことだというだろう。ユーザーがプライバシー情報を公開すればするほど、そしてフェイスブックの中で「あれを買った」「ここへ行った」といった情報を友達と共有すればするほど、そのユーザーの行動データは増えていき、それがデータブローカーや広告業界に高く売れるのだ。むろん、グーグル・プラスもユーザー情報を集めるだろう。ただ、今のところ、グーグル・プラスのプライバシー設定については、フェアとの評価が多い。
また、グーグルは、“3強”の特長のすべてを網羅できる点も有利だ。先ほど述べたとおり、グーグルのサークル機能は友達や仕事関係にそれぞれ対応できる上に、オープンにフォローしたりされたりすることも可能だ。また、リンクトインが企業に提供しているような人材探しのようなサービスも近く加える計画だと報じられている。
もちろん、インターネット検索の雄グーグルも、これまで開発した新しいサービスのすべてを成功させてきたわけではない。鳴り物入りで発表したものの、ひっそりと消えていったサービスは多く、その中には「バズ」という別のSNSもあった。しかし、人々のインターネットへの入り口が検索からSNSへ移り変わる中、グーグルは今回、後発としての謙虚さを持って、再参入してきた。これは、大きく化けるかもしれない。
地球に落ちていく流れ星…ISSから撮影
Yomiuri Online(2011.8.17)
米航空宇宙局(NASA)は、国際宇宙ステーション(ISS)から撮影したペルセウス座流星群の写真を公開した。
流れ星を宇宙から見下ろす角度でとらえた写真は珍しいという。
古川聡さんらと一緒にISSに長期滞在中の米国のロナルド・ギャレン宇宙飛行士が13日、毎年8月に到来する同流星群を撮影した。写真には、地球表面の大気に突入する際に明るく輝く流れ星が写っている
厚さ数十ミクロンの薄膜で植物を育てる技術を東京のMebiolが開発
TechCrunch(2011.8.16)
日本からまた、驚きの技術。東京のMebiolは、薄膜を使用する植物栽培技術…その名をImec…を開発している。植物が、土壌ではなく薄いフィルムの上で生育するのだ。そのフィルムはヒドロゲル(hydrogel)と呼ばれる吸水性の素材から作られ、厚さが”数十ミクロン”しかない。
Mebiolによれば、トマト、ラディッシュ、キュウリ、メロンなどなどは、これまでの栽培技術に比べて水の必要量が80%少ない。1グラムのSkyGel (そのヒドロゲルの商品名)が、100mlの水を吸収する。土壌と違って、バクテリアやウィルスが植物を害する機会がない。もう一つのアドバンテージは、SkyGelが、砂、コンクリート、氷など多様な面の上で使えることだ(近年の利用例がこのPDFに)。
同社によれば、フィルムは交換までに2〜3年は植物の栽培に使える。
東京のDiginfonewsが撮影したこのビデオは、より詳しい情報(Imecの利点と不利)を提供している
日本からまた、驚きの技術。東京のMebiolは、薄膜を使用する植物栽培技術…その名をImec…を開発している。植物が、土壌ではなく薄いフィルムの上で生育するのだ。そのフィルムはヒドロゲル(hydrogel)と呼ばれる吸水性の素材から作られ、厚さが”数十ミクロン”しかない。
Mebiolによれば、トマト、ラディッシュ、キュウリ、メロンなどなどは、これまでの栽培技術に比べて水の必要量が80%少ない。1グラムのSkyGel (そのヒドロゲルの商品名)が、100mlの水を吸収する。土壌と違って、バクテリアやウィルスが植物を害する機会がない。もう一つのアドバンテージは、SkyGelが、砂、コンクリート、氷など多様な面の上で使えることだ(近年の利用例がこのPDFに)。
同社によれば、フィルムは交換までに2〜3年は植物の栽培に使える。
東京のDiginfonewsが撮影したこのビデオは、より詳しい情報(Imecの利点と不利)を提供している
誰もが陥っている“その場しのぎ症候群”の処方箋
ITmedia エグゼクティブ(2011.8.22)
企業人、誰にも覚えがあろう。毎日毎日が忙しくて忙しくて、こなしている仕事で雑用が多く、しかもどうも自分で選択したというより、他から与えられて、あるいは押し付けられて余儀なくやらざるを得ないトラブル処理や、会議出席などに振り回され、限られた時間の中で、一見テキパキ処理しようが、悩み苦しんで処理しようが、結局は「その場しのぎ」で切り抜けている。
偶然できたつかの間の空白の時間、しかもごく短時間にホッとして机に座って書類を処理して、それがあたかも本来の仕事をしている錯覚に捉われ、それさえ叶わぬときは自宅に書類を持ち帰り、あるいは休日に出てきて書類を処理する。本来は「その場しのぎ」を脱するための根本策を講じなければならないのに、精神的にも肉体的にも疲れ果てて、そこまで思いが及ばない、いや少なくとも手が付かない……というわけだ。
この状態を放置しておいてよいはずがない。放置すれば、いろいろな問題が深刻化する。
ロジャー E.ボーン教授(カリフォルニア大学)も、その研究成果の中で指摘している(「Diamond Harvard Business Review」=「DHBR」May 2011. 「その場しのぎ症候群から脱する法」西尚久訳、本記事のタイトルはここから一部借用)。R.E.ボーン教授によると、企業では問題が次々と発生し、対処する時間が不足することが常態化している。問題を放置するよりも「その場しのぎ」でも手を打った方がよい場合もある。
しかし、「その場しのぎ」による悪影響は、仮に問題が解決してもシステマティックな解決よりも時間を要し、生産性が著しく低下し、不充分どころか間違った解決をもたらし、最悪の場合は製品の市場回収や工場の操業停止、有能な人材の疲弊による退職など、本来業務の経営資源まで食いつぶすことである。
なぜ「その場しのぎ症候群」が多くの企業で発生し、しかも常態化しているのか。
企業の実態を若干分析してみよう。大手エレクトロニクス・メーカーA社のB生産管理係長の例だ。よくもまあ毎日毎日、問題が次々と発生するものだ。製品の納期問題が、最多だ。購入資材や外注部品の納入遅れ、治工具や型などのトラブルによる製造工程の遅れ、顧客からの短納期品の飛び込み受注などにより、製品納期遅れが発生する。それに伴う生産計画変更が必要だ。さらに製造ラインを遊ばせる事態になると、製造班長や係長から猛烈な突き上げを食らう。
火消しのため東奔西走の活躍だ。しかしB係長は、資材や外注部品の恒常的遅れに対する根本的解決策や、頻発する短納期飛び込み受注に対する営業との背景分析や根本策などの手を打たなければならないと時には思いつつ、いつも時間がない。むしろ、その場しのぎの手を打って事態が一段落するたびに、一種の達成感さえ味わった。
次は、設計の例だ。中堅健康機器メーカーC社のD設計課長は、毎日時間に追われていた。まず、C社ではプロフィットセンターが設計部署になっているので、担当部門の業績結果はD課長の最重要課題だ。予算収益未達成が予想されると(大体未達成が多い)、D課長はその原因究明と対策で多大の時間を取られた。製品改良や新製品開発の推進も必要だ。さらに、多くの会議の膨大な資料作成があり、ほとんどの場合設計部署責任で作成する。合間を縫って、関連部署からの問い合わせに対応したり、多くの会議に出席する必要がある。
ある時トップから、健康機器のある電気部品を価格低減の目的で、国産からドイツ製に切り替える検討をするよう指示された。該当電気部品のテストが必要だ。Dは担当者Eに指示した。指示されたEは、これまた毎日時間に追われていた。該当電気部品について、メーカーからの性能データの裏づけをするテスト指示書を出した。彼も、相談を受けたD課長も、トップ指示でもあり、その程度のテストで何とかなると安易に考えた。
2年後に、市場で該当健康機器の出火事故が発生した。ドイツ製電気部品の耐用試験がC社ルールに厳密にのっとらず、甘かったのだ。「その場しのぎ」の付けが回った。
●その場しのぎ症候群の症状
R.E.ボーン教授は、次のうち3つ以上の症状が見られたらその場しのぎ症候群に陥っていると指摘する。これは、その原因とも解釈される。(1)すべての問題解決の時間がない、(2)おざなりの解決だ、(3)問題が再発しエスカレート、(4)ことの重要性よりも緊急性が優先、(5)小事が大事に発展、(6)パフォーマンスが下がる。しかし、これらは単なる現象の羅列だ。
「その場しのぎ症候群」の原因は、上記実態例でも示唆されているように、
(1)「その場しのぎ」でむしろ充実感さえ味わい、結果的にこれでよしの認識に陥っている、
(2)「その場しのぎ」が習い性になってしまい、例えば部長・課長・係長共に大きな問題が発生した際には部下に任せていた中小問題について、大きな問題がない時につい手を出してしまう、
