2009年5月8日金曜日

オンラインコミュニティの栄枯盛衰

SNSコミュニティでは,多くのユーザが自身の日記を書くだけではなく,ネットだけの友人を作ったり,コミュニティに参加して,他のユーザとコミュニケーションしたりと,ある種生活の場になっている.また,SNSコミュニティは,生活の一部というだけではなく,日記や他のユーザとのコミュニケーションなどの活動もデータとして残っており,ある種,人生の記録にもなっている.

SNSコミュニティが閉鎖されるということは,このような生活の場,人生の一部が失われるということを意味する.SNSコミュニティ自体が消滅しなかったとしても,運営企業が変わるということは,運営方針が大きく変わるということであり,それは,異なるコミュニティになることに等しい.

現在のSNSコミュニティでは,ユーザができる機能や保存できるデータ量が限られているため,SNSコミュニティの一つが消滅することは社会問題にはならないかもしれない.

しかし,今後,SNSコミュニティに様々な機能が追加され,ユーザの活動履歴が記録できるようになり,SNSコミュニティが社会生活の一部となった場合,そして,そのコミュニティが10年,20年と続いた場合,SNSコミュニティの消滅は,多くのユーザの生活基盤や人生の一部を失うことを意味し,大きな社会問題に発展することが予想される.

現在,SNSコミュニティが永続的に成長していけるかは,運営会社が時代に適したビジネスモデルを提案できるか?ということに掛かっている.SNSコミュニティが永続的に成長し,規模が大きくなり,サーバーやそのメンテナンスなどの費用が増大した場合,現在の広告ビジネスだけで運営できるのかは疑問である.

SNSコミュニティや他のオンラインコミュニティを永続的に発展させていくための方策を今のうちから考えておく必要があるんじゃないかなぁと思う.



■ ITmedia 最終更新:5月8日17時28分
 MCJは5月8日、100%子会社のカフェスタが運営するSNS事業を、オンラインゲームを運営するジークレストに譲渡すると発表した。ジークレストが運営するゲームコミュニティー「@games」に移行し、カフェスタは5月末で終了、約7年の歴史に幕を閉じる。

 同サイトをめぐっては、運営コストをまかなうために「存続のために有料会員になるか、アバターなどを購入してほしい」と運営側がユーザーに呼び掛ける異例の試みで話題になっていた。だがMCJの本業であるPC事業で市場が停滞しており、競争力を再強化する必要があるとして、シナジーが見込めないSNS事業の譲渡を決めた。広告収入にほとんどを頼るネットコミュニティーサービスの運営の難しさが改めて浮き彫りになった形だ。

 カフェスタは8日に決済機能を停止。サービスは31日で終了し、6月1日以降は新規書き込みや編集、削除などはできず、閲覧のみとなる。6月2日以降、データを@gamesに移行できるようにする予定。

 IDやニックネーム、パスワードなどは移行後もそのまま使え、日記などのデータも一部を除き引き継がれる。有料アバターアイテムなどを購入したユーザーには、@games内で使える「セルフィ衣装交換券」を配布する。未使用の「カフェスタキャッシュ」は、@games内通過の「Gコイン」に変換する。詳細はWebサイトで。

 カフェスタサービスは旧パワードコム(KDDIが吸収合併)が2002年7月にスタート。04年からはパワードコムと韓国Daum Communicationsが共同出資したTAONが運営し、TAONはその後ライコスジャパンに社名変更。昨年4月、MCJがライコスジャパンから事業を取得して運営していた。