2013年11月7日木曜日

2020年「自動運転」には技術とともに法整備も課題 !

clicccar.com(2013.10.18)

最先端のIT技術で交通事故や渋滞を減らす将来の交通システムについての国際会議「第20回ITS世界会議 東京2013」が、10月14(月)~18日(金)にかけて東京ビッグサイトで開催されました。

「Open ITS to the Next」をテーマに参加国60ヶ国、会議参加者8000人以上となるビッグイベントで、日本での開催は9年ぶり。

開会式では「ITS JAPAN」の渡辺浩之会長が自動運転システム実現への意気込みを語り、安倍首相も「成長戦略における重要な要素として規制緩和やインフラ整備を積極的に進めていきたい」とのコメント映像を寄せるなど気合の入れようが覗えます。

今回のITS世界会議は「CEATEC JAPAN」、「東京モーターショー2013」と連携した3部構成となっています。

イベントでは自動運転技術や高度運転支援の関連技術が数多く紹介され、トヨタやホンダ等、国内外の自動車メーカーが実演走行を披露してITS技術を世界にアピール。

トヨタは2010年代半ばの実用化を目標に高速道路での自動運転システムを開発しており、国土交通省の承認を得て2年前から公道試験を実施、今回実際に自律走行する試験車両(有人)を初公開しました。

GMもクルーズ・コントロールシステムを発展させた「スーパー・クルーズ」と称する高速道路での自動運転システムを2020年までに実用化予定で、人間による操作が必要となった場合にドライバーへ運転操作の介入を求めるシステムとなっている模様。

こうした技術革新で課題となって来るのが自動運転中に事故が起きた際の責任問題。

自動化が進むほど運転者がシステムに依存して注意力や技量が低下しかねないほか、事故の原因究明や責任明確化が難しくなるという課題が浮上しており、自動走行中に通信を伴う場合はハッキングによるテロ対策の必要性 も懸念されています。

そもそも自動運転システムにはGoogleや日産などが取り組んでいる「自律型」と、トヨタやホンダが開発を進めている「インフラ協調型」の2方式が存在。

前者が自動運転の際に車載センサーやカメラの情報を主にしているのに対して、後者は外部からの情報(信号・道路標識・GPS)を取り込んで車載センサーやカメラの情報と融合・情報処理しながら自律走行する方式で、外部情報を利用することによるシステムコストの低減が期待されています。

カーブ先の渋滞や故障車など、レーダーやセンサーだけでは検知できない情報をキャッチすることで、より安全な自動運転の実現を目指している訳ですが、逆に外部電波を悪用した意図的な走行妨害を受ける可能性が懸念されます。

実際、国土交通省主催の「オートパイロットシステムに関する検討会」でも無線による遠隔操作へのセキュリティ対応の必要性が取り上げられるなど、安全対策が議論されつつあるようです。

今後どちらの方式で進むのか、若しくは両方式が共存するのかが課題となりそうですが、何れにしても人の手を介さない「完全自動運転」で高速道路や一般道を走行する事になれば、現状の道路交通法第70条でドライバー自身に課している「安全運転義務」をどのように扱うかの議論になるのは明白。

ドライバーに過失が無くても、自動運転システム自体の不具合や外部要因による事故などの可能性も考えられることから、今後は「自動運転」の普及に向けた法整備も平行して進められることになるものと思われます。


■第20回ITS世界会議 東京2013
  http://www.itsworldcongress.jp/japanese/

■ITS JAPAN
  http://www.its-jp.org/  

■国土交通省 オートパイロットシステム検討会










http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/