(3)あまりにも時間に追われるため、根本対策を考えて実行する発想が頭から消えている、
(4)そして何よりも、「その場しのぎ」が社内認知されているということだ。
さて、「その場しのぎ症候群」の処方箋だ。R.E.ボーン教授提案の処方箋を一部参考に、次の処方箋を提案する。
(1)問題に優先順位をつける(R.E.ボーン:一部の問題は放置することを覚悟の上で、問題発生時点で問題を取捨選択する)。これは、軍医学からの応用だというところが面白い。
そんなこと当たり前だ!と言われそうだが、現実には問題が起こるはなから手を付けているので、謙虚に反省すべきだ。原因でも触れたように、発生した問題の重要性に無関係にとにかく食らいつくことを止めることだ。辛いことだが、中には放置する覚悟が要る。
「放置」できる1つの根拠はある。しばしば指摘されることだが、P.F.ドラッカーも主張する、「「企業は、自然現象ではなく社会現象である。そして社会現象は正規分布しない。つまり社会現象においては、一方の極の10%からせいぜい20%というごく少数のトップの事象が成果の90%を占め、残りの大多数の事象は成果の10%を占めるに過ぎない」(P.F.ドラッカー「創造する経営者」ダイヤモンド社)。
(2)問題をグルーピングして、まとめて根本的に解決する。上記A社の例で部材納入遅れや短納期飛び込み受注などは頻繁に発生するが、グルーピングして根本解決すべきだろう。
(3)「その場しのぎ」に報奨を与えない(R.E.ボーン:最悪の窮地から組織を救った人は英雄視される。しかしその人は、問題が発生した時にはどこで何をしていたのか。何故問題が大きくなる前に、先手を打って行動しなかったか)。確かに陥りがちな罠は、「その場しのぎ」で縦横無尽の活躍をする者をつい優秀な人材とみなし、評価してしまうことだ。それでは、「その場しのぎ」は決して無くならない。
(4)さて、最も根本的な処方箋だ。まず大前提として、何が何でも「その場しのぎ症候群」を根絶するのだという強い意志を全社に浸透させ、企業文化として定着させなければならない。それをブレークダウンして示せば、
・「その場しのぎ」は罪悪であるという認識を社内に植えつけ、社長方針に明記し、あらゆる機会に経営者はそれを復唱する。さもなくば、「その場しのぎ」人は「やり手」と誤解され、本人も間違った充実感を持つからだ。これは、経営側の課題だ。
・「その場しのぎ」に参画しないと、疎外感さえ持つ。その「その場しのぎ」習い性から、意識的に脱出する努力をする。中小問題を振り切る冷たさと思い切りを持ち、空いた時間で根本策を練る努力をすべきだ。これは、その場しのぎ実行側の課題だ。
・「その場しのぎ」の実績を「登録」し、その後フォローアップして根本策を実施したという「報告」を義務付ける制度と、それを監査するシステムを整備する。
「その場しのぎ」は火消しとして避けられないだろうし、大火に至る危険があるから認めざるを得ない必要悪だが、根本策でフォローアップすることを義務付けることが必要だ。
企業人、誰にも覚えがあろう。毎日毎日が忙しくて忙しくて、こなしている仕事で雑用が多く、しかもどうも自分で選択したというより、他から与えられて、あるいは押し付けられて余儀なくやらざるを得ないトラブル処理や、会議出席などに振り回され、限られた時間の中で、一見テキパキ処理しようが、悩み苦しんで処理しようが、結局は「その場しのぎ」で切り抜けている。
偶然できたつかの間の空白の時間、しかもごく短時間にホッとして机に座って書類を処理して、それがあたかも本来の仕事をしている錯覚に捉われ、それさえ叶わぬときは自宅に書類を持ち帰り、あるいは休日に出てきて書類を処理する。本来は「その場しのぎ」を脱するための根本策を講じなければならないのに、精神的にも肉体的にも疲れ果てて、そこまで思いが及ばない、いや少なくとも手が付かない……というわけだ。
この状態を放置しておいてよいはずがない。放置すれば、いろいろな問題が深刻化する。
ロジャー E.ボーン教授(カリフォルニア大学)も、その研究成果の中で指摘している(「Diamond Harvard Business Review」=「DHBR」May 2011. 「その場しのぎ症候群から脱する法」西尚久訳、本記事のタイトルはここから一部借用)。R.E.ボーン教授によると、企業では問題が次々と発生し、対処する時間が不足することが常態化している。問題を放置するよりも「その場しのぎ」でも手を打った方がよい場合もある。
しかし、「その場しのぎ」による悪影響は、仮に問題が解決してもシステマティックな解決よりも時間を要し、生産性が著しく低下し、不充分どころか間違った解決をもたらし、最悪の場合は製品の市場回収や工場の操業停止、有能な人材の疲弊による退職など、本来業務の経営資源まで食いつぶすことである。
なぜ「その場しのぎ症候群」が多くの企業で発生し、しかも常態化しているのか。
企業の実態を若干分析してみよう。大手エレクトロニクス・メーカーA社のB生産管理係長の例だ。よくもまあ毎日毎日、問題が次々と発生するものだ。製品の納期問題が、最多だ。購入資材や外注部品の納入遅れ、治工具や型などのトラブルによる製造工程の遅れ、顧客からの短納期品の飛び込み受注などにより、製品納期遅れが発生する。それに伴う生産計画変更が必要だ。さらに製造ラインを遊ばせる事態になると、製造班長や係長から猛烈な突き上げを食らう。
火消しのため東奔西走の活躍だ。しかしB係長は、資材や外注部品の恒常的遅れに対する根本的解決策や、頻発する短納期飛び込み受注に対する営業との背景分析や根本策などの手を打たなければならないと時には思いつつ、いつも時間がない。むしろ、その場しのぎの手を打って事態が一段落するたびに、一種の達成感さえ味わった。
次は、設計の例だ。中堅健康機器メーカーC社のD設計課長は、毎日時間に追われていた。まず、C社ではプロフィットセンターが設計部署になっているので、担当部門の業績結果はD課長の最重要課題だ。予算収益未達成が予想されると(大体未達成が多い)、D課長はその原因究明と対策で多大の時間を取られた。製品改良や新製品開発の推進も必要だ。さらに、多くの会議の膨大な資料作成があり、ほとんどの場合設計部署責任で作成する。合間を縫って、関連部署からの問い合わせに対応したり、多くの会議に出席する必要がある。
ある時トップから、健康機器のある電気部品を価格低減の目的で、国産からドイツ製に切り替える検討をするよう指示された。該当電気部品のテストが必要だ。Dは担当者Eに指示した。指示されたEは、これまた毎日時間に追われていた。該当電気部品について、メーカーからの性能データの裏づけをするテスト指示書を出した。彼も、相談を受けたD課長も、トップ指示でもあり、その程度のテストで何とかなると安易に考えた。
2年後に、市場で該当健康機器の出火事故が発生した。ドイツ製電気部品の耐用試験がC社ルールに厳密にのっとらず、甘かったのだ。「その場しのぎ」の付けが回った。
●その場しのぎ症候群の症状
R.E.ボーン教授は、次のうち3つ以上の症状が見られたらその場しのぎ症候群に陥っていると指摘する。これは、その原因とも解釈される。(1)すべての問題解決の時間がない、(2)おざなりの解決だ、(3)問題が再発しエスカレート、(4)ことの重要性よりも緊急性が優先、(5)小事が大事に発展、(6)パフォーマンスが下がる。しかし、これらは単なる現象の羅列だ。
「その場しのぎ症候群」の原因は、上記実態例でも示唆されているように、
(1)「その場しのぎ」でむしろ充実感さえ味わい、結果的にこれでよしの認識に陥っている、
(2)「その場しのぎ」が習い性になってしまい、例えば部長・課長・係長共に大きな問題が発生した際には部下に任せていた中小問題について、大きな問題がない時につい手を出してしまう、
(3)あまりにも時間に追われるため、根本対策を考えて実行する発想が頭から消えている、
(4)そして何よりも、「その場しのぎ」が社内認知されているということだ。
さて、「その場しのぎ症候群」の処方箋だ。R.E.ボーン教授提案の処方箋を一部参考に、次の処方箋を提案する。
(1)問題に優先順位をつける(R.E.ボーン:一部の問題は放置することを覚悟の上で、問題発生時点で問題を取捨選択する)。これは、軍医学からの応用だというところが面白い。
そんなこと当たり前だ!と言われそうだが、現実には問題が起こるはなから手を付けているので、謙虚に反省すべきだ。原因でも触れたように、発生した問題の重要性に無関係にとにかく食らいつくことを止めることだ。辛いことだが、中には放置する覚悟が要る。
「放置」できる1つの根拠はある。しばしば指摘されることだが、P.F.ドラッカーも主張する、「「企業は、自然現象ではなく社会現象である。そして社会現象は正規分布しない。つまり社会現象においては、一方の極の10%からせいぜい20%というごく少数のトップの事象が成果の90%を占め、残りの大多数の事象は成果の10%を占めるに過ぎない」(P.F.ドラッカー「創造する経営者」ダイヤモンド社)。
(2)問題をグルーピングして、まとめて根本的に解決する。上記A社の例で部材納入遅れや短納期飛び込み受注などは頻繁に発生するが、グルーピングして根本解決すべきだろう。
(3)「その場しのぎ」に報奨を与えない(R.E.ボーン:最悪の窮地から組織を救った人は英雄視される。しかしその人は、問題が発生した時にはどこで何をしていたのか。何故問題が大きくなる前に、先手を打って行動しなかったか)。確かに陥りがちな罠は、「その場しのぎ」で縦横無尽の活躍をする者をつい優秀な人材とみなし、評価してしまうことだ。それでは、「その場しのぎ」は決して無くならない。
(4)さて、最も根本的な処方箋だ。まず大前提として、何が何でも「その場しのぎ症候群」を根絶するのだという強い意志を全社に浸透させ、企業文化として定着させなければならない。それをブレークダウンして示せば、
・「その場しのぎ」は罪悪であるという認識を社内に植えつけ、社長方針に明記し、あらゆる機会に経営者はそれを復唱する。さもなくば、「その場しのぎ」人は「やり手」と誤解され、本人も間違った充実感を持つからだ。これは、経営側の課題だ。
・「その場しのぎ」に参画しないと、疎外感さえ持つ。その「その場しのぎ」習い性から、意識的に脱出する努力をする。中小問題を振り切る冷たさと思い切りを持ち、空いた時間で根本策を練る努力をすべきだ。これは、その場しのぎ実行側の課題だ。
・「その場しのぎ」の実績を「登録」し、その後フォローアップして根本策を実施したという「報告」を義務付ける制度と、それを監査するシステムを整備する。
「その場しのぎ」は火消しとして避けられないだろうし、大火に至る危険があるから認めざるを得ない必要悪だが、根本策でフォローアップすることを義務付けることが必要だ。
2011年6月23日木曜日
ツイッターは民主化を支えない
47News(2011.6.21)
これはどうしたことだろう。中東アラブの春の民主化運動は、中途半端に終わりそうな様相である。
チュニジアのジャスミン革命で始まり、エジプトではムバラク大統領の長期政権を倒し、イエメンではサレハ大統領を事実上の国外亡命に追い込んだものの、その後は民主化の動きはぱっとしない。リビアではカダフィ大佐が巻き返しているし、エジプトだってイエメンだってシリアだって、依然として体制の根幹に変化はない。
アラブの春は、ツイッターやソーシャルネットワーキングの普及に象徴される情報通信革命の勝利だ、などと気の早いメディアははしゃいでいたものだが、どうも様子が違う。少なくとも20年余り前の東中欧諸国で成功した民主化革命のようには進展していない。どうしてだろうと考えていたら、先日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙(6月17日付)が、なるほどと思わせる仮説を紹介していた。筆者はロイター通信社のグローバル・エディターであるクリスティア・フリーランド氏だ。
アラブの春の追悼記事を間もなく書かねばならなくなる、と氏は言う。
第1の理由は「民主主義が売れなくなったこと」。20年前の中東欧諸国では民主主義は自由と繁栄を約束するものだった。民主化すれば貧困から這い上がって豊かな暮らしができるようになる、と米国と西欧諸国は宣伝し、東欧の人々はそれを信じて政権打倒に立ち上がった。ところが今現在、中国は民主化しないまま経済的繁栄を達成してしまった。これに対して西側諸国は財政・金融危機に陥っている。民主化と繁栄は直接結びつくものではないではないか、と受け止められている。
第2に、情報通信技術の発達は体制打倒をめざす市民の組織化には役立ったが、新しい真に民主的な社会システムの構築を組織化するにはあまり役立ちそうもないことだ。ブルガリアの政治学者、イバン・クラスチョフ氏が唱えている説だそうだ。
情報通信革命は「公共の場」を細分化してしまった。インターネットやソーシャルネットワーキングは市民全体に関わる一つの問題について議論を集約していく作業が苦手である。ネットが求めるのは、自分のもっているバイアス(偏見)を「そうだそうだ、その通りだ」と確認してくれる情報だけである。「独裁者を打ち倒せ」という呼びかけには簡単に応じてくれるが、民主主義に基づいた開かれた社会制度を構築しよう、という呼びかけには反応が鈍い。
フリーランド氏は中東欧革命とアラブの春をめぐる別の状況も紹介しているが、ツイッターやソーシャルネットワーキングはアラブ諸国の真の民主化をサポートするものではなかった、という指摘は面白い、と思った。
だからといってこれまでの情報通信のあり方を変え、社会のシステムを変革していく起爆剤になりうるソーシャルネットワーキングやツイッターの存在意義がなくなるわけではない。
(2011年6月21日 今井 克)
これはどうしたことだろう。中東アラブの春の民主化運動は、中途半端に終わりそうな様相である。
チュニジアのジャスミン革命で始まり、エジプトではムバラク大統領の長期政権を倒し、イエメンではサレハ大統領を事実上の国外亡命に追い込んだものの、その後は民主化の動きはぱっとしない。リビアではカダフィ大佐が巻き返しているし、エジプトだってイエメンだってシリアだって、依然として体制の根幹に変化はない。
アラブの春は、ツイッターやソーシャルネットワーキングの普及に象徴される情報通信革命の勝利だ、などと気の早いメディアははしゃいでいたものだが、どうも様子が違う。少なくとも20年余り前の東中欧諸国で成功した民主化革命のようには進展していない。どうしてだろうと考えていたら、先日のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙(6月17日付)が、なるほどと思わせる仮説を紹介していた。筆者はロイター通信社のグローバル・エディターであるクリスティア・フリーランド氏だ。
アラブの春の追悼記事を間もなく書かねばならなくなる、と氏は言う。
第1の理由は「民主主義が売れなくなったこと」。20年前の中東欧諸国では民主主義は自由と繁栄を約束するものだった。民主化すれば貧困から這い上がって豊かな暮らしができるようになる、と米国と西欧諸国は宣伝し、東欧の人々はそれを信じて政権打倒に立ち上がった。ところが今現在、中国は民主化しないまま経済的繁栄を達成してしまった。これに対して西側諸国は財政・金融危機に陥っている。民主化と繁栄は直接結びつくものではないではないか、と受け止められている。
第2に、情報通信技術の発達は体制打倒をめざす市民の組織化には役立ったが、新しい真に民主的な社会システムの構築を組織化するにはあまり役立ちそうもないことだ。ブルガリアの政治学者、イバン・クラスチョフ氏が唱えている説だそうだ。
情報通信革命は「公共の場」を細分化してしまった。インターネットやソーシャルネットワーキングは市民全体に関わる一つの問題について議論を集約していく作業が苦手である。ネットが求めるのは、自分のもっているバイアス(偏見)を「そうだそうだ、その通りだ」と確認してくれる情報だけである。「独裁者を打ち倒せ」という呼びかけには簡単に応じてくれるが、民主主義に基づいた開かれた社会制度を構築しよう、という呼びかけには反応が鈍い。
フリーランド氏は中東欧革命とアラブの春をめぐる別の状況も紹介しているが、ツイッターやソーシャルネットワーキングはアラブ諸国の真の民主化をサポートするものではなかった、という指摘は面白い、と思った。
だからといってこれまでの情報通信のあり方を変え、社会のシステムを変革していく起爆剤になりうるソーシャルネットワーキングやツイッターの存在意義がなくなるわけではない。
(2011年6月21日 今井 克)
2011年6月20日月曜日
ヤフー運営のSNS「Yahoo! Days」、10月3日で終了
Garbagenewe.com(2011.6.7)
ヤフーは2011年6月6日、同社が運営しているソーシャルメディア【Yahoo! Days】について、同年10月3日付でサービスを終了すると発表した。それに伴い同年7月6日付で日記の新規投稿などをはじめとした各種入力更新機能を停止、主要閲覧機能のみでの運用となる(【発表リリース】)。
「Yahoo! Days」は2006年2月に「Yahoo! 360°」としてサービスを開始、同年7月には、公募の結果として「Yahoo! Days」に名称を変更。現在までサービスを提供してきたものの、ソーシャルメディア・SNSとしては日本国内で先行していたmixiやGREEなどに対抗しうるだけの特性、有意性を打ち出せず、結局5年強で終焉を迎えることになった。
今後のスケジュールは次の通り。基本的に7月6日の時点で新規更新は不可能となる。
■2011年7月6日
・日記の新規投稿・編集・公開範囲変更・削除終了
・コレクションの新規投稿・編集・公開範囲変更・削除終了
・コミュニティーの新規作成・編集・参加・退会・投稿・削除終了
・アラート設定・外部サイト認証設定終了
・Yahoo! Daysの新規参加の受け付け終了
■10月3日
・サービス終了
・自分の日記およびコレクションページ以外へのアクセス停止
・日記データのMovable Type形式(MT形式)によるエクスポート(ダウンロード)機能の提供開始
■11月30日
・日記データのエクスポート(ダウンロード)機能の提供終了
・サービス完全終了(すべてのページへのアクセス停止)
■12月中
・Yahoo!ブログにて、以下2つの機能を提供開始(予定)
1.日記の公開範囲設定機能(Yahoo! Daysと同じ機能)
2.Movable Type形式(MT形式)による日記データのインポート(Yahoo!ブログへの移行)機能
インポート方法などの詳細はあらためて公知予定
要は「Yahoo! Days」で日記(の類)を書き連ねていた人はMovable Type形式(MT形式)でデータを抽出でき、他のブログサービスへの内容の転送が可能になる。そしてヤフーブログにもその内容を移すことができるようになる。ただしヤフーブログでのMovable Type形式(MT形式)のデータ移行・公開範囲設定機能導入は12月中予定なので、Yahoo! Daysからヤフーブログに「引っ越し」を考えている人は、数か月の間を置かねばならなくなる。
他人との付き合いがどれだけできるかがポイントとなるSNS・ソーシャルメディアでは、どうしても寡占状態になりやすい。多くの人が集まれば集まるほど、魅力も高まり、ますます多くの人が集まりやすくなるからだ。その点では「Yahoo! Days」は「波に乗れなかった」ということになるのだろう。
フェイスブックのユーザー数、5月に米などで減少
AFPBB News(2011.6.14)
米SNS大手フェイスブック(Facebook)のユーザー数やトレンドを追跡している「インサイド・フェイスブック(Inside Facebook)」は13日、フェイスブックの登録ユーザー数がまもなく7億人を突破するとみられる一方、ユーザー数の増加の勢いは鈍りつつあり、米国やカナダなどでは5月にユーザー数が減少したとする分析結果を発表した。
フェイスブックの世界全体のユーザー数は、6月初めに6億8700万人に達した。新規ユーザー数は5月が1180万人、4月が1390万人で2か月連続で2000万人を下回った。それまでのしばらくの間、新規ユーザー数は1か月あたり2000万人以上だったことを考えると「異常なこと」だとインサイド・フェイスブックは評している。
米国では5月初めに1億5520万人だったフェイスブックのユーザー数は同月末には1億4940万人になり、5月だけでユーザー数が約580万人も減少した。5月にカナダでは152万人減って1660万人になり、英国、ノルウェー、ロシアでも10万人以上減少した。
米SNS大手フェイスブック(Facebook)のユーザー数やトレンドを追跡している「インサイド・フェイスブック(Inside Facebook)」は13日、フェイスブックの登録ユーザー数がまもなく7億人を突破するとみられる一方、ユーザー数の増加の勢いは鈍りつつあり、米国やカナダなどでは5月にユーザー数が減少したとする分析結果を発表した。
フェイスブックの世界全体のユーザー数は、6月初めに6億8700万人に達した。新規ユーザー数は5月が1180万人、4月が1390万人で2か月連続で2000万人を下回った。それまでのしばらくの間、新規ユーザー数は1か月あたり2000万人以上だったことを考えると「異常なこと」だとインサイド・フェイスブックは評している。
米国では5月初めに1億5520万人だったフェイスブックのユーザー数は同月末には1億4940万人になり、5月だけでユーザー数が約580万人も減少した。5月にカナダでは152万人減って1660万人になり、英国、ノルウェー、ロシアでも10万人以上減少した。
フェイスブック、「北米ユーザーが大幅に減少」との指摘に抗弁
COMPUTERWORLD.jp(2011.6.15)
ソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)大手の米国Facebookが、同社サイトの人気が北米で低下しているとの指摘に異を唱えた。「Inside Facebook」Webサイトによれば、米国およびカナダの「Facebook」ユーザー数は5月の1カ月間に730万人減少し、また4月、5月のユーザー増加数はそれぞれ1,390万人、1,180万人と、これまでのひと月あたり2,000万人ペースを下回ったという。
だがFacebookは、Inside Facebookのデータには誤りがあるとの声明を発表した。
「時折こうした、特定の地域でFacebookユーザーが減っているという報道を目にする。こうした報道の一部は、我々が提供する広告配信ツールから抽出したデータを基にしているが、このツールはFacebook広告が伝播する範囲をおおまかに見積もるためのものであり、Facebookの成長を全般的に追跡する目的で設計されてはいない」(同社声明より)
Facebookは自らの成長を「たいへん喜ばしく思っている」と記しているが、これに続くのは真偽の定かではない一文だ。「Facebookのアクティブ・ユーザーの50%以上は、毎日ログオンしている」。
Facebookは2010年にユーザー数が5億人であることを公表したが、基本的にユーザー・データについては口が重く、また株式公開企業ではないためそうした数値を明らかにする義務もない。
ほかに有用な情報がないため、アナリストらはFacebookの成長率(もしくは縮小率)を自力で推定する必要がある。Inside Facebookも、同サイトが示した数値に「エラーがある」こと、大学の学期中など季節的な傾向に左右されやすいことを認めている。
インターネット市場リサーチ会社comScoreも英国BBCに対し、同社の計測によれば5月の米国Facebookユーザー数は21%増加しており、Inside Facebookの数値には疑問が残ると語った。
ビジター数は、将来の成功のために欠かせないFacebookの生命線である。高いビジター数がなければ、同社が広告主を引きつけることは難しくなるだろう。
複数のアナリストは、世界中で50億ものアカウントが作られている現状を考慮するに、Facebookは北米および欧州で飽和点に達しようとしていると話した。簡単に言えば、Facebookのアカウントがほしいと思う人はもうすでに持っているということである。すなわち同社のさらなる成長は、今までとは別の場所をターゲットにしなければ難しい。例えば、北米ではユーザー数が落ち込んだとされる5月でも、メキシコ、ブラジル、インド、インドネシアおよびフィリピンでは利用者数が増えている。
Facebookの創立者であり最高経営責任者(CEO)でもあるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)氏は先日、現在は利用規約上禁止されている13歳未満の児童も、Facebookアカウントを作れるようにすべきだと発言した。これもFacebookが成長を渇望しているゆえのことだろう。
エビの世界にも「女王」いた 米の学者発見、働きエビも
asahi.com(2011.6.17)
ハチやアリだけでなく、エビの世界にも「女王エビ」や「働きエビ」が――。群れの中で役割を分担し、高度な社会生活を営む生物が海中にもいることを発見した米国の海洋生態学者に、神戸市立須磨海浜水族園が設けた第1回「神戸賞」が贈られる。7月10日に授賞式と受賞記念講演会がある。
受賞したのは米ウィリアム・アンド・メアリー大学バージニア海洋科学研究所のエメット・ダフィーさん(50)。研究によると、中南米カリブ海の海綿動物に寄生して暮らす体長数センチのテッポウエビは、約300匹の群れで生活する。卵を産むのは「女王エビ」だけで、「働きエビ」は女王にエサを運ぶ。「兵隊エビ」は敵が近づくと、前脚のハサミをパチンと閉じて衝撃波を発生させ、女王や群れを守る。
園によると、2000年に学術誌で発表されたが、一般には知られていなかった。意外性のある発見だったことに加え、市民に海洋生物学の面白さを感じてもらえる点を高く評価したという。
ネットで叩かれやすい企業の共通点とは?
WEB本の雑誌(2011.6.19)
ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアの普及により、これまでよりも情報が素早く拡散されるようになった昨今、企業のイメージアップを担う各社の広報担当者たちにとってネットにおけるPR活動は欠かせないものとなっています。
しかし、ネットは宣伝ツールとして優れている反面、誰しも自由に発言できるため「バッシング」や「炎上」といった事態に陥りやすい特性も。広報担当者たちの頭を悩ませ続けるこの問題に、編集者兼PRプランナーの中川淳一郎さんは「ネットには叩かれやすい企業と、そうでない企業がある」として、その違いを『広報会議 7月号』(宣伝会議)でこう解説しています。
「ネット上では地道に仕事をしているイメージのある『町工場』や『農家』は叩かれにくく、華やかで楽しそうで儲かってそうなイメージがある企業が叩かれやすい。(中略)基本的に叩かれる企業は『嫉妬』が絡んでいる」
例えば、2010年10月にサイバーエージェントの女性内定者が、参加した「総会」の様子をブログにアップしたところ、非難が殺到しブログが「炎上」したことがありました。ブログの内容自体は「(素晴らしい会で)働く意欲が高まった」という前向きなものでしたが、そこに写っていた女性内定者たちがいずれも美人ぞろいだったことで、ブログの閲覧者たちから「自分たちの幸せな境遇を誇示している」と受け止められ、「叩き」の対象となったのです。
「人は苦しい生活を送っている人を叩かない。自分よりも楽しく、幸せそうな人生を送っている人を叩くのである。それは企業も同じだ」(中川さん)
そうした事態への防衛策として、中川さんは「儲かっているイメージを出さない」、「社会に何らかの還元をする(ただし偽善と映らない形で)」ことを提言しています。実際に、本当は儲かっている企業であっても、安く品質の良い製品を提供する「ユニクロ」や、ガリガリ君で知られる「赤城乳業」などは叩かれにくいのだそうです。
中身よりも体裁を気にしがちな日本独自の文脈と言えそうですが、ネット時代のPR活動を考える上で、こうした要素は考慮せざるを得なくなっているようです。とはいえ、中川さんに言わせれば、「ネットで叩かれようが、実際のところ大した影響はなく、ビビった担当者が過剰に反応し、事を荒立てただけのことも多い」とか。一部の人が騒いでいるだけなのか、それとも社会的な「問題」となっているのかを、きちんと把握することが大切なのかもしれません。
ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアの普及により、これまでよりも情報が素早く拡散されるようになった昨今、企業のイメージアップを担う各社の広報担当者たちにとってネットにおけるPR活動は欠かせないものとなっています。
しかし、ネットは宣伝ツールとして優れている反面、誰しも自由に発言できるため「バッシング」や「炎上」といった事態に陥りやすい特性も。広報担当者たちの頭を悩ませ続けるこの問題に、編集者兼PRプランナーの中川淳一郎さんは「ネットには叩かれやすい企業と、そうでない企業がある」として、その違いを『広報会議 7月号』(宣伝会議)でこう解説しています。
「ネット上では地道に仕事をしているイメージのある『町工場』や『農家』は叩かれにくく、華やかで楽しそうで儲かってそうなイメージがある企業が叩かれやすい。(中略)基本的に叩かれる企業は『嫉妬』が絡んでいる」
例えば、2010年10月にサイバーエージェントの女性内定者が、参加した「総会」の様子をブログにアップしたところ、非難が殺到しブログが「炎上」したことがありました。ブログの内容自体は「(素晴らしい会で)働く意欲が高まった」という前向きなものでしたが、そこに写っていた女性内定者たちがいずれも美人ぞろいだったことで、ブログの閲覧者たちから「自分たちの幸せな境遇を誇示している」と受け止められ、「叩き」の対象となったのです。
「人は苦しい生活を送っている人を叩かない。自分よりも楽しく、幸せそうな人生を送っている人を叩くのである。それは企業も同じだ」(中川さん)
そうした事態への防衛策として、中川さんは「儲かっているイメージを出さない」、「社会に何らかの還元をする(ただし偽善と映らない形で)」ことを提言しています。実際に、本当は儲かっている企業であっても、安く品質の良い製品を提供する「ユニクロ」や、ガリガリ君で知られる「赤城乳業」などは叩かれにくいのだそうです。
中身よりも体裁を気にしがちな日本独自の文脈と言えそうですが、ネット時代のPR活動を考える上で、こうした要素は考慮せざるを得なくなっているようです。とはいえ、中川さんに言わせれば、「ネットで叩かれようが、実際のところ大した影響はなく、ビビった担当者が過剰に反応し、事を荒立てただけのことも多い」とか。一部の人が騒いでいるだけなのか、それとも社会的な「問題」となっているのかを、きちんと把握することが大切なのかもしれません。
2011年5月9日月曜日
すごい完成度! 『風の谷のナウシカ』のオウムにそっくりなオムライス
ガジェット通信(2011.2.13)
以前、『ナウシカのオウムみたいなオムライス! つまりオウムライス!』という記事をお伝えしました。アニメ映画『風の谷のナウシカ』に登場するオウムにそっくりのオムライスを作った人のニュースです。けっこうリアルにオウムを再現しており、作り方を動画で紹介しています。
しかし、さらにリアルにオウムライスを作った人が現れました。あまりにもリアルな見た目のため、「驚くほど食欲が無くなった!」というコメントも書き込みされています。そもそもオウムはグロテスクな容姿をしているので、それをリアルに再現したら当然……。
実際に調理した写真が画像投稿サイトに掲載されているのですが、確かにかなりリアルにオウムを再現しています。赤い眼球のような部分はプチトマトで再現しているようです。玉子焼きが黒くなっていますが、イカ墨の色でしょうか? 中身も黒くなっています。
このオウムライスを見た人たちは「たべたくないwwwwww」、「オームへの愛に驚きつつも食欲はおうふ」、「この食べ物、この料理、怖いと言っていいのか」、「甲殻は何でできてるんだろう?」、「うわぁぁ、すごいけどグロいなぁ。イカ墨?」、「凄いけど食べる気しないwwwwww」、「すげええー。けど、きめぇぇぇwww」、「すごい! けど、食べ物の色じゃないww」と感想を書き込んでいます。
皆さんの感想の通り、かなりリアルです。見た目はグロテスクですが、もしかすると味は絶品かもしれません。どこか本当にオウムライスを作ってくれるレストランがあると嬉しいのですが……。無理でしょうか?
自動値付けボットが暴走、ごく普通の本に約19億円の値段がつけられて販売
DNA(2011.4.26)
人間に代わって様々な日常の更新作業を行なう「ボット」と呼ばれるプログラムは、検索エンジンによる情報の収集からオンラインRPGの経験値稼ぎまで様々なレベルで普及してきました。しかし、ネット上で2つのボットが出会ってしまったけっか、なんとも笑えない事件が起こってしまったようです。
カリフォルニア大学バークレー校で生物学を研究しているMichael Eisen氏がある日、生物学の古典「The Making of a Fly: The Genetics of Animal Design」を買い増しておこうとAmazonのページを開くととんでもない光景が目に飛び込んできました。
「新品2点 173万45ドル(約1億4千万円)から」
別にプレミアがつくほどの本ではないため学生のいたずらかと思ったそうですが、出品している2者とも結構な数の取引をこなしておりその可能性は低そう。調べてみたところ興味深い事実が明らかになったそうです。
まず、profnath社はbordeebook社よりも常に安いこと。それからお互いの価格に対する割引率が常に一定になっていることが分かります。
つまり
1. profnathが値段を決める
2. bordeebookがその1.27059倍の値段をつける
3.次の日、profnathはbordeebookの0.99830倍の値段をつける
4. 2に戻る
というプロセスをぐるぐると繰り返した結果、値段がここまでつり上がってしまったと考えられます。2社とも明らかに自動で価格を修正するボットを使っていますね。たまたまボットどうしが価格競争を行なってしまったため、こんな面白いことになってしまいましたが人間の競争相手なら十分有効な仕組みです。
他の業者の値段を見て自社での価格を決定する自動ロボットは、価格比較サイト「価格.com」などで既に広く使われているのを見ることができます。profnathはおそらく、少しでも安い値段をつけて消費者の注目を浴びようとしていると考えられます。
それではbordeebookはなぜ2割近く高い値段をつけるのでしょうか。普通に考えれば一番安い値段をつけたところに勝てるわけがありません。おそらくbordeebookは在庫を持っておらず、もし注文があったら一番安い値段をつけている本を買ってお客に送る「転売」を行なっているのではないかと、Eisen氏は推測しています。
最終的に2369万8655ドル(約19億円)まで上がったところで誰かが気づいて値段を戻したようですが、現在もボットは動作しているようです。
自転車が倒れない理由って? 定説がくつがえっちゃいました!
GIZMODO.jp(2011.4.22)
自転車にまだ乗れない頃って、自転車がどうして倒れずに走れるのか、不思議じゃありませんでしたか? 自分には補助輪なしでは乗れない乗り物に、簡単そうに乗れている大人は神に見えた人もいると思います。
では、自転車が倒れない仕組みはなんでしょう? これまで、それは専門家の間では「キャスター角」と「ジャイロ効果」によるものだと考えられてきました。
「キャスター角」とは、自転車の前輪を横から見たとき、ステアリング軸(フォークやハンドルバーが回転する軸、多くはフロントフォークのヘッドチューブと平行になる)が垂直に対して傾いている角度です。通常ステアリング軸は上部が自転車後方に傾いていて、この軸から地面の方に延長線を引くと前輪の接地面より前方で地面と交差します。このステアリング軸延長線上の点と前輪接地面の間の距離をトレールといい、キャスター角とタイヤの大きさ、フォーク先端の湾曲によって作られるオフセットの組み合わせによって長さが変化します。トレールが長いほど直進安定性が保たれると考えられています。また、「ジャイロ効果」はコマのような物体が自転しているときに、軸の方向を保つ性質のことです。
でも今週、Science誌に掲載された論文がこの考え方をくつがえしました。冒頭の画像にある、一風変わった「自転車」による実験で、あることがわかったのです。
この自転車では、通常の自転車では前輪の接地面がステアリング軸と地面の接地点より後ろに位置するのに対し、前方になるようにデザインされています。これによって、キャスター角がマイナスになっています。また、前輪・後輪それぞれに逆回りする車輪が付けられていて、ジャイロ効果も打ち消されています。
それでも、この自転車は押されるとちゃんと倒れずに進み、前進する動きが止まるまで倒れなかったのです。その模様の動画がこちらで見られます。
この実験によって、これまで「自転車が倒れない理由」とされてきたキャスター角やジャイロ効果は、自転車の安定性にとって(貢献しないわけではないが)不可欠なものではないことがわかりました。
ではなぜ自転車が倒れないかというと、重心の配分、とくに前輪まわりのバランスがポイントです。実験では、前輪は軽く、後輪は重くなっているので、前輪は後輪より早く倒れようとします。でも前輪と後輪はつながっているので、結果的には前輪の方向に向かって進むようになり、倒れないというわけです。
ただ今回の実験では、なぜ従来のさまざまな自転車が倒れずに走ることができていたのか、すべて説明できてはいません。ともあれ、自転車が倒れそうになったときにその方向に進んで行けることが重要で、それが可能な自転車のデザインは非常に多様だ、ということです。
今回の発見によって、自転車のデザインが変わっていく可能性があります。従来よりもっと倒れにくい自転車とか、ゆっくり走るのに最適な自転車とか、いろいろ出てくると楽しいですね。
女王バチになる「秘密」は…富山県立大が誘導成分発見
asahi.com(2011.4.25)
ミツバチの幼虫を女王バチへと育てるたんぱく質を、富山県立大の鎌倉昌樹講師(発生生物学)が特定した。驚異的な産卵能力を持つ女王バチは海外から輸入している養蜂家も多いため、女王バチを人工的に大量生産することで、養蜂に生かせる可能性がある。24日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
ミツバチの女王バチと働きバチは同じ遺伝子だが、ローヤルゼリーをエサとして育てられた幼虫だけが女王バチになる。働きバチのエサは蜜や花粉。その働きバチが分泌するローヤルゼリーのどの成分が決め手となっているのかは謎だった。
鎌倉講師は、40度で30日間保存したローヤルゼリーではどの幼虫も働きバチになることを見つけた。新鮮なローヤルゼリーとの成分組成の違いを調べ、女王バチへ誘導するたんぱく質「ロイヤラクチン」を発見した。
これを幼虫に与えると、働きバチに比べ体が1.5倍程度に大きくなったり、卵巣が発達したりして女王バチの特徴を示した。ショウジョウバエに与えると体が2倍近くに成長。遺伝子として組み込んでも同様の効果があったという。
鎌倉講師は「生物は遺伝子ですべてが決まるかのように言われるが、環境で変化する例を示せた。他の生物でも起こりうるのではないか」と話す。
2011年1月28日金曜日
結局クックパッドは楽天レシピに抜かれる弱肉強食WEB
invizi(2011.1.27)
楽天ににらまれたクックパッド
■ 完全な弱肉強食社会
「「年内にクックパッド抜く」--楽天レシピ、ポイント連動で攻勢」
http://japan.cnet.com/news/business/20425484/
楽天が10月に公開したレシピ投稿サイト「楽天レシピ」が急成長している。4カ月でレシピ数は4万件を突破、月間訪問者数は200万人を超えた。
ということで、楽天がとうとう本気でクックパッドをぶっつぶしにかかっている模様ですね。
楽天によれば、2010年12月末時点のレシピサイトの月間訪問者数ランキングは、1位のクックパッドが797万人、2位のYahoo!レシピが290万人、3位の楽天レシピが216万人。楽天レシピはオープン初月の10月に早くも当時3位だったレシピブログを抜き去り、すでにヤフー!レシピも射程圏内にある。
ということで、レシピサイトはいくつかあるんですが、僕個人の感想としては、来年クックパッドはもうないですね。
いやはや。。。
サバンナとかにはライオンとかがいるわけですが、他にも動物はいくつかいます。
基本的にライオンににらまれて、本気で食われる状態になった場合、他の動物は逃げることができないわけですね。
ということで、まさに今ライオンににらまれたのが、クックパッドだったわけです。いやはや。。
■ 楽天は完全パクってワンモアバリュー
ということで、楽天がクックパッドを撃墜するシナリオは下記です。
楽天スーパーポイントとの連動だ。レシピ投稿とつくったよレポートの投稿でポイントが付与されるため、ユーザーのモチベーションが非常に高い。オリジナルレシピは50ポイント、つくったよレポートはレシピ考案者とレポート投稿者の双方に10ポイントが付与される仕組みだ。
「50ポイントは安いもの」とインフォシーク事業長の濱野斗百礼氏は語る。「クックパッドには現在約90万のレシピが投稿されているが、それらすべてに50ポイントを払って楽天に再投稿してもらってもわずか4500万円。ポイントはもっと高くしてもいいと思っている」とのことだ。
楽天の成功パターンは、「差分プラスオリジナリティ」だという。競合との差分をなくし、さらにオリジナリティをプラスするということである。それを楽天レシピにあてはめると、競合サイトであるクックパッドと同レベルのサイトの仕組みやレシピ量を提供し、さらに付加価値としてクックパッドが有料で提供しているランキング機能を無料提供したり、ユーザーの投稿にポイントを付与したりしている。
ということで、現在クックパッドは収益源として、検索やランキング機能がわりと有料会員しか利用できない仕組みになっていたりします。
これはまあ僕もたまにのぞいてみて、不便だなあとは思うものの、営利企業がやっているサイトなので、仕方ないのかなということで、有料会員も結構いるわけです。
ですが、それが楽天みたいなものすごい分母やポイントシステムを確立していて、広告収入だけで全然おkな企業が本気で襲いかかった場合、まったく足元にも及ばなくなってしまいますよね。。
楽天はポイントシステムと連動し、ユーザーがレシピを投稿した場合、ひとつにつき60円ももらえてしまう、さらにユーザーもどんどん増えそうだし、ほとんどの機能が無料で使える。さらに今後CM展開も行って、世間的にもメジャーなサイトになるわけです。
こりゃ~~誰だって楽天レシピを使ってしまいますよねえ。。
■ ライオンにすべてが飲みこまれてしまうウェブ業界の未来
ということで、クックパッドはわりといけてるベンチャーだったわけです。
クックパッドという媒体を中心として、認知度も向上させ、レシピを提供するという意味で、社会インフラになりつつありました。
ですが今回のように、莫大な資金とユーザー分母をかかえたライオンにねらわれた際、なすすべがないわけです。
サイトを構築する際の仕組み的なものはそれほど難しくないので、ユーザー次第な分、クックパッドはその進出を防ぎようがないということです。
これで本格的に楽天に吸収されるとなると、クックパッドとしては現在有料提供している機能すべてを無料にして、有料会員を廃止し、とりあえずユーザーが逃げていくことを防いでいかないといけないと思うのですが、そうなるともう営利企業というよりは、ボランティア団体くらいな収益しか得られなくなり、結果的にサイトにまわせるコストがなくなっていき、結果的にサイトはよくなくなってしまうので、おそらく今後もスタイルは変わらないと思いますが。。
ウェブサービスっていうのは誰にでも模倣が可能です。というより個人的には、模倣っていう概念自体がないと思っています。
いつ、いかなるときも、サイトは一瞬にして消滅する危険をともなっているという意味で、メディアは常に不安定な存在です。
たとえクックパッドレベルのユーザー文化を持っていたとしても、結局はユーザーはメリットが高い方向へ、長期的に見ると流れるでしょう。
こうなると小さな企業のメディア事業の未来って、とっても悲しいものになってしまうような気がします。。
今後こういうケースは増えていくと思うのですが、ウェブの未来とは、ライオンにすべてを搾取されるものになるんでしょうか。。
クックパッドを応援するとかそういう意識ではないですが、小さな企業が生み出した文化の永続性への関心っていう意味で、楽天レシピとクックパッドの未来を見守ってみたいですよ。
■ クックパッド
■ 楽天レシピ
楽天ににらまれたクックパッド
■ 完全な弱肉強食社会
「「年内にクックパッド抜く」--楽天レシピ、ポイント連動で攻勢」
http://japan.cnet.com/news/business/20425484/
楽天が10月に公開したレシピ投稿サイト「楽天レシピ」が急成長している。4カ月でレシピ数は4万件を突破、月間訪問者数は200万人を超えた。
ということで、楽天がとうとう本気でクックパッドをぶっつぶしにかかっている模様ですね。
楽天によれば、2010年12月末時点のレシピサイトの月間訪問者数ランキングは、1位のクックパッドが797万人、2位のYahoo!レシピが290万人、3位の楽天レシピが216万人。楽天レシピはオープン初月の10月に早くも当時3位だったレシピブログを抜き去り、すでにヤフー!レシピも射程圏内にある。
ということで、レシピサイトはいくつかあるんですが、僕個人の感想としては、来年クックパッドはもうないですね。
いやはや。。。
サバンナとかにはライオンとかがいるわけですが、他にも動物はいくつかいます。
基本的にライオンににらまれて、本気で食われる状態になった場合、他の動物は逃げることができないわけですね。
ということで、まさに今ライオンににらまれたのが、クックパッドだったわけです。いやはや。。
■ 楽天は完全パクってワンモアバリュー
ということで、楽天がクックパッドを撃墜するシナリオは下記です。
楽天スーパーポイントとの連動だ。レシピ投稿とつくったよレポートの投稿でポイントが付与されるため、ユーザーのモチベーションが非常に高い。オリジナルレシピは50ポイント、つくったよレポートはレシピ考案者とレポート投稿者の双方に10ポイントが付与される仕組みだ。
「50ポイントは安いもの」とインフォシーク事業長の濱野斗百礼氏は語る。「クックパッドには現在約90万のレシピが投稿されているが、それらすべてに50ポイントを払って楽天に再投稿してもらってもわずか4500万円。ポイントはもっと高くしてもいいと思っている」とのことだ。
楽天の成功パターンは、「差分プラスオリジナリティ」だという。競合との差分をなくし、さらにオリジナリティをプラスするということである。それを楽天レシピにあてはめると、競合サイトであるクックパッドと同レベルのサイトの仕組みやレシピ量を提供し、さらに付加価値としてクックパッドが有料で提供しているランキング機能を無料提供したり、ユーザーの投稿にポイントを付与したりしている。
ということで、現在クックパッドは収益源として、検索やランキング機能がわりと有料会員しか利用できない仕組みになっていたりします。
これはまあ僕もたまにのぞいてみて、不便だなあとは思うものの、営利企業がやっているサイトなので、仕方ないのかなということで、有料会員も結構いるわけです。
ですが、それが楽天みたいなものすごい分母やポイントシステムを確立していて、広告収入だけで全然おkな企業が本気で襲いかかった場合、まったく足元にも及ばなくなってしまいますよね。。
楽天はポイントシステムと連動し、ユーザーがレシピを投稿した場合、ひとつにつき60円ももらえてしまう、さらにユーザーもどんどん増えそうだし、ほとんどの機能が無料で使える。さらに今後CM展開も行って、世間的にもメジャーなサイトになるわけです。
こりゃ~~誰だって楽天レシピを使ってしまいますよねえ。。
■ ライオンにすべてが飲みこまれてしまうウェブ業界の未来
ということで、クックパッドはわりといけてるベンチャーだったわけです。
クックパッドという媒体を中心として、認知度も向上させ、レシピを提供するという意味で、社会インフラになりつつありました。
ですが今回のように、莫大な資金とユーザー分母をかかえたライオンにねらわれた際、なすすべがないわけです。
サイトを構築する際の仕組み的なものはそれほど難しくないので、ユーザー次第な分、クックパッドはその進出を防ぎようがないということです。
これで本格的に楽天に吸収されるとなると、クックパッドとしては現在有料提供している機能すべてを無料にして、有料会員を廃止し、とりあえずユーザーが逃げていくことを防いでいかないといけないと思うのですが、そうなるともう営利企業というよりは、ボランティア団体くらいな収益しか得られなくなり、結果的にサイトにまわせるコストがなくなっていき、結果的にサイトはよくなくなってしまうので、おそらく今後もスタイルは変わらないと思いますが。。
ウェブサービスっていうのは誰にでも模倣が可能です。というより個人的には、模倣っていう概念自体がないと思っています。
いつ、いかなるときも、サイトは一瞬にして消滅する危険をともなっているという意味で、メディアは常に不安定な存在です。
たとえクックパッドレベルのユーザー文化を持っていたとしても、結局はユーザーはメリットが高い方向へ、長期的に見ると流れるでしょう。
こうなると小さな企業のメディア事業の未来って、とっても悲しいものになってしまうような気がします。。
今後こういうケースは増えていくと思うのですが、ウェブの未来とは、ライオンにすべてを搾取されるものになるんでしょうか。。
クックパッドを応援するとかそういう意識ではないですが、小さな企業が生み出した文化の永続性への関心っていう意味で、楽天レシピとクックパッドの未来を見守ってみたいですよ。
■ クックパッド
■ 楽天レシピ
2011年1月26日水曜日
Facebook、仮想通貨「Facebook Credits」をソーシャルゲームに義務づけ
ITmedia(2011.1.25)
Facebookは1月25日、7月1日からすべてのFacebookゲーム開発者に、同社の仮想通貨システム「Facebook Credits」を使った決済処理を義務づけると明らかにした。
Facebook Credits(日本では「Facebookポイント」)は、Facebookのアプリやゲームでバーチャルアイテム購入に利用できる。現在は350を超えるFacebookアプリで導入され、バーチャルアイテム取引の70%以上で使われている。アプリ開発者はCreditsを使って販売したアイテムの売り上げの30%を手数料としてFacebookに支払う。
Facebookのゲームには、Creditsではなく独自のゲーム内仮想通貨を利用しているものもある。ユーザーがどのゲームでもCreditsを使えるようになれば利便性が高まり、Facebookの手数料収入も増えるだろう。
Facebookは、Creditsを唯一のゲーム内通貨として義務づけることはしないとしており、ゲーム開発者は独自の仮想通貨を使い続けられる(ユーザーはCreditsを使って独自の仮想通貨を購入することになる)。しかしFacebookは開発者にCreditsを利用してもらうために、インセンティブを提供するとしている。Creditsをゲーム内通貨として利用する開発者には、新機能をいち早く利用できたり、Facebookのゲームダッシュボードで目立つ位置に表示してもらえるといった特典を用意するという。
Facebookは1月25日、7月1日からすべてのFacebookゲーム開発者に、同社の仮想通貨システム「Facebook Credits」を使った決済処理を義務づけると明らかにした。
Facebook Credits(日本では「Facebookポイント」)は、Facebookのアプリやゲームでバーチャルアイテム購入に利用できる。現在は350を超えるFacebookアプリで導入され、バーチャルアイテム取引の70%以上で使われている。アプリ開発者はCreditsを使って販売したアイテムの売り上げの30%を手数料としてFacebookに支払う。
Facebookのゲームには、Creditsではなく独自のゲーム内仮想通貨を利用しているものもある。ユーザーがどのゲームでもCreditsを使えるようになれば利便性が高まり、Facebookの手数料収入も増えるだろう。
Facebookは、Creditsを唯一のゲーム内通貨として義務づけることはしないとしており、ゲーム開発者は独自の仮想通貨を使い続けられる(ユーザーはCreditsを使って独自の仮想通貨を購入することになる)。しかしFacebookは開発者にCreditsを利用してもらうために、インセンティブを提供するとしている。Creditsをゲーム内通貨として利用する開発者には、新機能をいち早く利用できたり、Facebookのゲームダッシュボードで目立つ位置に表示してもらえるといった特典を用意するという。
2011年1月24日月曜日
サルも他者の行動を参考、区別する細胞発見
琉球新報(2011.1.23)
沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)の磯田昌岐代表研究者(神経システム行動ユニット)らの研究グループは、ニホンザルを用いた実験で、自分と他者の行動を区別している細胞が前頭葉の内側領域にあることを初めて発見した。米科学誌「カレントバイオロジー」のオンライン版で21日発表した。研究結果は統合失調症や自閉症の原因解明につながる可能性がある。
磯田氏らが行った実験は、2匹のサルを向かい合わせに座らせ、一方のサルに緑と黄色のボタン、どちらか一つを押させて正解の色ならジュースをあげる。もう一方のサルはその様子を観察する。これを2回ずつ交互に繰り返す。正解の色は複数回連続し、途中でサルに分からないように正解の色を変える。
ルールを理解して相手が間違った色を押したことや、正解の色が途中で変わったことを、見ている側のサルは相手のサルが押したボタンから判断しなければならない。この実験で相手が間違った後、自分の番で正しくボタンを押せた確率は9割を超えた。
実験中にサルの脳細胞に電極を刺して反応を観察したところ、別のサルが行動している時にだけ反応を示す「他者細胞」が前頭葉の内側領域表面に集中していることが分かった。自分が行動している時にだけ反応する「自己細胞」や、自分が行動する時も別のサルが行動する時も反応する「ミラー細胞」も確認した。
ミラー細胞の存在は先行する研究で明らかになっていたが、他者細胞の発見は初めて。ミラー細胞の存在だけでは自分と他者の行動を区別できないという課題があったが、他者細胞の発見により矛盾を説明できる。
沖縄科学技術研究基盤整備機構(OIST)の磯田昌岐代表研究者(神経システム行動ユニット)らの研究グループは、ニホンザルを用いた実験で、自分と他者の行動を区別している細胞が前頭葉の内側領域にあることを初めて発見した。米科学誌「カレントバイオロジー」のオンライン版で21日発表した。研究結果は統合失調症や自閉症の原因解明につながる可能性がある。
磯田氏らが行った実験は、2匹のサルを向かい合わせに座らせ、一方のサルに緑と黄色のボタン、どちらか一つを押させて正解の色ならジュースをあげる。もう一方のサルはその様子を観察する。これを2回ずつ交互に繰り返す。正解の色は複数回連続し、途中でサルに分からないように正解の色を変える。
ルールを理解して相手が間違った色を押したことや、正解の色が途中で変わったことを、見ている側のサルは相手のサルが押したボタンから判断しなければならない。この実験で相手が間違った後、自分の番で正しくボタンを押せた確率は9割を超えた。
実験中にサルの脳細胞に電極を刺して反応を観察したところ、別のサルが行動している時にだけ反応を示す「他者細胞」が前頭葉の内側領域表面に集中していることが分かった。自分が行動している時にだけ反応する「自己細胞」や、自分が行動する時も別のサルが行動する時も反応する「ミラー細胞」も確認した。
ミラー細胞の存在は先行する研究で明らかになっていたが、他者細胞の発見は初めて。ミラー細胞の存在だけでは自分と他者の行動を区別できないという課題があったが、他者細胞の発見により矛盾を説明できる。
2011年1月22日土曜日
旦那の暴挙に奥さん激怒!「鬼嫁チャーハン」
ロケットニュース24(2011.1.21)
愛する旦那様のために毎日朝早くから作るお弁当。奥さんの愛情たっぷりの一品だ。
もちろん男性諸君は毎日のお昼に開けるお弁当を楽しみにしている思うが、同僚や取引先との付き合いで昼食を取ってしまい、お弁当を食べずに持って帰る場合もあるだろう。
1度や2度であれば奥さんも許すだろうが、それが毎日のように残されたり、いらないと突き返されては愛情を踏みにじられていると思い、激怒してしまうのもしょうがない。
なんとレシピ共有サイトクックパッドに、そんな旦那の暴挙に耐えかねた奥さんが、怒りの果てに作った「鬼嫁チャーハン」のレシピが公開されていた。
そのレシピとはなんと単純明快。材料は残った弁当とごま油、調味料のみ。調理法はそれを全部油をしき、熱したフライパンにぶち込んで調味料を入れて炒めるだけだ。
このレシピの生い立ちには、以下のような奥さんの嘆きが記されている。
せっかく作ったお弁当を笑顔で「今日いらないんだ」と当然のように返されたので、全てをそのまま炒めてチャーハンにして晩御飯に出してみました。
ひどすぎる旦那の行動が妻を鬼嫁に変えてしまい作られたこの料理。見ていると「おめぇに食わせる夕飯はねぇ!」と叫んでいる奥さんが目に浮かぶ。
cookpad
2011年1月20日木曜日
粘菌が「農業」…餌の細菌、少なくなると栽培
YOMIURI ONLINE(2011.1.20)
湿った土の中に生息する微生物・粘菌の一種が、餌としている細菌を増やす「農業」を営んでいることを、米ライス大の研究グループが突き止めた。
シロアリの仲間がキノコを栽培する例はあるが、粘菌のような微生物で報告されたのは初めて。20日付の英科学誌ネイチャーで発表した。
この粘菌は、普段は単細胞生物として活動しているが、周囲に餌となる細菌が少なくなると、数万~数十万の個体が集合。ナメクジ状の形になって別の場所に移動し、子孫となる胞子を作る。この際、粘菌は食べ残した周囲の細菌を体内に取り込み、胞子を拡散させる時に細菌も一緒にばらまいていることが分かった。
無菌状態の培養皿で調べたところ、細菌は胞子の周辺で増殖。胞子から生まれた粘菌はこの細菌を食べて、成長することができた。収穫物である細菌の一部を「種」として残しておき、生産にまわすことから、研究グループは「原始的な農業」とみなしている。
2011年1月12日水曜日
辛抱強く待つか、断念か 関与する神経伝達物質が判明
asahi.com(2011.1.12)
なかなか来ないバスを待ち続けるか、あきらめて歩くか――。辛抱強く待つかどうかの意思決定にかかわるとみられる神経伝達物質を、独立行政法人の沖縄科学技術研究基盤整備機構神経計算ユニットのチームがラット実験で突きとめた。うつ病などの原因解明につながると期待される。
12日発行の米専門誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス電子版に発表する。
チームはうつ病や睡眠にかかわる神経伝達物質セロトニンに着目。報酬のために待つかどうかの判断にかかわっているとの仮説を立てた。
ラットがエサ場や水場に着くとすぐエサや水が得られる場合と、4秒待たないと得られない場合とで、脳内のセロトニンの働きを調べた。
すると、4秒待つときの方がセロトニンの放出が高まり、濃度が上昇した。さらに、大脳にセロトニンを送る神経細胞の活動を電極で測ると、待っている間に活動が高まり、あきらめてしまう場合に弱まることがわかった。
代表研究者の銅谷賢治さんは「セロトニンの役割を詳細に調べ、うつ病などの原因の解明や、人間的な判断ができるロボットの開発などに貢献したい」と話している。
これまで、セロトニンの働きを抑えると衝動的に目先の利益を選びがちなことは実験で示されていた。
なかなか来ないバスを待ち続けるか、あきらめて歩くか――。辛抱強く待つかどうかの意思決定にかかわるとみられる神経伝達物質を、独立行政法人の沖縄科学技術研究基盤整備機構神経計算ユニットのチームがラット実験で突きとめた。うつ病などの原因解明につながると期待される。
12日発行の米専門誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス電子版に発表する。
チームはうつ病や睡眠にかかわる神経伝達物質セロトニンに着目。報酬のために待つかどうかの判断にかかわっているとの仮説を立てた。
ラットがエサ場や水場に着くとすぐエサや水が得られる場合と、4秒待たないと得られない場合とで、脳内のセロトニンの働きを調べた。
すると、4秒待つときの方がセロトニンの放出が高まり、濃度が上昇した。さらに、大脳にセロトニンを送る神経細胞の活動を電極で測ると、待っている間に活動が高まり、あきらめてしまう場合に弱まることがわかった。
代表研究者の銅谷賢治さんは「セロトニンの役割を詳細に調べ、うつ病などの原因の解明や、人間的な判断ができるロボットの開発などに貢献したい」と話している。
これまで、セロトニンの働きを抑えると衝動的に目先の利益を選びがちなことは実験で示されていた。
「辛抱強さ」の仕組み解明=ラット脳で特定物質活発―沖縄の研究機関
時事ドットコム(2011.1.12)
沖縄科学技術研究基盤整備機構(沖縄県恩納村)は、ラットが餌や水を待ち続ける「辛抱強さ」が脳内で生成される仕組みを解明したと発表した。12日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスの電子版に掲載された。
衝動行動を抑える神経伝達物質セロトニンの脳内での分泌に着目した成果で、そううつ病などの解明や治療につながることも期待されるという。
同機構の銅谷賢治研究員(脳科学)らのグループは、雄のラットが餌や水をもらう際に、すぐに出る場合と時間差で出る場合で、脳内のセロトニン活動の違いを比較。個体差をなくすため、実験では同じラットを使った。
その結果、餌がすぐに出た場合と4秒間待った場合を比較すると、我慢した場合の方が脳内のセロトニン濃度が高かった。
また、餌をもらえる場所で2~20秒間待たせた際の脳内のセロトニン活動を比較。同じラットで、餌を最後まで待てた場合と待てなかった場合を比べると、餌を待ち始めた直後は両者で差はなかったが、餌をもらう直前では、餌を待てたときは待てなかったときと比べ、セロトニン活動が2倍超も活発になっていた。
銅谷研究員は「餌を最後まで待つときはセロトニンが多く分泌していた。こうした辛抱強さの仕組みは、依存症治療法や人間により近いロボットの開発にも応用できるのでは」と話している。
沖縄科学技術研究基盤整備機構(沖縄県恩納村)は、ラットが餌や水を待ち続ける「辛抱強さ」が脳内で生成される仕組みを解明したと発表した。12日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスの電子版に掲載された。
衝動行動を抑える神経伝達物質セロトニンの脳内での分泌に着目した成果で、そううつ病などの解明や治療につながることも期待されるという。
同機構の銅谷賢治研究員(脳科学)らのグループは、雄のラットが餌や水をもらう際に、すぐに出る場合と時間差で出る場合で、脳内のセロトニン活動の違いを比較。個体差をなくすため、実験では同じラットを使った。
その結果、餌がすぐに出た場合と4秒間待った場合を比較すると、我慢した場合の方が脳内のセロトニン濃度が高かった。
また、餌をもらえる場所で2~20秒間待たせた際の脳内のセロトニン活動を比較。同じラットで、餌を最後まで待てた場合と待てなかった場合を比べると、餌を待ち始めた直後は両者で差はなかったが、餌をもらう直前では、餌を待てたときは待てなかったときと比べ、セロトニン活動が2倍超も活発になっていた。
銅谷研究員は「餌を最後まで待つときはセロトニンが多く分泌していた。こうした辛抱強さの仕組みは、依存症治療法や人間により近いロボットの開発にも応用できるのでは」と話している。
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